[ファイトクラブ]オカダAEW里歩輝きWオスプレイKフレッチャー最高試合+ブライアン

[週刊ファイト3月14日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼オカダAEW里歩輝きWオスプレイKフレッチャー最高試合+ブライアン
 (c) AEW 編集部編


■ AEW Dynamite
日時:3月6日(現地時間)
会場:米ジョージア州ダルース ガスサウス・アリーナ

 なんといってもスティング引退のPPV大会『REVOLUTION』の大成功後である。5時間の長時間興行だけは本誌でも叩いてあるが、おかげで腹をすかせた客からの売店売上が会場の新記録に(笑)。また、南部州の開催会場でグッズ販売を含むいわゆる「ゲート収益」が100万ドル突破というのは、テイラー・スイフトとかの例外を除けば極めて異例のことになる。

 もっとも「お疲れ様です」の代償というか、カードが直前まで決まらず、1つにはすでに満身創痍のウィル・オスプレイはドクターの許可が下りるかどうかわからず、GOサインが出てカイル・フレッチャー戦が決まったのは前日だったらしい。
 よって番宣となる上記カード図案にせよ、今回から放送局観点では新シーズンとなり縁取りのカラー配色を変えてきてはいるんだが、まともに決まっていたのは「里歩vs.クリス・スタットランダー」くらいの有様。「WWEは収録当日にバタバタと決まって、さらにビンス・マクマホンの鶴の一声でまた変えられる」と揶揄されてきたが、AEWも同罪になってしまってる。悪口ついでに指摘するなら、「WWEとは違う本物のプロレスを提供します!」前提だったのに、番組数が増えてやることが膨大になってくると、結局は試合の台本も番組の構成も、アングルまでも同じことをやっているのだから、世の中はそういうモンなのか。

 オカダ・カズチカのサプライズ登場が伏せられたことを合わせるなら、ジョージア州のプロレスファンでも、会場に行く必要ありの重要回とは思わないものだ。またお茶の間の視聴者にせよ、本誌は指摘してあるが前週がダメ回だったし、次週のカードも不明となれば、残念ながらライト層は飛ばすから視聴率も落ちてしまう。恐らく、あとから高評価を伝え聞いて、「しまった、見逃した!」と悔しがっているファンは多いだろう。

 番組はWho’s House?とやって、お客さんが“SWERVE’S HOUSE!”と大合唱するストリックランドの登場から。お客さんの支持を得て、間違いなくもうベビーフェースの人気者である。
 あえてWWE番組との違いを誉めるなら、あちらは延々とPLE大会のリキャップをやるんだが、熱心なファンや仕事できっちり見る必要がある専門媒体にとっては、「もうそれは見たから勘弁してくれ」と時間の無駄に感じるもの。Dynamiteはそれはやらないでスマートに、負けたけど大受けしているSwerveとサモア・ジョーのマイク合戦からにしたのは二重丸だ。そしてここから、予想してなかった充実回の幕が開く。NXT『Roadblock』が素晴らしかったので、やはり影響し合っていることは疑う余地がない。

“I hear u” @swerveconfidentより

 もっとも、AEWのダメなところ、日本時間金曜午後3時になっても写真が来ない。せっかくの充実回で長い詳細レポートを予定していたのに、カメラマン記者の場合、画面に集中して早くに見てから、届いた写真を整理しつつ思い出しながらレポートしていく執筆タイプなので、NXT評とボリュームが不公平になってしまうが、悪いのは相変わらず広報が弱いAEWのせいである。

 Swerveの応援感謝のマイクにお客さんが“YOU DESERVE IT!”と声援している。プロレスは全部決まっているだって? アホか、お客さんの反応は真剣勝負であり100%リアルなのだ。ということで急遽、恐らくガチで直前に決まってSwerveとサモア・ジョーがタッグを組んで、ROHタッグ王者のアンディスピューテッド・キングダム(マット・ターバン&マイク・ベネット)との王座戦が決まり、そのままあっさり戴冠に。わっはっは! プロレスは生物なんです。

 さて、試合写真もないのではしょることになるが、2時間目の頭にEVP=Executive Vice Presidentと大書された看板を背に、ニコラス&マシュー・ジャクソン取締役のお出ましである(笑)。
 「2つのアナウンスがある」と始めるんだが、正確には3つかも。
 1つは、ハングマン・ペイジのThe Eliteユニットからの無給扱いでのクビ! 
 本誌が経緯を詳細してきたように、なんらか家庭の事情でそもそもPPV大会にも出れないかもとなって、急遽怪我したアングル仕込んだものの、それは三味線だったとサモア・ジョー、Swerveストリックランドとの三つ巴戦に出ては来たんだが、レフェリー暴行やってから、どっちみ、しばらく消えるんだろう。「無給での・・・」の箇所は、なんらかのリアル応用だとするなら、ルール違反の処罰を想起させ裏になにかあるんだろうが、現時点で詳細はわかっていない。

 2つ目が、ケニー・オメガのThe Eliteからの追放。
 これは、ケニーの憩室炎(けいしつえん)からの回復が遅れていて、いつ復帰になるかわからないため。ストリー上は「追放」にするのが、嫌味な重役兄弟のヒール全開になるんだろうけど、リアルの病気なんだから、なんか違う説明もあったのではないか。
自分たちが業界で嫌われていることを逆手にとったギミックなんだが、先にもう1つ番組外のニュースをお伝えするなら、サミー・ゲバラがまた無期限停止処分を喰らっていたことが発覚。スティングが無敗のまま引退したので、空位の王座を巡ってタッグ・トーナメントとなり、当然ヤングバックスも出場宣言だったのだが・・・。

 クリス・ジェリコと子分のサミー組と考えるのが普通なんだが、なぜかジェリコ親分はHOOKと組むというバックステージのスキットが挿入されていて、「なんでやねん」。調べてみたら、ジェフ・ハーディの鼻を折った件とのことなんだが、まず、「そんなのあったっけ?」だし、試合中なんだから、もしそうならリングサイドのドクターなり、ヘッドセット付けてるレフェリーが試合を止めるべきで、知らないまま続けたサミー・ゲバラを悪者にするのはオカシイのではなかろうか。もっとも、生意気なサミーを舞台裏で殴ったからと、エディ・キングストンも暫く謹慎処分喰らっていた先例を持ち出すまでもなく、サミーがロッカールームで嫌われているのは事実のようだ。それにしても・・・。

 さて、WWEとの熾烈な争奪戦。ジュリアの方は裏が取れていたので本誌は早くから活字にしてあるが、オカダの場合はウルティモ・ドラゴン校長にも「まだ決めてない」だったので、本誌は先走った報道を控えてきた。なにより、AEW寄りの媒体が「AEWだろう」とやり出してからも、こっちはまったく信用してなので、安易に垂れ流し情報に乗ったら恥になってしまう。こっちは故・I編集長の方針継承にして、直系の弟子たちによるジャーナリズム主義に加えて、米国にも独自の通信員を大勢擁していることを売りにしている手前、確認が取れるまで一切言及しないスタンスを貫いていた。AEWがWWE以上の好条件を出したことは伝わってはいたが・・・。

 この日、オカダが出てくることはマジにトップ・シークレットであり、本物のサプライズとなった。ヤングバックスは、ハングマンとケニーを(番組上は)追放にして、オカダをThe Eliteに迎え入れた。つまり、オカダは日本でのデビュー段階と同じく、最初はヒールとして合流したのである。

 これで次回のボストン・ガーデン大会は、元サーシャ・バンクスことメルセデス・モネのデビューと合わせて、大会名通りのとんでもな『BIG BUSINESS』になった。本誌は自前の記者派遣を決めたので、乞うご期待としておく。自他ともに認めるアメプロ報道・世界No.1は死守しなければならない。

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