[ファイトクラブ 猪木追悼⑩]天才に宿った闘魂 弟子たちが至近距離で見たアントニオ猪木

[週刊ファイト10月13日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

 アントニオ猪木の訃報から一夜明けた10月2日、千代田区の紀尾井町サロンホールにてトークイベントが開催された。至近距離から猪木を見ていた弟子たちと言っていいだろう。出演したのは、前田日明、山崎一夫、藤田和之だった。

▼天才に宿った闘魂 弟子たちが至近距離で見たアントニオ猪木
 photo & text by TERUZ 前田vs.山崎vs.藤田10・2紀尾井町
・「お前、泳げるか」という問いかけ 力道山-猪木-前田の系譜
・“山本小鉄のキャデラック”ならぬ“猪木の車”のエンジン音
・山崎「猪木さんは一人でいろんなことができる人。天才です」


■ 激論CLIMAX2022 紀尾井町秋の陣
日時:10月2日(日)18:30
会場:紀尾井町サロンホール(東京都千代田区)
前田日明vs.山崎一夫vs.藤田和之

「お前、泳げるか」という問いかけ 力道山-猪木-前田の系譜

 トップバッターの藤田和之が「炎のファイター オーケストラバージョン」で入る。もちろんイベントは生前から決まっていただけだが、もう観客たちはゾーンに入ってしまう。UWFのテーマ、キャプチュードでさらに、新日本とUWFという熱い時代に畳みかけられるというものだ。

 かつて前田は藤田をリングスに移籍させる件を進め、いよいよ翌日に会見という段階にさしかかる。念のために前田が藤田に「新日本の幹部に挨拶をしとけ」。藤田は山本小鉄に「頑張れよ」と言われ、藤波辰爾と顔を合わせる。藤波は速攻で猪木に報告をし、猪木は受話器で藤田に「俺を敵に回すのか」。ドラゴンストップと闘魂ストップの合体技となった。

 もうトークイベントはあらゆる顔合わせで行われており、こうしたお馴染みの話に終始しがち。とはいえ訃報翌日なだけに、一歩踏み込んだエピソードが出てくる。

 トーナメント1回戦、ハンス・ナイマン戦で藤田は総合格闘技デビューを果たす。その後に猪木から「使っていいぞ」という話が出て「炎のファイター オーケストラバージョン」を使うことになった。つまりは“本人許可”を得ての使用であり、現在のノア参戦にも受け継がれている。

前田 むかし力道山の時代に、所有のクルーザーで相模湾を一周して初島のはるか手前に来た時に、力道山「お前、泳げるか」猪木「泳げます」力道山「なら初島まで泳いで来い」。2時間かかって初島まで泳いで、そのとき北沢(幹之)さんもいたって。

時がたって自分(前田)がイノキアイランド(パラオにある猪木所有の島)に行ったんですよ。猪木さん「お前、泳げるのか。シュノーケルとフィンつけて来い」って。先に猪木さんがずっと先に泳いでて、急にサンゴ礁が現れて深くなった。水が冷たくなったんだけど、どんどん前にいく。2時間かかって隣の島まで行って、2時間かけて戻ってきましたよ。

藤田 イノキアイランドの向かいの島ですよね。行かされたか? 行きません、「泳げません」と僕は言いました(笑)。

前田 びっくりしたよね、あのとき。『ジョーズ』の映画も流行っているころで。泳ぐの好きだったみたいですね。

 天性の身体能力と、恐れぬ姿勢。いったい「燃える闘魂」とは何者か。

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