ケン・片谷の怒涛の2連戦:HERO28新木場+UEW闘道館

[週刊ファイト6月10日号]収録

▼ケン・片谷の怒涛の2連戦:HERO28新木場+UEW闘道館
・5.29 HERO28新木場大会
・久しぶりのHERO里帰り
・ヤミキ&ワイルドセブン追悼
・ロイヤルランブル優勝への道
・ウルトラセブンとの再会
・5.30 UEW2021巣鴨・闘道館大会
・呉越同舟 サバイバル飛田

HERO28 新木場大会参戦

 5月29日、久しぶりの“バリアフリープロレス”HERO参戦となりました。

 HEROには正規軍の助っ人というポジションで参戦させていただいていました。
 一枚岩だったHEROでしたが、後に『ヤミキ軍』『ワイルド軍』などの敵対勢力が現れ、手薄になったHERO正規軍のサポートとして軍団抗争の火の粉も浴びてきました。
 最終的に『WILD HERO軍』からHERO興行権を奪還したところでオイラの役目も終了し、しばらくはHEROから離れていました。

 かつて軍団の長であった、ヤミキさんもワイルドセブンさんももうこの世にはいません。そんなお二人の追悼興行がこの度行われました。
第一試合に組まれた、ヤミキ&ワイルドセブン追悼『ロイヤルランブル』は、今現在HEROで活躍中の選手はもちろん、かつて参戦していた選手までが登場するメモリアルマッチとなりました。その一人としてオイラもエントリーされ、久しぶりにHEROのリングに上がることになったのです。

 追悼選手のひとり、ヤミキさんとはWWSのリングで知り合いました。
 すでにご承知の方も多いと思いますが、ヤミキさんはなんと新日本プロレスの第一期練習生なのです。その時同期だったミスター・ポーゴさんやグラン浜田さんの縁で、WWSに参戦したのです。

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 聴覚障害を理由に、残念ながら新日本プロレスでデビューすることは叶いませんでしたが、どうしても夢を捨てきれずなんと59才でプロデビューしたのでした。
 ポーゴさん曰く、同期の中ではヤミキさんはずば抜けて身体能力が優れていたそうです。もしおよそ半世紀前にヤミキさんがデビューを果たしていたら、ひょっとすると新日本プロレスの歴史は大きく変わっていたかもしれません。

 そんなヤミキさんとは、オイラが元養護学校の教員ということもありすぐに意気投合しました。そしてその後オイラがHEROに参戦するきっかけにもなったのです。
 しかし、ヤミキさんとの関係は順風満帆とはいきませんでした。途中リング上で裏切られたこともありましたが、それもヤミキさんがHEROを良くしようとしてやったこと。今となっては良い思い出です(苦笑)。

 実は、ワイルドセブンさんもお付き合いは古いんです。
 もう30年以上も前の話になりますが、オイラが最初の大学生の時、ジャパン女子プロレスでアルバイトをしていたことがありました。その頃レフェリーをされていたのが素顔のワイルドセブンさんだったのです。

 HEROで再会した時は本当にビックリしました。レフェリーと、いちアルバイトという立場なので無理もありませんが、ワイルドセブンさんに当時のお話をしてもあまり覚えていない様子でした。にもかかわらず『えっ? あの時(ジャパン女子に)いたの!?』と親近感を覚えてくださったようです。でも、ワイルドセブンさんにもリング上では散々酷いことをされたんですけどねぇ~(笑)。

 ロイヤルランブルではもちろん優勝を狙います。15人参加でしたが、オイラの入場は真ん中辺りの7番目。優勝を狙うには、まずまずのポジションです。
 通常の試合形式とは違い、運も味方に付けないとなかなか勝ち進むことはできません。

 残り5人(未入場選手含む)というところまでいき、優勝も見えてきたと思った瞬間、最後に落とし穴が待っていました!
二人掛かりの攻撃(オーバーザトップロープ)に耐えホッとしたのも束の間、不意に女子選手のワイルドバニーの強烈なビンタを食らい、勢い余ってトップロープ越しに場外に落ちて失格となってしまったのでした。

■ WBCバリアフリープロレス
 GPSヒーローHEROワイルドセブン&ヤミキ追悼
日時:5月29日
会場:新木場1stリング

【試合結果】

<第1試合 ヤミキ&ワイルド・セブン追悼試合~ロイヤルランブル(15人参加)時間無制限>
○ワイルド・ベアー(25分50秒、体固め)ワイルド・コモン●
※バックドロップ

※退場順=パンダちゃん!、ヴィラン、友龍、雷電、後藤、海和、仲川、ZERO、セブン、稔、片谷、大野、バニー

<入場順>
パンダちゃん!、2.ヴィラン・ザ・マスク、3.友龍、4.仲川翔大、5.海和択弥、6.雷電、7.ケン・片谷、8.後藤恵介、9.ウルトラセブン、10.田中稔、11.ワイルド・ベアー、12.大野“ワイルド”翔士、13ワイルドZERO、14.ワイルド・バニー、15.ワイルド・コモン

 ロイヤルランブルの参加メンバーの中には、個人的にもとても懐かしい選手がいました。
 それは、ワイルドセブンと因縁浅からぬ“セブンの本家”ウルトラセブン選手です。公表されているので、ここでもあえて書かせていただきますが、ウルトラセブンの正体はかつて国際プロレスや全日本プロレスでご活躍された高杉正彦さんです。

 高杉さんとはおよそ20年前、当時北海道を中心にサーキットをしていた『アジアン・プロレス』で初めてご一緒させていただきました。
 デビュー間も無いオイラは、中学生の頃からテレビや会場で観ていた選手を間近にしてとても緊張していたことを覚えています。
 リング上での対戦を通じての経験に加え、巡業中の何気ない会話や動向、プロレスラーとしての立ち振舞いなど新人にとっては勉強になることばかりでした。
 また、そのご縁を機に高杉さんからIWAジャパンプロレスを紹介していただき、そこでも長い間ご一緒させていただきました。

 高杉さんは“現存する国プロ最後の現役レスラー”と称されることがあります。
 1981年8月に崩壊した国際プロレス。崩壊から40年という年月を経て、ほとんどの選手は引退または他界されています。引退宣言をしていない“自称現役選手”はいるものの(誰とは言いませんが…笑)、実際にリングに上がり続けているのはついに高杉さん只一人となってしまいました。
 今回も短い時間ではありましたが、控え室でマッハ隼人さんの近況や、グレート草津さんの逸話など貴重なお話を聞くことができました。

 懐かしい顔ぶれから、初めて顔を合わせる若い選手まで、どれもヤミキさんとワイルドセブンさんが引き合わせてくれたご縁で繋がっています。
 きっと、お二人も目を細めながら会場のどこかから観戦してくれていたことでしょう。

 ヤミキさん、ワイルドセブンさん、どうかこれからも天国からプロレス界を見守っていてください!

UEW2021 巣鴨・闘道館大会参戦

 HERO28新木場大会から一夜明け、この日はサバイバル飛田選手率いる『UEW2021』でした。

 飛田選手とももう長いお付き合いです。『埼玉プロレス』の時代からよく声を掛けていただいていました。
 飛田さんの興行といえば、社会風刺的な怪人が登場することで知られています。今だから話しますが、オイラもよく怪人をやりました(笑)。

 この日オイラは第1試合に出場しました。飛田さんの興行にしては珍しく(?)、いたって普通の試合形式です。
 相手は初対戦のZIMA吉田選手。初めてなので、未知の選手ではあるのは当然なのですが、試合が終わってもよくわからない印象のままでした(笑)。
 ベース(格闘技歴)は何なのか? 何を目指そうとしているのか? 肌を合わせていてもちっとも伝わってくるものがありません。ハッキリ言って、少なくともお金を払って足を運んでくださっているお客さんにお見せできるレベルのものではないです。

 相手の出方を探るため、寝技、立ち技、色々と試しましたが、こちらが危ないと思う場面は一度もありませんでした。
 最後はバックドロップのあと、完全に相手の両肩がマットに着いた形となったので、そのまま強引に押さえ込んで結果的にバックドロップホールドのフィニッシュとなりました。

■ UEW2021
日時:5月30日
会場:巣鴨・闘道館

【試合結果】

<第1試合 時間無制限1本勝負>
○ケン・片谷(12分45秒 バックドロップホールド)ZIMA吉田●

 どうも、最近こういう選手が増えてきているような気がします。プロレスがやりたいのか? 総合格闘技がやりたいのか? 全くわかりません。
 ひとつだけ間違いなく言えるのは『プロレスも総合もそんなに簡単じゃないよ』ということ。見様見真似、付け焼刃でできるようなものでは決してありません。
 オイラだって長いことこの世界でお世話になっていますが、いまだに迷うことばかり。日々勉強です。中途半端な気持ちでやっていても怪我をするだけ。一歩間違えば命だって落としかねないのです。

 そういった意味では、初心に還るきっかけを作ってくれた試合となりました。オイラもあとどれくらい現役を続けられるかわかりませんが、常に初心を忘れずに大切に試合をしていきたいと思いました。

 吉田選手にはハッキリと言っておきます。お客さんの前で試合をするのはもう止めなさい!

 全試合終了後、今回もサプライズがありました!
 予定には無かった全選手参加のバトルロイヤルが急遽行われることになったのです(いつものことか…笑)!

 狭い会場でもみくちゃになって乱闘する恒例のバトルロイヤル。お客さんも巻き込んでの大騒ぎです!
 逃げ惑うお客さん。飛田さんからは『物を壊すなよぉー!』という怒号が飛びます。主催者の立場からすると、会場の備品やパイプ椅子を壊して、後から請求が来るのが怖いのです!

 最後は、今大会最年長の326選手が優勝! 大会を締めてくれました。

 かくして怒涛の東京2連戦が終了しました。
コロナ禍で、そもそも試合数が激減している中、オイラ自身久しぶりの連戦でした。体はキツいけど、まだまだイケるなという確信を得ることもできました。
これから暑くなりますので、益々コンディションに注意しながら少しでも長く現役を続けていきたいと思います。

この二日間、たくさんの方に会場に応援に来ていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
これからもよろしくお願いいたします!


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