北岡が微妙な判定で王座逃す、昇侍はウマハノフに金星ハイキック

 北岡悟が微妙な判定で新ウェルター級(77.1キロ未満)の王座を逃した。パンクラス後楽園ホール大会での暫定王者・井上克也と北岡の三度目の対戦は、3名のジャッジ全員が29-29とドロー裁定。しかし、王座決定戦のマストシステムにより和田と小菅レフェリーがレスリング出身の井上の優勢を支持、北岡は無念の涙を飲んだ。
 新王者は試合後、「1R、2Rの時点では勝った気はしなかった」と述べた。両者とも緊張して固かったとはいえ、井上のほうが前半では特にぎこちなく1Rにポイントを捕ったのは、テイクダウンして関節技を果敢に仕掛けた北岡だ。井上がようやくエンジンがかかったのは3Rになってから。北岡の執拗なタックルをようやく切るも、カレリンズ・リフトは封じられ、井上は本来の力強さを見せることができない。
 終了間際にサッカーボールキックを入れ、大振りのフックを当てた3Rこそポイントをとったが、ゴングを聞いてコーナーに戻ってきた井上はうつむき加減。セコンド陣は明らかに負けを想定していた。作戦通りに動けず、大声で叱咤されていたのが井上であった。
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 新ライト級(70.3キロ未満)は、Cage Forceに続き二冠王者を期待されたウマハノフ・アルトゥールに、昇侍が作戦勝ち。「強いパウンドでくると立ち上がる。スタンドで勝負する」の指示を守り、何度も練習したというパンチでプレッシャーを与えて注意をそらしての左ハイッキックを2Rの開始早々にぶちこみ、倒れたところをすかさず急襲してレフェリーが試合を止めた。
 ロシア勢はボクシングは習っているが、キックボクシングの駆け引きに弱い。昇侍は「こわいものはなにもない。絶対に当たるという意志で練習してきたパターンだった」と胸を張った。
 井上克也は、昇侍の戴冠に刺激されたのかライト級との二階級制覇を口にしている。「レスリングでは60キロ台まで落としたことがある」そうだ。
 世界標準のネバダ州階級式となったパンクラスの新春興行は、二人の王者とともにSHINING TOURを発進した。新たにヒーローとなった昇侍は、「ロシアやブラジル勢に牛耳られている格闘技界において、日本人の底上げ」を約束している。2008年に輝き続けるファイターとなるのであろうか。
 
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