[週刊ファイト4月10日]期間 [ファイトクラブ]公開中
▼引退マッチ&退団&敵対悲喜交々横浜アリーナ直前STARDOM
photo & text by 鈴木太郎
・敗者引退マッチ決定後も変わらぬプロモーション活動
・”たむ3度目の正直”は2度目も起こるのか?
・バラエティ出演も引退マッチの煙幕
・引退ムード払拭した『中野たむvs.安納サオリ』
・”女子同士の顔面蹴り”が出来る強み
・ウナギ古巣参戦に見るクビ因縁解消
・今のスターダムこそ、女子プロレス団体のトップランナー
・渡米前ラスト後楽園白川未奈米国で夢実現へ
・2年連続春の主力離脱も前年と異なる空気感
・スターダムで急成長した白川
・『ステップアップ』発言に見る円満関係
・スターダム以前の話題が出なかった理由は『感謝と本心』?
・星来芽依誤爆で鈴季すず激怒NEO GENESIS離脱
・すずだけ浮いていた”肉体改造”
・離脱後の試合で組むタッグパートナーに今後のカギ有
・2025年新人オーディション開催&テレビ朝日密着決定!
・新人躍進支えるミラノコレクションAT
・選手間実力差解消したブシロードスターダム
・結果残す2023年デビュー組のネクストがいる強み
・プロテスト2度不合格でも器用な鉄アキラ&姫ゆりあ
・ブシロード前の新人は今の基準だとデビュー出来ない
・頭数だけではない新人クオリティの高さ
・思い切った『シンデレラトーナメント』抜本改革
・最大手でありながらチャレンジを止めない凄み
■『STARDOM NIGHTER 2025 in KORAKUEN Apr.』
日時:2025年4月2日(水)
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1,458人
2025・4・27横浜アリーナ大会が目前に迫ってきたスターダム。3月の後楽園ホール大会で正式決定した『上谷沙弥vs.中野たむ』の敗者引退マッチは、プロレスファンからの大きい反響や賛否を巻き起こしたものの、「一体どちらの選手が引退するのか?」という答えや気配は、ビッグマッチまで残り1ヶ月を切った今、より一層読めない状況となってきた。
かつて中野たむは、ジュリアに2連敗を喫した状況から【敗者髪切りマッチ】を制して3度目の正直を果たし、ワンダー・オブ・スターダム王座を初戴冠した過去がある。今回の上谷戦は当時の空気感や状況と非常に酷似しているのだが、対戦相手の上谷も、ヒールユニット『H.A.T.E.』の看板選手ながら精力的にスターダムのプロモーション活動に参加していることから、筆者も引退の気配が全く読めないのである。
上谷は2025年2月に出演したフジテレビ系列のバラエティ番組『千鳥の鬼連チャン』において、300m走で優勝争いに最後まで残る奮闘ぶりが一躍注目を集め、スカパーのプロモーションイベントでは元バレーボール選手の川合俊一と共演するなど、スターダムの顔として活動している姿は月末に引退を賭けた闘いが控えているようには思えない。一方の中野たむも、敗者退団マッチによりフリーランスの立場からスターダムに参戦している立場だが、スターダムのカードゲームでは未だに彼女のビジュアルが起用されていることから、事実上のスターダム専属状態と言えよう。
2025・4・5には中野たむの出身地・愛知県で行われるプロレスリングWAVEの興行に急遽参戦が決定し、敗者引退マッチを前にスターダム内の主力選手との対戦が組まれていく展開は、さながら『引退ロード』の空気を予感させる。ただ、そのような雰囲気になることも見越してなのか、引退マッチ直前の2025・4・7に日本テレビ系列で放映予定のバラエティ番組『しゃべくり007』では、引退マッチを行う上谷沙弥と中野たむを同時に出演させるのだという。横浜アリーナのビッグマッチに向けたプロモーションとはいえ、時にはバラエティ番組も利用する形で『敗者引退マッチ』に向けた煙幕を張っていく、岡田太郎体制のスターダムは実に強かだ。
引退ムード払拭した『中野たむvs.安納サオリ』
”中野たむ引退”を暗示する動きも見られる中、今大会のメインイベントを飾った『中野たむvs.安納サオリ』は、そのような引退ムードを一蹴する前向きなエネルギーに溢れていた。COSMIC ANGELSの同門対決にして、元アクトレスガールズ出身と関係性にある両者だが、互いの顔面を容赦なく蹴り合い、張り合う一戦は、敵対する者同士でしか生み出せないドラマが感じられた。
容姿の可愛さや綺麗さ、煌びやかさといった外面が前に打ち出されることの多い現代女子プロレス界において、互いに自分の顔面を蹴らせるよう指示した攻防は異色とも言えよう。そうした闘いに、可愛さや綺麗さに溢れる中野たむや安納サオリが何の迷いも躊躇いもなく身を投じたのだから恐ろしい。こうした試合を見せることが出来る今のスターダムこそ、女子プロレス団体のトップランナーであることに疑いの余地はない。
壮絶な死闘を制した中野たむに対し、安納サオリは「このシングルマッチ決まった時、思い出作り、引退ロード。そんな言葉がSNSで見えた。中野たむ舐めんな!!中野たむは強い、めちゃくちゃ強い! 今日受け止めた私が胸張って言ってやる、たむは強い! たむ、負けんな、勝て!! 世間の声にも負けんな、勝て! みんなたむの事信じてる!」と鼓舞した。
普段クールな彼女が、力強い言葉を感情的に発する姿は筆者から見ても意外だったし、それだけの熱がメインイベントに込められていることの証明でもあった。中野たむも「4・27 勝って、引退なんかしない」と安納サオリに宣言したことで場内には感動ムードも漂っていたのだが、その空気を切り裂くかのように突然現れたのはウナギ・サヤカであった。
2025・1・3東京ガーデンシアター大会で組まれた中野たむとのシングルマッチに敗れたことで”スターダム出禁”となっていたウナギだが、後述するCOSMIC ANGELS時代の同僚・白川未奈のスターダム退団に触発され、「ちゃんとした形でCOSMIC ANGELSを卒業したい」と語ったのだ。
2022年秋に『ギャン期』と称してスターダムを離れたウナギは、他団体に絡む流れから自主興行開催まで話題を振りまいていった。スターダムからは正式なリリースが無かったものの、テレビメディア等でウナギは度々「スターダムをクビになった」と自虐的に語っていたことから、COSMIC ANGELSないしスターダムとの絡みは無いものと思われた。しかし、2024年12月にスターダムマットへ再登場すると、2025年1月に中野たむとのシングルマッチが実現。スポット参戦とはいえ、クビになった古巣との関係が再び開かれたのである。
▼ギャン期絶好調のウナギ・サヤカに迫る! そもそもギャン期って何?