[週刊ファイト2月5日期間] [ファイトクラブ]公開中
▼視聴数が証明した歴史的成功:UFC324、Paramount時代の完全勝利
photo: Mike Lano+(c)Zuffa LLC/UFC by 野村友梨乃
・数字がすべてを黙らせた:UFC、Paramount初興行の “完全勝利”
・CBSが毎朝取り上げる存在となったUFC:格闘技ファン向けの壁を破壊
・Paramountの拡散力は祝福か呪いか:SNSに晒される常時評価社会
・“初回特需”か否か?UFC324の先に待つ、UFC325という試金石
▼PPV時代の終焉へ:UFC324が告げたParamountとの時代の幕開け
▼UFC324、ベストバウト級激闘:ジャスティン・ゲイジー暫定王座戴冠
数字がすべてを黙らせた:UFC、Paramount初興行の “完全勝利”
パラマウント契約後、初のナンバリングイベントとなったUFC324は、結論から言えば「成功だったか?」という問いに対して、これ以上ないほど明確な答えを突きつけた大会だった。

Paramount+はこれまで数多くの独占ライブイベントを配信してきたが、UFC324はその中でも“最大級”の数字を記録した。初回イベントにして、約500万回のストリーミング視聴、米国およびラテンアメリカで700万世帯以上が視聴。リニア放送、ケーブル、ストリーミングを合算すると、実に約10年ぶりとなるUFCライブイベント最多視聴世帯数を叩き出したという。
同時ストリーミングのピークは593万、メインカード平均視聴者数は約496万。SNS上でもこの夜は完全にUFC一色となり、Xでは世界トレンド1位を6時間連続で記録。メインイベントだけで550万件を超えるソーシャルインタラクションが発生し、Paramount+史上「最もソーシャルな独占番組」となった。
はっきり言って、“歴史的成功”と言っていい数字だ。しかも重要なのは、これがPPVではなく、月額8.99ドルのサブスクリプションモデルで達成されたという点にある。これまでUFCのナンバリングイベントは、ESPN+でPPVという二重ペイウォールに置かれ、視聴データもほとんど公開されてこなかった。そこから一転、誰もが数字を見て「成功だった」と分かる形で結果が示された。この意味は、極めて大きい。
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CBSが毎朝取り上げる存在となったUFC:格闘技ファン向けの壁を破壊
CBSの朝の情報番組『CBS Mornings』では、UFCがParamount+でデビューしたことを「大成功」として、連日かなりの時間を割いて取り上げている。注目すべきなのは、その扱いの“異常さ”だ。これまでMMAという競技を、ほとんど話題にしてこなかった番組が、今や毎朝3時間に及ぶ全国放送の中で、UFCについて語らざるを得ない状況に追い込まれている。


これは単なる「一度のニュース」ではない。特集でもなければ、単発の話題消費でもない。UFCは今、CBSにとって“毎日触れなければならないコンテンツ”になっている。メインホスト陣が、格闘技の専門家でもファンでもないにもかかわらず、UFCの話題を継続的に扱い、試合内容や反響、数字に言及し続けているという事実自体が、このパラマウント契約の持つ波及力を、何より雄弁に物語っている。これは「格闘技が好きな人たちの世界」で完結していたUFCが、完全に外の世界へ踏み出した証拠だ。
つまりUFC324は、もはや「格闘技ファン向けイベント」にとどまらなかった。UFCという存在を、ニュース番組の文脈に乗せ、一般層の生活圏へ一気に押し出した夜だったのである。もちろん、もし試合内容が凡庸なものだったなら、ここまでの扱いにはならなかっただろう。

メインイベントのジャスティン・ゲイジーvs.パディ・ピンブレットは、5ラウンドにわたる消耗戦の末、ゲイジーが暫定王座を獲得。技巧戦でも、安全運転でもない。意地と意地が真正面からぶつかり合う、UFCらしい殴り合いだった。その熱量は、格闘技に馴染みのない視聴者でさえ、画面に引き留めるだけの力を持っていた。
パラマウントにとっても、このメインイベントは象徴的だったはずだ。数字だけでなく、コンテンツとしての説得力を、最初のナンバリング大会で完璧に提示された。これ以上、分かりやすい成功例はない。だからこそ言える。UFC324の成功によって、パラマウントは本気にならざるを得ない。
もはや“様子見”や“試験運用”の段階ではない。UFCは、パラマウントにとって日常的に語り、使い、拡張していくべき中核コンテンツになった。その現実を、毎朝3時間のCBSが、何よりもはっきり示している。