▼コロナ禍の女子プロレスで考えるケレン味と勝負論~アクトレスガールズの羅針盤~
Photo & Text by こもとめいこ♂
・コロナ禍が女子プロレスに持ち込んだ勝負論
・8・2北千住で見たガチンコ対決!!
・アクトレスガールズの羅針盤
・谷ももの、膝に勝る強烈な武器
大相撲の7月場所が、東前頭十七枚目・照ノ富士の優勝で幕を閉じた。
2015年に快進撃で初優勝、次期横綱と言われながら膝の怪我や糖尿病で大関陥落、幕下序二段まで番付を落としたところからの奇跡の復活優勝で相撲ファンは沸き立ったが、何故照ノ富士が膝を痛めたのか、という原因を追及する報道は見かけなかった様に思う。
食っちゃ寝で無理矢理身体を大きくする非科学的習慣で膝を痛める力士は照ノ富士に始まった事では無いが、相撲協会の前近代性を批判するジャーナリストからも疑問が差し挟まれないのは甚だ疑問である。
力士の大型化で検索すると、高見山の出現で力士が大型化していったとされるが、無理に食べて体重を増やすのは日本プロレスでもあったと聞くし、食糧事情が改善した戦後には暴飲暴食も稽古に組み込まれていたのだろう。
ただ、穀類や野菜、魚が中心だった頃と違って、肉食が採り入れられた事でより体重が増加してきた事は想像に難くない。
力士がX脚になるのも膝が体重を支えきれなくなっている証しだと言われるし、照ノ富士は身体を絞って復活を遂げている事も考えれば、前近代的な食っちゃ寝環境は改善すべき事は間違いない。
広尾晃氏が2018年に力士の大型化に関して書いたNumber webの記事は100年前の力士の体重を調べた労作だが、力士の大型化の問題点を「決まり手が単調になった」事に収斂し、土俵の大型化を提言するという、「僕の考えた最強の大相撲」な結論なのは首を捻らざるをえない。
https://number.bunshun.jp/articles/-/829707
なるほど大型化も決まり手に影響するだろうが、より大きな要因は、注射(八百長)の減少だろう。
貴闘力氏は相撲を賭けの対象にできるガチンコにしたかったという…
ブッカーがいる訳ではない大相撲では、注射は力士同士が申し合わせ、仲介者を通して行われていたと言うが、常にガチンコを要求されれば、大向こうを唸らせる様な決まり手など狙う余裕は無いだろう。
年二場所、四十八手と称されていた頃の、独立した技の掛け合いだった頃とは別の競技なのである。
自分の膝を痛める様な体重の力士同士が、いかに勝つか、自分充分の体制にもっていくかを考えれば、自ずと技も限定される。
横審は所詮素人の集まりで、やれ品格がどうのと過去の横綱を引き合いに出すが、注射が当たり前だった時代の千代の富士や北の湖と、現在の白鵬を同じ土俵で論じるのがそもそも間違いの元であろう。
照ノ富士の復活劇は、そんな夜郎自大な大相撲の前近代性に抗う様な痛快劇だった。
そしてそれはやはり、勝負論がもたらしたこその感動でもある。