悪役オーカーンが女児救出で感謝状 本名“岡倫之”時代からの武勇伝とは

 4日、新日本プロレスのグレート-O-カーンに中原警察署(神奈川県川崎市)から感謝状が贈られた。3月29日、JR武蔵小杉駅の構内トイレ前で女児から助けを求められ、迷惑行為を行っていた泥酔男性を取り押さえたことに対してのもの。

 4日には会見も行われ、報道陣からは「過去にも人助け的な経験があったと聞いているが?」との質問も飛び出す。オーカーンは「余は記憶を失っておって。2018年6月30日以前のことは覚えておらぬが、プロレス会場の前で暴力を奮っている一般人を取り押さえたこともあるし、お客同士のいざこざ、ケンカを止めた事もあるし、マナー違反を注意したこともある、ような気はする」と答えた。

 オーカーンという悪役レスラーが2018年6月30日にイギリスで誕生し、同時に“似た風貌”の岡倫之なるレスラーが消息を絶った。この岡には武勇伝がある。プロレスラーへの転向を表明する前のレスリング時代、新日本の横浜アリーナ大会(2014年05月28日)で警備員を務めていた時のこと。会場前でモノマネ芸人・中邑珍輔に「気持ち悪いんだよ」と因縁をつけて暴行した50代の男を取り押さえる。

 消息を絶つ前の2018年前半の岡は、会場内でのセコンド業務が話題となった。立ち上がったり席を離れたり選手に触ったりするマナー違反の観客を注意する。場外乱闘時に観客を守る。SNS上では何人ものファンが「選手に触るな」「下がって」「座って」という岡の声を報告。逃げ遅れるなどした際に「助けてもらった」というファンも多くいたほどだ。

 会見でオーカーンは「余ではなくても、取り押さえることは新日本プロレスのレスラーなら誰でもできる。ただし一個。余がそのへんの愚レスラーと違うのは、幼子や母親、そして加害者の男性のケアまでできるのは、余だけだったろう」とも。確かに光ったのは、女児の気持ちをやわらげ、泥酔男の逆上を未然に防ぐオーカーンの言いまわし・気遣いだ。

 リングサイドでセコンド業務をこなしていた際の岡の立ち回りに通底するものがある。集団の中にいて暴走しがちな観客をいかにコントロールするか。的確に注意喚起するか。岡の武勇伝には、腕っぷしだけではなく、頭脳が見え隠れするのだ。

 そんな岡・・・いやオーカーンの週刊ファイト記事で最もアクセスがあったのは、2020年10月16日にオカダ・カズチカを襲撃した際のもの。

▼三森すずこさんを“奪われた”岡倫之がオーカーンとなってオカダを本当に襲撃 恋人同伴のオスプレイと結託でG1両国初日は大荒れ(2020-10-16)

三森すずこさんを“奪われた”岡倫之がオーカーンとなってオカダを本当に襲撃 恋人同伴のオスプレイと結託でG1両国初日は大荒れ

 2018年1月にオカダは三森すずこさんとの交際を宣言、2019年に結婚した。当時の岡は「最強のラブライバー」の異名があり、三森さんがアニメ「ラブライブ!」で声優を務めたキャラクター「園田海未」のファンを公言していた。三森さんを“奪われた”ことでファンからは「ヒールターンしてオカダにリベンジを」との声が続出していたが、ついに現実になったのかと騒がれた。

 頭脳派レスラーの正気を奪うものは何なのか。アレコレ考えることがプロレスファンの大好物。キャラクターと人間の間を行き来するオーカーンは実に愛すべき男である。


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