2023・3・1に行われる『ジュニア夢の祭典』。
チケットは発売後に即完売。毎日発表される出場選手に沸き立つ祭典を前に、大日本プロレスでは、Jrの威信をかけた『関札皓太vs.阿部史典』の一戦が行われた。
約半月後に行われる祭典を前に放たれた嚆矢は、大日ジュニアの凄みを存分にアピールする、ベストバウト級の一戦となったのである。
[週刊ファイト2月23日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼大日本プロレス『ジュニア夢の祭典』へ轟かせた『関札vs.阿部』の衝撃
photo & text by 鈴木太郎
・大日Jrの大黒柱vs.インディー界のトップ
・『ジュニア夢の祭典』に向けて轟く激闘
・「選ばれなかったら嘘になる」という本心
・流れを一変させた”掟破り”
・関札皓太は過小評価されている
・過小評価された男の逆襲が、今始まる
・ジュニアの夜明けと新風を感じさせてくれるプロローグ
■大日本プロレス
■日時:2023年2月12日(日) 11:30開始
■会場:東京・後楽園ホール
■観衆:414人(主催者発表)
2021年7月にBJWジュニアヘビー級王座を戴冠して以降、10度の防衛に成功してきた関札皓太。
2022年5月の横浜武道館大会では、タイトルマッチに差し掛かる後半戦の先陣を切るようにして、佐藤孝亮を相手に激闘を展開。興行の熱気を高めることに成功するなど、発足当初より核が定まってこなかった『ストロングJ』(※大日ジュニアの総称)を牽引する大黒柱となったのである。
そんな関札の前に立ちはだかった挑戦者が、阿部史典である。
過去にはプロレスリングBASARAのユニオンMAX王座や、プロレスリングZERO1のジュニア二冠王座を保持し、全日本プロレス世界Jrヘビー級王座への挑戦経験も有するトップレスラーの一人だ。
2023年よりフリーランスとなった強敵を相手に迎える今回の防衛戦は、過去の防衛ロードの面子を見ても一番厳しいものに見えた。
・『ジュニア夢の祭典』に向けて轟かす、極上の大日ジュニア!
迎えたタイトルマッチ当日。
2023年1月の日比谷野外音楽堂大会で発表されて以降、反響もあったカードにもかかわらず、集客面は500人を割る低調。
同時間帯の都内で天龍プロジェクト新木場大会等の被りがあった事を差し引いても、「このカードでも集まらないのか…」と愕然とした覚えがある。
それでも、この日は全体通じて良い雰囲気のまま、メインのタイトルマッチまで流れが持続していた。
メインが始まると、場内の声援は関札が優勢。
団体問わず声援が起きる阿部以上の反応は、関札がジュニア王者として築いていった足跡の一端を垣間見た。
しかし、試合では、阿部の雪崩れ込むような攻撃が王者に容赦なく襲いかかる。
序盤~中盤の展開に関しては、8:2でチャレンジャーの阿部有利という印象を抱くほど、関札が劣勢を強いられた。
ただ、関札も負けてはいない。阿部のお卍固めを間一髪エスケープ出来ていた事で、不思議と負けるイメージも生まれなかったのである。
終盤には、年間ベストバウトに匹敵する事を確信したほどの手に汗握る展開に、自然と「この二人が『ジュニア夢の祭典』に選ばれなかったら嘘だ」という確信に至った。
それくらい、鬼気迫るものを2人の試合に感じたのである。