[ファイトクラブ]アメプロ夏天王山~多様性とは何か?片翼の飛行機パラ五輪リベンジ

[週刊ファイト9月2日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼アメプロ夏天王山~多様性とは何か?片翼の飛行機パラ五輪リベンジ
 ハードヒット真髄870日政権ウォルター降参ドラゴ新UK王者NXT接収
 タダシ☆タナカ+シュート活字委員会編
・片翼の小さな飛行機は飛んだのか「多様性の尊重」パラリンピック開幕
・CMパンクAEW-ベッキー・リンチ&ブロック・レスナー復帰-NXT天王山
・キャリオン・クロス「未来が懸かってる」Carry評Blowupサモア・ジョー
・3度目戴冠Meet the New BOSS, Same as the Old Boss批判の真意
・上層部圧力!難しい舵取りを迫られるトリプルH「どう回していくのか」
・ありがとうアダム・コール!カイル・オライリーとのUndisputed Finale
・2本目ストリートファイトが練られていて最高:カイルの脇腹負傷はセール
・最凶兵器ドラゴとウォルターの奏でた新世界:鷹の爪年間最高試合賞か
・様式美芸術としての欧州クラシック-メタル-プロレスの一体化とは何か
・プロレスの神様降臨!
・スターダム学んだ試合運びでラケル・ゴンザレスを引っ張るダコタ・カイ
・英国ケイ・リー・レイ登場!続く日本発Joshi Puroresu天下の女子部門
・キャメロン・グライムスLAナイト成金抗争Opening試合はかくあるべし
・Tデビアスに尊敬Million Dollar Championship bound for the Moon
・余りにもビジネス桁が日本と違ったアメプロ今週総括と怒りのアフガン


 パラリンピック開会式は、さながら五輪開会式のショー演出不評に対するリベンジのようでもあり、本来の五輪のテーマである「多様性の尊重と共存」のメッセージを打ち出した感動の内容であった。それは外野席の要請や電通の意向に振り回され、プロレスだけでなくショービジネス全体に関心を持つ者には、期待の星だったMIKIKO先生の降板を始めとする数々のディレクターの交代劇から、統一感のかけらもない国辱ものの酷い開会式になってしまったことからのpoetic justiceであった。

(c) Yomiuri Shimbun

 こちらの開会式ショーは“We Have Wings”との明確なテーマのもと、「片翼の小さな飛行機」を演じた中学2年生の和合由依さんら、あらゆるハンディパップを持つ方々が出演する。自分の飛行機は片翼しかない。しかし、彼女は“Para Airport”から飛び立つことが出来るのか。
 ここで演出は良い意味で視聴者の期待を裏切る。今の時代、ワイヤーを使って派手に巨大スタジアムを飛び回ることなどなんら難しいことではない。しかし、そのような演出ではなかったのだ。
 IMAGINE~想像してごらん。確かに片翼の小さな飛行機は大空に舞ったのである。

 映画『キル・ビル』のテーマ曲作者でもあるギタリストの布袋寅泰のバンド・トラックで演奏するミュージシャンには、盲目のギタリストもいれば、他の出番には片腕のバイオリニストや、片足のないダンサー、両足のないダンサーも輝いていた。
 間違いないで欲しい。パラリンピックはそれぞれの障害度に合わせてどっちが速かったかとかを争う競技の祭典である。しかし、世の中にはそういう方面に活路を見出した方々だけではなく、様々なパフォーミング・アートの分野で日々活動されている皆様も少なくないのだ。サカースの仕事然り、プロレスだって大きすぎる巨人症含めて俗に言うFREAKSなのである。彼らは競技には参加していない。だが、この開会式こそが世間にアピールする晴れ舞台であったのだ。参加者たちこそが金メダルだったのである。

 1964年の東京オリンピックが、歴史的にはパラリンピックの並立開催の最初なんだそうだ。この時点では、第二次世界大戦の敗戦国であった日本が、戦後の復興を遂げて繁栄している姿を世界にアピールする目的で開催された。そのパラリンピックには、多くの障害のある退役軍人が参加したという。
 2021年、残念ながら今回の五輪は、パンデミック・オリンピックとしか記憶には残らないのかも知れない。しかし、パラリンピック開会式の素晴らしい内容が心を揺さぶってる。社会は変わらねばならないのだ。多様性の尊重と共存のテーマは世界に発信されたのである。

 ケニー・オメガの必殺技は片翼の天使である。カナダから日本に来て、今はAEW世界王者となった男がなぜにそう名付けたのか。プロレスファンがパラリンピックに学ぶことは少なくない。


☆旅回りの見世物小屋が舞台のトッド・ブラウニング監督の映画『FREAKS』(1932年)は、最後にハンディキャップたちの大逆襲となる寓話劇であり、ここでのフリークスは決して蔑称ではない。社会のありようを考える契機として、いわゆるカルト・クラシックとして語り継がれている名作である。


以下(c) 2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.
CMパンクAEW-ベッキー・リンチ&ブロック・レスナー復帰-NXT天王山

 今週をグローバル目線で総括するなら、のちに日本にも影響してくること含めてアメプロ夏の天王山だったことに尽きる。現地金曜8月20日のAEW新番組『Rampage』にてCMパンクが7年ぶりにリング復帰、しかも古巣のWWEではなく、攻勢が著しいライバル団体との契約発表ということに。また実際、平均視聴者数が112.9万と大爆発を遂げたのだから無視することの出来ないデータも出た。

翌土曜日が、WWEが年間最大の祭典と位置付けた『サマースラム』の開催だ。実数は主催者発表の51,326人より6000人少ないと重箱の隅をつついたところで、とんでもない数のファンを集客した事実に変わりはなく、ビジネス上も前年比で記録を大きく更新した。目玉的には映画スターとなったジョン・シナが、ローマン・レインズの王座に挑んだカードになるが、終わってみればベッキー・リンチとブロック・レスナーの復帰が最大のニュースということになろう。

▼ブロック・レスナーまで投入4時間11試合祭典:全容と詳細辛口評の肝

[ファイトクラブ]ブロック・レスナーまで投入4時間11試合祭典:全容と詳細辛口評の肝

 但し、内容的な高評価となれば日曜に開催された『NXTテイクオーバー 36』ということになる。サモア・ジョーがすでにRAW所属となったキャリオン・クロスからベルトを奪回、史上初の3度目のNXT王座戴冠となった。アメプロ夏の天王山となった週末の総括と併せて、大会の全容と詳細をシュート活字委員会が徹底解明する。

キャリオン・クロス「未来が懸かってる」Carry評Blowupサモア・ジョー

<第5試合 NXT王座戦>
●キャリオン・クロス
 12分24秒 筋肉バスター
〇サモア・ジョー
※王座交代、ジョーは3度目のNXT王座戴冠

―― まず全体像のおさらいから。なんといってもビンス・マクマホンら上層部が独自路線で暴走しているNXTを変える、(良くも悪くも)昔のDevelopmentalシステムに戻すかのような不穏な動きがあり、ファンのハートを掴んでいたブロンソン・リードを、SmackDown-Rawで使う人材じゃないと判断した以上は解雇なんだと見せしめにしたこと。そこから始める必要があります。

オフレコ なので本誌の注目は、「NXTの未来が懸かっている」と意味深発言をしたキャリオン・クロスが、どういうお仕事をしてみせるかになる。

―― すでにRAW所属になっているクロスです。大人のファンにはケツは丸見えなんですが、専門媒体が論じなければいけないのは「底なし沼」の方に斬り込んで深く、濃く解析する役割を担うこと。先端を売りにする現地英語媒体等と比べて、どこが読者をうならせられるのか。

オフレコ 「どうか比べて下さい」やからな。どのマスコミが常に正確に流れを読んできたか。

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