今回取り上げるのは、我が事務所の社長にすすめられた選手、藤波辰爾。かれも今までの選手同様、いや、それ以上に受けの上手い選手だという話を聞いたので、早速、試合を見てみることに。
今回見たのは、1986年6月12日に大坂城ホールで行われた、藤波辰巳 vs 前田日明の試合。
この試合は本当に熱かった。
私、プロレスファンにあるまじき者で、正直、関節技の良さがわからず、今までそれを、あくびをしつつ見てしまっていた。しかし、彼らの試合は違った。
この2人の関節技は、かけている方の人間からも、かけられている方の人間からも、闘志と言うものが満ち溢れていたのが見えた。
精神と、精神のぶつかり合いと言うのだろうか。動きは少なくとも、そのせめぎ合いが画面ごしにひしひしと伝わってくるようであった。
あと、前田日明の背負い投げに似た技は、豪快で、めちゃくちゃいい。これでもかと言うぐらい綺麗に決まって、本当に気持ちのよいものであった。
ただ、一つだけ気になる点がある。
首を持っての背負い投げ。あれはどうやって、首の骨が折れないようにやっているのか。
投げる方の選手が巧妙な支え方をしているのであろうか。それとも、受ける方の選手が上手いこと受けているのか。あるいは両方か。
興味津々であるが、これはただ調べるだけで答えが出るものではなく、プロレスを実際にやっている者にしか判らないものであろう。なので、プロレスをやっている人と会う機会があれば、直接聞いてみることにしよう。
今まで、受けが上手いとされる、三沢、蝶野、藤波らの試合を見てきた。試合スタイルもなにもかもが、全く異なる3人の選手だが、1つだけ共通するものがあった。それは、あえて目を向けようとしなければ、受けるほうに目が行きにくいことである。
私が何故、受ける選手に目が行ったのかと言うと、初心者の私の目から見ても、受けがあまりに不自然で、見たくなくとも、自然に目が行ってしまったからであった。
この選手らにはそれが全く見られない。それどころか、元々すごい技をさらにすごいものに見せているようにすら見えた。流石、誰からもすすめられる選手であるということか。
受け。そこに目をつけたことによって、沢山の良い選手に巡り合う事が出来た。教えてくださった方々に、感謝の念でいっぱいである。
彼ら以外にも、教えていただいた選手が居る。その選手や、今まで見てきた選手のことを頭に入れておきながら、どんどん新しい試合をこれからも見ていこうと思う。
それでは今日はこの辺で。また次回。
梅季颯 山口敏太郎事務所
前田日明にしゃべられるとFEGが困る理由とは?
元・藤波辰巳FC誌「闘竜」
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