コロナで亡くなった父に捧ぐヌルマゴ29戦無敗のまま引退宣言!ジャスティン・ゲイジー締め落とし

Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC via Getty Images


 前日計量では表情がやつれており、パンツもマスクも脱いでなんとかギリギリのパスと不安を感じさせていたヌルマゴだったが、いざ試合が始まれば、ファイトボーナス男であるジャスティン・ゲイジーを寄せ付けなかった。これでMMA成績29戦無敗。しかし、ヌルマゴが口にしたのは母との約束。20年間、一緒に戦ってきた父親をコロナで亡くし、これが最後だと。次の試合契約金額を吊り上げるため何度も引退を口にするコナー・マクレガーもいるが、1月にはそのコナーvs.ダスティン・ポワチエ戦が予定されるも、コナーにもダスティンにも勝っていることもある。残念なことだがこれは本音なのだろう。ヴォルク・ハンを生んだダゲスタン共和国が生んだ21世紀の最強戦士、パウンドforパウンドでNo.1だったことは歴史が見届けた。


 現地では日本時間午前3時から。WOWOWはメンバーズオンデマンドでは生中継したが、ch191ではいつもの米国仕様に合わせて午前11時からの放送枠に。コーナーが指示を飛ばしている際にもうざい実況解説がかぶさり、聞こえないじゃないかと困る場面も。WWEもそうだが、現地版を見ないと熱心なマニアや専門媒体は納得できない課題は残る。また、ヌルマゴは3週間前の練習中、足をくじいていて本当は試合できる状態ではなかったのだそうだ。しかし、すでにコロナ期が始まった最初の予定試合は、結局はこの時期にやるモンじゃないとキャンセルしていた。これはヌルマゴが出るならとアブダビが大金を用意してお膳立てされた大会、闘うしかなかったのだ。実際、例えば日本で開催されても開始時間は米国に合わせることになるが、こちらは現地優先であった。
 レフェリーはパンクラスなどにもたびたび来日していたロバーツさんだったが、最後のタップアウト、角度で見えてなかったとフォローされていたが果たしてそうなのか? レフェリーの立つべき位置にさっとこない判断ミスである。
 
■ UFC 254 Khabib vs Gaethje
日時:10月25日(現地時間)
会場:UAEアラブ首長国連邦 アブダビ フラッシュフォーラムUFC Fight Island(ヤス島)

<UFC世界ライト級王座統一戦/5分5R>
○カビブ・ヌルマゴメドフ(ダゲスタン共和国)
 2R 1分34秒 三角絞め
●ジャスティン・ゲイジー(米国)

ハビブ・ヌルマゴメドフ
「ついてきてくれたみんなに感謝している。父についてきてくれていたみんなはもう10年以上の付き合いだ。AKAのチームのみんな、コーチのハビエルは本当に大好きだ。チームのみんなを愛している。今日は言いたいことがある。これが自分の最後の試合だ。父がいなくて、ここに来るなんて考えられない。父がいなくなって(挑んだ試合は)今回が初めて。UFCからジャスティンの件で連絡があったとき、母と3日間、話し合って、母は父がいないなら戦ってほしくないと。約束したんだ。これが最後の試合になるって。だからその約束を果たさないといけない。これがここでの最後の試合だ。UFCに頼みたいことはひとつだけ。パウンド・フォー・パウンドの1位を俺にすること。それだけのことはやってきたし、無敗のライト級王者なんだ。UFCで13勝、13勝0敗。MMAキャリアは通算29勝だ。自分にはそれがふさわしいと思っている。もうひとつ、ロレンツォ・フェティータへの感謝と、デイナへの感謝、ハンターやみんなに感謝していることを伝えたい。ジョー・シウバ、ありがとう。UFCのチームのみんなに感謝している。世界中のみんな、このパンデミックの中で、本当に最高のショーを作り上げている。ジャスティンにも本当にありがとう。ジャスティン、2016年のことは忘れないよ。自分の減量をかなり手伝ってもらった。ありがとう、ブラザー。キミが素晴らしいやつだってことは分かっているんだ。みんなのことをどれだけ気にしているのか俺は知っている。ご両親のこともあって、キミのことはいろいろ知っているからね。いつか、何か起きるだろう。明日には何が起きるか分からないんだから。それは誰にも分からない。今日がUFCでの最後の試合になる。父の夢だった。ダスティンとコナーが1月に戦う。俺は2人ともチョークで沈めた。2人ともだ。それには興味がない」

<ミドル級マッチ 5分3ラウンド>
○ロバート・ウィテカー(オーストラリア)
 判定3-0(29-28、29-28、29-28)
●ジャレッド・キャノニア(米国)

ロバート・ウィテカー
「俺はすごくいい試合だったと思っている。かなりいい感じのゲームプランを用意していたし、自分もチームも念入りに取り組んできたから、完璧に機能した。試合の全体を自分がコントロールしたと思っている。思っていた通りの展開にできたんじゃないかな。これは試合だ。パンチを打って、向こうも打ち込んでくる。あいつはタフなやつだし、最初から最後まで戦い抜いた。彼と戦えたことは光栄さ。正直、こんな大変なときに働けるなんて恵まれているし、すごいことだよ。何もかもがプロフェッショナルだし、UFCの取り組みはプロそのもの。最高だよ。本当にうれしい」

<ヘビー級マッチ 5分3ラウンド>
○アレクサンドル・ボルコフ(ロシア)
 2R 1分15秒 TKO
●ウォルト・ハリス(米国)

アレクサンドル・ボルコフ
「第2ラウンドでフィニッシュするつもりではあったけど、第1ラウンドでも惜しかった。もしかしたら、今回の試合はそうだね、思い通りにいったと言えるかもしれない。試合前、相手はヘビー級で最強ストライカーの1人だって言われていたけど、そうじゃないことを俺が証明した。今回の試合でほとんど俺に触れられていない。打撃に取り組み続けて、レスリングもがんばるし、すべてやっていく。俺がヘビー級で一番だってことをみんなに見せつけてやる。オーフレイムでもドス・サントスでも、ビッグネームなら誰でもいい。勝利を祝う習慣はない。俺にとってはただの仕事だからな。とにかく幸せ。俺にはそれで十分だ。家に帰って、また自分のことに取り組んでいくよ」

<ミドル級マッチ 5分3ラウンド>
●ジェイコブ・マルクーン(米国)
 1R 0分18秒 KO
○フィリップ・ハウズ(オーストラリア)

フィリップ・ハウズ
「とてもハッピーな気分だ。ハードワークと神の証明だよ。神を信じ、自分自身を信じ、自分のチームを信じたからこそできたことだ。サンフォードMMAの人たち、それからボクシングのコーチ、オレは偉大な人たちに囲まれている。そういう人たちのための証明なんだ。そりゃ、最高の気分だよ。でもあんまりはしゃぎ過ぎちゃいけない。だってオレたちにはもっとすごいことが待っているんだから。世界王者になるっていう、もっと大きな図を描いているんだ。オレたちはそのためにここにいる。過去の映像を見て、多くの人がオレの右手を恐れているのを知っている。何人もこの右手でフィニッシュしてきたからな。彼が引いたのを見てすぐに、何を怖がっているのかはっきり分かったよ。ファイトアイランドは最高だ。ここで戦えて良かったよ。開催してくれたUFC、デイナ・ホワイトと多くの人たちに感謝したい。神のおぼしめしによって彼らはやるべきことを全てやり、オレたちはこうしてここにる。すごく感激だよ」

<女子フライ級マッチ 5分3ラウンド>
○ローレン・マーフィー(米国)
 2R 3分31秒 リアネイキドチョーク
●リリヤ・シャキロワ(ウズベキスタン)

ローレン・マーフィー
「次はタイトル戦をお願いするわ。チャンピオンと戦わせて、誰でもいいから。メディアの人たちには私のことを軽んじるのをやめてほしいから叫んだの。いい加減にしてほしいわね。私はランキング5位だっていうのに、一体何なの? もう少し強く打ち込みたかったけど、UFCに来る人たちはみんな優秀だからね。これを生かしてもっと自分を高めるわ。完璧よ。初めてのサブミッション勝ちを決めたわ。大きなゴールで大きなチャレンジだったけど、それをここアブダビでできたってことはすっごく特別だし、最高にうれしいわ。これでみんなが私を軽視するのをやめてくれるといいんだけど。これまでずっとキャリアを通して負け犬扱いをされてきた。みんな私には目もくれなかったけど、それももう終わりよ。私はアスリートとして立派に成長した。もはやベテランよ。全てを見てきたし、やり遂げてきた。もう私を見過ごすなんてできないはず。最高の気分。一番改善したのは自信ね、きっと。次に改善したのは打撃。そのプロセスの間ずっと落ち着いていられたのは大きかった。たくさんの助けに支えられてきた。ファイターを作るには村1つ分の力が必要なの。私は全ての面でベストの中のベストを利用している。最高のスポーツ心理学者、最高の栄養士がついていて、最高のストレングス&コンディショニングを受けているわ。私には最高の打撃コーチ、最高のグラップリングコーチがついている。文字通り、私は自分の手で選びぬいてベスト中のベストの自分のチームを作ったの。その成果が表れていると思うわ」

<ライトヘビー級マッチ 5分3ラウンド>
○マゴメド・アンカラエフ(オーストラリア)
 1R 4分19秒 KO
●イオン・クテラバ(オランダ)

マゴメド・アンカラエフ
「最高の気分だ。やっと熟睡できるぜ。6カ月のキャンプだったから、6カ月の間めちゃくちゃ頑張っていい仕事をしたんだ。今日はそれを証明した。オレは相手をつかまえ、カウンターでフィニッシュしたかったんだ。実際カウンターで決めたよ。オレの階級の連中はみんなこの試合を見ていたと思う。トップファイターたちを追いかけているから、待っていてほしいな。トップ5の誰かと戦えたら最高だ。そうなったら面白いだろう。希望は(マウリシオ)ショーグン・フアかアンソニー・スミスだけど、それ以外でもトップ5なら誰でもいい。とにかく、ぐっすり眠れることがうれしくてたまらないよ。これから2、3週間ほど休むとするかな。次はトップ5とやれることを願っている」


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’20年11月05日号新日 HELL-CELL ヌルマゴ 内柴正人 Vamostar ジュリア ハロウィンH