RISEクィーン寺山日葵、女蹴sasoriの猛毒に苦戦! 延長辛勝で悔し泣き!!

 先週末の無観客での大会開催に続き、ナンバーシリーズ復活で8月からいよいよ本格始動するRISE。
 先週末の王子・白鳥大珠、神童・那須川天心の連勝に続いてTEAM TEPPENがその7・19のリングに送り込んだのは、自他共に認めるRISEクィーン・寺山日葵。だが、凱旋した聖地後楽園のリングに待ち構えていたのは、女蹴sasoriの猛毒だった…

 

 アトム級女王・紅絹の貫禄勝ちに続いての第6試合、場内に梶芽衣子の名曲『怨み節』が流れ、sasoriが入場してくると、背中には「女蹴さそり」の文字という強烈なインパクト。

 いまどきのプロレスラーでも中々見ないアクの強い入場だが、それは出オチに留まらず、ファイトスタイルはさらに鮮烈だった。
 序盤から、前蹴りを多用する寺山日葵に対し、全く怯む事無く前へ出るsasori。
 キックにカウンターでパンチを合わせ、膝蹴りをまともに喰らっても足を止めない、そのラッシングファイトに、女王・寺山日葵は下がらざるを得ない。
 手数を出しているのに退いて闘うという展開に、セコンドの神童・那須川天心も身振り手振りでアドバイスを送る。

 しかしsasoriの突進は止められず、延長へもつれ込んでの僅差の判定勝利となったが、寺山日葵に笑みはなし。

 そればかりか、試合後の会見場では
「sasori選手の気迫の凄さは勉強になった」
「もっともっともっと強くなって、RISEの看板を背負える様に頑張りたい」
「延長になると思っていたが、すぐにリングから帰りたかった(苦笑)」
「負けたらRISEクィーンとして恥ずかしいと気持ちで…ベルトが無くなったら(私には)何にも無いので、負ける訳にはいかないと思って頑張れた」
「前に出てくるのは耐えられると思っていたのに無理だった…」
「練習してきた事も出来なかった。悔しくて悔しくて…勝っても笑えなかった」
と、反省しきり。

 RISEのルールは、肘無し、足をキャッチしての攻撃は1回のみ、首相撲が禁止なので、クリンチになったら突き放して攻撃する事になる。
 男子は当然、不用意に前に出れば倒される事になるが、KOは無論、ダウンを奪うのも難しいのが女子の試合の特色。
 sasoriのラッシングファイトはその、手数をもらっても倒れ難いという女子の特性に合った戦術と言えよう。
 対抗するとすれば、足を止めてショートレンジで打ち合うか、回って側面から打撃という事になるか。或いはキックの打撃力を上げてローキックという事も考えられる。

 筆者は以前、女子は首相撲や肘を認めるなど、ルールを変える事を提案したが、sasoriの参戦はこの
「容易には倒せない、倒れない、立ち技の女子格闘技」
という特性を改めてクローズアップさせる要因になっていく可能性を秘めている。

 立ち技において、倒し倒されを望む観客論に対し、戦術的な面から変革の波が起こるのか。
 今後の大きなうねりの最初の波紋となりそうな7・19後楽園となった。

■ RISE 140(ライズ ハンドレッドフォーティ)
日時:7月19日(日) 開始18:00
会場:東京水道橋・後楽園ホール(東京都文京区後楽1-3-61 後楽園ホールビル5F)

<メインイベント SuperFight! -60.5kg契約 3分3R延長1R>
△工藤政英(新宿レフティージム/第3代RISEフェザー級王者)
 本戦判定 1-0(30-29,29-29,29-29) 延長判定 1-1(10-9,10-10,9-10)
△髙橋亮(真門ジム/NKBフェザー級王者、元NKBバンタム級王者)


 髙橋亮のローキックで脚を気にする素振りをみせた工藤政英だったが、王者の意地で反撃。
 延長でも決着がつかず引き分けとなった。

<セミファイナル SuperFight! -72kg契約 3分3R延長1R>
●“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館/第2代RISEウェルター級王者)
 判定 0-3(27-29,27-29,26-29)
〇緑川創(RIKIX/WKBA世界スーパーウェルター王者、第8代新日本キックボクシング協会ウェルター級王者)




 煽り映像を有言実行、ベイノアから2度のダウンを奪って完勝となった緑川創。
 2R序盤、ベイノアのハイキックで膝を付いたが、
「意識はハッキリしていたのに、気付いたら膝を付いていた」
と解説。その上で、階級を上げてきての試合だったベイノアの強さを称えた。

 今後もRISEに継続参戦しつつ、肘有りのムエタイルールでもチャンピオンを狙うとのこと。
 
<第6試合 SuperFight! -50kg契約 3分3R延長1R>
〇寺山日葵(TEAM TEPPEN/初代RISE QUEENミニフライ級王者、第8代J-GIRLSミニフライ級王者)
 本戦判定 1-0(29-28,29-29,29-29) 延長判定 3-0(3者とも10-9)
●sasori(テツジム/NJKFミネルヴァ日本ライトフライ級王者)

 
<第5試合 SuperFight! -47.3kg契約 3分3R延長1R>
〇紅絹(NEXT LEVEL渋谷/初代RISE QUEENアトム級王者)
 判定 3-0(30-29,30-28,30-27)
●山本ユノカ(Kick Box/元WBA女子世界ライトミニマム王者、元OPBF女子東洋太平洋フライ級王者)


 
 入場時に空けてある客席に座るパフォーマンスで魅せた紅絹が、元ボクシング世界女王を圧倒する打撃をみせての快勝となった。

<第4試合 -55kg契約 3分3R延長1R>
●政所仁(魁塾/スーパーフライ級1位、J-NETWORKフライ級王者)
 本戦判定0-1(28-29,29-29,29-29) 延長判定0-2(9-10,10-10,9-10)
〇大﨑一貴(OISHI GYM/スーパーフライ級3位、初代WMC日本フライ級王者、LPNJフライ級王者)
 
<第3試合 -56.5kg契約 3分3R延長1R>
〇志朗(BeWELLキックボクシングジム/ISKAムエタイ世界バンタム級王者、RISE WORLD SERIES 2019 -58kgトーナメント準優勝)
 1R 0分26秒 右フックKO 
●清志(新興ムエタイジム/NJKFバンタム級2位、WMC日本バンタム級3位)


先週末の神童に対抗するように26秒殺劇を見せつけた志朗。アジアシリーズ制覇しての神童へのリベンジロードは絶好の再始動となった。

<第2試合 -53kg契約 3分3R>
〇小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/WPMF女子世界フライ級王者、初代ムエタイオープン女子フライ級王者)
 判定 3-0(30-28,30-28,30-27)
●MARI(ナックルズGYM/元NJKFミネルヴァ ピン級王者)

<第1試合 -66kg契約 3分3R延長1R>
●稲石竜弥(TEAM OJ/元Bigbangライト級王者、元MA日本ライト級王者、元APKFスーパーフェザー級王者)
 判定 0-2(29-30,29-29,28-29)
〇KENTA(HAYATO GYM/ライト級8位)


 なお、RISE広報淵脇氏(右)に土曜日のRIZINの会見と、SNSで盛り上がる王子・白鳥大珠による皇治迎撃について訪ねたが
「才賀紀左衛門選手では?」
との解答で、現状RISEとしては白紙の様であった。