[ファイトクラブ]英雄は敗北UFCメキシコ大会:モレノ陥落、ロニー・カヴァナ台頭の夜

[週刊ファイト3月12日期間] [ファイトクラブ]公開中

▼英雄は敗北UFCメキシコ大会:モレノ陥落、ロニー・カヴァナ台頭の夜
 photo:(C)Zuffa LLC /UFC by 野村友梨乃
・UFCメキシコ大会は凱旋か、重圧か:母国出身のカードが勢ぞろい
・英雄の凱旋は砕かれた:ロニー・カヴァナ、敵地でモレノを飲み込む
・新鋭が“チト”を削る:マルティネス、圧力と手数で圧巻の3連勝
・地元新星初陣勝利:ロドリゲス、逆境を跳ね返しTKO勝利で猛アピール
・英雄は敗れ、新星は羽ばたく:メキシコの熱狂とUFCの現実と今後


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UFCメキシコ大会は凱旋か、重圧か:母国出身のカードが勢ぞろい
 2026年2月28日(日本時間3月1日)、メキシコシティのアレナ・シウダ・デ・メヒコで開催された『UFC Fight Night: Moreno vs. Kavanagh』は、単なるナンバーシリーズではなかった。舞台は標高2,200メートル超の高地。観客は完全ホーム。しかもメインカードはすべてメキシコ出身ファイターで固められた。

 中心に立つのは、メキシコの象徴、ブランドン・モレノ。歓声は期待か、重圧か。英雄が凱旋する夜に、敗北は許されるのか。果たして、メキシコ勢は“完全勝利”を持ち帰るのか。それともUFCという世界基準は、感情を飲み込むのか。

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英雄の凱旋は砕かれた:ロニー・カヴァナ、敵地でモレノを飲み込む
<フライ級 5分5R>
〇ロニー・カヴァナ(イングランド)
 判定 3-0
●ブランドン・モレノ(メキシコ)

 地元の英雄が再び立つ。物語は、そう簡単には裏切られないはずだった。ブランドン・モレノは、25年12月に平良達郎に敗れフライ級6位へ後退。だが祖国メキシコでの再起戦。かつてデイブソン・フィゲイレードを極め、ベルトを巻き、統一王者にまで返り咲いた男だ。地元メイン。舞台は整っていた。

 対するは代打参戦のロニー・カヴァナ。3週間前オファー、初のUFC5R戦。前戦では2R以降に失速しTKO負けを喫している。スタミナに懸念あり。経験値もモレノが上。正直、下馬評は元王者優勢だった。

 だが試合は、開始直後から空気が違った。1R、カヴァナのカーフキックが鋭く刺さる。速い。迷いがない。終盤にはモレノの左ふくらはぎは赤く腫れ、明らかに削られていた。スタンドの距離管理もカヴァナが主導。若さとスピードが光る。

 2Rも流れは変わらない。前に出るモレノに対し、カヴァナは冷静にカウンターを合わせる。まとめに入った瞬間、「ここで終わるか」とヒヤリとした。モレノは耐えたが、ラウンドはカヴァナ優勢。焦りが見えるのは英雄のほうだった。

 3Rからモレノはテイクダウンに活路を見出す。ケージに押し込み、削る。だがカヴァナのディフェンスは高い。落ち着いて対応し、スタンドに戻す。ただ、この組みの攻防で体力は奪われる。ここからモレノのターンが来るのではないか――そんな予感もあった。

 4R、再び押し込み。カヴァナは必死に耐える。だがスタンドに戻ると、再びカーフ。左脚へのダメージは蓄積していた。モレノの前進は、どこか重い。

 最終5R。モレノは最後までタックルを狙い続ける。だが決定的な支配には至らない。カヴァナは距離を保ち、削り、凌ぎ切った。

 判定は3-0(49-46×2、48-47)。敵地で、元王者撃破。カヴァナはカーフで基盤を崩し、冷静さを保ち、スタミナの不安を5R通して克服した。前戦で2R以降に失速した男が、今回は最後まで落ち着いていた。進化は明白だ。

 試合後、カヴァナは語った。
「メキシコありがとう。僕のこと好きじゃないと思うけど、この文化は好きだ。お母さん、愛している。モレノはレジェンド。子供のころから観ていた。俺には最高のチームがいる。次は誰でもいい。」

 敵地で勝ち、敬意を示す。その余裕も含め、新星の風格があった。フライ級にまた新たな波が生まれた。ノーランカーから一気に上位戦線へ。ランキング入りは確実だろう。次の試合が楽しみだ。

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新鋭が“チト”を削る:マルティネス、圧力と手数で圧巻の3連勝
<バンタム級 5分3R>
〇ダヴィッド・マルティネス(メキシコ)
 判定 3-0
●マルロン・ヴェラ(エクアドル)

世代の波は、静かに、だが確実に押し寄せている。マルロン・ヴェラは、バンタム級最多フィニッシュ記録を持つ男だ。ショーン・オマリーに挑戦し、デイブソン・フィゲイレードに敗れ、エイマン・ザハビにも競り負けて3連敗中。33歳。ここで踏みとどまれるかどうかが問われる一戦だった。

 対するは27歳のダヴィッド・マルティネス。空手とキックを基盤にUFC2連勝。Combate Global王者からDWCSを経て本戦へ上がり、ロブ・フォントを打撃で上回った新鋭。勢いは明らかにこちらにあった。

 試合は1Rからマルティネスの色に染まる。踏み込みが速い。ステップが軽い。その出入りにヴェラはなかなか追いつけない。常にプレッシャーをかけ続けたのはマルティネス。ヴェラは構えて待つが、距離が合わない。手数の差は明確で、1Rは文句なしでマルティネス。

 2Rも同様だ。ヴェラの一撃は重いが、当たらない。マルティネスは細かく刻み、ラウンドを積み上げる。ここまでで2R連取。ヴェラに残された道は、最終ラウンドで仕留めるしかない、という展開だった。

 3R、ヴェラは前に出る。手数も増やし、明らかに勝負に来た。マルティネスもやや動きが落ちる。疲労の色が見える。ここで一気に飲み込めるかもしれないと思ったが、決定的な場面を作らせず、ラウンド終了のゴング。

 判定は3-0。ダヴィッド・マルティネス、UFC3連勝。速さ、回転数、そして圧力。フィニッシャーを“追わせ続けた”若さの勝利だ。

 試合後、マルティネスは語った。
「相手はタフで強かった。でも自分はメキシコを代表しているんだ、とても嬉しい。気分はとてもいい。この場のエネルギーがパワーをくれた。」
次は誰と戦いたいか、と問われれば、
「トップ10の試合はタフになると思う。でも誰になろうと準備はできている。」その言葉に誇張は感じなかった。

 バンタム級は常に新陳代謝が激しい。この夜、また一人、確実にランキング戦線へ食い込む男が現れた。

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