昼・夜二部大会『REBELS.68/REBELS.69』夜の部 引退セレモニー中村広輝インタビュー!対戦カードも順次発表!

 2020年12月6日(日)に後楽園ホールで行われる「REBELS.69」にて引退セレモニーを行う、中村広輝のインタビューが届き、対戦カードも一部発表された。

中村広輝(なかむら・ひろき)
所  属:赤雲會
生年月日:1985年9月20日
出  身:沖縄県那覇市
戦  績: 42戦24勝(18KO)16敗2分
タイトル:全沖縄ライト級王者、OMAFライト級王者、LEGENDライト級王者、TENKAICHIスーパーライト級王者

【REBELS全戦績】10戦5勝(4KO)4敗1分
「REBELS.23」2014.1.26有明 △判定 UMA(K&K)
「REBELS.26」2014.4.20有明 ○判定 小宮由紀博(スクランブル渋谷)
「REBELS.28」2014.7.25後楽園 ●判定 UMA(K&K) ※REBELS 65kg級王座決定戦
「REBELS.31」2014.10.26有明 ◎KO3R ひろき☆感激!!(エスジム)
「REBELS.32」2014.12.23新宿 ◎KO2R カノンスック・ウィラサクレック(タイ)
「REBELS.37」2015.7.12有明 ◎KO2R 水落洋祐(はまっこ)
「REBELS.39」2015.10.18有明 ●TKO3R 憂也(魁塾)
「REBELS.41」2016.3.9後楽園 ●KO1R 山口裕人(山口道場)
「REBELS.47」2016.11.30後楽園 ◎KO1R 吉田敢(ゴールデングローブ)
「REBELS.51」2017.6.11後楽園 ●判定 水落洋祐(はまっこ) ※REBELS 65kgタイトルマッチ。年間ベストバウト受賞

【現役ラストマッチ】
「TENKAICHI93」2019.3.24沖縄 ●判定 リュウイチ(K-Style)

◇「REBELSは自信を与えてくれたリングでした」
沖縄を代表するハードパンチャーとしてREBELSのリングで活躍した中村広輝が、15年に及ぶキャリアに終止符を打ち、12・6「REBELS.69」のリングで引退セレモニーを迎える。勝っても負けても場内を大いに沸かせ、REBELSでは10戦5勝(4KO)4敗1分という戦績を残しタイトルマッチにも2度出場した。惜しまれながら最後のリングに立つ彼に、REBELSでの試合を中心にキャリアを振り返ってもらった。

──昨年3月、沖縄での一戦が最後の試合ということになりました。最後と決めての出場だったんでしょうか?

中村 「そろそろ終わりかな」という気持ちもあったし、最後に沖縄で試合して、少しでも周りでサポートしてくれる人たちに見せたいなという気持ちもありました。

──最後にしようと思うに至ったきっかけというのは?

中村 Krushの王座決定トーナメントに出た時(2018年3月)に「ここが自分の山場だ」と思っていて、ここで勝ち上がればもっと上に行けるかなという気持ちがあったんですが、1回戦のFUMIYA戦で激しくやられてしまって、そこで心が折れた部分もけっこうあって、「ここで終わりかな」という気持ちになったんだと思います。

──今年9月にブログで引退を表明されて、12月の「REBELS.69」のリング上で引退セレモニーが行われることになりました。
中村 引退を表明したら山口元気さんから「引退セレモニーをやりたい」というご連絡をいただきました。自分の中で、沖縄や九州ではベルトを獲れたんですが、東京の方で名前を残せなかったという無念があったんですね。それがセレモニーをしていただけるということで、一つの節目になるのかなと思ってありがたかったですし、すごく感謝しています。ベルトを獲るというのも一つの目標だったんですが、こうしてセレモニーをやっていただけるということでベルトと同じ価値をいただけたような気持ちで、自分の中で一つ胸を張れたので、うれしく思っています。自分がやってきたことの証なのかなと。

──REBELSでは2014年1月「REBELS.23」でのUMA戦から参戦して、10戦を戦いました。キャリアの中でもREBELSが主戦場になった印象ですが、最初はそうなると予想していなかったですよね?

中村 そうですね。出させてもらってありがたいというぐらいの気持ちだったので、「ここで何かを残そう」とかいう意識ではなくて、とにかく1戦1戦大事に試合していたというイメージですね。

──キャリア前半は沖縄や熊本での試合が多く、後半は東京での試合が中心になりました。東京での試合は特別なものでしたか?
中村 最初は沖縄がメインでしたが、だんだんと東京での試合も多くなっていって。REBELSさんは特にホームリングのように迎えてくれて、名前を売ることができたという点に関してはREBELSがあったからこそだと思います。注目してもらうためには東京というのは必要な場所だったので、すごくやる気が出る場所でしたね。沖縄で試合を続けていたらこんなに注目してもらえることはなかったと思うので。

──REBELS参戦以前は「東京では勝てない。沖縄でやるようにうまくいかない」とブログにも書かれていましたが、REBELSでは持ち味を発揮できていたように思えます。

中村 そうですね、うまくハマり始めたのがREBELS参戦の時期だったのかなと思います。本当はもっとシンプルに、殴って蹴って倒せばいいというだけだったと思うんですが、「東京ではもっとテクニックが必要だ」と勝手に思い込んでしまって、固くなってしまってたんですよね。そういうところでちょっと頭が混乱した部分があったんですが、やるべきことが少しずつ明確になって、「自分の持ち味を出せれば勝てるんだ」というのが証明されたのがREBELSのリングだったなと思います。

──REBELSではどの試合も中村選手らしい激しい試合を展開されました。10戦の中でベストを選ぶとすると?

中村 1試合に絞るなら水落洋祐選手をKOした試合(2015年7月12日、REBELS.37)になるんですけど、自分の中では「一番」が3試合あるんですが……。

──ぜひ教えてください。

中村 最初は小宮由紀博選手に勝った試合(2014年4月20日、REBELS.26)ですね。自分の中で「俺、ここでも戦えるわ!」という自信になった試合でした。その次がカノンスック・ウィラサクレック選手をKOした試合(2014年12月23日、REBELS.32)です。当時、所属する赤雲會の事情もあってバタバタしていた中で勝てた試合だったので、これも自分の中で大きいですね。それと水落選手との試合は、生涯の中でもベストKOだったと思うので、この3試合が印象深いですね。

──負けた試合で恐縮なんですが、山口裕人戦(2016年3月9日、REBELS.41)もすごい試合でした。

中村 ダブル・ノックダウンがあった試合ですね。あの時はもうフラフラだったので、自分の中で手応えがあった試合ではなくて(笑)。見てる人は盛り上がったでしょうし、なかなか見られないことが起きてインパクトはあったんだろうなと思うんですけど、自分の中では負けは負けなので。ただ、そうやって人々の印象に残ってくれているんだったらうれしいですね。

──昨年3月のラストマッチも、劣勢になっても最後まで強い攻撃を出し続けていましたよね。そこはキャリアを通してずっと変わらない部分だったと思います。それができた理由というのは?

中村 赤雲會というのは「一発で倒す」ということを教えているジムなので、その一発を信じ切れなくなったら負けなんですよ。なので、最後の最後まで「何があるか分からない」と思わせたいし、常に緊張感を相手に与えたいと思うので、最後の最後までチャンスがあればと思って戦っていました。

──だからこそ、勝ち負けにかかわらず常に強い印象を残した選手だったと思います。

中村 そう思ってもらえるとありがたいですね。

──改めて、自分のキャリアの中でREBELSはどういう存在ですか?

中村 自分の名前を大きくしてもらった団体だし、自分の中でも大きく成長できた舞台でした。自信をくれたリングなのですごく感謝していますし、Krushにも出させていただいたのも、本当に自分のことを思ってやってくれた団体だなと思います。感謝しても感謝しきれないぐらいの舞台だなと思います。東京でのタイトルマッチはREBELSでしかやってないですし、タイトルマッチ2回(2014年7月25日、REBELS.28でのUMA戦《65kg級王座決定戦》と、2017年6月11日、REBELS.51での水落戦)の経験は大きかったなと思います。

──12月6日はいよいよ最後のリングということになりますが、どんな心境ですか?

中村 自分でもまだそれをするということが信じられないでいるんですが、本当に自分のことを応援してくれていた人たちに少しでも感謝の気持ちを伝えられたらいいなと思います。自分は、離れたところにいるせいか分からないですけど、「本当に自分なんかを応援してくれてる人たちがいるのか?」という気持ちもあったりするんですよ、意外と(笑)。だから「こんな自分のためにセレモニーをやってくれるんだ」という驚きの方が大きいので、その人たちに感謝を伝えたいという気持ちは強いです。

──東京のお客さんにもたくさん応援されていたと思いますよ。

中村 沖縄の小さい空手道場……それこそ常設のジムもないようなところから始まったキックボクシングが、こうして引退セレモニーまでしていただけるというのは、自分の中でもすごく誇らしいですし、感謝もしています。ここまで来れたのは絶対に自分一人の力ではなくて、自分のことを応援してくれる人たち、チケットを買ってくれた皆さん、サポートしてくださった企業様のおかげでした。社会に出てからも格闘技をやってこれたというのはそういった方々の支えがあったからこそだと思っているので、その方々に対して感謝の気持ちを込めて、12月6日のセレモニーで自分の姿を見てもらえたらうれしいです。これからは「元格闘家」になってしまいますが、それでも引き続きお付き合いしていただけたらうれしいなと思います。

──ちなみに、今後は格闘技には……。

中村 携われることがあれば。自分のジムの選手をREBELSさんで活躍できるように育てていくこともその一つだと思いますし、格闘技業界には何かしら携わっていきたいと思っています。それこそREBELSさんにも、自分にできることがあればご協力したいです。その気持ちはずっとあるんですけど、沖縄にいるので何ができるのかも分からなくて(笑)。できることなら何かさせてくださいという気持ちです。

──今後はまた違った形でお姿が見られそうですね。長い間お疲れ様でした!

■『REBELS.68/REBELS.69』
【日 時】2020年12月6日(日)
REBELS.68 11:00 開場/12:00 本戦開始
REBELS.69 17:00 開場/18:00 本戦開始
【会 場】後楽園ホール
【主 催】株式会社 Def Fellow
【協 賛】株式会社Tカンパニー 株式会社OFFICE MIRAI 備長炭焼き鳥・駅     
【チケット価格】
 SRS席:30,000円 RS席:20,000円 S席:15,000円 A席:9,000円 B席:7,000円完売 ※当日500円アップ
 ※6歳未満は入場無料(小学生から有料、6歳未満でも座席を必要とする場合は有料
【チケット販売所】
 チケットぴあ 参加各ジム 参加各選手
【チケット発売日】
2020年10月23日(金) 10:00~
ツイキャスPPV配信
配信チケット:5,500円(税込)
※クレジットカード、ネット銀行、ペイジー、コンビニ支払い、Amazon Payなど対応。
※配信日当日のコンビニ支払いは不可となります。
https://twitcasting.tv/kb_knockout/shopcart/39891
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【REBELS.69】

<73.5kg契約 3分3R・延長1R BLACKルール>
T-98(クロスポイント吉祥寺/元ラジャダムナン認定スーパーウェルター級王者)
 vs.
松倉 信太郎(TRY HARD GYM/WPMF世界スーパーミドル級王者)

◇T-98

「テーマは『野生』。本能のままに戦って、REBELSの中心に!」
12・6「REBELS.69」で松倉信太郎と対戦するT-98。REBELSには2017年3月の「REBELS.49」以来3年8ヵ月ぶりの出場だが、多くのリングで活躍する松倉との一戦は発表されるとネットでも反響が大きかった。モチベーションも高いというT-98がこの一戦の先に見据えるものとは?

──本来ホームリングのはずのREBELSに、久々の出場ということになりました。
T-98 試合は久しぶりだったんですけど、後輩の試合があったりセコンドについたりもしていたので、いつも会場には行ってましたけどね。ただ、REBELSはやっぱり独特の雰囲気があるので、自分が出るというのは久々に楽しみですね。

──チャンスがあれば出る用意はいつでもあると。
T-98 そうですね。まあ、僕の階級はもともと選手が少ないというのもあるし、今はコロナで外国人を呼ぶのも難しいというのも分かるんですけど。実際、今回も自分の適正階級ではなく、73.5kgといういつもよりは上の体重でやりますけど、まあ問題はないです。

──ちなみに、通常体重はどれぐらいなんですか?
T-98 80kg弱ぐらいです。だから70kgでやる時よりは減量はだいぶ楽ですけどね。3.5kgって、ひと階級以上ありますからね。

──今までのキャリアでは一番重い契約体重ですか?
T-98 たぶんそうですね。ミドル級が72.5kg(ボクシングでは72.57kg以下)だったので、それが一番上だったと思います。

──それよりも上なわけですよね。そして相手の松倉選手はもっと上から落としてくるわけですが……。
T-98 向こうがデカいということに関しては、特に気にはしてません。パワーでも負ける気はしないので、階級差とかは問題ないです。

──さらに、今回はBLACKルールですよね。T-98選手と言えば、やはりムエタイのイメージが強いんですが。
T-98 でも、ときどきやってるんですよ。今年の1月もヒジなしでやってますし(「MUSASHI ROCK FESTIVAL 2020」でのイリアス・ボカユア戦)、中国での試合とかもヒジなしだったので、そんなに久しぶりという感じもしないです。今回がヒジなしというだけですね。逆に、今年2月の試合はヒジで切られて負けたりしてるので、ヒジのことは考えずに前に出られるなと思ってます。

──ただT-98選手のスタイルとして、ヒジというより組みを効果的に使っている印象があります。そこも変わってきませんか?
T-98 REBELS-BLACKルールは組みが全くないわけではないですからね。今回のルールの中での戦い方をするというだけですから。

──ではその中で、松倉選手との戦いで警戒する部分は?
T-98 最近チャンピオンになっていて、ここしばらくは勝ち続けてますよね。だから勢いがあるし、今ちょうど30歳前で脂が乗ってるというところぐらいは注意したいなと。昔から何度も練習したこともあるんですけど、器用でうまい選手ですよね。僕は全然器用なタイプじゃないんで、正反対ですね。僕が器用になると小さくまとまっちゃうと思うんで、今回は本能のままに戦いたいです。テーマは「野生」ですね。

──なるほど。この松倉戦が発表された時に、ネットでもけっこう反響がありましたよね。
T-98 そうですね。10月のカード発表会見で8試合発表された中では、一番反響が大きかったんじゃないですか。まず松倉君が出てきたところで「おおっ!」となって、その相手は誰だとなって僕が出てきてさらに「おおっ!」となって。そういうところは、今までとはちょっと違う風が吹いてるのかなと思います。

──その注目度が高いカードで勝てば、REBELSの中心になれる可能性も高いですよね。
T-98 出るのは3年8ヵ月ぶりですけど(笑)、まだ中心になれるとは思いますね。僕らがやってることは注目されてナンボで、まずカード決定だけでこれだけ注目されているので、これでいい勝ち方をすればさらに注目されて、その次の試合という感じでもっと期待を持ってもらえると思うんで。だから今回はアグレッシブにいって派手に勝つしかないと思ってます。

──そうなった時に、自分がREBELSの顔になりたいとか、先頭に立ってREBELSを大きくしたいという気持ちはありますか?
T-98 そうですね。やるからにはポスターの真ん中に大きく目立ちたいんで。松倉君は名前もある選手で、REBELSには初出場ですけど他のいろんなリングで活躍していた選手なので、REBELSの枠を超えて注目されるカードだと思うんですよね。そういう部分でのモチベーションは高いですね。

──ここで勢いがつけば、来年にもつながるでしょうし。
T-98 その前に年末ですね。ボブ・サップ戦に向けて勢いをつけますよ。とりあえず今は目の前の試合に集中してますけど、松倉君もRIZINに何度か出てる選手でもあるので、いい形で勝てばいいアピールになるのかなと。来年も含めて、松倉戦がカギになってくると思います。

──ここまでのキャリアでラジャダムナンのタイトルマッチ(2016年6月)など、大きい試合もたくさん経験されていますが……。
T-98 僕、そういうのに強いんですよ(笑)。ラジャの時もそうだし、その防衛戦も、「ここぞ」というデカいチャンスの時に勝つんです。モチベーションに左右されるんで(笑)。

──その自覚はいいのか悪いのか(笑)。
T-98 そうっすね、全部集中しろって話なんですけど(笑)。まあでも、今回はモチベーションが高いので。自分で無理に上げようとする必要もなく、勝手にモチベーションが上がるマッチメイクなので、いろいろ考えずにいい状態で臨めます。

──モチベーションも高く、本能のままに戦って、最後は……。
T-98 もちろん最後は倒すのが理想ですね。倒すためにどう持っていくかを試合中に見極めたいと思います。最後、どうやって倒すかはその瞬間の本能の閃きで。思うままにやります。ここで勝つと負けるとでは、今後にも大きな差が出てくると思うので、そのためにも派手に勝たないとなと思ってます。

◇松倉信太郎

「華やかさに欠けるREBELSを変えてやりますよ」
12・6「REBELS.69」でREBELS初参戦を果たし、T-98と対戦する松倉信太郎。9月にはプロキャリア初のタイトルとなるWPMF世界スーパーミドル級王座を獲得した彼がREBELSに参戦する目的は、大きく2つあるという。その目的とは一体?

──まず、今回REBELSに参戦、そしてT-98選手との対戦と聞いた時には率直にどう思われましたか?
松倉 たぶん今まで、REBELSさんに参戦というのも、T-98選手と対戦というのも、何度か話が来てたんですよ。タイミングが合わなかったりして実現できなかったんですけど、今回はタイミングも合ってやれることになったので、「今がその時なんだなあ」と思いました。

──カード発表会見でも話が出ましたが、宮田充プロデューサーが就任してからの初参戦という点には思うところがありますか?
松倉 僕もプロになってからけっこうキャリアが長くて、チャンピオンになるまでもすごく時間がかかったし、タイミングとかってすごくあるなあって思ってるんですよね。今回のオファーについても、宮田さんのこともそうだし、いろんなタイミングが重なっての今なんだなあというのは、自分の中でありました。

──改めて、REBELSというリング、大会に対する印象を伺えますか?
松倉 まず、僕はこれまで本当にいろんな団体に出てるんですよね。デビュー戦がMAキックで、J-NETWORK、Krush、旧K-1、今のK-1、RISE、RIZIN……戦極も出てるし。そんな中でREBELSさんとはなぜかタイミングが合わなかったんで、率直に出られるのはうれしいです。階級的にも選手の数が少なくて試合が少なくなってきてる中で、必要とされてオファーが来ること自体が率直にすごくうれしいです。ただ大会の印象としては……ちょっと華やかさに欠けるというか。同じジムの選手が出た時に見たりはしていて、お客さんもたくさん入って試合もすごく盛り上がってはいるんですけど、派手さとか華やかさを僕はそこまで感じられてなくて。今までは「僕が出たところで……」というところがあったんですけど、今はチャンピオンにもなりましたし、REBELSに新しい風を
吹かせたいなとは思ってますね。

──「俺が出ることで華やかにしてやるぜ」と。
松倉 そうですね、何か古くからの“キックボクシング”感が否めない気がしていて、僕としては今はそういう時代じゃないんじゃないかと思うんですよ。そういうところは変えていきたいなと思いますね。

──ということは、これからはREBELSを主戦場にと考えているということですか?
松倉 というか、僕は必要とされるならどこでも戦いたいし、僕らのジムはフリーなので。僕の一番の望みは、自分の階級を作ることなんですよ。今はそれのために動いているので、それが一緒にできるところで頑張っていきたいと思ってるんですよね。

──なるほど。「自分の階級」というのは具体的には……。
松倉 75kg級ですね。これが僕のベスト体重だと思ってます。チャンスがあれば本当にどこでも戦いたいんですが、その中で僕を買ってくれるところで、どんどん暴れていきたいという気持ちがありますね。

──その中で、今回は73.5kg契約での戦いですよね。そしてBLACKルール。一見、本来の松倉選手のフィールドの方が近いのではという声もありますが……。
松倉 正直、T-98選手にとってはREDルールじゃないからどうこうって言う人がいるんですけど、彼は前回、ヒジで切られて負けてるし、戦跡を見るとけっこうヒジで切られて負けてるんですよね。映像を見てても思うんですけど、けっこう男らしいタイプなんで熱くなって前に出たところをヒジで合わせられて負けてるというのが多いんですよ。だから、ムエタイが強いというよりはBLACKルールの方が得意なのかなという気持ちが僕の中にはあって。体重に関しても、僕は73.5kgは全然ベストじゃないし、相手も上げてるんだろうけど、お互いに試合を受けた時点でどっちが有利とかは別にないかなと思ってます。

──ではどういう試合、どういう勝ち方をしたいですか?
松倉 しっかり倒すことが一番大事だと思ってるんですけど、T-98選手はタフだし、このところ倒されてのKO負けはないと思うので、そういう選手にしっかり勝つことが僕の生き残る道だなと。

──豪快に勝ってブチ上げることで、同階級の選手たちに集まってきてほしいと。
松倉 そうですね、それぐらいの存在感がないといけないと思うし、T-98選手に勝てば発言権も得られると思うし。70kg以上ヘビー級未満の日本人選手って、けっこういると思うんですよ。でもいきなり世界で戦っていくのは厳しいと思うので、その意味でも75kgという新しい階級を作りたいんです。70kgという階級だって、K-1 MAXで魔裟斗さんが出てくるまでなかった階級じゃないですか。だから、階級は作れるものだと思うので。

──そういう目論見を持って臨む今大会ですが、一番見てほしいところは?
松倉 とにかく僕を見てほしいですね。何も考えず、とりあえず見てもらえれば分かると思うので。どう感じてもらえるかは分からないですけど、しっかり何かを残せるようなことはしようと思うので、期待してほしいです。

鈴木千裕は『REBELS.67』11.8後楽園大会で、九州を主戦場とする「大和KICK 65kg王者」の康弘(ゴリラジム)と対戦。開始ゴングから大振りのフックで相手を攻め立て、わずか77秒で3度のダウンを奪ってKO勝利。試合後のマイクでは12.6後楽園大会への出場をアピールしていました。 対する渥美尚也は、静岡県の「HIDE GYM」に所属する28歳のファイター。180cmの長身から繰り出すヒザを武器とし、2018年にはJ-NETWORKウェルター級新人王に輝いています。今回が『REBELS』初参戦となります。

<65.0kg契約 3分3R・延長1R BLACKルール>
鈴木 千裕(クロスポイント吉祥寺)
 vs.
渥美 尚也(HIDE GYM)※REBELS初参戦

◇選手コメント
鈴木千裕
「必ずKOします! 有言実行します! 会場を一番盛り上げます! 格闘技は倒してなんぼ、判定勝ちなんて狙わない! KO至上主義の“クレイジーブラックダイヤモンド”鈴木千裕の試合を目当てに会場に来てください! さらに進化した“ちひろタイム”をお見せします!」

渥美尚也
「今回、初めて『REBELS』で試合が決まって嬉しいです。鈴木千裕選手はKO率が高くて強い印象がありますが、インパクトある勝ち方を目指します。応援よろしくお願いします」

◇選手プロフィール
鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺) Chihiro Suzuki
1999.5.14生/東京都三鷹市出身/21歳/175cm/オーソドックス/8戦7勝(5KO)1敗
パンクラス・ネオブラッドトーナメント2018フライ級優勝
RIZINアマチュアMMA2016フライ級優勝
twitter: @chihiro19990514

渥美尚也(HIDE GYM) Naoya Atsumi
1992.3.4生/静岡県周智郡森町出身/28歳/180cm/オーソドックス/11戦7勝(3KO)3敗1分
2018 J-NETWORKウェルター級新人王
twitter: なし

<63.0kg契約 3分3R・延長1R BLACKルール>
バズーカ巧樹(菅原道場/REBELS-BLACK 63kg級チャンピオン)
 vs.
大谷 翔司(スクランブル渋谷)

12・6「REBELS.69」で大谷翔司と対戦するREBELS-BLACK 63kg級王者・バズーカ巧樹。10月26日のカード発表会見では大谷が「自分は元自衛隊員で本物のバズーカも扱っていたが、バズーカ選手は全然バズーカじゃない。『不発弾・巧樹』に改名させたい」と挑発。この言葉に静かな怒りを燃やす王者からは、徹底して物騒な言葉しか出てこなかったが……。

◇バズーカ巧樹(バズーカこうき)
所  属:菅原道場
生年月日:1996年11月16日
出  身:千葉県富津市
戦  績:31戦22勝(8KO)7敗2分
タイトル:REBELS-BLACKスーパーライト級王者、MA日本スーパーライト級王者

「相手が生意気なので、『公開処刑』します」
──対戦カード発表の会見の際、大谷選手の挑発的な発言がありました。その場で聞いてどんな気持ちでしたか?
バズーカ まあ、自分からするとどこの誰だか分からなかったので、「何か言ってんな」と思ったんですけど、すごく生意気だったんで、いつもよりも殺しにいこうと思ってます。

──やっぱりムカついた?
バズーカ ムカついた……というか、まあ生意気だから処刑しようかなと。

──しょ、処刑ですか……。ただ、このところKOが出ていないところを指摘する発言でもあったわけで、「痛いところを突かれた」という気持ちもあったりは……。
バズーカ 最近KOできてないのは事実ですけど、その分も含めて味わってもらいますよ。当日はどんな形であろうと痛めつけてやろうと思ってます。

──「誰だか分からなかった」という大谷選手ですが、その後、映像を見たり対策をしたりというのは……。
バズーカ いや、弱そうなんで試合も別に見る必要はないと思ってます。当日まで見ないんじゃないですか。

──それで十分と。
バズーカ 当日分かると思いますけど、全く相手にならないと思うんで。いろんな意味で懲らしめてやりますよ。

──では最初から倒しにいく?
バズーカ すぐ倒しちゃうと面白くないんで、痛めつけてから仕上げにぶっ倒そうかなと。

──バズーカ選手の場合、パンチも蹴りも倒せる武器として持っていますが、どちらでいきたいというのはありますか?
バズーカ いえ、特にどちらかでというのはないんですけど、パンチと蹴り両方で痛めつけて、楽しんでから倒そうと思います。最後がどちらになるかはその時の気分で。

──個人的には、どう倒した時が一番気持ちいいですか?
バズーカ 何で倒すとかっていうより、相手が痛がっている顔を見る方が気持ちいいかもしれません。その意味でも、ゆっくり時間をかけて削っていきたいと思います。

──今回、8月にREBELS-BLACK 63kg級王座を奪取してから初めての試合となります。チャンピオンとして戦うことは意識しますか?
バズーカ それも特にはないですね。でも自分がチャンピオンであることで、より一層、絶対に負けられない戦いだと思ってるんで。それも含めて、今回は本当に殺しにかかろうと思ってます。

──そうなると、「チャンピオンらしい試合」とかそういう意識は……。
バズーカ ないですね。特に今回の目的は、倒すというよりも、痛めつけて、本当の怖さを分からせてやるということなので。

──そこまで思っているのは、大谷選手がナメた口をきいたからだと……。
バズーカ そうですね。ホントに生意気なんで、本当の意味で痛めつけてやらないといけないなと。

──そ、そうですか……。ところで少しさかのぼりますが、8月に丹羽圭介選手からベルトを奪った試合についてお聞きします。バズーカ選手のパンチも入ってはいましたが、丹羽選手がタフだったという印象があります。
バズーカ そうですね、やりづらさもあったし、ピンポイントでもらわないうまさがあったなと思います。自分の実力不足ということもあるんですけど、丹羽選手の技術もあって倒せなかったですね。

──そういう部分も含めて強化・改善しているところはありますか?
バズーカ 特にここをというのはないんですけど、パンチ・蹴りどちらでも倒せるとは思うので、それをどうやって当てるかをより考えているという感じですかね。

──菅原会長からは何か言われていますか?
バズーカ 具体的なことを言われたりは特にないですけど、どんなことよりもとにかく気合いだと思っているので、さらに気合いを入れて練習してます。倒し切れないというのも、自分の中でもう一歩踏み出す気持ちが足りなかったからだと思っているので。勝ちにいくというより、倒しにいくという気持ちをより一層、自分の中で作れたらいいなと思ってます。

──その最高の形が、今回の試合で見られるということですか?
バズーカ でも、今回は「倒す」というよりも「公開処刑」がテーマなので。お客さんが引くぐらいの公開処刑をお見せしたいと思ってます。

──公開処刑ですか……。大谷選手に言っておきたいことはありますか?
バズーカ 本当の公開処刑を味わわせてやるんで、当日はしっかり気合い入れて来いよと。簡単に倒れんなよと言いたいです。

──おそらく、今年はこれが最後の試合になるかと思います。今年はREBELS王座も獲得した年になりましたが、ここまで振り返るといかがですか?
バズーカ 一発目、2月のKNOCK OUTでの「無法島GRAND PRIX」で準優勝に終わって、「優勝」という結果が残せなかったのは自分に何かが足りないと思ったので。今年、REBELSのベルトを獲れたことは一つの通過点にはなったんですけど、来年はもっと飛躍の年にしたいと思ってます。特に何がやりたいというのはないんですけど、目の前に現れた強い敵を倒していって、より強い相手と戦っていきたいです。強いヤツを倒せば、自然と自分の強さも周りに伝わると思うので。

──そこにつなげるためにも、今回は公開処刑と。
バズーカ それは来年どうこうとは関係ないです。ただ息の根を止めてやります。

“渋谷のソルジャーボーイ”、静かに吠える。「“本物”の強さではこっちが上だと分からせてやる」
12・6「REBELS.69」でREBELS-BLACK 63kg級王者・バズーカ巧樹と対戦する大谷翔司。元陸上自衛隊員の彼は10月26日のカード発表会見で、「自衛隊では本物のバズーカも扱ってきたが、バズーカ選手は全然バズーカじゃない。『不発弾・巧樹』に改名させたい」と発言して挑発。突然飛び出したこの言葉には、この試合に怒りの炎を燃やす大谷の自信が込められていた!

◇大谷翔司(おおたに・しょうじ)
所  属:スクランブル渋谷
生年月日:1991年1月12日
出  身:愛媛県北宇和郡
戦  績:19戦11勝(5KO)5敗3分
タイトル:INNOVATIONライト級王者

──大谷選手、会見でのバズーカ巧樹選手への挑発はお見事でしたね!
大谷 ……いや、本当のことを言っただけなんで。

──あれ、いつもとちょっと雰囲気が違いますね。何か怒ってますか?
大谷 いや、この前の会見でも相手にナメられてるっぽかったし、周りからも向こうが格上みたいに言われてるんで、あんまりヘラヘラするのはやめようかなと。

──そ、そうですか……。でも今回の相手、バズーカ選手はREBELS-BLACK王者なわけですが。
大谷 チャンピオンって言っても、周りが言うような怖さはないですからね。穴はないし、うまいとは思いますけど、怖くはないなと。蹴りもパンチも、怖さは全然ないです。

──では、もらわない自信がある?
大谷 もらわないのが一番ですけど、もらったとしても僕も打たれ強さには自信があるんで、効かねえぞと。

──打たれ強さにはやっぱり自信があるんですね。
大谷 もともとフィジカルが強いというタイプではなかったんですけど、自衛隊で徒手格闘をやったことで、かなり鍛えられました。その訓練の中で柔道をやったり寝技もやったので、体幹が強くなって。

──フィジカルという部分については、バズーカ選手のことはどう見ていますか?
大谷 2月のKNOCK OUTには僕も彼も出ていたので計量の時に見たんですが、けっこう上半身が大きくて、僕と似たタイプかもしれません。REBELSに同じタイプは2人いらないですけどね。

──ちょいちょい不気味な発言が出ますね……。今回はどういう試合になりそうですか?
大谷 彼もけっこううまく戦ってくるタイプなので、後半勝負になる気はします。内容も問われるので、競り勝った末に倒せれば。

──大谷選手は8月にイノベーション・ライト級王者になり、初のベルトを巻きました。チャンピオンとしての試合となると、気持ち的に違いますか?
大谷 自信と自覚は出ましたが……周りは向こうが格上と見てますけど、僕はそうは思っていないので。普通に勝てる相手だと思っているし、あの腰にあるベルトはほしいので、ここでしっかり勝ってタイトルマッチにつなげたいです。

──バズーカ選手はこの試合について、「公開処刑してやる。簡単に倒れんなよ」と言っています。
大谷 えっ? 彼にそんなことができるんですか?

──というと……。
大谷 僕は陸上自衛隊時代、銃剣などを使った訓練も経験してきました。

──まさに一歩間違えば命に関わる経験ということですね。
大谷 もちろんキックボクシングは命のやりとりではないですけど、修羅場の経験なら負けないんで。「処刑できるならしてみれば」と伝えといてください。

──ちなみに射撃系の訓練もされてたんですよね?
大谷 会見でも言った通り、本物のバズーカを扱ったこともあります。基本的には機関銃士で、とにかく弾数で勝負してました。でも一番やっていたのは自衛隊徒手格闘で、日本拳法をベースにパンチと蹴りで相手を倒す訓練をずっと積んできましたからね。“本物”の強さでは僕の方が上手だと思うんで、彼にはそれを分からせてやりますよ。当日のリングでは淡々と不発弾処理を遂行してみせます。

<女子48.0kg契約 2分3R・延長1R BLACKルール>
山上 都乃(WSRフェアテックス湖北)
 vs.
ERIKO(ファイティングラボ高田馬場)※山本 ユノカ(KICK BOX)負傷の為、変更

◇選手コメント
山上都乃
「WSR湖北の山上都乃です。対戦相手が変更になったことで、意識の変化は特にありませんが、初めて高身長の選手と戦うので、とても楽しみです。前回から成長した姿を見せられるよう残り1ヶ月準備していくので、応援よろしくお願い致します」

ERIKO
「ファイティングラボ高田馬場所属のERIKOです。この度は初のREBELS参戦となり、この機会を頂けて嬉しく思います。私のスタイルはリスクを負って倒しに行くスタイルです。ただただ目の前の選手を倒す事しか考えていません。また観たいと思ってもらえる熱い試合をしますので応援よろしくお願い致します」

◇選手プロフィール
山上都乃(WSRフェアテックス湖北)
Tsukino Yamakami
01.7.2生/千葉県船橋市出身/19歳
152cm/オーソドックス/2戦2勝
twitter:@tsukino_y_

ERIKO(ファイティングラボ高田馬場)
Eriko
87.4.22生/千葉県香取郡出身/33歳
162cm/オーソドックス/4戦3勝(1KO)1敗

【REBELS.68】
「REBELS.68」12月6日(日・昼)後楽園ホール大会に出場する栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺)の対戦相手が、ダウサコン・モータッサナイ(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム)に決定。ダウサコンは2017年~2018年に「REBELS」へ4度参戦した、強打が武器のムエタイ戦士。「REBELS.55」2018.4.27後楽園のメインイベントで、当時保持していたWPMF世界スーパーバンタム級王座の防衛戦を小笠原瑛作に3RKOで敗れ王座を喪失。最近では、ジャパンキック協会の8.16後楽園のメインに登場して、同団体のトップである馬渡亮太(治政館)と引き分けている。

<56.0kg契約 3分3R・延長1R REDルール>
栗秋 祥梧(クロスポイント吉祥寺)
 vs.
ダウサコン・モータッサナイ(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム)

◇選手コメント
栗秋祥梧
「僕にとって、今年最後の相手がムエタイのダウサコン選手に決まりました。
ダウサコン選手は、打撃が強くて肘も上手く、真っ向から打ち合ってくれるファイターです。いつも以上に気を引き締めて試合に挑んで、必ず勝利を飾ります。
そして、来年もファンの皆さんが栗秋祥梧に期待してもらえるような試合を魅せたいです。」

ダウサコン・モータッサナイ
「久しぶりに『REBELS』のリングで試合が決まって、嬉しく思っています。相手の栗秋選手は、過去に先輩のデンサイアム選手と戦ったのを見たことがありますが、パンチが得意なように見えました。ただ、私もパンチは得意ですし、それ以外の武器もたくさん持っています。まずは、この試合をしっかり勝って、来年も『REBELS』で試合ができるといいなと思っています。」

◇選手プロフィール
栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺)
Shogo Kuriaki
97.4.23生/大分県日田市出身/23歳
170cm/オーソドックス/58戦39勝(20KO)16敗3分
元大和フェザー級王者
twitter:@Phoenixx_bx

栗秋祥梧「僕はアーティスティックな戦い方を見せられる。今回は原点に戻ってテクニックで完勝する」

――前戦となった9月の『KNOCK OUT』での宮元啓介戦から振り返っていただきたいと思います。
栗秋 宮元選手の作戦にうまくはまってしまった試合でした。三日月蹴りが来るのはわかっていたので、ジム先輩の日菜太さんや渡慶次(幸平)さんに三日月蹴りを蹴っていただき鍛えてもらいました。試合では効いたものはなくダメージもなかったのですが、練習で感じていた距離感と全然違って近距離で打たれてしまいました。一瞬でも気を抜くとやられるなと、一発蹴られてからの返しが少なくなって、もっと蹴り返しを練習しておけば良かったと思いました。

――宮元戦までは4連勝と好調でしたが、久々の敗戦をどう捉えてますか。
栗秋 4連勝していて久々の試合でもあったのでモチベーションは上がりすぎてしまって、思い通りに動けませんでした。日菜太さんから『もっとこうすれば良かった』といったアドバイスをいただいたので、もっと違う攻め方があったなと思いましたね。あと、自分は1カ月や2カ月に一回はコンスタントに試合をしてきましたが、コロナのせいで宮元戦までに7カ月も試合間隔が空いてしまったことで色々と迷いが生じましたね。今の自分自身の立ち位置がイマイチわからなくなって、このままでいいのかな、REBELSにいてもいいのかなと、自分自身の存在価値など余計に深く考えすぎました。練習をしていても自信を付けられなかったのでその時点で負けていたんだなと思います。

――その敗戦を経て現在の練習で強化していることは?
栗秋 相手の攻撃をもらったら、すぐに攻め返すスタンスの練習を作っています。今度の相手はミドルキックを蹴ってくるのは当たり前なので、ミドルを蹴られてからのコンビネーションを返す練習だったり、宮元戦で見過ぎてしまって手を出すのが遅すぎたことを反省して、自分が行かなきゃと思う前に自分の身体が動くことを意識しています。

――練習嫌いとして知られている栗秋選手ですが、現在は大丈夫そうですかね?
栗秋 なんだかんだで毎日練習していますよ(笑)。手を抜く時もありますが、ミット打ちはしっかりやるようにしています。

――次の対戦相手、ダウサコン選手の印象をお願いします。
栗秋 映像も見ていなくて、相手用の対策も特にしていません。先輩の小笠原瑛作さんが一度対戦しているので(2018年4月27日)、どういう印象かを聞いたところ、『全然覚えていない』と(苦笑)。逆にそんなに印象に残らないほどの選手なんだなと思ったので特に気にしないようにしています。自分の戦いたいようにやるだけです。

――これまでにデンサイアム・ルークプラバーツ選手に3RKO負け(2018年4月1日)、JOE.TEPPEN GYM選手に2RTKO勝ち(2019年8月10日)とvsタイは1勝1敗ですが、タイ人選手に得意意識、苦手意識のどちらがありますか?
栗秋 タイ人はタイミングがうまいですし、テクニックもあり苦手なのであまり好きではありません(苦笑)。でも今回の相手はパンチャータイプだと聞くのでやりやすいイメージはあります。

――小笠原瑛作選手はダウサコンに3RKO勝ちしています。試合結果、内容を比較されるかと思いますが、意識してますか?
栗秋 そこは特に意識していません。

――今回勝って来年はどういう1年にしたいですか?
栗秋 今は自分を今一度見つめ直す段階で、こんなところで負けちゃうと自分が今まで勝ってきた価値を下げることになります。日菜太さんからは『1試合1試合に集中して大事に戦った方がいいよ』と言われているので、目の前の試合に集中するだけです。

――次の試合に期待しています。栗秋選手の試合を見ていると凄くセンスが良いですし、周りからの評価も高いことをご自身ではどう思いますか?
栗秋 いや、全然そんなことありません。最近の試合ではKOにこだわり過ぎていましたし、『倒さなきゃいけない』という想いで逆に身体が動けていない部分がありました。九州から上京したばかりの頃はテクニックを重視した戦いをやってきたのですが、どんどん倒せるという自信が付いてきたことで、“倒せる”という部分を追いかけ過ぎてしまいました。今は原点に戻って、テクニックで完勝することをテーマにしていきたいと思います。今は試合に向けていい感じで追い込めているので、今回はKOにこだわらずテクニックで完封して、倒せる時は倒せるようにしようと。昨年のJOE選手との試合がそうだったので、その時の感覚を思い出してやっています。僕は人にはないアーティスティックな戦い方を見せられると思うので、それを観に来てください。ファンの方々の期待が大きければ大きいほど僕も頑張ろうという気持ちが強くなるので、僕と一緒に戦ってほしいと思います。

ダウサコン・モータッサナイ(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム)
Dawsakhon Motassanai
元WPMF世界スーパーバンタム級王者
元タイ国ラジャダムナンスタジアム・スーパーフライ級3位
1990.7.8生/タイ・サコンナコーン出身/30歳
166cm/オーソドックス/142戦89勝(8KO)48敗5分

ダウサコン「栗秋? 印象はありません。普通の選手だと思いました」

――何歳からムエタイを始めたのでしょうか。
ダウサコン 家が貧しかったので少しでも親孝行をしようと思って、7歳からムエタイを始めました。

――メジャースタジアムでの戦歴、ランキング入りの有無や有名選手との対戦経験があれば教えて下さい。
ダウサコン ラジャダムナンスタジアムで何戦やったかは覚えていませんが、スーパーフライ級の8位が最高位で、プロムエタイ協会でも同級で8位でした。日本に来て2017年11月にWPMF世界スーパーバンタム級王座を取りました。ちなみに今の戦い方は日本人選手の戦い方に合わせて打ち合う場面が多いですが、タイの時はフィームー(ムエタイ用語でテクニシャンタイプのこと)でした。

――ダウサコン選手は『REBELS』のリングでは浜本‘キャット’雄大選手(2017年9月6日、判定勝ち)、小笠原瑛作選手(2018年4月27日、3RKO負け)、安本晴翔選手(2018年8月3日、ドロー)、宮元啓介選手(2018年10月8日、延長R判定負け)といった日本人軽量級のトップファイターと対戦していますが、日本に来たのはいつですか。その理由も教えて下さい。
ダウサコン トレーナーとして7年前に来ました。

――今回、対戦する栗秋選手の印象を教えて下さい。
ダウサコン 何年か前にデンサイアム(・ルークプラバーツ)と対戦したのを見たことがあるけど(2018年4月1日、栗秋が3RKO負け)、特に印象的な攻撃もなく、普通の選手だと思いました。

――余裕を感じさせますね。今後、日本でどういう戦いをしていきたいですか? 
ダウサコン うーん、特にないですね(笑)。

――ゲーオやゴンナパーのように日本でもどんどん試合をして有名になりたいですか?
ダウサコン そうですね。強いて言うならジム仲間のゴンナパーのように活躍したいです。次の試合を楽しみにしていて下さい。

★泰史が欠場。元REBELS-MUAYTHAI二冠王者の松﨑公則が、白幡裕星と激突!
「REBELS.68」<52.7kg契約/REDルール/3分3R・延長1R>で白幡裕星(橋本道場)と対戦予定だった泰史(伊原道場)が、伊原道場サイドより体調不良により欠場の申し入れがありましたため今大会欠場となります。これにより、白幡選手の新たな相手として、松﨑公則(STRUGGLE)の出場が決定。松﨑は2010年9月から「REBELS」に参戦。「REBELS.34」2015.3.4後楽園でREBELS-MUAYTHAIフライ級、「REBELS.46」2016.10.23有明でREBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王座を獲得。45歳の今なお、必殺のヒジを武器にいぶし銀の強さを誇るファイターである。なお、このカード変更に伴い、この試合の契約体重は「53.0kg契約」に変更となった。

※尚 泰史が所属の伊原道場本部から、11月18日新型コロナウイルス陽性者がでて選手、スタッフ全員へのPCR検査を行い、11月19日~11月30日ジム全体の業者による消毒作業を行うにあたり臨時休業となっている。
新日本キックボクシング協会HPより

◇新たな対戦カード/選手プロフィール
<53.0kg契約/REDルール/3分3R・延長1R>
白幡裕星(橋本道場)
 vs.
松﨑公則(STRUGGLE)


白幡裕星(橋本道場) Yusei Shirahata
2002.8.11生/東京都渋谷区出身/18歳/164cm/サウスポー/10戦8勝1敗1分
MUAY-THAI OPENスーパーフライ級王者
twitter:@yusei__kick
◇コメント
「まず初めに、この試合を楽しみにしてくださった皆様に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。そして代役で出場してくださる松﨑選手、試合期間が短いなか出場して頂き本当にありがとうございます。対戦相手が松﨑選手に変わって、サウスポーの選手が相手となりましたが、過去10戦やったなかで6人がサウスポーで、今回が7人目のサウスポーの選手となります。サウスポーの方が逆に得意と感じてきていてるので、試合を楽しみにしていてください!引き続き応援よろしくお願いします!」


松﨑公則(STRUGGLE) Kiminori Matsuzaki
1975.7.29生/東京都台東区出身/45歳/164cm/サウスポー/47戦20勝(11KO)23敗4分
元REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者
元REBELS-MUAYTHAIフライ級王者
元WPMF日本スーパーフライ級王者
元J-NETWORKスーパーフライ級王者
twitter:@MKiminori1
◇コメント
「今回は急なオファーで準備期間がなく、しかも対戦相手は若くてスピードと技術を兼ね備えた強豪・白幡選手ということで、かなり厳しい試合だと思います。しかし、この役を引き受けられる中年は世界で私しかいないと思い、出場を決意しました。代打逆転サヨナラ満塁ホームランを狙っていきます」

<REDルール 52kg契約 3分3R(延長1R)>
老沼隆斗(STRUGGLE/REBELS-REDスーパーフライ級(52.5kg)王者)
 vs.
心直[しんた](REON Fighting Sports Gym)

老沼隆斗(STRUGGLE) Ryuto Oinuma
1998.8.4生/東京都足立区出身/22歳/161cm/オーソドックス/19戦15勝(6KO)3敗1分
REBELS-REDスーパーフライ級王者
Twitter:@strg_ryu
◇「昭和のキックファンに受けるシブ路線をいく」

――前回9月KNOCK OUTでの清志戦を振り返っていただきたいのですが、見事な上段後ろ回し蹴りで2RKO勝ちでした。あの技は狙っていたものでしたか?
「試合の流れでこれはイケるなと思った技を出したら見事にはまりました。試合前は蹴り、パンチでも何でもイケると思っていて、たくさん技を用意していました。正直なところ、上段後ろ回し蹴りで倒すとは思っていなくて、ベストなタイミングで当たりました」

――たくさん技を用意していた中で予想外の技でのKO勝ちは消化不良の気持ちもあるのでしょうか?
「KO勝ちできて嬉しいのでそれは特にありません(笑)。今まで僕はKO勝ちが少なかったので、この波に乗れたらいいなと思います」

――鮮烈な一撃は年間最高KOの呼び声も高く、今回はあれ以上のKOを期待するファンもいるかもしれませんね。
「次の相手の心直選手は巧い選手なのでどうKOしようかじっくり考えているのですが、前回みたいに試合の流れの中で出してビックリするような技でKOできたらいいなと思います」

――清志戦以降、練習で強化していることはありますか?
「自分の持ち味である蹴り技をさらに磨きつつ、パンチも強化しています。全体的に技の精度は上がってきています」

――蹴り技主体の攻めでありながら無尽蔵のスタミナで手数の落ちないところも老沼選手の魅力ですが、あのスタミナはどのように身に付いたものなのでしょう。
「5~10キロの走り込みも結構していますし、練習でサンドバッグを4~5Rとたくさん蹴っていることが、そのまま試合に繋がっているんだと思います。1ラウンドの中で、2秒に1回の割合で蹴ったり、できるだけたくさん蹴り込むことも意識しています。あと、普段の仕事は弁当の配送をしているのですが、結構な重さがある時でもエレベーターを使わずに階段を使って上り下りして、仕事もフィジカルトレーニングの時間だと思ってやっています(笑)。ちなみに駐車場が地下2階で配達先が7階と、あまりにもきつすぎるビルもあります(苦笑)。いつも試合が終わっても動けるぐらいスタミナが残っていて、次も3分3ラウンドしかないので全然余裕です。蹴り中心の攻防でも10Rぐらいいけるスタミナはあるんじゃないかなと思います」

――今回の相手、心直選手についてはどのような印象がありますか?
「心直選手の師匠が健太選手ということもあって、本人もテクニシャンだなと。僕と同じく蹴り主体の選手で油断はできない相手ですが、しっかり倒したいと思います。蹴りで負けることは絶対にないので、蹴り勝つ自信もあります。僕は空手ベースの蹴りで、近い距離でも遠い距離でも蹴ることができるので他のキックボクサーとは蹴りの質が違います」

――警戒していることはありますか?
「心直選手は蹴りのカットがうまいので、そこで自分の足を痛めないようにしないといけないところでしょうか。逆に心直選手は凄く色白でインローやミドルが入ってどこが効いているかが分かりやすく、試合が終わった時には全身が赤くなっていることになります(笑)」

――今回はノンタイトル戦ですが、チャンピオンとしてどういう試合を見せたいですか。
「チャンピオンということには自信を持っているのですが、そこに意識しない方が自分らしく戦えます。そうすることで自然に魅せられる試合もできると思います」

――今回はご自身の試合を含めてスーパーフライ級では2試合が組まれています。過去に対戦している白幡裕星選手と泰史選手の二人が対戦しますが、そこは意識していますか?
「僕は白幡選手に勝って、泰史選手に負けているので、この試合に結果は凄く気になるところです。僕のタイトルの次期挑戦権を懸けた戦いになると思うのですが、特にどちらと対戦したいというのはありません。今の状況では難しいところではありますが、僕はタイ人選手と戦っていきたいですね」

――それは師匠の鈴木秀明会長がムエタイキラーとして名を馳せたことも影響はありますか?
「そうですね。ムエタイが立ち技最強と思っているので、そこで自分が勝ちたい気持ちが強い。来年はタイ人に勝って世界のタイトルが欲しいですね」

――所属している「STRUGGLE」といえば、ぱんちゃん璃奈選手の活躍が目立っています。意識はしていますか?
「刺激にはなりますが、僕とは路線が違います(笑)。彼女は凄く強くなっていてもっと注目されてもいいファイターだと思うんです。華やかなのでもっと大きな舞台にどんどん出てほしいですし、女子キック界を盛り上げて欲しいのですが、僕は渋く、昭和のキックファンに受けるシブ路線でいこうと思っています。鈴木会長の現役時代のファンが飛びつくような、気持ちの見えるようなファイターになりたいと思っていて、今回も自分らしく戦ってもっとファンを増やせるように頑張ります」

心直(REON Fighting Sports Gym) Shinta
2001.5.26生/埼玉県草加市出身/19歳/164cm/サウスポー/11戦5勝(1KO)4敗2分
Twitter:@SNTkick0526
◇「老沼選手に勝てば次はタイトルマッチ。僕が王者になれば初防衛戦でリベンジを狙います」

――まずはキックボクシングを始めたきっかけから教えて下さい。
「4歳から空手をやり始めて、小学4年生の時にキックを始めました。最初は別なジムで練習していたのですが、大会で連敗したのでクビになりました(苦笑)。そこで別なところを探していたところ、健太会長のいるジムにしようと決めました。健太会長は大学を卒業されていて頭が良くて指導もうまいんです。選手としても日本のトップ戦線で活躍されていて、何度かNJKFのリングで試合を見たことがありました。格闘技好きのお母さんに伝えると『あそこで教われば間違いないよ』とも言ってくれました」

――前戦となった9月の新日本キックでは元日本フライ級王者の泰史選手から判定勝ちしました。番狂わせの勝利でかなりの急成長ぶりが見られた試合でした。どのような努力をしてきたのでしょう。
「成長したとよく言われるのですが、当然ながら僕の試合しか見ていないからです。以前から健太会長には『練習だとめちゃくちゃ強い』と言われていたのですが、試合ではなかなか自分を出せませんでした。何がダメだったのかをしっかりと見つめ直して臨んだのが前回の試合で、それがうまくはまりました。急成長に思われるかもしれませんが、元々できる動きだったんです。自分の思うようなキックができなかったらもう辞めようと思って臨んだ試合でもあり、今までの自分とは違うものを見せられたと思います。高校を卒業してキック一本で生活しようと決め、今はプロになって4年も経ちますが、勝ち負けの繰り返しで僕はまだベルトも獲っていません。今までの努力だと足りないと思ったので、練習量を増やして努力しています。このような格闘技一本の生活を送ることができているので、親には感謝しかないですね」

――心直選手はお母さんのことが大好きで有名ですが、最近のマザコンぶりはどうですか? 
「変わらず格闘技界で一番だと思います。この年齢だと普通はお母さんと一緒に行動するのが恥ずかしいという人もいますよね。普通は高校を卒業して親離れして一人前になるじゃないですか。それが僕は全くなくって、安定の実家暮らしでお母さんの美味しい調理を毎日食べて練習するという、しっかりと身体作りをしています」

――反抗期はなかったのですか?
「ないですね。反抗したら倍で仕返しが来ると言われながら育てられて、恐怖で支配されてきました」

――ご自身にとってお母さんはどういう存在ですか?
「僕にとってお母さんはお父さんでもあるような存在です。厳しく怒ってくれる時はお父さんのようですし、料理を作ってくれる時はお母さんなんです」

――キックで親孝行するのが夢?
「まだ選手として稼ぐことは難しいですけど、最終的には自分のジムを作ってそこで成功したらお母さんには何不自由ない老後を送っていただけるようにしたいですね」

――格闘技オタクだとお聞きしたのですが、そのオタクレベルを教えて下さい。
「めちゃくちゃ格闘技オタクで、アマチュア大会にお金を払って観戦しているのでアマチュアの選手も結構知っています。アマチュアの試合を見るのが好きでこの選手とあの選手が戦ったらどうなるんだろうと妄想もします。いま一番注目しているのは曽我昂史君(ジュニアキック41冠王)で、彼がプロ選手になったらどうなるんだろう?と凄く注目しています。我こそはという格闘技オタクを集めて、REBELS主催で格闘技クイズ大会をやっていただき、そこで優勝したらREBELSスーパーフライ級チャンピオンになれるというのはどうでしょうか?」

――それは難しい要望なので却下ということでお願いします。今回、REBELS参戦が決まり、現チャンピオンの老沼選手との対戦になりました。
「チャンピオンが用意されたということは、主催者に期待されていると僕は思っています(笑)。ここでしっかりと結果を残して『REBELS』に貢献していきたいです」

――老沼選手にはどのよう印象がありますか?
「2度も防衛していて、打倒ムエタイを目指している強いチャンピオンだと思います。簡単に崩せないのかなと。前回の試合(清志戦)では上段後ろ回し蹴りでKOしたりと攻撃力があってバランスが良く危険な相手ですよね」

――そういう選手に対してご自身は何で対抗しますか?
「老沼選手は蹴り主体の選手ですが、パンチ、組んでからのヒザもうまいので、全部の技がうまくないと勝てません」

――老沼選手と過去三度にわたり激戦を繰り広げているteam AKATSUKIの濱田巧選手と親しく、team AKATSUKIに出稽古に行っているとお聞きしたのですが、最近も行ってますか?
「最後に練習させてもらったのが昨年の末で、その後はコロナの影響で出稽古から遠ざかっています。濱田選手とは会場で会ったら話す仲なので、どこかのタイミングで攻略法を聞きたいと思います。今は健太会長と作戦を練ったり、老沼選手の所属しているストラッグルの元会員さんがうちのジムにいるので一緒に練習したりしています」

――老沼選手にインタビューしたところ、「心直選手は色白なのでインローやミドルが入ってどこが効いているかが分かりやすい」と言われていました。格闘家で色白はウィークポイントになると思ったことはありませんか?
「うちのジムのレディースクラスのマダムたちと比べても僕は色白で、『ほんと肌が白いよね~』と言われて嬉しい自分がいます(笑)。絶対に焼かないようにしていて、まず夏は海に行ったことがありません。外に出る時はUVカットのクリームを強めに塗っています。僕は肌が物凄く弱くて、一度、蚊に刺されただけで病院に行き処方されて点滴を打ったこともあります」

――以前は“褐色のナルシスト”のニックネームが付いた健太選手とは全く真逆の肌色なんですね。
「会長のファイトスタイルはめちゃくちゃ好きなのですが、肌を焼くことには魅かれませんでした。でも脱毛は真似しようと思っていて、パンツで隠れる部分は剃らないのですが見える箇所はカミソリで剃るようにしています(笑)」

――すみません、脱線したので、本題に戻ります。今回はご自身の試合を含めてスーパーフライ級では2試合が組まれています。過去に対戦している白幡裕星選手と泰史選手の二人が対戦しますが、そこは意識していますか?
「僕は泰史選手に勝ちましたが、白幡選手には負けているので、まだトップ戦線で活躍していける自信はないですが、どこかのタイミングで白幡選手にリベンジしたいですね。今回、老沼選手に負けたら、次は白幡選手との再戦になって、それが次期挑戦者決定戦になるかと思うのでそこでも勝てば老沼選手へのリベンジ戦の形になると思います。もし今回、老沼選手に勝てば次はタイトルマッチで再戦になって、そこで僕が王者になれば、初防衛戦で白幡選手を指名します」

――そこまで今後の展開を考えているんですね。
「タイ人トレーナーは老沼に勝てると言っていますが、僕はそんな簡単に勝てる相手ではないと思っています。どんなに練習しても老沼選手の全ての攻撃は危険だし、ヒジで切られたり、バックスピンキックで終わることもあるので、今やるべきことに集中するだけです」

<71.5kg契約 3分3R・延長1R REDルール>
津崎 善郎(LAILAPS東京北星ジム)
 vs.
渡慶次 幸平(クロスポイント吉祥寺)

 現ラジャダムナンスタジアム・ミドル級王者の石毛慎也氏を師に持つ中量級の実力者・津崎善郎は『REBELS.64』2.29後楽園、喜多村誠(元新日本キックミドル級王者)戦以来のREBELS出場。前回の試合は、新日本キックの9.27後楽園に参戦して、同団体のウェルター級王者、リカルド・ブラボと引き分けている。現REBELS-REDスーパーウェルター級王者の吉田英司(クロスポイント吉祥寺)とは過去3度に渡り激闘を繰り広げており、この渡慶次戦を飾って、来年は悲願のタイトル奪取を成し遂げたいところだ。
 対する渡慶次幸平は、ミャンマーラウェイ王者の実績を引っ提げ『KNOCK OUT』9.13後楽園でキックデビュー、キャリア16戦の釼田昌弘を3RKOに退ける。続く『REBELS.67』11.8後楽園では、長身のムエタイファイター小原俊之をパンチで攻め立てたが、小原のヒジ打ちで負傷ドクターストップに追い込まれ初黒星を喫している。その後、試合で受けた傷口の回復経過を確認した上で、4週間での連続出場が決まった。

◇選手コメント
津崎善郎
「ラウェイのチャンピオンと試合できるのは楽しみです!必ず勝って、来年のタイトルマッチに繋げます!」
津崎善郎(LAILAPS東京北星ジム) Yoshiro Tsuzaki
1984.12.19生/長崎県対馬市出身/35歳/180cm/オーソドックス/14戦5勝(2KO)7敗2分
twitter @tsuzakiman

津崎善郎「僕もヒジ打ちを狙う。彼にとってはデジャヴのような試合になるでしょう」
 ――津崎選手は現在35歳でキャリア14戦ですが、キックを始めたのが遅かったのでしょうか?
津崎 格闘技自体は20歳の頃にK-1、PRIDEが流行っていたので地元の体育館を借りて格闘技好きな友達を集めてやっていました。海上自衛官になり、22歳から25歳までは地上勤務になったことで下関の誠友塾に通い始めキックのアマチュア大会に出るようになりました。本格的にやろうと思って27歳の時に退職し、海外で格闘技をやりたかったのでワーキングホリデーのビザで2年間オーストラリアに行っていたとき、現地のジムに通ってプロデビューしました。

――意外な経歴をお持ちなんですね。
津崎 そうですね(笑)。オーストラリアのキックボクサーといえば、K-1に出ていたジョン・ウェイン・パーが有名だと思いますが、パーのジムの選手とクイーンズランドのスーパーウェルター級タイトルマッチをやらせてもらったこともありました。オーストラリアでは4戦1勝3敗の戦績でしたけど、2度もタイトルマッチをやって、どの選手も強かったし、僕に勝っている選手はみんな今はトップ選手になっています。それから帰国して30歳の時に、職場が近かったLAILAPS東京北星ジムに通い始めました。ここからややかしいキャリアがまだあるのですが(苦笑)、LAILAPSには1年間いて、それからカナダに1年間滞在しています。僕はバックパッカーをやっていたので南米を周ったりもして33歳の時に帰国してLAILAPSにまた所属しました。

――バックパッカーの時は観光目的で?
津崎 僕は自称“格闘家のバックパッカー”なので、周っている最中にジムがあれば練習させてもらいます。ブラジルではみんなガチンコスパーを仕掛けてくるので、アンドレ・ジダのジムではUFCのカルロス・ネトBJJ選手(UFC世界フェザー級ランキング6位)や、RIZINに出ているルイス・グスタボ選手とやってボコボコにされました。あと、PRIDEで活躍していたマウリシオ・ショーグンのジムやシュート・ボクセアカデミーに行って、キューバではボクシングジムでも練習しました。カナダでは120kgの選手とやったりと僕は色んな経験をさせてもらったので、今回の渡慶次選手に怖さはありません。

――現在、練習で強化していることはありますか。
津崎 渡慶次選手はサウスポーの選手なのでサウスポー対策をしっかりしています。

――渡慶次選手についてはどのような印象がありますか?
津崎 競技が違えどラウェイの世界王者であるだけに打たれ強く、攻撃力も凄くあるのでそこは気を付けないといけないなと。ミャンマーに学校を作っているので素晴らしい人格の方だと思いますが、キックに関してだと、彼はキック3戦目で僕の方がキャリアはあるので負けてはいられません。11月の『REBELS』で小原俊之選手のヒジ打ちによるカットでTKO負けしていますよね。僕と渡慶次選手は対格差があるので、中に入ってきたところを僕もヒジ打ちを狙おうと思います。彼にとってはデジャヴのような試合になるでしょう。ラジャダムナンスタジアムの現役チャンピオンの石毛慎也会長からヒジ打ちを習っているので自信もあります。

――来年の目標はありますか?
津崎 僕は来月に36歳になるので現役生活は長くはないと思っています。昨年10月の「REBELS-MUAYTHAI スーパーウェルター級王座決定戦」で吉田英司選手に負けてしまっているので、もう一度タイトル奪取を目標にやっていきたいと思います。

――石毛会長は40歳でラジャダムナンのタイトルを獲得していますが、ご自身は狙ったりは?
津崎 今はもう『REBELS』のタイトルだけを狙っています。前回のタイトルマッチは、自分でいうのもなんですが(苦笑)5Rに渡る死闘で燃え尽きた感はありましたが、時間が経つにつれて悔しさがこみ上げてきて、やっぱりあのタイトルは欲しいなと。僕は日本デビュー戦も『REBELS』で、ずっと『REBELS』にお世話になっています。もしチャンスが来たら次こそはベルトを獲るので、そのためにも今回の試合は落とせません。

渡慶次幸平
「11月大会は、ムエタイの強さを文字通り『肌で感じました』。今回も肘有りルール、相手は肘の得意な津崎選手ということで楽しみです。効かせた後に、しっかり息があるか見極めてぶっ倒します。2021年いっぱいで渡慶次は現役選手を引退します。狂戦士の闘いを生で観られるチャンスはあと6試合から8試合だと思います。見ないと損します」
渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺) Kohei Tokeshi
1988.6.4生/沖縄県豊見城市出身/32歳/168cm/サウスポー/2戦1勝(1KO)1敗
※ミャンマーラウェイ戦績:16戦6勝(6KO)4敗6分
※MMA戦績:11戦5勝6敗
ミャンマーラウェイ2018年第5回 Air KBZ勝者
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渡慶次幸平「“見るに耐えない渡慶次”が見られる。お客さんをドン引きさせますよ」
 12月6日(日)東京・後楽園ホールにて開催される『REBELS.68』の[71.5kg契約/REDルール/3分3R・延長1R]で津崎善郎と対戦する渡慶次幸平のインタビューを公開!
――前回、11月8日の『REBELS.67』小原俊之戦では2Rにヒジ打ちによるカットでTKO負けでしたが、敗因は?
渡慶次 僕のローが効いていてパンチもいい形で何発か入って、完全に倒せる流れが来たので、倒しちゃおうと思って突っ込んだらまんまと相手はヒジを狙っていて、大きなフックにヒジを合わせられて斬られてしまいました。相手に勝つ気がある状態の時に僕が行ってしまったことが敗因になります。

――まさに油断大敵ですね。
渡慶次 試合当日、会場に来る前にたまたま大月晴明選手に会ってアドバイスをもらったんです。「リングに上がったら相手を殺す気で行くけれど、自分の攻撃が効いたからといってイケると思ったら絶対にダメだ」と言われたんです。自分がイケると思った時は相手のことを冷静に判断できていないので、そういう時に相手が僕に勝つ気だったり気力が残っていると一撃をもらって逆転されちゃうということでした。

――まさにその通りの展開になってしまったんですね。
渡慶次 そういう時にどうするかと言ったら、相手を効かせた時こそ慎重に相手が生きているのか死んでいるのかを確認した上で殺しにいくと。それを今は徹底して練習しているので、12月6日は“見るに耐えない渡慶次幸平”が見られるんじゃないかと。お客さんをドン引きさせますよ。

――試合が楽しみになりました。改めてラウェイとは違うキックの難しさを感じました?
渡慶次 早めに試合が止められてしまうことですね。ラウェイではあんな傷では試合が止められないのですが、キックはスポーツなのでストップが早い。自分は斬られてもいいや、というスタンスではダメだなと。ラウェイでは目が塞がったりしない限りは試合が止まらないんです。

――今回対戦する津崎選手の印象をお願いします。
渡慶次 前に出てくる根性があって、頑丈なので叩き甲斐がありますね。キャリアもあってタイトルマッチも経験されていて『REBELS』でも何戦もされているので、そういう意味では凄く尊敬している選手なんですが、僕はここで負けては死んでしまいます。映画「迷子になった拳」の全国ロードショーも控えてますし、本決まりではないのですが、来年は地上波で僕のドキュメンタリー番組の放送も決まりそうなんです。大晦日のRIZIN出場も見据えて、グローブを付ける業界に“これはやばいやつが出て来たぞ”と震撼させるような凄い試合を見せないといけないと思っています。格闘技を始めて14年経つのですが、今一番練習してますし、一番強い渡慶次幸平がいます。

――津崎選手は、渡慶次選手と同門の吉田英司選手と昨年10月に「REBELS-MUAYTHAIスーパーウェルター級王座決定戦」を争って敗れています。吉田選手からアドバイスはありました?
渡慶次 距離を詰めさせない方法や、相手の癖、弱点を聞いたので、自分の中ですり合わせていてもう万全です。

――津崎選手にインタビューしたところ、小原戦を参考にして「渡慶次選手が中に入ってきたところを僕もヒジ打ちを狙おうと思います。彼にとってはデジャヴのような試合になるでしょう」と言われていました。
渡慶次 それはそう来るでしょうね。ヒジを狙ってくれたら僕の勝ちが確定するので楽しみにしてます(笑)。それを見たら僕にヒジを当てに来る選手もいなくなるでしょう。

――映画の全国ロードショー、地上波放送と今、渡慶次選手に注目が集まる中、『REBELS』から渡慶次選手のコメントで「2021年いっぱいで渡慶次は現役選手を引退します。狂戦士の闘いを生で観られるチャンスはあと6試合から8試合だと思います。見ないと損します」と発表されました。なぜ来年に引退なのでしょう?
渡慶次 今やっているミャンマーの子供支援だったり、格闘技界を次の世代に大きくして渡していきたいという想いが僕の中にはあって、それをどういうふうにやっていくかと考えた時に僕自身がパンチドランカーといったダメージを負ってしまうと、自分の活動が必ず制限されてしまいます。まともに喋られない選手の話を誰が聞くんだと。あと、僕の美学としては、負けが続いた状態での引退は嫌なのでカッコいいまま引退したいんです。前回は負けてしまいましたが、渡慶次の試合はやはり面白い、まだイケる、もっと戦いを見たいと思われる、希少価値のある選手になりたい。一戦でも多く僕の試合を見たら自慢になるような試合をお見せするので見逃さないように。僕の可能性、凄さ、強さを見せ付けて辞めていく。惜しまれつつ辞めていくのはカッコいいですよね。

――K-1MAXで強さを見せていた魔裟斗さんの引退を思い出します。あと6~8試合ということでしたが、実現したい試合はありますか?
渡慶次 アメリカのラスベガスでやっているベアナックルファイトのような大きな舞台でやってみたいですね。あと、来年はミャンマーではラウェイの大会も再開すると思うので、敵地に乗り込んで今強いと言われているやつを倒しにいきたい。まあ、キャリアの最後なので「こいつに勝てるの?」と思われる選手とやって倒す。そういう渡慶次幸平を自分自身は見たいですし、お客さんにも見せたいですね。

――国内でやり遂げたいことはあります?
渡慶次 同じ大会に出る松倉信太郎君とはツイッターで「やりましょう」というやり取りをしたのですが、ジムの先輩の日菜太さんからは「渡慶次のベストパフォーマンスのできる体重は70kgだよ」と言われたので、松倉君には『REBELS』『KNOCK OUT』の75kgを盛り上げてもらって、僕は70kgを盛り上げようかなと。僕はMMAもできるので、70kgのMMAファイターで強いと言われている選手とやりたいですね。MMAでも以前とは違う戦い方も見せられます。

――同じジムのT-98選手がボブ・サップ選手との対戦をアピールしていましたが、無差別級の戦いに興味は?
渡慶次 そういう大きな選手と戦うのはT-98さんに任せて、僕は「こいつ誰とやったら勝てるの?」と思われている選手を倒したいんです。K-1MAX(2004年2月24日)で村浜武洋選手をKOした時の山本KID徳郁選手のような選手がカッコいいと思いますし、そういう選手がどんどん『REBELS』『KNOCK OUT』に集まってきてほしい。今だったら鈴木千裕、龍聖君のような、ただ華があるだけでなく、殺傷能力が高くてお客さんを満足させ
る選手たちが『REBELS』『KNOCK OUT』で育っています。他団体にいこうと思っている選手が、やはり『REBELS』『KNOCK OUT』でしょ! と思われるような大会にしていくのも2021年の僕の目標、目的ですね。やはり自分が出ている団体が盛り上がっていると気持ちいいですしね。