前々回から引き続き、藤波辰巳 vs 前田日明。
見て気になったことの最後、それは、この試合の結果である。
プロレスは完全な八百長試合で、試合ごとに台本があるという噂は聞いている。この試合を見て、それが事実であるということがわかった気がした。
試合が終わる5分程前に、前田のキックで藤波は頭のどこかを切って(血がひどくて、どこが切れているのかわからなかった)血を流しながらふらふらしており、技もろくに決まらない状態であった。
しかし、試合の最後は相打ちで、両選手ノックダウンと言う形で終わった。
何が気になったのか。それは、何故、前田日明が立ち上がらなかったのかだ。
藤波に対して、前田はまだまだ余裕の風で、前田の方が押しているように見えた。さらに言うなれば、藤波の頭が切れた瞬間、一瞬ではあるが、前田が困ったような表情になった気がした。
それから見て、本当は藤波が勝つと言うシナリオであったが、アクシデントが起こったため、こういう結果になってしまったということなのか。
さらに考えてみるなれば、頭を切る攻撃を受ける直前、藤波は少し体を動かした。もしかすると、あのアクシデントすらも、シナリオの内であったのか。だとすると、物凄い構成力である。
ただ、どうしてもあの最後だけはいただけないが。しかし、あそこで前田が押しに押して勝つと、藤波ファンからのブーイングが物凄かったであろうし、反対にあの状態から藤波が勝つというのもまた嘘くさい。結局のところ、あの終わり方が一番良かったのかもしれない。
正直に言って、私は八百長試合と言うものが好きではない。しかし、今回の試合を見て、八百長には八百長なりの面白さがあることに気が付いた。どこにどう伏線が張られているのかを、探すことである。
プロレスをショーとして見るのであれば、そちらに目を向けて見るのもまた一興と言ったものであろう。
それでは今日はこの辺で。また次回。
梅季颯 山口敏太郎事務所
『プロレス編 其の九』藤波辰巳vs前田日明