9・27UFCさいたまスーパーアリーナ“神の子”KID参戦!元UFC王者ジョシュ 元DREAM二階級王者ムサシ “剛腕”ロイの豪華カード

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会見に出席した7選手。左から国本起一、ゲガール・ムサシ、ジョシュ・バーネット、ロイ・ネルソン、ホアン・“ジュカオン”・カルネイロ、山本“KID”徳郁、堀口恭司
 9月27日に、さいたまスーパーアリーナで開催されるUFCジャパン2015。同大会はWOWOWで生放送されるが、そのチケットが7月2日から発売開始、それに合わせて都内のホテルで記者会見が開催された。
 出席したのはUFCエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼UFCアジア代表のケネス・バーガー氏、メインで激突するジョシュ・バーネットとロイ・ネルソン、セミに出場のゲガール・ムサシとホアン・“ジュカオン”・カルネイロら。
 さらに、この日参戦が発表された山本“KID”徳郁、堀口恭司、国本起一ら日本人選手も出席。
 また、スペシャル・ゲストとして千原ジュニアや格闘技好き芸人のFUJIWARA原西、くまだまさし、レイザーラモン、とにかく明るい安田、なかやまきんに君もかけつけ、会見を盛り上げた。

 元HERO’S王者で須藤元気や宇野薫をTKOした“神の子”山本“KID”徳郁は、長年ケガに泣かされ、2012年2月のUFC Japanでヴォーン・リーに一本負けしてから、今年2月のUFC184まで、3年間試合できなかった。一時はあまりの不調に死をも考えたほどだったという。
 しかしUFC184ではローマン・サラザールを相手に試合を優勢に勧め、ひさびさに復調ぶりを見せた。だが、なんと、KIDの指がサラザールの目に入って、サラザールが試合続行不可能となり、無効試合となってしまった。
 サラザール戦はそのような不本意な形で終わったが、KIDはその後も体調が非常にいい、と語った。
「前回(サラザールと)やってみて、3年ぶりだったけど、息も上がらず、フツーにリラックスして戦えた。今回も(堀口)恭司と練習してて、ケガしないで出れれば、フツーに勝てる」
 と自信をのぞかせた。

 KIDの今回の相手はアメリカのマット・ホーバー。レスリングと柔道をベースとし、総合戦績は9勝(4サブミッション、1KO)3敗で、サブミッションが得意な選手だ。UFCでは現在2勝1敗。前回は昨年12月に、元UFCライト級王者アンソニー・ペティスの弟のセルジオ・ペティスに判定負けしている。
 日本のファンの前で、KIDにはキッチリ勝利し、復活劇を見せてほしい。

 KIDの弟子の堀口恭司は前回、4月のUFC186でフライ級王者デメトリアス・ジョンソンに挑戦し、激戦を繰り広げたが、最終ラウンドである5R 4分59秒、試合終了わずか1秒前に腕ひしぎ十字固めをキメられて悔し涙を飲んだ。
だが、
「UFCのベルトは決して手の届かないものでない」
と実感したと語っている。
 今回の日本大会では、まだ対戦相手が決まっていないが、会見で、どんな選手とやりたいか尋ねられ、
「UFCが用意してくれる相手なら誰でもいい。どんな選手とでもやります! 日本の皆さんの前で試合をさせてもらえてうれしい。前回(デメトリアスとのタイトル戦)は負けたので、今回はキッチリ勝ちたい。日本人選手も世界で勝てるんだというのを見せたいです!」
と力強く語った。
そして、
「いつも通りの空手をやって、しっかり勝ちたい」
 とも。
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会見の出番待ちのKID(右端)。ヒゲに帽子ですっかりラテン風? 隣は弟子の堀口、そして国本。

 “元プロのスケートボーダー”という異色の経歴を持つ国本“ストラッサー”起一は、昨年の日本大会では、リチャード・ウオルシュに辛勝。
 前回の試合は今年2月のUFCファイト・ナイトで、TUFシーズン16に出場したール・マグニーと対戦。全米軍隊格闘技大会優勝の経歴を持つマグニーに、3Rに裸締めで一本負けと不覚を取った。
 しかし国本はUFC戦績3勝1敗であり、TUFブラジル準優勝の黒帯柔術家ダニエル・サラフィアンにも一本勝ちしている実力者だから、ぜひ今回は勝ってほしいところだ。
 国本の相手は中国のリー・ジンリャン(李景亮)。「打撃+投げ」の中国格闘技・散打がベースで、レスリング経験もある。総合戦績は10勝(4サブミッション、3KO)3敗のオールラウンダーだ。

「最近、拠点を地元の大阪から東京に移しました」
 と国本は言う。
「慧舟会やALLIANCE(“世界のTK”髙阪剛が率いるジムで、UFCライト級の菊野克紀も所属)、TRIBE TOKYO(アンデウソン・シウバを破った長南亮が主宰するジム)、HIDE’S KICK、格闘クリニック、HALEO代官山などで練習させていただきます」
 特に強化したいのは、
「レスリングですね。やはりUFCで勝っていくためにはレスリング力を上げないと。自分はしばらく膝を痛めていてあまりレスリングの練習ができなかったのですが、ようやくそれも治ってきたので、これからレスリング力を強化します!」
 自分の課題をしっかり認識し、格闘技のために東京に引っ越しまでして、すべてをかけて臨む。その意気やよし。
今年の日本大会でもぜひ、いい結果を出してほしい。

「俺はプロレスラー。いつなんどき誰とでも戦う。絶対日本のファンを楽しませるぜ!」(ジョシュ)

 メインのジョシュは元UFCヘビー級王者で、PRIDEでも活躍し、ミルコ・クロコップや“柔術マジシャン”アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラらと数多くの激闘を繰り広げた。
 ジョシュは有名なアニメおたくであり、『北斗の拳』を愛し“青い目のケンシロウ”の異名を持つ。PRIDE時代には『北斗の拳』の主題歌『愛をとりもどせ!!』で入場して会場を沸かせた。PRIDE消滅後は、アフリクションやストライクフォースなどアメリカの総合格闘団体を中心に活躍し、現在は古巣のUFCに舞い戻って2勝1敗。ノゲイラを2度破ったフランク・ミア(彼も元UFCヘビー級王者だ)に1R KO勝ちし、ジョシュはいま、ヘビー級のランキング6位である。
 だが、現役UFCファイターとしては異例なことに、プロレスのIGFのマットにも上がっているし、グラップリング大会メタモリスにも出場して強豪を破っている。

 対するロイはTUF10のヘビー級トーナメント優勝者。ノゲイラとミルコをKOした剛腕の持ち主であるばかりでなく、ヘンゾ・グレイシーから柔術黒帯を授けられており、寝ワザでも実力者だ。
TUFシーズン10で優勝したが、このトーナメントでは“世界一有名なケンカ屋”キンボ・スライスを、グラウンドでマット・ヒューズ・ポジション(*)でタコ殴りにしてTKO勝利している。昨年の日本大会でもメインに登場し、元K-1王者のマーク・ハントと壮絶な殴り合いをして見せた。「UFCでの勝利すべてがKO勝ち」という選手なので、今年のUFCジャパンのメインも昨年同様、面白い試合になることは間違いない。
(*相手の片手を自分の片腕で、相手のもう一方の手を足で抑え込んで、余った手で殴りまくる。“はりつけポジション”とも呼ばれる。)
 
ジョシュは会見で登壇すると、
「オヒサシブリ!」
 と日本語であいさつし、調子を尋ねられると、
「元気、イツモ元気! イツモ練習!」
さらに日本語を連ねる。
 さすがにずっと日本語で話し続けるのは難しいので途中から英語に変わったが、前回の試合(2013年12月のトラビス・ブラウン戦。組みついた瞬間にヒジ打ちを叩き込まれ、わずか1分でKO負けという屈辱の敗戦だった)からブランクがあることについて尋ねられると、
「ダイジョーブ! この数ヵ月はRoad to UFC Japanの日本人選手たちと一緒に練習してきた。それに俺はプロレスラーだから、いつなんどき、誰とでも戦えるんだ!」
と気を吐いた。

 セミのゲガール・ムサシはイラン出身のアルメニア人で幼いころオランダに家族と移民し、そこで格闘技と出会った選手。日本のDREAMで活躍し、DREAMのミドル級とライトヘビー級の二階級を制覇した。そして、アメリカでUFCに次ぐトップ団体だったストライクフォースでもライトヘビー級王者になっている。現在UFCで2連勝中であり、今年1月のUFC on Foxでは、元PRIDE二階級王者ダン・ヘンダーソン(“皇帝”ヒョードルとヴァンダレイ・シウバをKOした男)を、わずか70秒でKOして大会ベスト・パフォーマンス賞と賞金5万ドル(約600万円)を、ファイトマネーと別にゲットしている。
「相手のホアン・カルネイロはとても経験豊富だし、前回のマーク・ムニョス戦(1R1分40秒、裸締めで一本勝ち)でもうまく戦った。パンチからの仕掛けもうまいし、タフな試合になるだろう。だが、僕も十分準備しているから、面白い試合になるよ。キッチリと完全決着勝利したい」
 と自信を見せた。

(*ジョシュとムサシは、会見後に稲垣收記者が個別インタビューも取っているので、週刊マット界舞台裏をぜひお読みください!)

 ムサシの相手、カルネイロは元ブラジリアン・トップ・チーム所属で、ノゲイラのチームメートだった。(現在はアメリカン・トップ・チーム。)
 ノゲイラがPRIDEで披露したスピニング・チョーク(アナコンダ・チョークとも呼ばれる)を考案した選手で、柔術黒帯。“組み技世界選手権”アブダビ・コンバット大会のブラジル代表にもなった寝ワザ師だ。

「俺のベースはもちろん柔術だが、前回の試合では立ち技もかなり向上したのを見せることができたと思う。寝技に持ち込めれば最高だが、スタンドでも十分戦えるよ」
 と自分の総合格闘家としての進化ぶりをアピール。
「さいたまスーパーアリーナで戦うことは昔からの夢だった。全力で戦うからぜひ応援してほしい」
 と語った。現在6連勝で勢いに乗っている。
 元DREAM二階級王者のムサシ、そしてかつてはDEEPで長南亮に敗れたコルネイロだが、どちらも日本で戦っていた時よりも進化が著しい。セミファイナルも、非常に楽しみだ。

UFCの爆発的人気を生んだTUF、その“日本版”とは?

 ところで、ロイ・ネルソンがかつて優勝したTUFというのは、UFCの登竜門番組ジ・アルティメット・ファイターの略称だ。2005年にシーズン1がケーブルテレビ「スパイクTV」で放送され、これが爆発的人気を呼んで、それまで何十億円もの赤字を出していたUFC本体も一気にメジャーになった。TUFをきっかけにして、UFCは世界一の格闘技団体に成長したのである。

 TUFは現在までにシーズン21(1シーズンが10話~13話)までが放送された長寿リアリティー番組で、現在アメリカではシーズン21までがアメリカで放送されている。TUFはまた、ブラジルやカナダ、オーストラリア、中国でも、現地の選手を集めて各国版が制作され、メキシコを舞台に南米の選手を集めて「TUFラテン・アメリカ」も制作された。そして今回ついに“日本版TUF”というべき「Road to UFC Japan」が制作されたのだ。
 この番組は8人の日本人選手を集めて行われるが、アメリカ版と違ってずっと合宿生活をしたりはせず、選手の地元のジムでの練習に密着し、選手の普段の生活や練習ぶりを掘り下げていくというスタイルだ。
 出場者は廣田瑞人、西浦”ウィッキー”聡生、上迫博仁、石原夜叉坊、大尊伸光、長倉立尚、安藤達也、DJ.taiki。
 廣田はすでにUFC参戦経験があるが、リリースされている。これを機に、再起に期待したい。

 Road to UFC Japanは7月6日から毎週月曜深夜1時~1時30分にテレビ東京で放送。また、同じ週の土曜日にBSジャパンで深夜12:00~12:30)放送される。

レイザーラモンHGら会見の応援に駆けつけた“格闘技大好き芸人”軍団
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 会見の応援に駆けつけた“格闘技大好き芸人”軍団が、ジョシュ・チームとロイ・チームに分かれ、「芸で相手チームのリーダーを笑わせたら勝ち」というルールで対戦。
 ジョシュ・チームのレーザー・ラモンがロイの前で怪しく腰を振ると、なんとロイも腰を振って対抗! しかも終始真顔!
 結局、ジョシュもロイも敵チームの芸人たちの捨て身の攻撃に対して一切笑うことなく、結果はドローとなった。

 これには千原ジュニアも
「いやあ、やはり勝負の世界でずっと生きてきたお二人だから、“勝ち負け”がかかると物凄い真剣ですね~!」
と舌を巻いた。

 しかしジョシュは「ホントは何度も吹き出しそうになったけど、こらえてたんだよ」と告白。

写真・文 稲垣收

※レポートの詳細、拡大電子書籍版はマット界舞台裏7月9日号新日顧客情報流出ジョシュ&ムサシUFCジャパン佐野魂&巌流島両国に掲載されました。

■ UFCジャパン2015
日時:9月27日(日)開場・8:00 プレリミナリーカード開始・9:00(予定) メインカード開始・11:00
会場:さいたまスーパーアリーナ
チケット料金;VIP席 ¥100,000、RS席 ¥24,000、S席 ¥9,800、A席 ¥4,800 (400レベル自由席)
※4歳以上のお子様はチケットが必要になります。
※3歳以下のお子様は、保護者様1名につき1名まで保護者様の膝上での観戦に限りチケットは必要ございません。
チケット販売所
チケットぴあ 0570-02-9999 http://t.pia.jp/ (Pコード:829-708)
ローソンチケット 0570-084-003 http://l-tike.com/ (Lコード:30000)
イープラス http://eplus.jp/ufc/
ticket board http://tickebo.jp/
キョードー東京 0570-550-799 (オペレータ受付時間 平日11時~18時 土日祝10時~18時)
お問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799  http://jp.ufc.com

【対戦カード】

<メインイベント ヘビー級 5分5R>
ジョシュ・バーネット(6位)
vs.
ロイ・ネルソン(11位)

<ミドル級 5分3R>
ゲガール・ムサシ(7位)
vs.
ホアン・ジュカオン・カルネイロ(15位)

<バンタム級 5分3R>
山本“KID”徳郁(KRAZY BEE)
vs.
マット・ホーバー(米国)

<ウェルター級 5分3R>
ストラッサー起一 [国本起一](総合格闘技道場コブラ会)
vs.
リー・ジンリャン [Li Jingliang](中国)

出場予定選手:堀口恭司(KRAZY BEE/フライ級8位)

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