[ファイトクラブ]Gビンチ本格AクルーズSシコア場外VワグナーNXTロクサーヌMローズ

[週刊ファイト7月21日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼Gビンチ本格AクルーズSシコア場外VワグナーNXTロクサーヌMローズ
 (c) 2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.  編集部編

■ WWE NXT2.0
日時:7月12日(現地時間 日本WWEネットワーク木曜以降)
会場:米フロリダ州オーランド Capital Wrestling Center

 番組はパフォーマンス・センターの駐車場でロクサーヌ・ペレスが何者かに襲われる映像から。それを受けてリング内の実況陣が誰なんだとやるんだが、普通はToxic Attractionとなるのにウェイド・バレットが、「いや、わからない。パートナーってこともありえる」とか言ってしまうのだ。う~ん、これはどうなんだろう。日本など海外は現地放送から1日遅れてWWEネットワークなんで、中身まで読まなくとも見出しだけで残念ながら「なにが起きたか」とかは目に入ってしまう。
 その後も、番組の随所にロクサーヌはメインで試合出来るのか?と、事前収録の映像が試合の合間に挿入されるんだが、女子のロッカールームでは「ボーイフレンドがやったというのが多いのでは?」と誰かが言うと、「いや、ロクサーヌにボーイフレンドなんか居ない!」と返す奴がいて、ちょっと酷いなぁ(笑)。まぁ大人のファンには、最後がどうなるかわかってしまっている回になるため、今週は先にそこから始める。
 但し、他は実に興味深い特番Great American Bashのフォロー回に。どっちが勝つのか本誌にもわからず見れたカードがあったり、チェイス大学のロンドン修学旅行が面白かったりと、結構濃く、深く分析する本誌的にはレポートに力がいる内容だったことも先に強調しておこう。


 また実際、数字データを読み違えている方が多いが18-34歳の若者視聴者は約2倍、10代の若者視聴者はこの回約3倍と驚異的なアップを遂げ、視聴率が前週の0.12%から0.14%になった。平均視聴者数は582,000と35歳以上のデモグラフィックスが特番から減少したので、全体としては前週より少し落ちたようにも誤った解釈をされかねないが、CM獲得のスポンサー目線では若者層のジャンプほど朗報はないのだ。
 事実、小さいパフォーマンス・センターの常連客とはいえ、「ロキシー、ロキシー!」と怪我しても闘うちっこい女の子に大声援である。恐らく同じくらいの若い年齢層に受けているコーラ・ジェイドちゃんのヒールターンという結末ではあったのだが、データ分析上は大成功だったことは間違いないのだ。

◆NXT女子タッグ王者ペレス2冠奪取逃す!勝利目前の盟友コーラ裏切り攻撃

 NXT女子タッグ王者ロクサーヌ・ペレスがマンディ・ローズとのNXT女子王座戦で猛攻を仕掛けるも、盟友コーラ・ジェイドの裏切り攻撃を浴びるといじめ役マンディのランニング・ニーに沈んで2冠奪取を逃した。試合前、ロクサーヌは駐車場で何者かに襲われると腹部に包帯を巻いてメインの王座戦に挑んでいく。本誌的にはチープな演出だと思ったんだが、お客に感情移入させたんだからアングルは成功だ。

 番組トリの試合ではマンディに負傷した腹部を集中攻撃されて劣勢となったが、ポストに自爆したマンディにトペ・スイシーダを放つとセコンドのジージー・ドリン&ジェイシー・ジェインをポストに叩きつけて形勢逆転。会場がヒートしていくのだ。

 さらにマンディにポップロックスを決めて勝利目前となったが、突如背後から盟友コーラにまさかの裏切りの王座ベルト攻撃で襲われると、最後は息を吹き返したマンディのランニング・ニーでKOされて2冠奪取を逃した。試合後には倒れ込んだロクサーヌがコーラに「自分勝手だ」とスケートボードで滅多打ちにされてNXT女子タッグ王者の2人が仲間割れとなった。


 順番に戻って最初の試合はジョバー二・ビンチのイタリアのキザ男の入場が、決めポーズを静止画にしたりして大変に良い。実況も新顔扱いのように言うんだが、誰もファビアン・エイクナーが変身しただけだと気づいてないのかも(笑)。対するNXT専属を宣言したアポロ・クルーズもまた、「ワシはナイジェリア国王の末裔じゃぁ」とやっていた外国人アクセントの変なキャラが、家族からも見放されたと告白した通りであって、生き生きと二人が本格的なレスリングを魅せてくれるのだからNXTファンは「これが見たい」となるのである。


 ただまぁ、フィニッシュが野球帽を被ったザイオン・クインがアポロをどついて、それでビンチのラストライドが決まるもので、ずっとNXTにいると宣言したからアポロは負けさせてイイとなったんだろうが、へぇ~、やはり売り出し中のイタリアンがoverなのかはありました。


 ブロン・ブレイカーに負けちゃって失意のキャメロン・グライムスと、いよいよ登場の元ジョーダン・デブリンことJDマクダナが対峙。JDの方が背が高いのかぁ。「このアイリッシュ野郎」と毒づくキャメロンにJDが頭突きかまして、再デビュー戦はこのカードに。こりゃ楽しみなのだ。


 女子のブレイクアウト・トーナメントでも、タタム・パクスリーはなかなかイイと評してきたんで、いつものタッグでなくシングル戦で職人ケイデン・カーターが相手となれば、ましてパクスリーにはアイビー・ナイルがアドバイスしているとなると、大人のファンにはケツは読めるんだが・・・まぁそれはイイじゃないか。

 フィニッシュで丸め込まれる前、ケイデンがジャンプして裏四の字やる場面は切れ味最高だったゾ。過小評価賞のケイデンが若い売り出し中の新人をキャリーした試合、NXT信奉者はそっちを堪能して見ているんであって、負け役なのはどうでもイイことなのだ。あ、カタナ・チャンスは私服の時はハイヒール履いてくるんですね。この忍者チーム、勿体ないと思うんだけどなぁ~。


 インドの巨漢怪人サンガは、NXTだとベビーフェイスなんです。だいたい、インド人はヒールという発想が古い。オーストラリアのデューク・ハドソンをチョークスラムで片付けました。これで正解です。


 冒頭に1日遅れのWWEネットワーク視聴になるNXTの場合、「コーラ・ジェイド裏切り」がどうしてもSNSで目にしてしまうと文句をやったが、記者は自分で見終わるまで他社のレポートなんか読まないのはプライドとしても当然のこと。さすがにソロ・シコアvs.ヴォン・ワグナーが勝手に飛び込むこともなく、これはどっちが勝つのか興味深く注視することになる。
 ウソーズの実弟シコアと思うかもだが、彼自身は「関係ない」とばかり名前も使ってないベビーフェイス。一方のワグナーはウェイン・ブルームの息子にして、あの長身と風貌である。ビンス・マクマホンやブルース・プリチャードの、俗称老人マッチメイク委員会にしたら「スグにでもメインルースターに上げたい」と、期待値はシコアより数倍高いと推測するのがWWEを長年見てきた記者の冷静な分析になる。だから、どっちが勝った負けたなんかどうでもイイのが大半なんだが、このカードはケツにも関心持って見守ることになる。

 長年、作る側の実務経験者でもある記者の場合、普通は数分でどっちが勝つかもわかってしまうのだが、この試合は読めないまま結構長い尺を貰って続き、場外乱闘のまま両者カウントアウトになるだが、それでも外に出て延々と・・・。ローバート・ストーンがゴミ箱に投げられる場面でもまだ終わらず、その後、各試合の合間に2度もまだ続いている絵が挿入されることに。
 ただねぇ、こういう長い尺の試合となったら、ワグナーが業界用語ブロアップしてしまい、ゼイ、ゼイ息しているのが見えてしまうのだ。一方のシコアは平然とスタミナ維持している。やはりポテンシャルはシコアの方が上と、大人のファンには悟られてしまうのであった。

 予告もされていたチェイス大学御一行のロンドン観光、ビデオの編集もよくまとめられておりよろしいかと。アンドレ・チェイス教授、ウディ・ヘイワード、ティア・ヘイルちゃんがバッキングハム・パレスで衛兵交代を真似たり、ビートルズよろしくアビーロードの交差点を渡ります。こういうセグメントの挿入は歓迎します。

YouTube版


 もっとも続くインディ・ハートウェルvs.ラッシュ・レジェンドが不安的中のダメ試合に。バスケ界ではスーパースターでも、プロレスは甘くはないゾ。だいたい黒人なのに、あんな東洋人のようなストレートの黒髪って、レジェンドさんオカシイだろうと思うんだが。カツラなのかなぁ? インディが丸め込むんだが、それだけでは余りにしょうがないからアルバ・ファイアのバット攻撃やってたんだけど・・・。


 番組トリからの順番にしたんで最後になるが、二人だけになったトニー・ディアンジェロ&チャニング・ロレンゾが、トニーDの捻りを加えたフィッシャーマンズ・スープレックスでマリック・ブレイド(&エドリス・エノフェ)をフォールするカードは、正直あまり印象に残りません。黒人組は見せ場貰っていたし、結局最後はデルトロ&ワイルドも加勢したんで認められるという絵にはしてたけど。
 詳しいことは不明なんですが、ちなみにサントス・エスコバは退院したそうです。