[ファイトクラブ]UFC Fight Night113:堀口恭司の勝利の裏でUFCに露呈した体重問題

[週刊ファイト2月19日期間] [ファイトクラブ]公開中

▼UFC Fight Night113:堀口恭司の勝利の裏でUFCに露呈した体重問題
 photo:(C)Zuffa LLC /UFC  by野村友梨乃
・UFC Fight Night113:ファンの熱量MAX、堀口恭司“KARATE KID”復活
・バティスタ、オリヴェイラに完勝:試合毎に激化UFCバンタム級戦線
・倒せなくても試合は常に支配:KARATE KID堀口恭司が示した完成度
・打ち合い上等の15分:ミドル級激闘の末、オレクシェイチュクが制す
・UFC Fight Night113:堀口の確かな前進の裏で、無視できない計量の影


▼UFC前夜でも動じない強さの本質:堀口恭司が貫く“いつも通り”の姿勢

[ファイトクラブ]UFC前夜でも動じない強さの本質:堀口恭司が貫く“いつも通り”の姿勢

▼中村京一郎、UFCと契約を勝ち獲る:タイトル戦とRTU決勝のUFC325

[ファイトクラブ]中村京一郎、UFCと契約を勝ち獲る:タイトル戦とRTU決勝のUFC325

UFC Fight Night113:ファンの熱量MAX、堀口恭司“KARATE KID”復活
 2026年2月7日(日本時間8日)、米国ラスベガスのMeta APEXで『UFC Fight Night 113: Bautista vs. Oliveira』が開催された。その中で、日本人ファンの視線を一身に集めたのが、堀口恭司とアミル・アルバジによるフライ級上位対決だ。

 堀口は今回、かつてのニックネーム「KARATE KID」を復活。ランキング6位、寝技を最大の武器とするアルバジを相手に、どんな戦いを選択するのか。先週に続き、日本人ファンのボルテージは最初から振り切れていた。

▼視聴数が証明した歴史的成功:UFC324、Paramount時代の完全勝利

[ファイトクラブ]視聴数が証明した歴史的成功:UFC324、Paramount時代の完全勝利

バティスタ、オリヴェイラに完勝:試合毎に激化UFCバンタム級戦線
<メインイベント バンタム級 5分5R>
〇マリオ・バティスタ(米国)17勝3敗(UFC11勝3敗)
 2R 4分46秒 リアネイキドチョーク
●ヴィニシウス・オリヴェイラ(ブラジル)23勝4敗(UFC4勝1敗)

 メインイベントのケージに先に姿を見せたのは、ランキング11位のヴィニシウス・オリヴェイラだった。表情は穏やかで、落ち着いているようにも見える。しかし試合前に明かされていたのは、キャンプ開始時点で規定体重を約24kgも上回っていたという事実だ。

 本人も「バンタム級で長く戦えるとは思っていない」「早くベルトを獲って次の階級へ行きたい」と語っており、この試合は“現在地”と“限界”が試される一戦でもあった。

 対するランキング9位のマリオ・バティスタは、前戦でウマル・ヌルマゴメドフに判定負けを喫し、8連勝がストップ。再起戦として、これ以上ないほど重要なメインイベントだった。RIZINで秋元強真と戦うパトリック・ミックスに判定勝ちしていることからも分かるように、バティスタの実力はすでにトップ戦線級。その真価が問われる試合だった。

 試合は開始直後から、両者のコンディション差が徐々に浮き彫りになっていく。オリヴェイラは序盤こそ動きのキレを見せたが、ラウンドを重ねるごとに勢いが削がれていった。一方のバティスタは焦らず、無理をせず、グラップリングで主導権を掌握した。

 特筆すべきは、バティスタの「下にならない」意識の徹底だ。前戦の反省を明確に修正し、トップポジションを譲らない戦い方を貫いた。

 2ラウンド中盤、流れは完全にバティスタのものとなる。ポジションを積み重ね、バックへ回ると、最後はリアネイキドチョークでオリヴェイラを捕獲。メインイベントにふさわしい、説得力のあるフィニッシュだった。

 正直なところ、オリヴェイラ“らしさ”はあまり見られなかった試合だった。だが、24kgもの大幅減量を経て、この舞台に立った事実は評価されるべきだ。今回、体重オーバーを犯した選手が複数いた中で、オリヴェイラは規定体重を守り、言い訳をしなかった。その姿勢は称賛に値する。

ただし、これほどの減量がパフォーマンスに影響を与えなかったとは言い切れない。バンタム級で戦い続けるのか、それとも新たな階級へ向かうのか。今後の選択が注目される。

 一方、勝者バティスタは試合後、こう語っている。
「前の試合を観て、隙だと思われたのかもしれない。でも今回はグラップリングでしっかり勝った。下になるのは好きじゃないから、そこを調整してきた。トップ5に行きたい。次はコーリー・サンドヘイゲンとやりたい」

 バンタム級戦線は、いま確実に勢いを増している。トップ層の厚みは言うまでもなく、中堅〜上位ランカーの完成度も高く、一戦ごとの序列変動が激しい階級だ。そんな中で、日本人ファンとしてどうしても気になるのが朝倉海の現在地だろう。

 2025年8月のティム・エリオット戦以降、朝倉海のUFCでの次戦はまだ決まっていない。フライ級からバンタム級へと階級を上げたことで、フィジカル面の不安は薄れた一方、「UFCバンタム級の中で、どのレベルにいるのか」は、正直まだ見えてこない。だからこそ、早く次の試合が観たい。勝敗以上に、“どこまで通用するのか”を、はっきりと示す一戦が必要だ。

 UFCで生き残るには、勢いだけでは足りない。今回のバティスタのように、明確な修正と勝ち筋を持って戦えるかどうかが問われる。

▼PPV時代の終焉へ:UFC324が告げたParamountとの時代の幕開け

[ファイトクラブ]PPV時代の終焉へ:UFC324が告げたParamountとの時代の幕開け

倒せなくても試合は常に支配:KARATE KID堀口恭司が示した完成度
<フライ級 5分3R>
〇堀口恭司(日本)36勝5敗1NC(UFC9勝1敗)
 判定3-0
●アミル・アルバジ(イラク)17勝3敗(UFC5勝2敗)

 注目の一戦だった。試合前から、観る側のほうが緊張してしまう――それほど、このカードは意味を持っていた。

 堀口は2025年11月のUFC復帰戦でタギル・ウランベコフを相手に、打撃と組みの両面で主導権を握り、最後は一本勝ちという完勝。35歳という年齢を感じさせないどころか、「まだここから」という印象を強く残していた。

 対するアミル・アルバジは、UFCで5勝1敗。唯一の黒星は元王者ブランドン・モレノとの判定負けのみ。本来は平良達郎との試合が予定されていたが負傷欠場となり、約1年3カ月ぶりの再起戦で堀口と相まみえることになった。グラップラーとして知られるが、近年は打撃にも比重を置き、組みと打撃を同じ踏み込みで切り替える厄介なタイプだ。

 堀口は序盤から、いつも通り落ち着いた立ち上がりを見せる。ステップを刻み、距離を管理しながら、アルバジの圧力を受け止める。アルバジは前に出て、組みと打撃を織り交ぜながら主導権を奪いにくるが、堀口は安易に深い展開を許さない。

 1ラウンド中盤、アルバジの左がヒットし、堀口が一瞬バランスを崩す場面があった。正直、ここは少しひやっとした。ただ、倒れたわけではなく、すぐに立ち上がって態勢を整えている様子を見ると、「効いている」という印象はない。むしろ気になったのは、ラウンド終了後、セコンドへ戻る際に右手を気にしているように見えたことだった。「2ラウンド目、どうなる?」そんな不安が一瞬よぎったのは事実だ。

 しかし、試合はそこから堀口のペースで進んでいく。アルバジは何度も前に出て、強烈な打撃を受けながらも決して引かない。「これ、絶対効いてるだろう」と思う場面が何度もあった。それでもアルバジは倒れない。今まで一度もフィニッシュ負けがない理由が、この試合でもはっきりと表れていた。タフさという点では、間違いなくトップクラスだ。

 ただし、決定的だったのはそこからだ。アルバジは組みつき、流れを変えようとするが、堀口からテイクダウンを奪うことは最後までできなかった。慌てない。力で返さない。無理に潰しに行かない。落ち着いて対処し、危険な形になる前に切る。その積み重ねが、試合全体を通して際立っていた。

 これは技術云々以前に、「試合を分かっている選手」の戦い方だと思う。相手の強みを理解した上で、やってはいけない展開に入らない。この安定感は、まさに堀口だからこそだ。

 結果は判定3-0。2者がフルマークをつける内容で、ランキング6位のアルバジを下した。勝利コールでは、久々に“KARATE KID”のニックネームが呼ばれ、会場の空気も一気に高まった。

 試合後、堀口はインタビューでこう語っている。「今日のパフォーマンスは、まあまあかな。OK、次はもっといいパフォーマンスを見せる。もちろんタイトルショップを。いまのチャンピオンは誰だ? ヴェン? ヴァン? 俺はお前と戦いたい」

 U-NEXTのインタビューにも答え、「自分はフィニッシュを狙っていたんですけど、相手がすごくタフで、持ちこたえられたなと」と振り返った。また、試合後の会見では右手の負傷についても明かされた。「たぶん1ラウンドで少し折れているかもしれない。でも打てるし、関係ない。痛みがあっても打つ」それでもゲームプランを変えなかった理由を問われると「変更はないです。打ち続ける」と、と答えた。

 本人は「いいパフォーマンスではなかった」と自己評価したが、観ている側からすれば、あっという間の15分だった。危険な局面を最小限に抑え、相手の武器を封じ、確実に勝ち切る――これ以上なく堀口恭司らしい勝利だ。

 派手なKOではない。だが、レベルの差は確かにあった。この一戦で改めて示されたのは、「崩れない強さ」だ。

 早くベルトを獲ってほしい、という声が上がるのも分かる。ただ、この内容を見て思うのは、焦る必要はないということ。この安定感、この完成度、この冷静さ。遅かれ早かれ、堀口恭司はフライ級の頂点に立つ。そう確信させるには、十分すぎる一戦だった。

記事の全文を表示するにはファイトクラブ会員登録が必要です。
会費は月払999円、年払だと2ヶ月分お得な10,000円です。
すでに会員の方はログインして続きをご覧ください。

ログイン