ニコラス・フエンデの旅路は、ジンバブエの中心部から世界のMMAステージへと続く驚異的なものとなっている。現在、BRAVE CFバンタム級王者として君臨するフエンデは、自らの階級を制しただけでなく、BRAVE CFにおけるアフリカ人ファイターの先駆者としての地位を確立した。
ジンバブエ出身でありながら、現在は南アフリカのヨハネスブルグを拠点とするフエンデは、その並外れた闘志とスキルで世界中のファンを魅了してきた。プロキャリア10戦で、4つのフィニッシュ勝利と5つの判定勝利を誇り、『ザ・セイント』の異名にふさわしい適応力と実力を発揮。BRAVE CFでの台頭は、2025年に向けてさらなる脅威となることを示している。
順調なスタートと試練の教訓
フエンデはアフリカのMMAシーンで圧倒的な存在感を放ち、Extreme Fighting Championship(EFC)ではバンタム級王者として次々と挑戦者を退けてきた。しかし、2023年6月19日のBRAVE CF 71で迎えたプロモーションデビュー戦では、ヴェリムラド・アルカソフに判定負けを喫し、キャリア初の敗北を経験。この結果は、彼のキャリアの岐路となる試練であった。
しかし、フエンデはこの敗北を糧に成長を遂げる。6か月後にケージへ戻ると、ムトリブショ・アコビロフを判定で下し、再び勝利への道を歩み始めた。この勝利を皮切りに、2024年5月11日のBRAVE CF 82ではフルシェド・ナザロフに対して圧倒的なパフォーマンスを見せ、ついにタイトル挑戦のチャンスを手にすることとなった。
王者の証明とアフリカMMAの牽引者へ
フエンデのキャリアの転機は、2024年12月13日に開催されたBRAVE International Combat Weekのメインイベント、BRAVE CF 91で訪れた。彼が挑んだのは、同じアフリカ人ファイターであるンコシ・ンデベレとのバンタム級王座決定戦。この試合でフエンデは、打撃、グラップリング、ケージコントロールのすべてで優れた戦術を披露。結果、ユナニマス・デシジョン(判定)で勝利し、BRAVE CF史上2人目のアフリカ人王者に輝いた。この一戦は、アフリカ全土の注目を集める歴史的な瞬間となった。
現在、BRAVE CFで唯一のアフリカ人王者として、フエンデは大陸のファイターたちを牽引するリーダー的存在となった。その成功は、アフリカ出身の選手たちが世界のMMAシーンへ進出するための希望となり、彼の存在自体がアフリカMMAの価値を高める役割を果たしている。
2025年に待ち受ける未来
バンタム級の頂点に立ったフエンデに対して、次なる挑戦者は誰になるのか?新たなライバルが登場するのか、それとも前王者のンデベレがリマッチを要求するのか。いずれにせよ、『ザ・セイント』の適応力、精度、そして圧倒的な努力を考えれば、どんな挑戦者が現れようとも彼は準備ができているだろう。
2025年、フエンデの焦点は王座防衛とBRAVE CFでのレガシーの確立にある。しかし、彼の影響力は個人的な栄光を超えたものだ。彼の戴冠は、アフリカMMAの世界的な台頭を象徴している。フエンデは、この波をさらに押し進める覚悟で、2025年も変わらぬ闘志と情熱を持って戦い続けるだろう。
BRAVE Combat Federationが5月、イタリアで「Road to BRAVE」を開催
BRAVE Combat FederationとPower Nation Fighting Championshipが再び手を組み、「Road to BRAVE」をイタリアで開催することが決定した。大会は5月17日にイタリア・ポルデノーネのAuditorium Theatre Concordiaで行われ、2024年5月に成功を収めたイベントに続く新たな大会となる。
今回の対戦カードには、イタリアのトップ選手たちが世界の強豪と激突する試合が並ぶ。メインカードでは、モルドバのクリスティアン・ブリンザンが、エクアドルのホセ “エル・トロ” イエペスと対戦。また、BRAVE CF経験者であるアンドリアン・ムルグとマイケル・レアリがスーパーウェルター級で激突し、BRAVE CFマッチメーカーに再び強烈なインパクトを残すことを狙う。さらに、ペルーの実力者パーシー・エレーラも新たな挑戦者を求めている。
また、IMMAF(国際総合格闘技連盟)の注目選手アルベルト・マグリスも出場予定で、その他にもエキサイティングな試合が多数組まれている。
イタリア大会、さらなる盛り上がりへ
前回のイタリアでの「Road to BRAVE」は、満員御礼となる大盛況のイベントとなった。今回もさらに熱い戦いが期待されており、より大きな注目が集まることは間違いない。
このイベントは、BRAVE CFがヨーロッパMMAの成長を推進するという取り組みの一環でもある。BRAVE Combat Federationは、現在ヨーロッパで最も多くのイベントを開催しているMMA団体であり、これまでに16か国で大会を実施している。
2024年、BRAVE CFはヨーロッパのMMAイベントの新たな基準を打ち立てた。スロベニアとオランダでそれぞれ2大会を開催、スペインで1大会を実施し、さらにブルガリアとオーストリアでの初開催も成功させるなど、2024年はヨーロッパMMAの歴史に残る年となった。
そして、2025年の幕開けとともに開催される「Road to BRAVE」イタリア大会は、この勢いをさらに加速させる重要なイベントとなるだろう。
BRAVE Combat Federation、無敗のスロベニアスーパースター ヤン・ベールスと契約
BRAVE Combat Federationは、無敗のスロベニアスーパースターヤン・ベールスと契約を締結。これにより、組織のスーパーウェルター級がさらに強力なラインナップとなった。
現在、プロ戦績6勝0敗の完璧な記録を誇るベールスは、そのすべての勝利をフィニッシュで飾っており、3つのノックアウトと3つのサブミッションを成功させている。地域タイトルを獲得した勢いそのままにBRAVE CFへ参戦するベールスは、スーパーウェルター級という理想的な階級で戦うことができる。この階級は、ウェルター級への減量が厳しく、しかしミドル級では小柄すぎる選手のために設立されたものだ。
プロ転向前、ベールスはIMMAF世界選手権にも出場しており、これはBRAVE CFのスカウティングプログラムを通じて発掘された選手たち、例えばムハマド・モカエフやサブリナ・デ・ソウザらと同様のキャリアを歩んでいることを意味する。
スロベニアMMAへの継続的な支援
ベールスの契約は、BRAVE CFがスロベニアMMAの発展に尽力し続けていることの証明でもある。過去4年間、BRAVE CFは**WFC(ワールド・ファイティング・チャンピオンシップ)**と提携し、スロベニアにおけるMMAを国民的スポーツへと押し上げてきた。
これまでにも、モニカ・クチニッチ、ルカ・ポドクラジェク、ミハ・フルリッチ、ドメン・ドゥルノヴシェクといったスロベニアのスター選手たちがBRAVE CFを通じて国際的な認知を得ている。ベールスもまた、このリストに名を連ねることを目指し、スーパーウェルター級でのインパクトを狙う。
2025年、スーパーウェルター級はさらに激化
現在、この階級の王者はブラジルのルイス・カド。元王者であるマルチン・バンデルやカマル・マゴメドフに加え、アフリカのスーパースターエリーゼル・クバンザ、ヨーロッパのベテランアレックス・ロホレ、そしてバーレーンの新鋭ザギド・ガイダロフといった実力者たちがタイトル戦線に名を連ねている。
ベールスの加入により、スーパーウェルター級はさらに熾烈な競争が繰り広げられることが予想される。2025年、この階級がどのような展開を迎えるのか、大きな注目が集まる。
エリーゼル・クバンザ、BRAVE CFスーパーウェルター級王座への挑戦
エリーゼル・”キングコング”・クバンザは、BRAVE Combat Federationの中でも急成長を遂げているスター選手の一人である。プロ戦績は7勝0敗と無敗を誇り、そのうち6試合をフィニッシュで決めるなど、圧倒的な破壊力を持つコンゴ民主共和国のパワーハウスだ。ただの有望選手ではなく、彼はアフリカMMAを世界の舞台に押し上げる旗手となりつつある。
クバンザは2023年6月23日のBRAVE CF 72でデビュー戦を迎えた。初戦の相手はライアン・アトマニ。この試合で「キングコング」は第1ラウンドでの衝撃的なハイキックKOを決め、MMA界を騒然とさせた。この圧倒的な勝利が、彼の快進撃の幕開けとなった。
破壊の軌跡
その6か月後、クバンザはBRAVE CF 79でアデル・イブラヒムと対戦。ここでも持ち前のパワーを発揮し、第1ラウンドのパンチでフィニッシュ。スーパーウェルター級屈指のノックアウトアーティストとしての地位を確立した。
そして2024年、BRAVE CF 85ではサラマト・オロザクノフと対戦。クバンザは完璧なパフォーマンスを披露し、またしても第1ラウンドのパンチでTKO勝利を飾り、トップコンテンダーとしての評価をさらに高めた。
クバンザの最新の試合は2024年12月13日のBRAVE CF 91。対戦相手は、耐久力と経験を誇る強豪ザギド・ガイダロフ。この試合は、クバンザにとってキャリア初のフルラウンド戦となったが、判定3-0のユナニマス・デシジョンで勝利を収めた。これにより、彼は単なるノックアウトアーティストではなく、試合全体をコントロールできる総合力を備えたファイターであることを証明した。
2025年、BRAVE CFの頂点へ
BRAVE CFの**「Year of the BRAVE(勇者の年)」というテーマに呼応する形で、クバンザは元王者マルチン・バンデル**への挑戦を表明。最近のSNS上で、「OG、2025年に拳を交えよう。君とケージを共有できることを光栄に思う」とメッセージを送り、バンデルもこの挑戦に対し前向きな反応を示している。この試合が実現すれば、スーパーウェルター級はさらに盛り上がること間違いない。
無敗のままトップ戦線に躍り出たクバンザにとって、2025年はついに王座を狙う年となるだろう。圧倒的なパワー、精度、カリスマ性を兼ね備えた彼は、BRAVE CFの中でも最も注目すべき選手の一人だ。
アフリカMMAが世界の舞台で台頭する中、クバンザはその象徴的存在になりつつある。BRAVE CFが2025年に向けてさらなる野心的なイベントを展開する中、スーパーウェルター級には新たな王が誕生する可能性が高い。