超人イリエマン考察 GLEAT MMAは可か、否か?

超人イリエマン考察 GLEAT MMAは可か、否か?

 昨今のMMA大会が乱立する中で、久しぶりに“ザ・プロレスラー”が活躍できる舞台が現れたと感じずにはいられなかった12・14『GLEAT MMA ver.0』であった。

 メインの井土徹也vs.近藤有己は、過去パンクラス3冠王の実績を持つ近藤に3R持ちこたえ善戦したという報が圧倒的ではあったのだが、さて、それはどうだろうか? 自身が王者だったブレイキングダウンの1分での短期決戦と違い、5分×3Rの長丁場の中で一度も組技にならずに2Rを消化し、その間いたずらに近藤のロー、インローをコツコツと効かされていた3R中盤以降からエンジンをかけても、試合巧者近藤の逃げ切りには到底追いつくことはできない。

 仲間が全負けした後の登場だからこそ判定など鼻から考えずに、その自身が望んだレジェンド戦を戦いきる覚悟こそがメインイベンターの資質であり、それを求められるのが“ザ・プロレスラー”なのである。

 小川直也は、12月28日両国国技館『INOKI×巌流島』にプロレスラーの招集を求めた。

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 これはあくまで格闘技畑のなんちゃってプロレスラーの参戦ではなく、過去に伝説の興行団体PRIDEに谷津(嘉章)や、安田(忠夫)などの純職業プロレスラーがその看板を背中に背負い、幻想の中へリングインしていったように、その生き様を体現できる選手の呼応を求めているように思う。なにしろ、GLEAT MMAのポスターには”これが、生き様。”の文言が印刷されていた。

 そう意味合いを考えるのであれば、田中稔を齢50歳にして総合格闘技の沼に入り込ませたことでGLEAT MMAは既に勝っている。

 シュレック(関根)と対峙した全日本プロレスの選手(田村男児)のように拾い物もあった今大会。

 これ以上の細かな考察は本誌の詳細分析版に任せるとしても、最後に一つ言えることは客入りが少々苦戦した本プレ旗揚げ戦だったが、彼らがこの挑戦の歩みを止めなかったのならGLEAT MMAは受け入れられる日が必ずやってくる。

 プロレスラーよ、もっと強くあれ。


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