[ファイトクラブ]TV番組異例Hペイジ60分ブライアンAEW至宝戦!志田光-セリーナ

(c) AEW

■ AEW Dynamite
日時:12月15日(現地時間)
会場:テキサス州ダラス郊外ガーランド カーティス・カルウェル・センター


 まさかの、まさかが起きた。今回の目玉はハングマン・ペイジの王座防衛戦。相手はトーナメントを勝ち上がってきたブライアン・ダニエルソンである。しかも、ダラス・カウボーイズの本拠地開催だから、カウボーイを売りにするアダム・ペイジにはある種のホーム扱い。一方のブライアンは、そもそもベビーフェイスの「ダークオーダー軍を一人ずつ片付けてやる」と、頭を踏みつける闘いでヒール色を強めてきたが、テキサス州開催ともなればなおさら悪役である。1時間番組のRampageの場合なんか特に、重要な第1試合に出てくることが定番になっていたとはいえ、おや?今回の2時間番組Dynamite、しかも世界王座戦なのにトリにしないのか、と思いながらいきなりメインが始まったのだが。早速ブライアンは顔面踏みつけでカウボーイを痛めつけていくのだが、うむ? これは長い尺の試合ペース配分なのだろうか。


 60分時間切れドロー、それはプロ格闘技興行が並立する時代になって、プロレスが対抗しうる究極のアンチテーゼである。60分闘い続ける格闘技とは何か? これが出来るのはプロレスだけなのだ。師走のこの時期になって、年間総括において山本ヤマモ雅俊さんに「まるで腫れ物に触るようように団体に忖度するマスコミの凋落」と指摘されるのを尻目に、定期購読者から圧倒的に本物の評価をいただいている鷹の爪大賞、最高団体賞のAEWが最後の切り札を出してきた。


 記憶を紐解いて、PPV大会はともかく、現地プライムタイム(日本表記ゴールデン)放送のテレビ番組で60分の試合中継があっただろうか? 2時間番組だから可能だったとはいえ、現地版はCMもあるのだから様々なリスクもある。新日本プロレスの英語版がアクセスTVで放送されていた頃、オカダ・カズチカvs.ケニー・オメガの60分を一応やったことはあったが、時間枠からカットもあればそもそも生中継でもない。まして見ている視聴者の絶対数まるで桁が違う。もはやワーナー傘下、TBS-TNTグループの看板番組の一つに昇り詰めたDynamiteである。ブライアンとペイジは、明らかにオカダxオメガを意識していた。それを上回る使命に燃えている。そしてこれはまた、質は日本のプロレスが世界最高峰という神話に、最後の楔を打ち込む決定打としてAEWが満を持して送り出したJOKERのカードでもあった。

 やがて60分続く格闘技という神話劇は、二部構成というか、ブライアンがペイジの額をコーナーポストにぶつけて、ジュースのやり方だが流血させるところから新たな展開に突入していく。場所はテキサス、南部プロレスをも継承するAEWのやり方には是非論もあるが、やる側二人にとっての合図の再確認であるのみならず、メリハリも付いて実に良く練られている。そこは評価せねばなるまい。そして・・・

記事の全文を表示するにはファイトクラブ会員登録が必要です。
会費は月払999円、年払だと2ヶ月分お得な10,000円です。
すでに会員の方はログインして続きをご覧ください。

ログイン