KUSHIDAからカイル・オライリーxピート・ダン至宝戦、トニー・ストームxリア・リプリーまで充実NXT

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 中身の質で勝負してきたNXT回だった。試合カード冒頭はKUSHIDAがバンテージにマジック書きした時計をセットするところから。そこからトマソ・チャンパ親父のカードも必見作だったし、壮絶ハシゴ戦の激闘記憶が冷めてないまま、今度はストロング・スタイルでのカイル・オライリーvs.ピート・ダンが至宝戦に。番組トリを飾るトニー・ストームvs.リア・リプリーの名勝負数え歌もあり、中身充実の2時間になった。
 平均視聴者数はAEWに関してなら特番に続けてシャキール・オニール投入と、大攻勢をかけた前週からだと約19万人減(-19%)の806,000に対して、NXTは約10万人増(+16.2%)となる766,000のデータ記録が計上されている。AEWは予想範囲内のことだが、NXTは2時間番組の興味が持続したことに他ならない。


 そのKUSHIDA、前NXT北米王者レオン・ラフと組んで、師弟コンビになったジョニー・ガルガノ&オースチン・セオリーとのタッグなのだが、試合デザインは「まぐれで王者になった無名」のラフがボコボコにされる展開で、コーナーから飛んでも受けて貰えずフロアーに叩きつけられるといった酷い扱いにされる主旨のもの。しかし、先発を買って出たKUSHIDAが、次世代スターにせよ現時点の番付では若造のセオリーを軽んじてあしらうかのように、寝技の攻防でクルクル回って返していく進行が非常にクールだ。アグレッシブなスタイルにキャラ変更してからのKUSHIDAは持ち味を発揮している。また、オースチンが必殺アタクシアをラフに見舞うケツなんだが、相手が軽いこともあるにせよとても鮮やかだった。見栄えがする技である。


 満点の出来具合だったのは、キャリア15年が強調される番組初登場のタイラー・ラストを、トマソ・チャンパが迎え撃ったカードだ。相手の良さを引き出しつつ、職人芸を繰り広げるチャンパ親父に感服する。必見カードだと推薦しておきたい。

 そもそも試合開始前、花道に椅子を置いてティモシー・サッチャーの「キャッチ教室」Tシャツをかけ、抗争継続を呼びかけていたチャンパ。ウィローズベルを決めて勝利後もサッチャーとやり合っていた。


 NXT王座挑戦者決定戦と題されたカイル・オライリーvs.ピート・ダンは、尺もたっぷり貰ってお互い痛めつけあうバチバチの闘いに。

 百聞は一見に如かずであり、WWEネットワークは有料の価値ありとしか形容のしようがない闘いは、オライリーのダイビングニードロップで決着。三週間後になる現地時間1月6日、いよいよ顎を砕いて欠場に追いやったフィン・ベイラーとの再戦になる。


 ガルガノ家に加わったことで売り出し中のインディ・ハートウェルは、ショッツィ・ブラックハートとのシングル戦を組んでもらえた。トロフィーで殴ったから反則裁定ではあるのだが、なんかショッツィが負けてしまった印象が残る。ハートウェルはまだまだグリーンではある。


 リング本格復帰となるキャリオン・クロスは無名選手をスクワッシュ。三週間後にはダミアン・プリースト戦が正式発表された。Tik, Tok…


 番組トリはトニー・ストームvs.リア・リプリーの、NXT UKまでフォローされているユニバースにはUK女子王座を巡る因縁の抗争カードとなった。

実況が「女子部門、世界最高峰!」を謳うまでもなく、女子カードがメインを任されたのだから悪かろうはずもない。激しい攻防となり最後はラケル・ゴンザレスのちょっかいが絡んでストームゼロが決まる。リプリーをなぜプッシュしないと、結末に不服の向きがあるようだが焦ることはない。ここは米国移住の決断をしたストームの勝利で良かったのだ。

■ WWE NXT
日時:12月16日(現地時間)
会場:米フロリダ州オーランド キャピタル・レスリング・センター

◆KUSHIDAが北米王者ガルガノと初対決もタッグ戦で無念の敗退

 連勝をキープしているKUSHIDAが細身・若手レオン・ラフのパートナーに名乗り出てNXT北米王者ジョニー・ガルガノ&オースチン・セオリーとタッグ戦で激突したが、ラフがセオリーにアタクシアを決められて無念の敗戦となった。KUSHIDA対ガルガノで試合がスタートするも、ガルガノがすぐセオリーに交代して心理戦を仕掛けるとKUHSIDAはグラウンドで圧倒してセオリーのお尻を叩いて挑発する見せ場が素晴らしい。
 中盤にはラフが捕まって防戦となるとガルガノ&セオリーがラフにダブルスープレックスを狙ったところをKUSHIDAが助けて、逆にダブル・ドロップキックで反撃。続けてKUSHIDAがハンドスプリング・ニールキックをガルガノに放つと、ラフもトップロープからのトペ・コンヒーロを繰り出して攻め込んだ。

 終盤にはKUSHIDAがマサヒロ・タナカをセオリーの顔面にヒットさせれば、ガルガノがスーパーキックで反撃して白熱の攻防を展開するも、ラフがクルシフィックス・ボムをガルガノに決めると、これをカットしたセオリーがそのままラフにアタクシアを叩き込んで3カウント。連勝をキープしていたKUSHIDAがタッグ戦ながらも無念の敗戦を喫した。


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