昨今、学生プロレス出身のレスラーが脚光を浴びている。
新日本プロレスのIWGPチャンピオン棚橋弘至は、RWF(立命館大学学生プロレス連盟)出身だと東スポ系列の新聞紙上でカミングアウトをしている。いや、ようやく老舗団体と業界御用達メディアがなかったことにしていた経験を、「経歴」として認めたということである。時代は変わったのだ。
立命館の二期先輩にはお笑い芸人兼レスラーのレーザーラモンRG=出渕誠がいる。相方の1期下にあたる、かつてハードゲイブームを巻き起こしたレーザーラモンHG=住谷正樹は、DWA(同志社大学学生プロレス同盟)出身である。彼らは京都統一王座を争ったこともある同世代、HG対棚橋の黄金カードはまた、広告代理店の企画者目線ではプロレスがゴールデンに復活する際の切り札だと唾をつけられている。油ののりきったエース対決に意味があるわけで、いつまでも天龍やリック・フレアーが主役ではプロレスに未来はない。ちなみに両者の対談が「ファイティングTVサムライ」のVERSUS#17にて11月18日22時より1時間枠で放送される予定となっている。(リピート放送もあり。)
DWAは29年の歴史を持つ史上初の学生プロレス組織
学生プロレス時代のおのおののリングネームは、棚橋弘至はターナー・ザ・インサート、レーザーラモンRGはチン先真性、レーザーラモンHGはギブアップ住谷ということはマニア間では周知であろう。さる11月2日発売の「Gリング」隔月刊・(株)大都社では、今が旬の新日本プロレスの真壁刀義がTWF(帝京大学)出身で、当時のリングネームはプリン真壁であるとカミングアウトした。こちらもマニア間では既報であるが、学生プロレス出身のレスラーは蔑まれとかく白い目で見られがちだった10年ほど前の事を思えば隔世の感がある。非公表ながら、アマチュアプロレス、学生プロレス出身のプロレスラーの比率はかなり高く、既に業界を席巻しているといっていい。もともと恥ずべき事ではなかったのだ。
10月18日京都に赴き、RWF共催のDWA大会を観戦した。現在活動中の学生諸君もなかなかどうして。プロのローカルプロモーションなら即、戦力になりそうなレスラーが何人かいたように見える。もっと外の世界に打って出てはどうかと思えた。
大阪にてVKFというインディーの興行がほぼ月1のペースにてあるが、ハッスルのエンターテインメントとはまた別の笑いと闘いがあるように、DWAのショーもまた、立派に完成された文化祭等での発表会であり、質の点でも満足度からも、インディー興行にふらっと遊びに行った感覚と変わらない。学生プロレスラーが将来プロレスラーになって、名実ともにビッグな存在になって、あの時の大会を確か見たなあということでもあれば思わぬ原石に出会えてるかもしれないという、後々マニア冥利に尽きる事ではないか! ぜひ一般の観戦をお勧めしたいものだ。
学生プロレス、社会人プロレス初期の歴史と人物は以下に詳しい
タダシ☆タナカ『藤波MSGデビューと学生プロレスの起源』
みぶ真也『振り返ればいつも負け役』