NXT紫雷イオ世界最高峰戦リア・リプリー!幕切れフィン・ベイラー復帰

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 先週のNXT北米王座戦で棚ボタ戴冠となった無名の細身(ほそみ)黒人リオン・ラフから。紹介ビデオも流されている。あとで気が付いたことだが、次世代スター候補オースチン・セオリーは大物相手に負けが込んでいて、「もう辞めてやる」と捨て台詞残して番組から消えている段階なのだが、そのセオリーが唯一勝ったのがjobberリオン・ラフだったとの伏線があった。シリアス路線のNXTによるこの無名戦士戴冠コメディ、どう落とし前つけるのかは確かに楽しみではある。これを冒頭の掴みにしたのは正解だろう。

 恐らくは線が細すぎるとの理由から番組に出して貰えなかったのだろうが、リオン・ラフが実力者なのは明らかだ。そして再戦に臨んだジョニー・ガルガノがセールしまくるのである。ライト層も、リオンが逸材だと悟らせていく試合デザインだ。

 無論、ダミアン・プリーストが絡むことでリオンがカウントアウト負け。しかし王座は防衛となるんだが、普通にガルガノとプリーストの交代劇を繰り返しても面白くないから、リオン・ラフの起用はうまくやれている。この手があったのである。


 続くキャメロン・グライムとデクスター・ルミスの目隠し戦も、コメディその2と言えなくもないが面白ければ文句はないんであって・・・。

 お約束でレフェリー=ドレイク・ヤンガーが殴られたりの展開だが、比較的早く両雄ともフードを脱いでしまう。実況のべス・フェニックスは「目隠し戦を余りやらないのはケガや事故になるリスクがあるから」とガチなコメントやってた。試合は短いものでうやむや決着というか、恐らくノーコンテスト扱いなのだろうが、重ねて笑えたから良しなのだ。


 キャンディス・レラエ&インディ・ハートウェルとケイシー・カタンザーロ&ケイデン・カーターの女子タッグ戦も。相手が小さいこともあるが、キャンディスと並んでもインディは結構身長あるというのが第一印象か。

 ケイデンが上手いとの展開デザインはあるが、ケツは最小ケイシーがフォールされる役でなくキャンディスのウィッキド・ステップシスターでケイデンが3カウントされている。やや番組中の弱いカードだったか。


 KUSHIDAとブラジリアン柔術の猛者アルトゥーロ・フアス戦詳細は以下に譲るが、KUSHIDAはプッシュされている。


 トニー・ストームが一旦休戦でラケル・ゴンザレスと組み、エンバー・ムーンとダコタ・カイ組がヒールなのかベビーフェイスなのか、組み合わせが不思議な女子タッグ戦も。

 試合はトニーがダコタを丸め込むんだが、当然先のタッグ戦を終えたキャンディスとインディが出てきて、エンバーもトニーもみんなやられるフィニッシュ絵にしていた。


 ティモシー・サッチャー先生のキャッチ教室から、反抗していた生徒オーガスト・グレイを試合でフロントチョークに極める。ただ、トマソ・チャンパ親父が出てきて次の対戦となりそうだ。


 ダミアン・プリーストのシングル戦が組まれているという設定だったのだが、誰が来るのかと思っていたらジョニー・ガルガノがシャツ姿のまま決斗を始めて、それにリオン・ラフも加わると。試合とは言ってなかったと思うんだが、まぁ抗争が続くんです。


 紫雷イオvs.リア・リプリーは、ただただWWEネットワークでじっくり見てくださいとしか。女子プロレス世界最高峰の激しい闘いを堪能することになる。リアは耳をガチ流血、最後は実況席テーブルにイオがリアを叩きつけてガシャン。弱ったリアがなんとかカウント内にリングに戻るも、そこにトドメのムーンサルトというフィニッシュだった。

 本誌の予想とは違ったんだが、女子だけのPPV大会『エボリューション』が結局今年はナシとなり、ということはリアが今週のSmackDownに出てくる、『サバイバーシリーズ』でも台風の目になるということだろう。逆にイオは、NXT王者を続けるほうが制約の多い一般向き番組に出るより、こっちのほうが自身を表現できるという道を選んだことになる。女子プロにうるさいNXTユニバースとしては、正解の道筋であろう。


 女子王座戦が王者の防衛という結末だったので、番組としてのトリがフィン・ベイラーの復帰顔見世に。ここにパット・マカフィーのキング軍が出てくるだけでなく、久しぶりにアダム・コール以下4人揃ってのアンディスピューティド・エラも乱闘に加わりというエンディングであった。


 ただ、女子王座戦の前にフィン・ベイラーの登場をアナウンスするのはいかがなものか。大人のファンは昨年のリア勝利のセレブレーションがないことを事前に悟らせてしまっている。その点を除けば2時間番組、今週も充実していたことは総括しておくべきだろう。

■ WWE NXT
日時:11月18日(現地時間)
会場:米フロリダ州ウィンターパーク キャピタル・レスリング・センター

◆「さらに一歩前進」KUSHIDAが格闘家フアスを撃破して連勝!

 好調をキープするKUSHIDAがNXTでアルトゥーロ・フアスとシングル戦で激突した。グラウンドの攻防からフアスがKUSHIDAの左腕を捻り上げて集中攻撃すると、KUSHIDAはチョップ3連発からドロップキックや延髄切りを放って反撃。中盤には今度はKUSHIDAが左腕を捻ってストンプ攻撃を放てば、フアスも延髄切りでやり返して激しい応酬を展開した。

 終盤、KUSHIDAが飛び付きホバーボードロックで捕まえると、フアスもこれをニー・バーで切り返したが、最後はKUSHIDAがブリッジで押さえ込んで勝負あり。KUSHIDAはベルベティーン・ドリーム、トマソ・チャンパ、キャメロン・グライムスに続き、今回フアスを撃破して連勝すると「今日もさらに一歩前進した! 僕にチャンスが来ているぞ」とツイッターに投稿した。

◆「これはまだ私の物だ」紫雷イオがリアとの“新旧王者対決”制して王座防衛

 王者紫雷イオが死闘となった元王者リア・リプリーとの“新旧王者対決”を制して王座防衛に成功した。スピードに勝るイオがドロップキックで先制すると、リアも持前のパワーでショルダータックルやイオをエプロンに叩きつけて女の意地がぶつかる激しい攻防を展開。中盤にはリアが必殺のプリズムトラップ、イオもアーム・バーで相手を追い詰めるもお互いロープエスケイプで回避すると、イオが掌底アッパー3連打から619やミサイルキックと連続攻撃を決めたがカウント2。続けてイオはリップタイドを狙うリアにDDTを決めると、エプロンに回避したリアをサンセットフリップ・パワーボムでそのまま解説席に叩きつけた。

 これでリアが大ダメージを負ったものの辛うじて場外カウント9でリングに戻ると、待ち構えていたイオが止めのムーンサルトを叩き込んで3カウント。

 試合後、王座防衛に成功したイオはリアと握手とハグを交わしてお互いを称え合うと、「試合はかなりタフだったが、これはまだ私の物だ」と王座ベルトを抱えた写真をツイッターに投稿した。

◆アンディスピューテッド・エラ対マカフィー軍「NXTテイクオーバー:ウォーゲームス」決定

 元NFLスーパースターのパット・マカフィー軍団と抗争を展開するジ・アンディスピューテッド・エラの対決が「NXTテイクオーバー:ウォーゲームス」で決定した。NXTエンディングに負傷欠場していたNXT王者フィン・ベイラーが登場して「前回NXT王座を防衛したが、顎を骨折してしまった。顎に3枚のプレートを入れてここに立っている」と欠場していた理由を告げた。すると今度はベイラーの話を遮るようにマカフィー軍団(with ピート・ダン、オニー・ローカン、ダニー・バーチ)が現れると「お前が休んでいる間にブリザンゴを潰して今は俺たちがタッグ王者だ。お前の顎を破壊したアンディスピューテッド・エラも俺たちが潰したぞ。お前はそのベルトを俺らに渡すか、他の奴らのように俺たちに潰されるかだ」と4人でベイラーを取り囲んで2択を迫った。
 これにベイラーは「猫不在でネズミが少し暴れていただけだろ。でも猫は戻ってきたぞ」と言って反発すると、このタイミングで姿を現した因縁のアンディスピューテッド・エラがマカフィー軍団に襲い掛かって大乱闘を展開。8人が入り乱れた殴り合いを展開したが、最後にウィリアム・リーガルGMが登場すると「どうなるかわかっているだろ? ウォーゲームスだ」とNXTテイクオーバーで両チームの対戦を決定した。アンディスピューテッド・エラ対マカフィー軍団が激突する「NXTテイクオーバー:ウォーゲームス」は日本時間12月7日にWWEネットワークで配信される。


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▼スターダムとNXTの女子革命2020-メイウェザー?-映画とプロレス考

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