[ファイトクラブ]大谷さんのこと フワちゃん プロレスとSNS ヤマモ山本雅俊かく語りき

[週刊ファイト11月24日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼大谷さんのこと フワちゃん プロレスとSNS ヤマモ山本雅俊かく語りき
 聞き手:タダシ☆タナカ
・Cノーラン監督『バットマン』3部作雑談からGサスケ「それは僕」に発展
・昔の全女だとインディーを潰すだけだったが頭の競い合いスターダム
・驚異的だったフワちゃんのプロレス・デビュー戦『行列のできる相談所』
・問われるSNSの活用法談義から大谷晋二郎さんの事故を語る真意とは
・プロレスは危険か? 世間への反論と事故防止セミナーの重要性を説く
・色んな声は聴くべきだが応援記事でない媒体を認めないSNSの問題点
・ターザン山本への取材拒否に故・堺屋太一先生「そんな愚かなことが」


 ヤマモこと山本雅俊さんにじっくりお話を伺う機会に恵まれた。2022年のマット界について貴重な洞察があり、インタビュー記事としての構成はどうにでも出来るのだが、あえて練り直した形式にて誌上再現を試みたい。

Cノーラン監督『バットマン』3部作雑談からGサスケ「それは僕」に発展

 あくまで別件でお会いした際の雑談からだったのだが、ヤマモさんは『ダークナイト ライジング』が良かったという話になり、グレート・サスケがあれを投影させたのではないかと本人に尋ねたら、「その通りだ」と。
 もっともサスケの映画好きは有名であり、サスケ&バラモン兄弟による『ムーの太陽』マスターのキャラは、フィリップ・シーモア・ホフマン主演の『ザ・マスター』からきているという話になって、そこからジョン・ヴォイトの娘アンジェリーナ・ジョリーの『ウォンテッド』、さらにはその父ヴォイトがウィル・スミス、ジーン・ハックマンと共演した『エネミー・オブ・アメリカ』へと続くのだが、これは長くなるのでカットする。ただ、映画談義から始まったのだった。

 次に、テレビに出てくるモーリー・ロバートソンの話になり、なんでもよく「日本は欧米と比べて多様化が遅れているのをどう思うか?」という質問が多く、うんざりなんだそうで・・・。モーリー曰く「着地点が違う。あくまでそれぞれを尊重しましょうということであって、『欧米に追い付く』という発想自体、そこがもう違うんじゃないか」と発言したそうで、そこに大いに納得されていた。

 確かに成功のマニュアルも、お手本もないのであって、「古いよ、新しいよ」の議論はあっても、問われているのは「欧米と比べて」ではない。ここからマット界談義へと深まっていくのだが、まずはスターダムが2度目の新宿住友ホール進出となった10月19日の『NEW BLOOD 5』がまな板に乗ることになる。

▼羽南11度目防衛逃 壮麗初戴冠 悪カルマ梅咲遥スターダム新鋭興行

羽南11度目防衛逃 壮麗初戴冠 悪カルマ梅咲遥スターダム新鋭興行

昔の全女だとインディーを潰すだけだったが頭の競い合いスターダム

 大会の詳細は10月27日号に収録済みなので繰り返しはしない。本誌的にはLINDA様の鞭攻撃で、菰田順二がバックステージでやられるところを面白がっていた次第なのだが、「スターダム選手の技量が問われた大会だった」と言う。
 昔の全女対他団体では、格下の団体や選手を全女勢がどう潰していくのかのテーマが先に来て、アジャコングや堀田祐美子が若手を食らわせれば済んだのだが、今の時代だと、ある程度引き出してやらないと話題にならない。つまり、「頭の競い合い」になっていて、「所属選手の技量が問われていたのが面白かった」というのだ。

 なるほど、いわゆるOBたちは今や「同窓会プロレス」テーマのイベントが別途にあるから、もう棲み分けが出来ている。『NEW BLOOD』ではそうはいかない。2021年3月3日、武道館で開催された『スターダム10周年記念 ひな祭り ALLSTAR DREAM CINDERELLA』での朱里vs.小波の師弟対決というか、サブミッションの攻防も記憶に残るそうだが、この『NEW BLOOD』も極めて興味深かったという。この日のその他団体から参戦の選手に関しては、只者ではないラム会長を誉めていた・

 「女子プロはイイ時代じゃないか」との証言が印象に残っている。他に注目しているのは我闘雲舞の小石川チエ。また、「8・26NEW BLOOD 4品川大会で信州ガールズのLINDAとタッグを組んだ桜井まいの懐の深さには驚いた」とのこと。
 そしてここからが、フワちゃんを誉める話になっていく。

驚異的だったフワちゃんのプロレス・デビュー戦『行列のできる相談所』

 TVキャプチャー画像は、10月30日に日テレの『行列のできる相談所』からヤマモさんがあとから送って下さったもの。10月23日、アリーナ立川立飛でのタッグでのデビュー戦密着取材からである。ドロップキックやブレーンバスターくらいで、あまり技を出さないんだが、お客の前で動揺しない堂々とした試合運びにビックリとのこと。
 確かに地方巡業とかお客の反応が違うから、そこから選手はプロレスを学んでいくものなんだが、「コーチしたのは誰なんだ?」という話に。まぁサムライTVの『バトル☆メン』では、ミラノ・コレクションがスターダムのコーチの一員であることが情報公開されているんだが、だからといって直接の担当とは限らない。いずれにせよ、驚異的であったことは間違いない。

 ここから前出のモーリー・ロバートソンの「それぞれの考えでイイ、複雑なのは複雑なままでイイ」という話に戻り、そこからアントニオ猪木論に繋がるところが本誌との会話なのである。
 なにしろ猪木は、対戦相手が色々言って来るわけだが、「わかった、受けてやれ。その条件飲んでやれ」がほとんど口癖なのだった。猪木が闘っていたのは大衆相手なのだ。いちいち答えなくてイイとばかり、リング上で見せてきた。落し前をつけてきた。
 然るに今のSNS時代、選手がファンの言うことに反論していたりする。ヤマモさんは「勿体ない。無視すればイイ」と、プロレスとSNSの課題に斬り込んでいくのだ。

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