[ファイトクラブ]NEVER GIVE UP!棚橋よいまひとたびコロナに沈むプロレス会場を照らす光となれ

[週刊ファイト5月6日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼NEVER GIVE UP!
 棚橋よいまひとたびコロナに沈むプロレス会場を照らす光となれ
 photo:佐々木良和 by 猫山文楽拳
・いまプロレスを生で見れるということがこんなにも切ない
・NEVE棚橋の生きざまにコロナに打ち勝つ最大のヒントがある
・プロレスとパンデミックの抗争が始まる
・プロレスファンよいまこそプロレスを全力で支援するとき


 集団免疫とは?ある感染症の免疫を多くの人が持つことにより、その集団内における感染拡大が抑え込まれる状態のことを言う。
 単純明快なことだが免疫を持つ人の割合が高ければ高いほど、感染拡大のペースは落ちる。この集団免疫を獲得する方法として考えられる最短の方法はワクチン接種ということになるのだが、変異株の出現、ワクチンそれ自体への実証データ不足等からして、集団免疫をいつになったら獲得出来るかまるで見えてこないのが現状。
 加えて集団免疫を獲得できたからといって、感染流行が収束するというわけではないとする説もある。
 立命館アジア太平洋大学学長はパンデミックの終息を予測していくにあたり、人類の歴史と世界情勢及びファクト・ロジックによりトライアンギュレーションを行い検証していく必要性があると説く。
 歴史上のパンデミックを例にあげると近年一番驚異とされたのは2014年のエボラ出血熱だ。1976年に最初の流行が確認された。発症はコウモリからとされ体液で人から人へと感染、致死率が高く、1万1000人以上が死亡。封じ込めにより終息宣言が出されたものの現在も感染者は発見されている。
 
いまプロレスを生で見れるということがこんなにも切ない
■ 新日本プロレス Road to レスリングどんたく 2021 香川大会
日時:2021年4月24日(土)18時30分
会場:香川・高松市総合体育館・第1競技場(観衆673人・主催者発表)

 記者が新日本プロレス香川大会会場に足を運んだその日、4度目の緊急事態宣言が東京、京都、大阪、兵庫に再び発令された。
 ここ香川県における新型コロナウィルスの感染者数は関東関西に比べればはるかに少ない。だがその数はじわじわと増えつつある。
 試合開始前記者のスマホにもいくつかのプロレス大会中止決定の連絡が入ってきた。
 会場を見渡せば、座席間のスペースを広く取り大幅に座席数を減らしての開催。中止になったらもっと厳しいが開催をしてもこれでは赤字だ。
 それでも選手は精一杯最高のエンターテイメントプロレスを披露してくれる。
 棚橋がコーナートップにあがる。まるで東の地平から太陽が昇ってきたかの如き明るさでうどんの国を照らす。
 当代きっての選手10人が豪華に入り乱れたセミファイナル観衆が拍手であおる。選手たちはリングの内外で暴れまわる。柵の外には出ていけない。観客も声援を送れない。それでもそのことさえ忘れるほどの賑わいと情熱を選手と見守る観客との両方から感じとることができた。
 試合中も胸ポケットのスマホがイベントの中止決定、延期の連絡と思われる振動に揺れる。再び厳しい状況が訪れるのだということが容易に想像がつくなかいまプロレスを生で見ることが出来るということがこんなにも切なくかけがえのないことかを皮膚感覚で体感させられた。
 日常が非日常を凌駕する世の中になってしまった。
 記者の脳裏にふいに1991年1月17日の日曜日の朝のことが思い出された。
 いつもと変わらぬ穏やかな日曜日の朝、いつも通りラジオのスイッチを点けJ-WAVEに合わせた。
 だがその朝はジョン・カビラのグーーーーッモーニングシャウトはなし。少しの沈黙のあと流れてきたのがジョン・レノンのイマジンだった。
 アメリカ軍が率いた多国籍軍がイラクの空爆を開始した朝、湾岸戦争ぼっ発の朝だった。
 楽しみを奪われいつ流れ弾に当たって死ぬかもしれない恐怖にさらされながら震撼として生きるいまのありさまはまるで戦時下だ。
 皮肉なことにアメリカの新型コロナウィルスの死者は、2020年9月の時点でアメリカが関与した5つの戦争(韓国戦争、ベトナム戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争、湾岸戦争)の死者数をすべて合計した数の2倍以上に上る。

 記者はプロレス会場でクラスターが発生したという話をこれまで聞いた覚えがない。
 選手、関係者スタッフがどれだけ神経を遣って感染予防に努めているかをこの目で見てきた。
 身内が昨年まで仕事をしていた劇場は本当に悲惨で、決まっていた公演はことごとく中止に。食えなくなった役者がコンビニで働きだしたと聞いた。劇場が長期休館となればそこで働く人々も自宅待機ということになる。身内はそれが半年に及んだ時転職を決意した。
 開けたとしても座席数を大幅に減らさねばならない。当然の理として劇場は赤字を抱えることになる。開けても開けなくても、地獄には変わりない。
 雀の涙の補償金しか支給されないでただ自粛しろでは、幕を開け続けたいがためにコロナ予防に必死になって消毒作業に勤しんできた彼らの努力がまるで報われない。
 飲食店にしたって、集まるのが良くないのだとしたら深夜の牛丼屋より昼間のファミレスのがよほど若者や親子連れで賑わっているのではないか。飲食店より遥かに密な通勤時間帯の駅構内や通勤電車はどうなんだ。
 この国は非常時の対処がいつも場当たり的だ。結果最悪の結果を招く。
 Go Toキャンペーンが3・11福島第一原発事故後の食べて応援キャンペーンに酷似していると感じたのは私だけか。
 意図して拡散して国民全体にまんべんなく広がってしまえば、国としての保障のしようがなくなる&しまいには元凶すらも適当にごまかせるといった「戦略」が見え隠れする。
 東日本大震災前後にかけて仏教寺院で仕事していたから良く記憶しているが、壇徒の死因のほとんどは糖尿病の悪化や、高血圧の人の脳卒中、過労死または老衰で、白血病や癌で亡くなる人は稀だった。
 原発事故を境に癌が爆発的に増加していったのだがそうこうするうちいつしか「癌は日本人の国民病です」とメディアが言いだした。
 そもそも初動が適切だった国はとっくに収束をみてすでに通常の生活に戻った。迅速に海外旅行者を遮断してロックダウンを開始。もちろんのことその間迅速に必要十分な額の保障金を支給。見事というよりも国民を護るために国家として当たり前のことをして対処しただけのこと。
 日本はもはや手遅れだしやり方を改めない限りずさんな対策を繰り返したところでコロナが納まることはないから日本国民が普通の生活を取り戻すのは何年も先のことになるだろう。
 それゆえそれがために記者はプロレスをはじめとしたエンターテイメントの開催を中止すべきでないと、いまこそ声を大にしてあえて強く訴えたい。
 4・24第新日本プロレスRoad To第レスリングどんたく香川大会第2試合に出場した鈴木みのるは2011年3月11日全日本プロレスの試合に参戦するため宮城県内のバスの車中にいた。試合は中止となり数日かけて横浜の自宅に帰宅した。

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