[週刊ファイト2月6日]期間 [ファイトクラブ]公開中
▼日本プロレスリング連盟が遂に一般社団法人化! ではあるが……
by 安威川敏樹
・遅ればせながら一般社団法人化したUJPW
・記者会見で飛び出した風城ハルの素晴らしい発言
・UJPW法人化に水を差す、木谷高明オーナーの情けない言い訳
・フジテレビを他山の石とせよ
・危機感が全くない最大手プロレス団体の社長
遂に、待ちに待った瞬間がやって来た。1月20日、日本プロレスリング連盟(UJPW)が一般社団法人化したと発表、記者会見が行われたのである。
筆者は本誌において何度もUJPWについて取り上げ、批判も行ってきた。そして皮肉の意味も込めて、去年の鷹の爪大賞にはUJPWを選んだのである。
本誌があまりにもしつこく書くので動いたというわけではないだろうが、とにもかくにもUJPWは任意団体から一歩踏み出したわけだ。複数の団体が集まって法人化されたのは、日本のプロレス界初の快挙である。
▼鷹の爪大賞2024、安威川敏樹編~来年への期待も込めて
記者会見で飛び出した風城ハルの素晴らしい発言
UJPW発足が発表されたのは2023年12月15日。その半年後の2024年7月18日に、UJPWは一般社団法人化に向けて動き出したという記者会見があった。
ところが、それからUJPWについて全くの音沙汰なしとなったのである。筆者にはイヤな予感が走った。このままなし崩しにされて、UJPWは自然消滅するのではないか、と。2006年に発足したグローバル・レスリング連盟(GPWA)も結局は法人化されないまま、シャボン玉のように消えた。
だが今回は、筆者の予想は良い意味で裏切られたのだ。こんなことは珍しい。プロレスについての期待に、大抵は悪い方向で裏切られ続けていたのである。
UJPW発足から1年以上と、あまりにも遅すぎる一般社団法人化ではあるが、ここは素直に喜びたい。このまま何もしないよりも遥かにいいのは当然だ。
なお、UJPWの参加団体は現在のところ以下の10団体。発足時より1団体増えており、もちろん今後も増えていく可能性がある。とはいえ、減る可能性もなくはない。
●新日本プロレス
●全日本プロレス
●プロレスリング・ノア
●DDTプロレスリング
●ガンバレ☆プロレス
●大日本プロレス
●DRAGONGATE
●スターダム
●東京女子プロレス
●九州プロレス
今回の記者会見で、ダントツで素晴らしかったのは東京女子プロレスの風城ハルの発言だった。
「(前略)安全面、医療面、コンプライアンスなどが整っていれば、親御さんがより安心して子供たちを預けられる業界になると思っていますし、その点も日本プロレスリング連盟に期待しているところです」※『(前略)』で省略した発言は有料記事部分に記載
まさしく、我が意を得たりである。弱冠16歳の女子高生にして、これだけしっかりした考えを持ち、しかも公の場でハッキリ発言できるとは頼もしい限りだ。未成年にもかかわらず、最も核心を突いたこの発言、他のベテラン・レスラーたちも見習って欲しいぐらいである。
質疑応答では、安全面や医療面に関する質問が飛び、代表理事の高木三四郎は、
「安全面ですとか、保障面ですとか、そういった部分で具体的に一つずつ、解決していかなきゃいけないなと思っておりますし、各団体ともにそういうガイドラインがあったりすると違うと思いますので、各団体とも連携を取っていきたいと思ってます」
と答えた。また、ドクターに関することも言及し、さすがに高木代表理事もこれらの問題点は把握しているようだ。
ただ、具体的な案があるわけでもないらしく、ハッキリとした解決策は語られなかった。UJPWが発足してから1年以上も経つのだから、大まかでも道筋は付けておくべきだろう。
そして、合同興行に関する質問では、UJPWは非営利団体なので合同興行自体が目的ではないと明言した。このあたりも筆者が主張していることで、合同興行だけの連盟では意味がないと筆者は本誌で常々訴えている。高木代表理事は、そのあたりも判っているらしい。
誤解して欲しくないのは、筆者は合同興行をやるなと言っているわけではないということだ。非営利団体とはいえ資金は必要だし、また合同興行によって各団体の交流が盛んになり、ファンの拡大に繋がるのなら大いにやるべきだろう。ただ、合同興行というのは絆を深めるための手段であって、それ自体が目的になってしまったら本末転倒である。
UJPW法人化に水を差す、木谷高明オーナーの情けない言い訳
せっかくUJPWが一般社団法人化したのに、水を差す人物がいた。言うまでもなく、新日本プロレス及びスターダムのオーナーであり、UJPWの理事に就任した木谷高明氏の発言である。
1月13日、木谷理事はスターダムのレスラーたちを『水着の女性』と表現した。このセクハラ発言に批判が殺到。もし口が滑ったのなら、誠意ある態度で謝罪すれば非難も収まったかも知れないが、木谷理事がとったのは最悪の対応だった。