[ファイトクラブ]継承!ドン・タッカー魂の灯は消えず がむしゃらプロレス~前提万里~

[週刊ファイト4月29日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼継承!ドン・タッカーの魂の灯がむしゃらプロレス~前提万里~
 text & photo by 猫山文楽拳
・がむしゃらの顔は俺!新生がむしゃら舵取りを賭けた副代表対決
・メインイベント28分21秒の死闘を制したのは王者陽樹!
・先輩の胸を借り足を取られる HAGGERデビュー戦
・プロレス式歓迎を全身で受け切ったKENZOデビュー戦
・電撃引退式そしてドン・タッカーの魂は死なず


 2020年8月、北九州の社会人プロレス団体がむしゃらプロレスの創始者であり代表なおかつ選手でもあったドン・タッカー矢野さんが43歳と言う若さで逝去された。
 昨年11月福岡門司赤煉瓦プレイスで開催された故人を偲ぶ追悼トークイベントの参加者にフリーダムズの代表佐々木貴選手の姿があった。
 「リングの上にあがったら、社会人もプロの選手も、プロレスラーです」

社会人の選手を前に、きっぱり言い放った。
 私はこれを聞いて、内心に抱えていたもやもやがほどけた気がした。
 プロレスを生業としていないからといってプロの選手に対しての謙遜と差別化のために素人であることを前置くのだとしても、プロの選手としてはままごと遊びや真似事感覚でリングに上がっては駄目ですというアンチテーゼの裏返し的な意味合いが込められているように思えた。
 がむしゃらプロレスは過去にフリーダムズとの交流戦も行っている。
 企画をされたのはもちろんドン・タッカー氏。
 実は社会人団体でプロのプロレスラーと社会人選手を対戦させるのはかなり珍しいケースで、賑やかしに有名なプロの選手を招いたとしても、社会人選手とは一線を引きカードを分けて組むのが普通のようだ。あるいは徹底している団体はプロの団体を仕事で撮りまくっているプロレスカメラマンもNGなのかもしれない。
 社会人というくくりに徹するという「拘り」に基づいているのだと推察するが釈然としない。もやもやしていたところを、佐々木選手の一言が一刀両断してくれた。
 そうなんだよリングのあるところはどこも等しく戦場なんだから。ひとたび戦場に立たされて自分はプロの兵士じゃないんでとかなんとか言ったところでじゃあお前なんでフル装備して戦場に立ってるんだよとなる。
 ドン・タッカー氏が、社会人団体で、ある意味タブーとされてきた(かどうかはっきりとは不明)社会人選手とプロのプロレスラーの交流戦をなぜ行ったのか。本人に直接伺ってみたかった。
 あくまでも推察になるが、前述の佐々木選手の言葉に真意のヒントがあるように思った。
 リングに上がってプロレスをするということその覚悟を体に覚えて欲しかったのではないか。
 
 なにを隠そうこの追悼イベントが、私自身にも真似事を言い訳にする逃げ道を断って今一度記者としてプロレスと向き合う決意を固めさせてくれた。
 
 2021年4月18日がむしゃらプロレスは新たなる一歩をまっすぐに踏み出した。

 本来2月14日に開催が予定されていたのだが新型コロナウイルス感染者数増加に伴い順延となっていた。
 本大会は、他団体から選手を招聘せず所属選手のみでカードが組まれ、このことからも危機を一丸となって乗り越えていこうとの団体の選手たちの並々ならぬ意気込みが感じられた。
 創始者から託された思いを継いだ者たちは道がどんなに険しかろうとも、立ち止まるわけにはいかないのだ。
 
 がむしゃらの顔は俺!新生がむしゃら舵取りを賭けた副代表対決
■ がむしゃらプロレス GAMSHARA NEW YEARS DASH~前提万里~
<第3試合 副代表対決シングルマッチ>
●鉄生
12分32秒
○トゥルエノ・ゲレーロ




 本大会眼目のシングルマッチ、新生がむしゃらプロレス副代表対決。
 がむしゃらプロレスの新代表であるSMITH選手が組んだのが副代表同士のシングルマッチ。
 SMITH選手曰くかみあわないどころかいがみあうふたりをそれならばと組んでみたそうな。結果大正解。我こそはがむしゃらプロレスの顔との自負と自信があるふたりそれぞれに手技を繰り出し激しくも火花散るプロレスを見せつけてくれた。

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