[ファイトクラブ]井上譲二の『週刊ファイト』メモリアル第76回 他人を悪く言わないラッシャー木村さんが48年前に「あるスター選手」を痛烈批判!?

[週刊ファイト8月6日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼井上譲二の『週刊ファイト』メモリアル第76回
 他人を悪く言わないラッシャー木村さんが48年前に「あるスター選手」を痛烈批判!?
・新日プロ、UWFへの参戦は自分の意思ではなかった
・謙虚な人柄が評価されて長く使ってもらえる
・たまたまテレビ観戦していたビートたけしもずっこけた
・違う人格を演じることは試合スタイルを変える以上に難しかった


 レスラー仲間だけでなく、ファンからも愛されたラッシャー木村さんが天国へ旅立って今年で丸10年。みんなから「いい人」と思い込まれていたR・木村さんの人間性に裏はなかったが、筆者が取材した中で1度だけ、あるスター選手の私生活を批判したことがあった。皮肉にもR・木村さんは、それから約10年後にその選手と抗争を繰り広げる。



欧州マット武者修行中にフランスはパリのカフェで清美川とくつろぐラッシャー木村

 39年のレスラー人生で7団体(日プロ→東京プロ→国際プロ→新日プロ→第1次UWF→全日プロ→ノア)を渡り歩いたラッシャー木村。この中で新日プロ、UWFへの参戦は自分の意思ではなかった。

 長年に渡って国際プロレスを取材し同団体のテレビ解説も務めたフリーライターの菊池孝氏(故人)は、R・木村の新日入りについて私にこう言っていた。

「木村は国際プロの元エースという肩書もあるので俺が馬場に口利きすれば所属選手扱いで全日本プロにも入れたと思う。でも、彼は吉原さんに義理立てしたんだな」

 吉原功社長は国際プロレス倒産後、新日プロに就職。A・猪木や新間寿氏から誘われたのではなく、早稲田大学アマレス部の同志である新日プロの永里専務の斡旋によるものだった。

 吉原氏の月給は、営業本部長の新間寿氏とほぼ同額の50万円。当然、吉原氏としては何か団体の役に立つことをやらなければ立つ瀬がない。そこで“仕掛人”新間氏の意向もあって実行したのがR・木村、アニマル浜口、寺西勇の新日マット参戦と、現役引退後にアメリカやカナダで活躍する外国人選手を国際プロに送り込んでいた大剛鉄之助氏のブッカー就任だった。

 私も吉原氏の新日入社がなければR・木村は新日マットに上がっていなかったと思う。もう1つ思い当たるふしがあるが、それについては後述する。

 トップクラスのレスラーであり続けながら、ほとんど自己主張をしなかったR・木村について多くの関係者は「損な性格」と言っていた。ただ、雇う側にとっては好都合だし、謙虚な人柄が評価されて長く使ってもらえるケースも出てくる。


追悼:ラッシャー木村 知られざる秘話で綴る金網の鬼

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