[ファイトクラブ]RISE142後楽園の激闘から考える、上位概念への剣が峰

[週刊ファイト9月17日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼RISE142後楽園の激闘から考える、上位概念への剣が峰
 Photo (c)RISE/週刊ファイト Text by こもとめいこ♂
・大﨑兄弟勝利のリレー!
・前口太尊爆笑会見
・テレ朝・アニメソング『総選挙』の時代錯誤
・RISE立ち技上位概念への懸念
・ONEとの世界市場対決へ向け、RISEに欠けるもの


 9月4日『RISE 142』が後楽園ホールで行われた。メインイベントでは大﨑一貴が田丸辰からスーパーフライ級にベルトを奪取。
 また、セミファイナルでは前口太尊が森本“狂犬”義久から3度のダウンを奪いながら最後あわや逆転負けかという薄氷の勝利で場内を大いに沸かせた。
 試合後は、大崎兄弟と前口太尊の勝利者インタビューが行われた。当初の予定と違い、嘔吐していたという前口太尊より大崎兄弟が早く登場してしまい、段取りとは逆になってしまったが、感動的な兄弟のドラマが先に見られたのは、結果的には良かった、という大会の締めくくりとなった。

■ RISE 142(ライズ ハンドレッドフォーティツー)
日時:9月4日(金) 開始18:00
会場:東京水道橋・後楽園ホール
観衆:未発表

<メインイベント(第8試合)RISEスーパーフライ級(-53kg)タイトルマッチ 3分5R無制限延長R>
[王者]
●田丸辰(王者/TRY HARD GYM)
 判定 0-3
○大﨑一貴(挑戦者/OISHI GYM/同級1位、初代WMC日本フライ級王者、LPNJフライ級王者)
[挑戦者]
王者・田丸が2度目の防衛に失敗。大﨑一貴が新王者となる。



大﨑兄弟(右、弟・孔稀) (左、兄・一貴)
Q.「今日の試合の感想からお願いします」

大﨑孔稀「今日は僕のあとに、お兄ちゃんのタイトルマッチっていうのがあって、何としてでも勝たなければいけない! という思いが強くて、そしてやっぱり勢いを付ける為に一番良いのはKO勝ちだ! と思って、狙っていた通りにKO勝ちが出来て、想いをお兄ちゃんに伝えられたので良かったと思います」

大﨑一貴「今日の試合、最初からもう、厳しい試合になるっていうのは覚悟してたんですけど…今まで自分を育ててくれたジムの皆さんと、支えてくれた方達が会場に大勢来てくれていたので、その皆さんの為にも、絶対勝とう! と思っていました。そして、孔稀の試合があって、メチャクチャ良いKO勝ちをしてくれて、僕も見ていたんですけど、それでより気合いが入って、孔稀の気持ちに応える為にもベルト獲らないといけないな。っていう強い気持ちを持っていけたのが、スゴい良い結果に繋がったな、と思います」

Q.「一貴選手、今日はどんな作戦で望んだんですか?」

大﨑一貴「基本は下がらずに、プレッシャーかけていく。というのが自分の得意としてる闘い方なので、それをメインに。あとは(前に出ての攻撃を)除けられるっていうのは、解っていたので…前回、政所選手との試合では、(7・19後楽園)除けられて、それで焦ってしまって、力が入ってしまって硬くなって…という試合になったので、田丸選手との試合は、除けられた後に攻撃を当てる練習をして、さらに下からローやインローで削っていって崩して、5R闘い抜く。っていう作戦でした」

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Q.「インローで削れてる感触はありましたか?」

大﨑一貴「そうですね、何回か、バランス崩してくれたので、そういう印象はあったんじゃないかと思います」


Q.「作戦通り?」

大﨑一貴「そうですね。あと、自分は左のパンチが得意で、しかし田丸選手には当たらないだろうと思って、半ば棄ててたので、良いタイミングで当てられてダウンを取れたっていうのは自分でもビックリしたんですけど、スゴい嬉しかったです」


Q.「ダウン取ってから、追い上げられてる感じはありましたか?」

大﨑一貴「そうですね、追い上げてくる感じはあんまり…怖くは無かったというか。そこまで、(倒されるほどの)1発は無いと思ってたので、当たれば僕の方が、パワーはあるし、パンチがまだ利いてる場面だったので、そこの(追い上げられる)恐さはあんまり無かったです」

Q. 「ダウンを取ったあとは、どういう事を考えていましたか?」

大﨑一貴「まだ2R目だったので、そこから巻き返される可能性はあったので、浮かれずに冷静になって、練習していた事を出そうという気持ちで、その先は闘っていました」

Q.「最後は珍しく感情を露わにして涙を流してましたが」

大﨑一貴「本当に、メチャクチャ嬉しかったので、自然に出ちゃった感じです」

Q.「孔稀選手、最期のハイキックは狙いすました1発ですか?」

大﨑孔稀「あれは流れです。全然狙ってなくて…三日月蹴りとかボディ利いてるな!?っていうのがあって…コーナーに詰めて、相手が下がったので、そのまま追いかけて蹴ったら綺麗に決まって…倒れ方が完全に利いてた感じだったので、これはKOできたな、と思いました」

Q.「同じ階級でお兄ちゃんがチャンピオンになってしまった訳ですが?」

大﨑孔稀「そう…なんですよね。試合前は、絶対獲って欲しい!! っていう気持ちで、それしか無かったんで、ベルト獲った時はメッチャ嬉しかったんですけど…今こうやって、冷静になると…階級一緒じゃん…なのにチャンピオンになっちゃったじゃん! みたいな感じですけど…お兄ちゃんがベルトを獲るためにずっと一緒に、一所懸命やってきたので、素直に嬉しいです」

Q.「兄弟対決はないですか?」

大﨑孔稀「いや…どうですかね(笑)僕もやってる以上はベルト欲しいですし…お兄ちゃんが持ってるから、じゃあ要らないって訳にはいかないので…まあ、狙うしかないのかな?っていうのはありますけど。でもやりたいか、やりたくないかで言ったら、やりたくないです。やっぱり兄弟なので」

Q.「今の弟さんのコメントを受けて?」

大﨑一貴「僕は…全然やりたくないです」

Q.「どんなチャンピオンになりたいか?」

大﨑一貴「RISEの他の階級のチャンピオン達も、本当にスゴい強い選手で、結果も出してきてるんで、僕もそれに加わって、RISEのチャンピオンとして盛り上げられる様な試合をどんどんしていきたいです」

Q.「コロナで伸びちゃったんですが、石井一成選手がRISEにあがる事になってますけど、やってみたいと思いますか?」

大﨑一貴「そうですね、石井一成選手にはまだ勝ててないので、3戦して1敗2分けなので…本当にやりたい! と思ってます」

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<セミファイナル(第7試合)スーパーフェザー級(-60kg)3分3R延長1R>
●森本“狂犬”義久(BRING IT ONパラエストラAKK/フェザー級2位)
 判定 0-3
○前口太尊(TEAM TEPPEN/元J-NETWORKライト級王者)




Q.試合の感想からお願いします

前口太尊「一言で言うと苦しかった…闘いでした。
1R、バックブローで極めた時に、あ、終わった…ってホントに思ったんですけど。手応えも感じて…こんな気持ちイイ手応え無い! と思って。
そしたらなんか、ゾンビの様に起き上がってきて…おい、マジかよ?と思って」


前口太尊「あれ?1Rもう一回ダウンとったんでしたっけ?」
Q.はい

前口太尊「それでもう、今度こそホントに終わった…って、思って。そしたらまた立ち上がってきて…あともう6秒ぐらいしか無くて、倒しきれなくて…
2R目もダウン取って…でもこれはもう、絶対立ってくるな!?って思ったんですよ。で、そこの猛攻から、記憶があんまり無いです…」

前口太尊「ただ1つ思ったのは、森本“狂犬”義久選手のパワーが、(未だ)フェザー級の選手(のまま)だったから…そういう意味で、60kg級のパワーに足りてないな!?と思って、パンチ何発受けてもオレは倒れる気しなかったんで、だから、全然耐えられる…って思って(頑張れた)。
でもなんかあの、マジでもう、ガス欠起こしちゃって。スタミナ切れで、まあ…攻め疲れですよね。単純に」

前口太尊「でもまあ、普通の選手は、あそこ(ダウン3回)から挽回できないんですけど、彼(森本“狂犬”義久)はスゴい、気持ちがメチャクチャ強い選手でしたね。
そこからずっと…なんか猛攻がスゴくて、取りあえず耐えるしかなくて…耐えてる中で、1発カウンターを狙う。そういう手段しか採れなくて。
まあ、あんまり覚えてないですね。2Rの終わりから。
試合後、速攻気持ち悪くなって。すぐ吐いてきましたよ。1Lぐらい吐いてきました。(会見場内笑)
だいぶもうスッキリしましたね。すいません、汚い話で」

Q.「試合終わって吐いたのは初めて?」

前口太尊「試合後吐いたのは初めてですね。勝次戦(2017年8・20 KNOCK OUT)の時もスゴい気持ち悪くて、眼窩底折れてたんで。でも吐きたいのに吐けなかったんですよ。

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だから試合後に吐いたのは初めてです。
なんかスゴかったすよ、(吐瀉物の)量がスゴくて、ドン引きしちゃいましたよ。気持ちわりい~と思って(報道陣爆笑)。
そうしたらなんかあの、TEPPENの柚樹(酒井柚樹)、アイツもなんか知んないすけど、吐いた。って言ってて…
TEPPENで2つのトイレ、後楽園のトイレ汚して、マジ迷惑だなと思って(会見場内笑)
ホント、オレら、ヤベえなって話をしてて。
丁度オレは後楽園ホールの控え室の右側のトイレで吐いて、アイツは左側のトイレで吐いて、丁度2つともゲロ塗れにしちゃって…(報道陣笑)はい、すいません、汚い話で」

Q.「3Rのラッシュは自分のコーナーで受けてましたけど、セコンドの声は聞こえました?」

前口太尊「あんまり、試合の記憶無いんですけど…取りあえずボコボコ、ボコボコ打たれて。


試合後に(セコンドから)言われた事で、ボクシングだったらスタンディングダウン取られてたよ。って言われたのは(覚えてます)。

ただ、その(ラッシュの)中で、たまに自分返してたんですよ、右のフックとか。そういうので上手く(ジャッジの目を)誤魔化せられたのかなって…
自分の想定では…(試合前には)今日、狂犬をKOする! って言ってたんですけど、(内心)オレ、延長で勝つつもりで居たんですよ。その、苦しい事(4Rまで打ち合う試合)を想定した上で(挑んだので)。厳しい闘いになったんですが、それは想定内でした。
ただ、もう、ホントに疲れました。これがタイトルマッチだったら、ホントヤバかったですね。5Rまでですもんね。
あと2Rこんなことやんなきゃいけない。と、思うと、ゾッとしますね。

早く倒さないとダメですね。ああいうの(ゾンビみたいに立ってくる選手)は。面倒くさいっすよもう。ああいうのは…(報道陣爆笑)」

Q.「勝って、結果が出た事で、タイトルへラストチャンスを掴んだ気持ちか?」

前口太尊「自分、大怪我して、(TEPPEN GYMへ)移籍してからもずっと結果残せなくて、5連敗とかしたりとかして。自分のファイトスタイルは何なんだろうな?とか、かなり思い悩んだ時期とかもスゴいあって…
結局、人から言われる事とか、全部やろうとするんですけど、自分ホント、器用じゃ無いから(難しくて)。
結局1周通り越して、自分のファイトスタイルって、やっぱり前に出て、ガンガン行く事だろうな。って思って。
昔から…多分10年以上、アマチュアの時から、自分はファイトスタイルが変わってないと思うんですけよ。それで何か色々…テクニックとか、そういうのを、なんか色々な事をやろう! って思っても、全然出来なかったんですけど…やっぱり、自分のファイトスタイルを、もう前に出てガンガンいく! って決めてその中で、+α、テクニックとかちょっとでも見せられたら良い。っていう風に吹っ切れたんですよね。

前回、SBの笠原弘希選手と試合(シュートボクシング2・15後楽園大会)した時に、結果は肘で斬られて負けちゃったんですけど、けっこうなんか…あ、自分ちょっと戻ってきたんじゃ無いかな!?…と思って。肘で斬られたけど、3R目とかダウンも取ったし、あのままいけば自分の勝ちだったから(笑)なんで止めたんだろうなって思うんですけど(苦笑。報道陣笑)。そんなに、肘深くなかったのにな。…とかって思たりもするんですけど…(会見場内笑)ま、それは(済んだ事なので)良いですけど。
だいぶなんか、(TEPPENに)移籍してきて、板に付いてきたかな?っていうのはありますね。

Q.「終わって廊下とかで森本“狂犬”義久選手と遭遇しました?」

前口太尊「いや、遭遇はしてないですね。まあ、また闘うかもしれないし。自分もタイトルマッチとか視野に入れてる選手なんで、(ベルトを争う相手になる可能性がある以上)まだ全然(打ち解けて)話とかはできないですね。
試合後とかも全然、リング上でも話さなかったと思うんで。
てか、覚えてないっすね、あんまり、試合後の事とか。オレ、マイクとかけっこうヒドかったじゃないですか?なに言ってるか解らなくて、失笑おこしちゃったりしてたのは覚えてます(会見場笑)。
あれで、アノ(激しい)試合して、(直後に)スラスラ、ペラペラ話したら、その方がちょとおかしいな?…って、思うので。けっこうまあまあ…今もなんか、ナニ言ってるか(自分でも)解んないですね」

Q.「今は受け答え大丈夫ですよ」

前口太尊「大丈夫ですか。
ホントに今回は…いつも、チャンスを貰って、いつも、コケるんですよ、自分。
良い試合をする、けれども勝てない。ってう結果が続いて…ホントもう、(自分でも)ホント(勝てないのが)イヤだったんですけど。
今回も、大爆発して伝説起こす!! とかって言ってたんですけど、マジで勝ちたくて。今回ばかりは。ホント勝ちたくて。
今日、負けたら引退するつもりで、ホントにいましたね。
もう、命賭けて、人生賭けて…TEPPENの夏合宿にも、ホントに、若い奴らにも絶対負けない!! とか、そういう気持ちで参加して…
常にもう、2ヶ月間ずっと。
試合決まってから、(自分を)追い込んで、もう、ナニクソ!! とか、見返してやる!! とか、スゴいもう、そういう気持ちで、ずっと(練習を)やってたんで、そういう気持ちが、まあ、活きたんだな。っていうのはスゴい感じましたね。ホント、(キックボクシング)やってて良かったな、諦めないで良かったなって感じましたね」

<第6試合 スーパーフライ級(-53kg)3分3R延長1R>
●奥脇一哉(エイワスポーツジム/同級6位、元REBELS-MUAYTHAIフライ級王者)
 1R 2分32秒 KO
○大﨑孔稀(OISHI GYM/WMC日本スーパーフライ級王者、J-NETWORKスーパーフライ級王者)



<第5試合 バンタム級(-55kg)3分3R延長1R>
●金子梓(新宿レフティージム/同級5位)
 1R 2分28秒 KO
○鷹介〔ようすけ〕(魁塾)




<第4試合 -52.7kg契約 3分3R>
△片島聡志(フリー/WPMF世界スーパーフライ級王者)
 判定 1-0 ドロー
△酒井柚樹(TEAM TEPPEN)



<第3試合 -57.5kg契約 3分3R>
○浅井春香(Kick Box/J-GIRLSフェザー級王者)
 判定 3-0
●村上悠佳(TEAM TEPPEN)




<第2試合 ライト級(-63kg)3分3R>
○YA-MAN(TARGET SHIBUYA/2018年RISING ROOKIES CUPフェザー級準優勝)
 判定 3-0
●仙 一(チームドラゴン)



<第1試合 ライト級(-63kg)3分3R>
○杉山豪基(鹿浜TOP TEAM)
 判定 3-0
●吉田怜央(Refre’K/JAPAN CUP 2019 -60kg級準優勝)



 9月6日、テレビ朝日で『アニメソング総選挙』が放送された。
 「13万人がガチ選挙」との謳い文句で、投票を世代別に分けてポイント化し、アニメソングの順位を着けようという企画だ。
 本家のAKSが「総選挙」離れをせざるを得ない2020年に「総選挙」というセンスが、既にかなりスベっている訳だが、最大の問題は「アニメソング」という雑な括り方。

 1万曲以上あるという「アニメソング」から好きな曲を選ばせるというのがそもそも無理で、例えばNHKがラジオで同種の人気投票企画を行う場合は、必ず年代やジャンルを絞る。学園アニメソング、世界名作劇場アニメソングなど、範囲を絞る必要があるのだ。
 また、現在のいわゆる「アニソン」は変調やアップテンポさが特徴としてあげられるが、『サザエさん』や『鉄腕アトム』の唱歌の様な歌を同等に扱うのか、あるいは90年代に顕著な、作品の内容と無関係なタイアップ曲をアニメソングとして良いのか、という問題もある。
 さらには、『アイドルマスター』『ラブライブ』『マクロス』の様に、楽曲が主題となり、劇中歌も含めると膨大な曲数になれば票は分散して不利に働く。
 現在ブームの『鬼滅の刃』と言えば『紅蓮華』で当然の如く2位に食い込んでいるが、仮に今秋公開される劇場版の後に投票をすれば、その主題歌と票は2分される筈である。
 そもそもがこういった、個人の主観を数値化して人気として束ねるのはそもそも無理なのである。

 今回最大のやらかしは『涼宮ハルヒの憂鬱』の曲として「Godknows…」を9位にランクインさせてしまったところだろう。『ハルヒ』の曲と言えば圧倒的にEDの『ハレ晴れユカイ』だ。
 今でこそキャラクターがエンディングでダンスを披露するのは当たり前になったが、その先駆けが『ハレ晴れユカイ』。そしてTikTokへ受け継がれたYouTubeの動画の1大ジャンルである「踊ってみた」流行のキッカケでもある。
 本編のEDであり、TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』を代表する曲である事は勿論、アニソンのみならず、インターネットにおける動画投稿の歴史にとっても特筆すべき曲が『ハレ晴れユカイ』なのである、

「踊ってみた」隆盛の粗と言って良い「ゾンビーズ」の『ハレ晴れユカイ』。海外ではこの動画から『涼宮ハルヒの憂鬱』を知ったファンも少なくない。

 それに対し、『Godknows…』は学園祭シーンの一度だけ登場した劇中歌に過ぎない。そもそも10代男子からの投票が多かったという結果が、2006年4月〜7月に放送された『ハルヒ』の年代とはズレている。
 何故こうした揺らぎが生じたかと言えば、ブシロードの大ヒットコンテンツ『BanG Dream! 』プロジェクトにおいて、Poppin`Partyにカバーされた影響に他ならない。
 印象的な学園祭で唄われたので…という説明は意図したものかどうか、いかにもこじつけだった印象は拭えない。

 人気投票はハッキリ悪だとしても、「国民が選ぶ(投票するのに日本国籍は不要だったのに何故こういう形容になるか意味不明だが)本当に好きなアニソン」(BanG Dream! 版は劇中で唄っていないのでアニソンではない)という謳い文句に揺らぎが生じるのは、もっと不遜ではある。

 さて、『BanG Dream! 』プロジェクトは今でこそ50億円の売り上げを誇り、ブシロードを支える大きな柱に成長したが、その始まりは、響所属の声優愛美が、『アイドルマスター』のSSAでのライブ(THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!! 2014)で披露したギターでの弾き語りだった。

 その後、ブシロード社内で担当スタッフが愛美にガールズバンドをやらせたいと提案したのを
「それは絶対にコンテンツにしないとダメだ」
と言ってプロジェクトを始めさせたのも、
「フェスで知らないアニメの曲を聴くのが嫌い」
だと言ってメジャーなアニソンのカバーを導入したのも木谷オーナーの発案と言われる。

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