[ファイトクラブ]MJF竹下幸之助ブライアン流血ルーシュ ガンズAEW戴冠アクレイムド

[週刊ファイト2月16日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼MJF竹下幸之助ブライアン流血ルーシュ ガンズAEW戴冠アクレイムド
 (c) AEW 編集部編

■ AEW Dynamite
日時:2月8日(現地時間)
会場:米テキサス州エル・パソ カウンティ・コロシアム


 お互い強烈に意識している手前、『NXTヴェンジェンス・デイ』が2つの王座交代だったから、AEWはタッグ王座の交代をトリとして、ズラりと王座戦を並べるマッチメイク編成で対抗してきた。
 まず第1試合、これは王座戦ではないのだが竹下幸之助が現世界王者MJFに挑む強力内容のカードからで、結果的にNXTを意識した凄い試合ばかりが並ぶ充実回に。きっちり見ずに海外速報サイトの(正直、今の時代どうでもいい)勝った負けただけをせっせと訳したり、前後もわからず視聴者数の増減だけを伝えるのが、いかに間違いであることか。例えば火曜夜はジョー・バイデン大統領の一般教書演説が72分間もあったのが裏番組なのだから、PPVのフォロー回は普通は自動的に上がるのに、「少し下がった」とよくわかってない日本の読者に伝えても、とんだ誤解、いや誤報だと断罪してもおかしくない曲解の巻き散らしになってしまう。


 やはりグローバルにマット界を見渡した場合、もっとも重要な毎週の番組はNXT-AEWなのであって、だから曜日が変わろうがNXT-AEW戦争が専門媒体には詳細を報ずべき対象なのである。この競争のおかげでますます内容充実なのがアメプロ新黄金時代の核心であり、だからWWEは会社売却の絶好のタイミングだと判断している経緯になろう。


 もちろん、単純な数字だけを取り上げるなら、環状線理論の外側、一般大衆のお茶の間向けに制作され地上波のFOXで「金曜夜8時」に現地放送されているSmackDownがダントツなのは当たり前のこと。しかし、全部を本当にマメに見ている媒体の専門家にしたら、要するに「繰り返しのおさらい」を延々と流しているSmackDownは紹介するに値しないとなってしまう。実際、RAWとのブランド分けがナシになって以来、現在の大河ドラマの中心軸であるサミ・ゼインとローマン・レインズ種族の愛憎劇は、両方のブランドで念押ししていることなので、「金曜夜8時」の方は「わかった、わかった」が正直な感想になってしまい、真面目に細部を紹介する意味がないとなってしまう。
 一方、日本からしたら信じられないトンデモ金額でWWEを買収しようかという側がじっくりと熱心に見極めているのは、やはり次世代のNXTなのであって、冷静に考えれば当たり前のことなのだ。SmackDownでやっていることは、大半がNXTで実験されたことの焼き直しなのだから。


 前振りが長くなったが、竹下幸之助なのだ。ニューヨークはロングアイランドのMJFとOsaka, Japanとコールされる竹下だから、MJFのヒールとしてのヒートを買う役割はともかく、エルパソという中立な会場でのマッチメイクなんだが、お客さんがTAKESHITAに感情移入して大声援になっている。これがいかに凄い光景であることか。


 試合は竹下の痛めた腕というか肘を執拗に狙うMJFという展開で、藤原アームバーというかソルト・オブ・ジ・アースが決まるんだが、勝敗はわかっていたことで、あくまでエルパソの客が竹下応援で湧いたことが重要なのである。決着後もダイヤモンドリングで竹下を出血させ、ブライアン・ダニエルソンが救出にという絵に繋がるのだが・・・。一発目から凄い試合だったと思っていたら、そのブライアンが、元祖インゴベルナブレスのルーシュと、壮絶な流血戦をやらかすベストマッチがあとに出てくることになる。


 本誌がプッシュしてきた通りになったAEW世界女子王者に登り詰めたジェイミー・ヘイターと、同じくシングル・プレイヤーとしても”出来る”と評してきたバニーの試合。これまた英国人とカナダ人がエルパソで闘うことになるし、王座戦でもない。最後にリップコード・ラリアットが決まることも大人のファンにはわかっていることだが、あくまでこのカードが組まれ、マニアをも喜ばせた事実が肝なのであった。

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