浪花でプロレスコロナ”クラスター騒動”コンプライアンスの観点から興行中止に発展


 プロレス選手、関係者、ファンに激震が走った。
 プロレス団体「GLEAT」が、11月14日に大阪のコレガスタジオで開催を予定していた「G PROWRESTLING Ver.10大阪大会」を「コンプライアンスの観点から協議」した結果、中止すると発表した。
 団体の公式サイトには「何卒、事情をご賢察の上、ご容赦を賜りますようお願い申し上げます」と、お茶を濁すような形で締めくくられているが、巷のSNS及び選手のブログ等を辿るとその理由は明々白々直しようもなく明らかだ。

 9月未明、コレガスタジオで開催されたコレガプロレス興行に参戦した選手のひとりがPCR検査を受けた結果陽性とわかった。
 問題は、この時点でなぜか興行主宰者がそのことに対する対処を怠り、くだんの選手と濃厚接触をしたとおぼしき選手をそのままに興行開催を続けたことから最悪の事態、クラスターが発生してしまった。
 他団体、またはフリーの選手が多数参戦していたこともあり、なおかつ当初、ひとりまたひとりと選手が個別にSNSで「陽性になりました。」「濃厚接触者ということで。」自己申告する一方「発症元」とおぼしき興行主宰者の発表が遅れたことで、ファンが騒然となるなか複数の大阪のインディープロレス団体が状況の把握と対処でおおわらわに。

 そしてこの騒動の渦中に「コンプライアンスの観点から」のワードがSNSのトップに躍り出る始末。

 関係者のみならず、いやむしろプロレスファンが「コンプライアンスの観点から」という言葉に食いつき出した。
 確かに、そもそもコンプライアンスをぶち壊すのがプロレス、コンプライアンスの対極に在ると思われるプロレスの興行開催が、「コンプライアンスの観点から」中止されるなど前代未聞だ。
 なんでも笑い飛ばして乗り越えるタフさは賞賛に値する。が、ことコロナ対策のずさんさや対応のまずさの露呈に関しては笑って済ませられる話ではない。

 起きてしまったことは仕方がない。
 コロナの変異株は感染力もこれまでとは比較にならないと言われる。
 あえて繰り返すまでもなく、感染症は人から人へと渡り歩く。
 人が集まる場所に行けば感染リスクは高くなる。
 かつまた県をまたげば当然のことながら、ウィルスは移動した人と共に運ばれて、感染が拡大していく。

 経路を絶たない限り感染症は永遠に消滅しない。だからいまのような状況では、我が国は永遠にコロナと共に生きていくしかない。
 今回の騒動をいかにも大阪だから起こったことのように思うなかれ。
 記者は2020年コロナ禍の東京に撮影に出向いたその場所は、足の踏み場もない位観客がひしめいていた。
 後日出場していた選手のひとりがSNSで陽性を公表するも主催側からはそのことについてなんの連絡もなく、公式に発表もなされなかった。
 二週間自主隔離し幸い感染を免れたが、免疫力ではない。単純に、ラッキーだったのだと肝に銘じた。

 コロナ感染、クラスター、気が緩めばどこでも起こりうる。対岸の火事ではない。
 もちろん感染者を出さないに越したことはない。だが感染者が出たときの対処法次第で、その後がまったく違った結果となる。
 少しでも早くコロナを終息させたいのなら、地道にコロナ禍でも興行を続けていきたいのであれば、事実を隠すという対処法は最悪の結果しかもたらさない。

 起きてしまったことは仕方がない、問題は、そのあとどうするかだ。
 コロナの終息がいつになるかはいまもってわからないが、「コンプライアンスの観点から」が、本年度のプロレス流行語大賞の候補のひとつになりつつあることは確かだ。


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