デスペラードとヒロムの10年物語はG1超熱狂 “いちばん延びた”BOSJが全部持っていく 新日本武道館

 11日、新日本プロレスが『WORLD TAG LEAGUE 2020 & BEST OF THE SUPER Jr.27』優勝決定戦を日本武道館にて開催した。

 メインは『BEST OF THE SUPER Jr.27』優勝決定戦としてエル・デスペラードと高橋ヒロムが対決する。デスペラードが反則まじりのテクニックでヒロムを追い込めば、ヒロムは気迫とダイナミックな技で対抗していく。悪と正義のコントラストは勝敗を読ませず、お互いのキャラクターが世界観を奪い合う好勝負としてファンに刻まれる予感がした。

 ところが状況が変わる。ヒロムがデスペラードのマスクを破ると、デスペラードの素顔の一部が露出した。これを受けてデスペラードは自らマスクを全脱ぎ。マスクマンになる前のあの男の素顔が露出する。するとどうだ。悪と正義の図式が至極の真っ向勝負へと一転。表情がなかったところからの180度チェンジなのだから感情がダダ漏れとなる。

 10年前のヒロムのデビュー戦の相手は、他ならぬデスペラードである。10年物語の清算はすべてをさらけ出すことなしには達成されない。技のみならず心底までの感情がぶつかり合う。ややこしいロジックを全て吹っ飛ばし、ファンの頬を涙が濡らした。介入・反則に染まったコロナイヤーの新日本メイン戦線の反動もあって、目の前の優勝決定戦に心からのカタルシスを得たのだ。

 まさに異変とも言っていい試合に、レスラー仲間も異色ツイートを重ねる。

 試合を制したヒロムだったが、マスク破りは反則ではないかと指摘するファンがいた。感情を押し殺したマスクマンが試合途中で感情全開させてしまっては、観る側は対処できないのだから・・・もちろん反則である。2020年には延期したもの、予定通り行われたもの、いろいろあった。その中で6か月という“いちばん延びた”BOSJが全部を持っていく。BOSJの感動が明確にG1を超えたことは、コロナイヤーの異変のひとつとしてプロレスファンの記憶に一生刻まれそうだ。

 
■ 新日本プロレス WORLD TAG LEAGUE 2020 & BEST OF THE SUPER Jr.27
日時:12月11日(金)18:00
会場:東京・日本武道館 観衆3564人(主催者発表)

<第1試合>
石森太二
バッドラック・ファレ
○チェーズ・オーエンズ
  5分53秒 グラネードランチャー
●ロビー・イーグルス
SHO
矢野通

<第2試合>
グレート-O-カーン
ウィル・オスプレイ
○ジェフ・コブ
  10分45秒 ツアー・オブ・ジ・アイランド⇒片エビ固め
●トーア・ヘナーレ
棚橋弘至
オカダ・カズチカ

<第3試合>
SANADA
○鷹木信悟
  4分58秒 ラスト・オブ・ザ・ドラゴン⇒片エビ固め
●高橋裕二郎
EVIL

<第4試合>
マスター・ワト
○飯伏幸太
  10分06秒カミゴェ⇒片エビ固め
●BUSHI
内藤哲也

<第5試合/ダブルメインイベントI 「WORLD TAG LEAGUE 2020」優勝決定戦>
[リーグ戦2位チーム]
タンガ・ロア
○タマ・トンガ
  22分15秒 スーパーパワーボム⇒エビ固め
●ジュース・ロビンソン
デビッド・フィンレー
[リーグ戦1位チーム]
※タマ&タンガが『WORLD TAG LEAGUE』初優勝

<第6試合/ダブルメインイベントII 「BEST OF THE SUPER Jr.27」優勝決定戦>
[リーグ戦2位]
○高橋ヒロム
  30分14秒 TIME BOMBII⇒片エビ固め
●エル・デスペラード
[リーグ戦1位]
※ヒロムが2年ぶり2度目の『SUPER Jr.』制覇


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