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冒頭のトリプル・スレッド戦から、小さいスタジオであることを逆手にとった新仕様の金網リング「NXTファイトピット」初披露まで、充実の内容で必見回となった。
最初はアンダードッグ(負け犬)から、解雇通告を受けての涙のSNS投稿で一気にユニバースの英雄となったドレイク・マベリックの登場から。戦うのはKUSHIDA、ジェイク・アトラスである。KUSHIDAのコーナーポスト上からの飛びつき腕十字が決まるんだが、肩をついているアドラスにマベリックが手をかけ、3カウントが入ったからマベリックが勝者と。
あとのフォローとして、別角度からの映像として、アトラスがタップしているが、レフェリーは3カウントの方をとったというKUSHIDAを落とさない処遇のケツに。ただ、このフィニッシュの付け方にはロジックになってないと文句付ける者は多いのではないか。ただ、そんなことに目くじら立ててもと本誌は思う。職人KUSHIDAは高評価だが、ここはマベリックを勝たせて大正解なのだから。
コメントのセグメントでは、なんか実生活では同じアパートのビル住人らしいマベリックがKUSHIDAを讃え、「次の機会にまた」と健闘を讃えあう。リアルをプロレスのストリーにして、視聴者がドレイク・マベリックに感情移入していることを生かし、恐らくはトーナメント企画の進行が変わっていく。プロレスはフェイクではない。生物なのだ。
ジョニー・ガルガノと性悪女キャンディス・レラエは、新人にチャンスをやると「ジョニー・ガルガノ・インビテーショナル」なる企画を宣言。jobberをスクワッシュするんだが、あとで前週のお返しとばかり、キース・リーとミア・イムのカップルが、あのガルガノ家の晩餐テーブルをパロディ再現。次週はPoison Pixie”毒小悪魔”がミア・イムとシングル戦となる。
父親がバイカーのワルと広言するロックンローラー、緑髪のショッツィ・ブラックハートはこのところ目立っている。但し、今回の相手はダコタ・カイの用心棒にして長身、大女のラケル・ゴンザレスだから分が悪い。ましてダコタがちょっかい、当然ティーガン・ノックスも出てくるんだが、作る側が落とさないような展開にして、進行を練ったつもりがレフェリーが位置をわかってないのが残念かも。
ただ、負けようが「ショッツィを毎週出せ!」と思ったのは本誌だけではないだろう。
『NXTテイクーバー:イン・ユア・ハウス』の3 way戦は決まっているのだが、今週は紫雷イオとリア・リプリーが組み、シャーロットはミステリー・パートナーを連れてくるとの事前の煽りだった。しかし、大物のデビューでもなんでもなく、やっぱりチェルシー・グリーンと。ただ、そうなるとやはりシャーロットはNXTではヒールであり、今週のRAWから選手観客が解禁になったが、やっぱりブーイングされるのであった。
試合は、大人のファンならスグ読めたであろう。ここはシャーロットがイオを丸め込みフォールが入るが、シャーロットの長い足は二段目ロープにかかっていると。イオは驚く表情をやるんだが、ここはこれでいいとも思うものの、このカードもフィニッシュがロジックに適ってないとの文句がSNSに溢れている。問題は、シャーロトと組むことで中途半端な位置にいたチェルシー・グリーンの格・序列は上がったんだろうか。正直、印象に残らないのであった。
ちなみにWWEだけが、木村花さんのことを公式には触れてないし追悼画像も出してないが、やはり実況マウロ・ラナーロはイオの入場の際にJoshi PuroresuのHana Kimuraと名前を出し、「Cyber-bullying(ネットいじめ)は問題だ」とやってくれていた。やってくれると思っていたゾ!
キャリオン・クロスとの一騎打ちが決まっているトマソ・チャンパ親父は、jobber相手のスクワッシュだったが、スカーレットが試合を見守るという絵だ。但し実況のベス・フェニックスが間違ってスカーレットをシャーロットと呼ぶミスも(笑)。まぁ良くも悪くもシャーロットの存在感は強烈ということだろう。
トリが、「NXTファイトピット」で特別レフェリーはカート・アングルである。本誌で詳細の通り、コロナ期間で所属の扱いからリリースされて、二週間に一度の給料の振込は90日間の猶予を経てフリーになるが、今後も一回ごとには呼びますということ。そもそも90日間はまだ給料が出ている。早い時期にそれをやっておこうとばかり、ちょうどいわゆるUWFスタイルというか、格闘技系のカードなのでフロリダに飛来してくれていた。
サムライTVを見ていたら、鈴木秀樹がアメリカに行った際の記念写真から、ティモシー・サッチャーやドリュー・グラックら日本に興味がある寝技系選手と一緒にケネディ宇宙センターに行ったとか話していたが、サッチャーは「フジワラ・アームバー」を得意技にする選手である。そしてBro.ことマット・リドルは元UFC戦士だ。ここはすでに裏情報からマット・リドルのSmackDown入りが伝えられていたこともあり、サッチャーのスリーパーにアングルが腕をチェックするが、三度目もリドルの腕は上がらずサブミッションでのTKOに。
今回の新たな金網は、事実上はスキャフォルド・マッチとの合体仕様であり、やぐらというか、足場がもとから四方にがっちり組んであって、そこでも戦うという趣向。お披露目も含めてうまくやれていた。サッチャーが堅物の実力者という印象を残したことも正解だろう。
内容充実のNXTは前週より平均視聴者数が23.5%もアップして731,000人。AEWは好評だった『Double or Nothing』のフォーローアップ回であることに加え、マイク・タイソンがPPV大会に続いて一般向きテレビ番組にも登場だから、これまた18%アップの827,000人と、いずれも大幅なジャンプを記録している。これで『水曜生TV戦争』の合計視聴者数は155.8万人となり、ようやくコロナ前の水準に戻している。
■ WWE NXT
日時:5月27日(現地放送時間)
会場:米フロリダ州オーランド近郊 フルセイル大学スタジオ
◆KUSHIDA無念!レフェリー判定で王座決定戦出場を逃す
KUSHIDAが暫定クルーザー級王座トーナメントのAグループ1位を決めるトリプルスレット戦でドレイク・マベリック、ジェイク・アトラスと対戦した。KUSHIDAはホバーボードロックでマベリックに攻め込めば、アトラスが場外ムーンサルトをKUSHIDAに決めて白熱の攻防を展開。さらにKUSHIDAはアトラスを丸め込みながらマベリックにジャーマン・スープレックスを放つ離れ技を披露するとトルネードDDTやアーム・バーを反逆児に決めたが、最後はKUSHIDAがアトラスに雪崩式アーム・バーを決めたところで、這い出したマーベリックが右腕をなんとかアトラスの胸にかけフォールするとレフェリーが3カウント。KUSHIDAはアトラスから(別角度の映像で)タップを奪いながらもレフェリーのジャッジで勝利を逃した。これでAグループ1位となったマベリックとBグループ1位のエル・イホ・デル・ファンタズマが暫定NXTクルーザー級王座決定戦で激突することが決定した。
試合後のバックステージではKUSHIDAが「勝てるようにがんばって」とエールを送ると、マーベリックも「俺が王者になったら、最初にKUSHIDAと対戦する」と約束してお互いの健闘をたたえた。
◆紫雷イオの前哨タッグ戦!シャーロット組に疑惑の敗戦
“漆黒天女”紫雷イオがリア・リプリーとタッグを組んでシャーロット・フレアー&チェルシー・グリーンと対戦した。『NXTテイクオーバー:イン・ユア・ハウス』で行なわれるトリプルスレット王座戦の前哨戦となったこの試合でイオはドロップキックやダブル・ニーでチェルシーに攻め込むと、チェルシーもトペ・スイシーダで反撃した。さらにイオはダブル・ストンプから619をシャーロットに決めてダメージを与えたが、追撃のドロップキックをチェルシーが身代わりで受けると、イオが放ったエルボー攻撃もシャーロットがかわしてリアに誤爆。この隙にシャーロットが動揺したイオを捕まえるとロープを使った丸め込みで3カウントを奪取。前哨タッグ戦は挑戦者組のイオ&リアが疑惑の敗戦となり、シャーロット&チェルシーが勝利を収めた。
イオ、シャーロット、リアのトリプルスレットNXT女子王座戦が行なわれる『NXTテイクオーバー:イン・ユア・ハウス』は日本時間6月8日にWWEネットワークで配信される。
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▼木村花:SNS誹謗中傷の教訓~墓掘人The Last Ride3~国内外動向
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’20年06月04日号木村花追悼特集-悲嘆と教訓 AEW頂点Double-Nothing Hレイス再検証