[ファイトクラブ]離れ小島の【夢☆勝ちます】10周年HEAT-UP後楽園TAMURA-小島聡

 団体にとって初の年間2度目の開催となった、HEAT-UP後楽園ホール大会。カード構成が強いと言えない今大会にあって、『TAMURA vs.小島聡』が組まれた意義は非常に大きかったように思う。業界最大手の新日本プロレスに【プロレス界の離れ小島】が挑んだ構図は、まさしく令和の隠れた『夢☆勝ちます』だった。HEAT-UPにとって節目になりそうな雰囲気も感じられた、後楽園ビッグマッチを特集していく。


[週刊ファイト8月24-31日合併号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼離れ小島の【夢☆勝ちます】10周年HEAT-UP後楽園TAMURA-小島聡
 photo & text by 鈴木太郎
・メイン以外ソツなく弱い構成も改善した動員
・「プロレスファンを呼び込めたのか」という課題
・「逆の山から新日を超える」決意と節目の大会
・未来灯す激勝キャリア計3年3ヶ月秦野友貴&佐藤大地タッグ王座戴冠
・5月と異なっていた挑戦者の負けない風格
・『男子三日会わざれば刮目して見よ』体現した若手
・1年3ヶ月振りに託されたHEAT-UPの未来や如何に
・HEAT-UP交流戦BJW今井礼夢ウラカン・ラナ先輩・森廣祐基超え果す
・対抗戦というよりも交流戦の現実
・本格開戦には足りない、熱量と当たりの強さ
・道場講師ホワイト森山バトル制しシングル王者TAMURAに挑戦決定!
・豪華な反面勿体なさを感じたカード
・担保された激しい男女マッチアップ
・SHINGO所属ラストマッチも光る「長井満也&高岩竜一」の反則級強さ
・主役のお株奪う強いベテラン勢
・最後まで勝ち筋見出せぬWシンゴ
・岩本煌史1年8ヶ月振り聖地帰還!同期・石田慎也とタッグ王座獲りへ
・長期休業中のブランクを感じさせぬ岩本の身体
・【通行手形】獲得=岩本本格参戦?
・憧れ超える『TAMURA-小島聡』 ラリアットで貫録勝利も関節技付き合う
・離れ小島に業界最大手上陸!
・TAMURAの土俵に付き合う小島の献身
・離れ小島の【夢☆勝ちます】


■HEAT-UP 『HEAT-UP旗揚げ10周年&TAMURAデビュー20周年ツアー~太陽と離れ小島とヒートアップ農園~』
■日時:2023年8月16日(水) 18:30開始
■会場:東京・後楽園ホール
■観衆:513人

 HEAT-UP10周年と、代表を務めるTAMURAのデビュー20周年を迎える2023年。
 HEAT-UPにとって初となる年間2度目の後楽園ホール大会は、お盆休み期間中という事もあってか、観衆513人と健闘を見せた。会場キャパシティ約1,600人という点を踏まえると動員は少ない部類だが、団体の規模と知名度を考慮すれば大健闘といっても良いだろう。今年1月の後楽園ホール大会に比べても、明らかに観衆は増えた。

 とはいえ、この日の目玉と言える試合は『TAMURA vs小島聡』のシングルマッチのみ。良くも悪くも、後楽園ホールビッグマッチとしては全体的にカードの弱い構成ではあった。ソツなく纏めてきたものの、見ていて刺さるシーンが多かったわけでもない。
 岩本煌史の約1年8ヶ月振りとなる後楽園ホールでの試合も、タッグ王座戦のストーリーも、告知力の弱さ故か周囲に伝わりきらなかった印象はあるのが勿体ないところではあった。それでも、普段はセミファイナルかメインイベントで組まれるタッグ王座戦を、今大会ではオープニングに起用した判断は大当たりで、興行の盛り上がりを一気に高めていた。

 また、当日の会場の雰囲気からして、「プロレスファンを呼び込めたのか」、「プロレス界隈に響いているのか」という団体の課題のような点も感じてしまった。
 メインで小島聡が参戦した際には、新日名物の赤い応援団は不在で、客席からのコールも自発的。近年、全日本プロレスで永田裕志が参戦した時に、永田ファンが生み出した圧倒的歓声が起きなかった事や、試合後の小島のマイクでも、普段なら自然発生しそうな小島コールが起こらなかった事で、コールを起こすのに慣れたプロレスファンの不在を実感してしまったのである。小島参戦で観戦を決めたファンはいただろうが、全体に波及しきれなかったところは、団体を指す『離れ小島』というフレーズを象徴していたのではないだろうか?

 それでも、メイン後にTAMURAが語った発言は力強さを放つ。

「僕は本気で新日を超えたいと思っています。だから、新日がやっていない障がい者支援をやったり、道場生発表会をやったりとかして、新日とは逆の山を登っています。」

 団体規模は小さいながらも、自前の道場を一般向けに解放しながら運営したり、ビッグマッチでは道場生によるプロレス発表会の場を設けたり、障がい者支援に力を入れたり、唯一無二の独自路線を歩んできた中で、「逆の山から新日を超える」と述べたTAMURAのマイクは、今後の団体の指針を明確に位置付けるものになった。
 エース格であった兼平大介の長期欠場、今大会を最後にSHINGOが退団、コロナ禍以降にデビューした若手選手のタッグ王座戴冠と、団体にとって一つの節目になりそうな大会だからこそ、この決意表明は改めて意義深いものになったのではないだろうか?

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未来灯す激勝キャリア計3年3ヶ月秦野友貴&佐藤大地タッグ王座戴冠

<第1試合 ストレッチ店up presents HEAT-UPユニバーサルタッグ選手権試合 60分1本勝負>
【王者組】●定アキラ 伊東優作
(14分5秒 ダイビングボディプレス⇒片エビ固め)
【挑戦者】○佐藤大地 秦野友貴
※第7代王者 定&伊東組は7度目の防衛に失敗。佐藤大地&秦野友貴組が新王者となる。

 HEAT-UPユニバーサルタッグ王座戦。2023年5月に新百合ヶ丘大会でも組まれていた同一カードではあるが、今回は挑戦者決定トーナメントを勝ち抜いての再挑戦という事もあり、約1年3ヶ月にわたり不動となっているタッグ王座移動の機運は高まっていたように思う。若手2人はコテンパンにやられた5月とは違い、負ける雰囲気が感じられなかった。まさに『男子三日会わざれば刮目して見よ』である。

 試合の終盤を任されたのは、中学三年生の佐藤大地だった。定アキラを相手に臆することなく攻めていく姿からは、以前までのような弱さや脆さは皆無だった。
 HEAT-UPでは、中学生以下の選手への首から上の攻撃を禁じた【ヒートアップJr.ルール】が設けられているが、このハンディキャップが勝敗を左右したとは思えないほど、佐藤大地の馬力が定を圧倒していたのである。2021年9月デビューの佐藤大地、2022年4月デビューの秦野友貴という若いタッグ王者の誕生に、敗れた定はHEAT-UPの未来を2人に託したのであった。

HEAT-UP交流戦BJW今井礼夢ウラカン・ラナ先輩・森廣祐基超え果す

<第2試合 本格炭火もも焼き@本格焼酎いっちゃが presents 灼熱魂vs大日本魂~kourakuen spirits タッグマッチ 20分1本勝負>
○今井礼夢 ハジメ
(10分3秒 ウラカン・ラナ)
関札皓太 ●森廣祐基

 大日本プロレスとHEAT-UPによる一戦。
 今年に入ってから団体間での交流も増えつつある両陣営ではあるが、この日は対抗戦というよりも、HEAT-UPの若手の階級(Jr.ヘビー)と団体のカラーに合わせるようにして相手を選定している印象を受けた。

 連携面では関札と森廣が上回っていたものの、今井礼夢が一瞬の隙を突く形でキャリアが上の森廣を仕留めた事は、カードの意味合いを踏まえると正直意外な結果に。ただ、対抗戦の本格開戦に至るには熱量と当たりの強さに物足りなさが残ったのも事実。まだまだ両団体の交流は序章に過ぎないと感じられる試合であった。

道場講師ホワイト森山バトル制しシングル王者TAMURAに挑戦決定!

<第3試合 登戸の杜 presents とびだせヒートアップ道場!~僕らのティーチャーバトル~ バトルロイヤル 30分>
○ホワイト森山
(11分22秒 ハイキック⇒片エビ固め)
●笹村あやめ
※《退場順》
①ビリーケン・キッド②ビリーケン・キッド③YAKO④那須晃太郎⑤チェリー⑥渡辺宏志⑦大和ヒロシ⑧SAKI⑨YUJI KITO

 ヒートアップ道場でクラスを担当しているレスラー達を中心にしたバトルロイヤル。ただのバトルロイヤルではなく、最後に残った一人には、現シングル王者・TAMURAへの王座挑戦権が付与される裏テーマも含んでいた。

 参戦選手だけでカードが2~3試合は組めそうな布陣を1試合に投入してきた事には、豪華な反面勿体なさを感じてしまったが、YAKOとYUJI KITOのチョップ合戦、ホワイト森山と笹村あやめのエルボー合戦が男女のマッチアップとは思えぬ激しさを見せつけた事で、試合内容を保証するに至ったのである。
 最後はホワイト森山が躊躇なく笹村の頭部を蹴り倒して勝利。敗れたものの、この日の笹村はビリーケン・キッドからバトルロイヤルで前代未聞の2回連続フォールを奪うなど、随所に存在感を示してみせた。

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