[ファイトクラブ]ISPWリキシSgt.スローター顔見世ヌンジオJストーンHLモーガン元気

[週刊ファイト9月23日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼ISPWリキシSgt.スローター顔見世ヌンジオJストーンHLモーガン元気
 photos by George Napolitano 編集部編
・TV視聴者数などアメプロのブーム背景とインディー団体ISPWとは?
・リキシ16歳姪がサンフランシスコで射殺されSNS賞金!スティンクフェイス
・ヘッドシュリンカー・サムゥと息子ランス・アノアイ飛ぶ!対THE NOW
・へイディ・リー・モーガン=レフェリー☆ISPW女子王者ビシャス・ビッキー
・ビック・ジョン・スタッド現役引退後生誕の息子ショーンは巨体もそっくり
・リトル・グイドー、ヌンジオ=ジェームス・ストーンECWダニー・ドーリング
・クロゥバー、ROH ”The Ace of SPACE” LSG=Leon St. Giovanniと初遭遇
・ブル・ジェームス、サージェント・スローター、アンドリュー・アンダーソン


■ ISPW (Independent Superstars of Pro Wrestling)
日時:9月5日(現地時間)
会場:米ニュージャージー州バトラー Richard Butler School on Memorial Field

 コロナの猛威は米国でも続いている。いや数の上では日本の比ではなのだが、原則2度の接種を終えている者が多数派になっていることもあり、デルタ株に感染しても重症化しないというのは大きい。
 元来テレビ番組であるプロレスの場合、WWEとAEWが収益の最大要因である巨額のTV放送権料を得て毎週複数の新番組をプロデュースする契約を結んでいることから、日本のように「一体いつの大会を今頃放送しているんだろう?」という後回しの閉塞感がなく、基本は生中継の新規内容番組を「外に出るな!」となっていた時期でさえ良質エンタメを提供し続けていることが、今になって事実上の新たなプロレスブームに繋がっている。

 実際、今週のSmackDownでもいかにもの凄いヒット数をWWEがTikTokで記録しているかのテロップ(フォロワー数13,500,000)が出ていたが、SNSでも肝心の若者層がプロレスに食いついている傾向が明らかなのだ。だからAEWにせよ、大手保険会社State Farmがスポンサーにつくことになり、日本のような一流企業から見放されている状況との巨大過ぎる差を生んでしまっている。テレビの視聴者数だけをみてもNFLには負けても、スポーツ番組ではプロレスが2位、いや全体でも3位とか5位内になっている週が多いのだ。1位はやはりアフガン情勢の激変事情とかのニュース番組なのであるが・・・。

 前口上が長くなってしまったが、遅ればせながらニュージャージー州で行われたインディー団体ISPWの大会をたっぷり紹介する。
 これまた説明が必要なのだが、アメリカの方がインディー大会すら開催できない状況は長かった事実がある。日本も完全にストップした時期があったとはいえ、客席を一席ずつ空けてとかで細々とやり出しているのに対して、州によっても違うのだがなんもやれないことになり、飲食業だけでなくエンタメ産業はエラい目にあっていた。また、大手団体と分類すべきROHでも、親会社のシンクレアがコロナ禍に厳しく、スタジオ収録の無観客テレビマッチすらダメ。かなりの期間「なにもやるな」となって苦しんだところもあったのだ。

 今になって、米国東部地区の各インディーも一斉に動き出した。このISPWも一般に知名度のあるリキシとサージェント・スローターを迎えて、学校の体育館を盛況にしたのだから凄いことである。ちなみに米国では一席ずつ間隔空けてはいないし、拍手だけの大声禁止もない。
 あと、お茶の間にも知られてる大物が2名は来てくれるというのは興行としては大きい。やはり「家族連れで日曜日にプロレス行こう」という気にさせてくれるものだ。

 もう一つ、今回の大会を本誌が取り上げるのはリキシ(現在55歳)に悲しいニュースがあったばかりだったこともある。7月30日午後6時45分頃、米サンフランシスコで起こった銃撃事件であり、45歳の女性とともに、リキシの姪(めい)である16歳のジャエダ・トファエノさんも何者かに撃たれたのだ。幸い45歳の女性は一命を取り留めたものの、リキシの姪は帰らぬ人となった。
 双子の息子となるジェイ、ジミー兄弟は現在、WWEで「ウーソズ」として活躍中。さらに今月に入ってウーソズの弟ジョセフ・ファトゥもWWEと契約している。リキシは犯人捜しに賞金を出すとSNSで怒りを露わにしていた。

 ということで業界的にも注目の大会だったのだが、そこはリキシもプロである。ファンサービスに徹して、最後はリングに上がりスカンクフェイス(トップ画像)まで披露したのだから偉い。
 また、東部地区ではECWのイタリア軍団ヌンジオとして知られている、UWFインターに参戦していたジャームス・ストーンが、同じくECWにいたダニー・ドーリングと闘うとか、アメリカの女子プロ界ではレジェンドになるハイディ・リー・モーガンがレフェリーとして参加した初代女子王座決定戦と、バラエティにも飛んでいた。ビッグ・ジョン・スタッドの息子、ビッグ・ショーン・スタッドも$10,000のボディスラム・チャレンジでお披露目である。テレビが付いたと話題になっている、テキサスでブッカーTのやっているReality of Wrestlingのエースなのだ。

<第1試合 不滅のSAMOAN DYNASTY>
ヘッドシュリンカー・サムゥと息子〇ランス・アノアイ
vs.
●THE NOW ヘイル・コリンズ&ヴィク・ダリシュス

 試合はランス・アノアイが飛んでフォール。リキシのジャージーにはSAMOAN DYNASTYと書いてあって、テレビでやってるWWEではローマン・レインズ様が絶対的な族長として君臨しているのだが、現実には今でもサモアン・ファミリーのボスはリキシなのである。

サムゥと息子のランス・アノアイ、そしてロッカールームでのリキシと


 実は往年のファンにもうひとつの目玉だったのは、選手になったりレフェリーだったりの経歴だが、かなりの長期間WWEにいた“Dangerous”ダニー・デイビス(写真左)も特別レフェリーとして参加したこと。これは大きい。先に家族連れのお客さんを指摘したが、Meet & Greetでテーブルに座っているダニー・デイビス(覆面Mr. Xだったこともある。現在65歳)とも気楽に話せる、写真撮れるとなれば、そりゃ家族連れてインディー大会行こうとなるってもんだ。ハート・ファンデーションのマネージャーとしてもテレビに出ていたから、あの頃のWWF見ていた方なら「へぇ~」となるだろう。それがインディーの良さ、スマホで写真撮ったら嬉しいに違いない。

 日本はプロレス卒業したら、あれだけ熱中していたのに家族も出来たらさっぱり会場から遠のく傾向がある。ここが日本は「ファンのサイクルが短い」と海外から指摘される元凶になっている。大人のファンを養成せず、壁にブチ当たったらそのままサヨナラで使い捨てする専門媒体の教育法にも問題アリなのだが・・・。
 あと国内のインディーは、主宰者一味だけの自己満足興行になりがちで、往年のスターも呼んでとかの小規模興行ならではの、ファンと身近にする趣向の工夫が足りない。

へイディ・リー・モーガン=レフェリー☆ISPW女子王者ビシャス・ビッキー
<メインイベント ISPW初代女子王者決定戦>
〇ビシャス・ビッキー
vs.
●ギャビー・オルティーズ

 まだWWEやAEWから目をつけられてないが、十分に凄い選手はいるものだ。だから初代女子王者決定戦をメインにしたのだろう。レフェリーを務めたへイディ・リー・モーガンは、リー・モーガン娘の二世選手。LPWA女子プロレスでミスティ・ブルー・シムズとタッグ王者になっていた記憶が残るアメリカの女子だけ団体黎明期のレジェンドだ。容姿が余り変わってないのが嬉しい。最後はキッズたちもリングにあげてのフィナーレとなっている。大変良い光景なのだ。

ビシャス・ビッキー「日本からのオファー待ってます。」

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