約5ヶ月のロングランとなった、大日本プロレスの『最侠タッグリーグ2022』。
優勝決定戦の舞台となったにもかかわらず、2・13後楽園ホール大会は観衆331人と低調に。
それでも、動員以上に盛り上がりを感じたのは、若き所属選手やレギュラー参戦が生み出す新風に他ならない。世代を超えようとする力の磁場が生まれる、今のダイニッポンを特集する。
[週刊ファイト2月23日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼今の大日本が熱い!動員不調も大盛り上がりな『最侠タッグリーグ』優勝戦
photo & text by 鈴木太郎
・動員は低調も、盛大な盛り上がり
・所属内外を問わない、若手の台頭
・ストロングへビー戦線に新風吹かせる大門寺
・優勝決定戦の壮絶なる蛍光灯爆撃
・キャリアの浅い若松が刻んだインパクト
・現地組に多幸感をもたらす、今の大日本
■大日本プロレス 「特別興行”大声援”」
■日時:2023年2月13日(月) 18:30開始
■会場:東京・後楽園ホール
■観衆:331人(主催者発表)
2022・9・4の開幕後、約5ヶ月にわたり激闘が繰り広げられた、大日本プロレスの『最侠タッグリーグ2022』。
2ブロック制・計18チーム参加のリーグ戦に、決勝トーナメント1回戦→準決勝という過酷なスケジュールを勝ち上がり、決勝に進出したのはアブドーラ・小林&若松大樹、竹田誠志&塚本拓海の2チームだった。
4方向に張られた蛍光灯が跡形もなく爆散する、壮絶なデスマッチを制したのは、アブドーラ・小林&若松大樹の『流血無双コンビ』だった。
竹田&塚本の猛攻を浴びながらも、最後はアブドーラ・小林がダブルダイビングバカチンガーエルボードロップで塚本から勝利。
見事、『最侠タッグリーグ2022』優勝を果たした。
前日の『関札皓太vs.阿部史典』によるBJWジュニアヘビー級王座戦、今回の『最侠タッグリーグ2022』優勝決定戦と、後楽園2Daysに柱を立ててきた大日だったが、両日ともに動員で苦戦。
この日は月曜開催とはいえ、主催者発表の331人という数字に対して、私自身ショックを隠せなかった。
コロナ禍で当たり前だった1席空けの文化も既に終わりを告げつつある中、依然として動員の厳しさを突きつけられている。
しかし、内容がつまらないかというと、決してそうではない。
寧ろ、動員の少なさに反比例するかのように、場内は大いに盛り上がったのだから。
・若い世代が台頭する大日
個人的に、今の大日が面白いと感じるのは、【所属団体を問わず生み出される熱量】が集まっている点だ。
以前から、大日所属に加え、木高イサミ、宮本裕向、竹田誠志、塚本拓海、阿部史典といったレギュラー参戦組が大日マットを盛り上げていたが、このレギュラー参戦組に若い世代が台頭し始めたのである。
KAIENTAI-DOJOが前進の団体・2AWからは、『ジュニア夢の祭典』にも参戦するチチャリート・翔暉と、今回タッグリーグを制した若松大樹が、所属に引けを取らない声援を受けている。
また所属でも、団体内でキャリアの一番浅い吉田和正が徐々に試合順を上げ、橋本大地や中之上靖文といったストロングへビー戴冠経験者の集う6人タッグに組まれる機会も増えつつある。
その象徴的な事例は、今大会のストロングヘビー戦線と、タッグリーグ優勝決定戦に詰まっていた。
・ストロングヘビーに旋風を巻き起こすか?大門寺崇
セミファイナルで組まれたBJWストロングヘビー王座次期挑戦者決定戦では、ストロングへビー王座の戴冠経験がない、青木優也と大門寺崇が激突。
20代同士の激突となった一戦では、1年以上王座を保持する岡林裕二が見守る前で、岡林の座を脅かさんと言わんばかりに新たな風が吹き荒れた。