[ファイトクラブ]女子プロNo.1証明したSTARDOMビッグマッチ横浜アリ観衆5,539人

 2023・4・23、スターダムの横浜アリーナビッグマッチは、約20年振りとなる同会場での女子プロレス興行となった。
 団体の今ある勢いを存分に感じさせてくれた大会は、決して安いとは言えない料金設定でも5,000人超えの集客を達成している。
 語りたい内容は数多く見られたが、中でも筆者にとって印象的だった3点について、本記事では述べていく。

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▼女子プロ横アリ 中野たむジュリア 岩谷麻優Mモネ 白川未奈上谷沙弥

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▼フワちゃん考他+横浜アリ第1試合陰に長与千種、再デビュー星来芽依

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’23年05月04日号スターダム横アリ特集 NXT春祭 新日本キック 宮原華音 Clapton武道館


[週刊ファイト5月4日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼女子プロNo.1証明したSTARDOMビッグマッチ横浜アリ観衆5,539人
 photo & text by 鈴木太郎
・最安値7,000円で人詰めかけるスターダムの魅力
・【物販より試合特化】のブランディングが大成功
・試合内容の高まりと共に増えつつある非女子プロレスファン
・スリーダム時代から大きく飛躍した団体総合力
・デビュー2戦目にして若手のライバル・フワちゃん
・人気高い天咲光由を圧倒!フワちゃんの華と実力
・企画モノから誕生したフワちゃんという名の脅威
・大会場で露呈した若手のアピール不足と懸念
・強敵撃破も拍手まばらな新タッグ王者チーム
・シンデレラ&若手王者の寂しいリングアウト狙い
・勝敗読めぬ激闘ジュリア-中野たむ
・序盤で火吹いたジュリアの”ノーザンライト”がカギ
・肉体通じてぶつけ合う怒りと憎しみ
・王座陥落も格上げたジュリアの希少性
・外様出自や大会場も跳ね退けた鉄板カード


■スターダム 『ALLSTAR GRAND QUEENDOM 2023 Powered by ソフトバンク NFT LAB』
■日時:2023年4月23日(日) 16:00開始
■会場:神奈川・横浜アリーナ
■観衆:5,539人

 横浜アリーナでは20年振りとなる女子プロレスのビッグマッチが、スターダム主催で行われた。

 ダークマッチ2試合を含む計11試合、約5時間越えのボリュームとなった今大会では、団体が管轄している王座のうち、ハイスピード王座、フューチャー・オブ・スターダム王座を除く主要5大王座戦が実現。
 結果として5大王座が全て移動し、今大会で組まれなかったハイスピード王座戦線も、王者・AZMが今大会で久方ぶりに復帰した星来芽依にタッグマッチで敗れるなど、波乱含みの展開となった。

 今大会は1席空けの仕様とはいえ、チケットの最安値7,000円は、同会場で行われたグレート・ムタファイナルの5,000円、新日本プロレスvs.プロレスリング・ノアによる対抗戦の6,000円を上回る高めな値段設定だった。
 正直、強気にも取れる値段設定ではあったものの、結果として会場に詰めかけた5,539人という数字からは、今のスターダムに対する人気・興味・関心の高さが窺い知れるのではないだろうか?

女子プロレスの定石捨てて試合特化したスターダムの成功

 スターダムの強みは、男性が見てもカッコいいと思える試合が見られる点だろう。
 今の女子プロレスにおける定番を排し、試合に特化した事で、【女子プロレスであって女子プロレスではない】唯一無二の世界観を作り上げているからだ。

 今の女子プロレス界全体に言えることなのだが、試合だけでなく売店やポートレート販売を通じた選手との交流も重要な要素を占めるようになり、試合そのものの満足度とリング外の交流がトータルで評価されつつある。
 誤解を恐れず言うならば、人に見せられる試合内容でなくとも、物販の評価でプラスに持って行くタイプの選手も少なくない。

 その一方で、選手物販に行かない・興味が無い層にとって、選手の評価基準はあくまでも試合であり、物販でカバーすることは考慮されない。
 いつからか、スターダムは物販に選手が直接立つ機会が無くなり、サイン会も不定期で行われるイベント内に限られるようになった。
(とはいえ、サイン会は入場料17,000円という高額料金なのだが・・・)

 今の女子プロレスの定石であり収入源ともいえる選手物販を削った事は、中々に勇気のある決断だ。
 選手が本分であるプロレスに集中できる環境を整え、【選手の価値を向上させる】ブランディングであったことが、最近某インタビューで(株)ブシロードファイト・原田克彦社長により明かされたが、この取り組みは成功だったと言えるだろう。
 試合内容を高めた事で、既存の女子プロレスファンだけでなく、男子団体を見ているファンを取り込みつつある点は評価に値する。実際、筆者の周囲においても、ここ数年でスターダムを観戦するようになったファンは少なくない。

 女子プロレスにありがちな試合中の独自ムーヴ(観客席に向けてポーズを取るetc)も一切行わないことで、ある種のクサいお約束が少ない分、女子を見ていないファンにとっても見やすい・勧めやすい環境が出来上がっているのだ。
 こういう試合内容を高めている団体は、センダイガールズプロレスリングやワールド女子プロレス・ディアナなど、意外と限られている印象も受ける。

 大手資本を強みにしている点や、選手の移籍加入が多い事もあり、批判的意見も多いスターダムではあるが、2015~2016年頃の、紫雷イオ(現:イヨ・スカイ)、宝城カイリ(現:KAIRI)、岩谷麻優の通称・スリーダムで、団体管轄の全ベルトを巻かせていた時期からは想像もつかないほど、選手個々の能力が上がっている。
 『AZM vs.スターライト・キッド』のように、生え抜きの若手選手がベストバウト級の試合内容を見せる事も増えてきた。
 「他所から獲ってきている」と揶揄される傾向にもあるスターダムだが、移籍組だけで試合のクオリティを担保していない層の厚さは、他の追随を許していない。

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デビュー2戦目にして若手のライバル・フワちゃん刮目せよ

 第2試合では、フワちゃんのプロレスデビュー2戦目が実現。

 PPVに入らないダークマッチ扱いで、テレビ放映も1週間後だったデビュー戦に対して、デビュー2戦目は本戦の2試合目。しかも、当日夜にテレビ番組内で撮って出し放映されるという破格の扱いだ。
 近年の地上波では、テレビ朝日が新日本プロレスのイッテンヨンを当日深夜に録画放映した実績があるものの、プライムタイム(19:00~23:00)に放映されるのは異例中の異例だろう。
 その意気に応えるかのように、フワちゃんの試合内容は素晴らしいものであった。

 デビュー2戦目となると、見られる基準点や評価のハードルは多少なりとも上がるものだ。
 ベールに包まれていたデビュー戦に比べて驚きや感動は少なかったものの、それは「フワちゃんなら出来る」領域や基準点が高くなった事の証ではないだろうか?

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