[ファイトクラブ] U、プロレスに勝つGLEAT旗揚げ2周年 フジタ”Jr”ハヤト伊藤貴則制す

 2023・7・1にTOKYO DOME CITY HALLで行われたGLEAT旗揚げ2周年大会。団体最多動員を更新する1,279人が詰めかけた会場で一番会場を沸かせた試合は、『伊藤貴則vs.フジタ”Jr”ハヤト』のLIDET UWF王座戦であった。王座の外敵流出という結果ながら、双方削り合う容赦のなさで会場のボルテージを高めた光景は、現在の主軸であるプロレス部門・【G PROWRESTLING】部門に勝ったと言えるだけの充実度を感じさせてくれた。大会内のトピックやタイトルマッチを中心に、旗揚げ2周年大会を振り返る。


[週刊ファイト7月13日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼U、プロレスに勝つGLEAT旗揚げ2周年 フジタ”Jr”ハヤト伊藤貴則制す
 photo & text by 鈴木太郎
・伊藤の容赦ない攻めとフジタ”Jr”ハヤトの狂気光ったメイン
・「UWFがプロレスに勝った」大会?
・高い支持率のハヤト据えた【LIDET UWF】ブランドの期待感
・飯伏幸太8・4両国国技館GLEAT参戦発表も驚かない理由は生態系?
・DDTにも新日ライバル団体にもないGLEATの納得感
・参戦先の生態系破壊な飯伏と、生え抜き皆無なGLEATの親和性
・両国ビッグマッチに向けた、飯伏幸太という強力なピース
・斉藤ジュン&レイ圧倒も王者組脅す田中稔submission+カズ・ハヤシ組
・大きい者を打ち崩さんとするベテランの妙技
・敗者ユニット解散戦試合前趨勢60seconds覆せずBULK ORCHESTRA
・椎葉おうじ欠場⇒ハンディキャップマッチで察した60seconds解散
・河上隆一の誤爆で埋まらない数的不利とパワーバランス
・G-REX王座T-Hawk渡辺壮馬下しV2 田村ハヤトと元高校球児決戦へ
・チャレンジマッチの様相も奮起した渡辺にT-Hawk大絶賛
・田村ハヤトとの元高校球児決戦は両国メインでも見劣り無し!


■GLEAT 『GLEAT Ver.6』
■日時:2023年7月1日(土) 18:00開始
■会場:東京・TOKYO DOME CITY HALL
■観衆:1,279人

 GLEATの旗揚げ記念日である7・1に行われたTOKYO DOME CITY HALLビッグマッチ。2周年を迎えたGLEATが送る珠玉の全10試合の中で、メインを飾ったのはLIDET UWF王座戦『伊藤貴則vs.フジタ”Jr”ハヤト』だった。
 伊藤にとっては初防衛戦から強敵を迎え撃つ事になったが、試合は双方持ち点5から残り1~2まで減らす壮絶な死闘へと突入。最後はハヤトのKIDが伊藤に極まると、和田良覚レフェリーがゴングを要請。フジタ”Jr”ハヤトが新王者となり、東北Jr.王座と合わせて二冠王者となった。

 創設されたばかりの至宝が外敵に流出するという、ある種のバッドエンディングに終わった今大会だったものの、会場からは不思議と悲愴感は感じられなかった。それは、伊藤が打撃技で容赦なくハヤトを攻めに行った事や、残り1ポイントを奪われれば敗戦が決する状況で笑みを浮かべたハヤトの狂気に心動かされたからであろう。

 「頑張っていれば、5年休んでいてもベルトを獲れる」という試合後のマイクは、観衆の胸に突き刺す程の説得力があった。誤解を恐れず言うならば、ハヤトが現役の癌サバイバーである事実が、試合を見る上で僅かでも同情として観衆に受け止められてしまったなら、この試合は盛り上がらなかっただろう。
 結果として、今大会で一番盛り上がりを見せた試合はメインだったのではないだろうか? 悪くはないが、いささか纏まりすぎている感のあるプロレス部門の試合が続く中、この日のメインには、一つ上に立って壁を破るようなギアチェンジが感じられた。

 2021年の旗揚げ戦当初は、プロレス部門にあたる【G PROWRESTLING】と、UWFルールを採用した【LIDET UWF】の2ブランド体制で始動したGLEATも、2年後の旗揚げ記念大会では7:3の割合で【G PROWRESTLING】が占める状況となっていた。しかし、この日の終盤3試合に固められた【LIDET UWF】の試合は、全体的にプロレス部門に負けない良さを放っていたのである。誤解を恐れずに言うならば、「UWFがプロレスに勝った」大会ではないだろうか?

 この日組まれていた【G PROWRESTLING】の試合でも、【LIDET UWF】と兼任している田中稔や井土徹也が、劣勢を腕ひしぎ十字で引っくり返そうとした瞬間、会場のボルテージは一気に上昇した。体格差や人数の不利はあっても、その一瞬で引っくり返せるという強みが、二人の技には詰まっていたのである。
 この先の【LIDET UWF】ブランドを盛り上げる事を決意したハヤトの言葉は、外敵とは思えぬ程に真っ直ぐで、会場の暖かい空気感から、GLEATERS(※GLEATファンの総称)のハートを鷲掴みにした事がハッキリ伝わってきた。強力な外部参戦組もひしめき合う【LIDET UWF】ブランドだが、初代王座決定トーナメントで株を上げた伊藤から、支持率の高いハヤトを中枢に据えた事で、よりブランドの強化が図られるのではないだろうか?

▼永田裕志がUWFマッチでナガタロックⅡ勝利 レスリングで伊藤貴則を圧倒 GLEAT

永田裕志がUWFマッチでナガタロックⅡ勝利 レスリングで伊藤貴則を圧倒 GLEAT

▼旗揚げ2年目GLEATキーマン伊藤貴則?”LIDET UWF”再興へ追い風

[ファイトクラブ]旗揚げ2年目GLEATキーマン伊藤貴則?”LIDET UWF”再興へ追い風

▼今更だけどGLEATをおさらいしつつ皆様に興味を持って頂きたい

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飯伏幸太8・4両国国技館GLEAT参戦発表も驚かない理由は生態系?

 メインイベントで王座戴冠を果たしたフジタ”Jr”ハヤトと、多幸感に包まれた会場。
 しかし、そこから更なる衝撃リリースが待っていた。8・4両国国技館大会の第1弾情報として、クワイエット・ストームの25周年記念試合開催、新日本プロレスの高橋ヒロム、全日本プロレスの青柳亮生、鈴木みのる、船木誠勝らの参戦発表が並ぶ中、一際会場の歓声を大きいものにしたのが、飯伏幸太参戦発表であった。

 2023年2月、契約満了により新日本プロレスを退団した飯伏は、同年3月末のGCW参戦で2021・10・21以来となる復帰を果たし、スポーツ紙のインタビューでは【プロレス専門学校】の設立案もブチ上げていたものの、以来目立った音沙汰は無かった。飯伏の次回参戦先がどこになるか噂も囁かれる中、選ばれたのは古巣のDDTプロレスリングでも、新日のライバルにあたる老舗団体でもなく、旗揚げ2年を迎えたGLEATのリングだった。しかし、この発表を聞いた時に、今の飯伏にとっての新日や海外マット以外での参戦先としては、GLEATが一番適しているのではないかと筆者は感じたのである。

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