[ファイトクラブ]義足の戦士〝凄いヤツ〟谷津嘉章大阪登場&思い出の五輪コンビ

[週刊ファイト12月28日-新春号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼義足の戦士〝凄いヤツ〟谷津嘉章大阪登場&思い出の五輪コンビ
 photo & text by 西尾智幸
・大阪の闘宝伝承32に登場、船木誠勝と夢タッグ
・改めて義足のレスラー谷津嘉章とは?
・凄いヤツが帰ってきた! 格闘技選手の中でも個性発揮
・名勝負プレイバック/88年大阪・五輪コンビvs.龍原砲
・日本障がい者レスリング連盟を発足全日本社会人選手権に出場


義足の戦士〝凄いヤツ〟谷津嘉章大阪登場&思い出の五輪コンビ

 大阪には、闘宝伝承(たまに伝笑)という大会がある。2011年9月に第1回が伊丹で開催され、タッグながらグレート・カブキvs.グラン浜田という珍しいカードも実現した。
 以降も内容はバラエティーで、通常のプロレスに加え、西口やSUGAMOのお笑い、グラップリング、女子、キャットファイトなど各大会によりテイストも違い、かなりバラエティー色が濃い。また、初代タイガーマスクSSPWの関西興行も闘宝伝承枠である。
 そして、急きょ師走に開催された第32回目の目玉は、あの「凄いヤツ」が登場!

 改めて谷津を紹介すると、1976年モントリオールオリンピックに出場し、1980年のモスクワではメダル確実と言われながら日本がボイコットしたため幻に。そして鳴り物入りで1980年新日本に入団。海外でのデビュー戦は快勝したものの、日本デビュー戦は師匠のアントニオ猪木と組み、スタン・ハンセン&アブドーラ・ザ・ブッチャーが相手という最大級の舞台ではあったが、エリートの華々しいデビュー! とはならず、公開処刑のような悲惨な試合に・・・。
 その後、1984年に長州力率いる維新軍(ジャパンプロレス)として全日本に戦場を変える。

 結局、長州らは新日本に戻るが、谷津は全日本に残りジャンボ鶴田との五輪コンビで活躍する。筆者も、デビュー戦から観ているが、どちらかというと新日時代より全日時代のほうが長いし印象は強い。
 1990年以降は、SWS移籍、SPWF設立、PRIDE参戦など色々あったが、2010年11月に引退。
 そして、2015年に復帰するも、2019年6月に糖尿病で右足が壊死し膝下から切断。もうプロレスはおろか、日常生活にも支障をきたすことに。
 しかし、プロレス復帰への気持ちは強く、最後に参戦していたDDTの高木社長に相談し、試行錯誤の上、プロレスが出来る義足を作成。2020年6月にDDTのバトルロイヤルで再復帰を果たす。そして、今回の大阪大会に至った。

闘宝伝承32/凄いヤツが帰ってきた! 格闘技選手の中でも個性発揮

■ 闘宝伝承32 ~凄いヤツがやってくる~
日時:12月17日(日) 17:30開始
場所:大阪・世界館

《タッグマッチ60分1本勝負》
○船木誠勝
谷津嘉章
 16分08秒 リアネイキッドチョーク
菊田早苗
●KEI山宮


 さて、筆者も谷津選手の試合を生で観るのは30年数年ぶりだ。義足でのプロレス、しかも御年67歳。果たして、どれくらい頑張れるのか? しかもよりによって、他のメンバーは総合でバリバリやっていた選手。まあ谷津もPRIDEには出ているが、いつものプロレスとはリズムも違いそうだ。試合前、道頓堀プロの空牙から花束の贈呈。実は、空牙のデビュー戦はSPWFであり、谷津とは浅からぬ関係なのだ。試合前から気合満々の谷津。いきなり、つっかかろうとするが船木が制止。
 スタートは、船木と菊田でスタート。この2人は初対決で今大会の見どころのひとつでもある。船木の付き人経験もある山宮を含め完全に総合スタイルで打撃、関節のオンパレード。

 アブダビで菊田が世界一になった際、谷津は菊田に同行して多くの助言を与えた関係でもある。

 結局、ロープワークは一度もない中で、谷津はワンダースープレックスこそ出なかったが、監獄固め、ブルドッキングヘッドロックも繰り出した。最後は、船木がチョーク気味のスリーパーで山宮を仕留めた。試合後は、ノーサイドでお互いの健闘を称え合った。


 谷津の試合の他にも今回は、池本誠知、水野翔、伊藤崇文らの総合系選手が多く、またSSPWのタイガークイーンとジャガー横田の師弟対決は今月7日にタッグで行われた。直接クイーンがフォールを取られ悔しい思いをしており、どう出直してくるのかの注目もあった。また地元の道頓堀プロ、ランズエンド等からも多く参加。超満員札止めとなり活気のある大会となった。

谷津思い出の名勝負プレイバック/88年大阪・五輪コンビvs.龍原砲

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