ブライアン・ケイジAEWデビュー!志田光戴冠!無観客スタジアム決戦ダントツの面白さに

(c) All Elite Wrestling

 日本時間的には木村花の自殺事件がずっと尾を引いている最中での日曜午前(現地土曜夜)のAEW『Double or Nothing』PPV大会である。冒頭には医療関係者以下、「最初に対応に当たった方々」があらためて称えられるだけでなく、元WWEながらシャド・ガスパーのテロップも流され、業界全体での追悼という意を出すのみならず、さすがに冒頭映像には間に合わなかったが、AEWのSNSでは早速に木村花にも哀悼を表してたのみならず、途中でちゃんと画像も出していた。これが世界のマット界コミュニティーなのである。そして日本時間の昨日の一定時間だが、#RIPHanaKimuraがTwitterのトレンド1位になっていた。

 しかるに日本の報道はどうだったのか? 本誌は長年に渡って海外で実地に暮らしたスタッフが多く、本能的に日本の報道番組なんかまったく信用できないことを知っている。特にコロナ期間は、日本時間の深夜がCS放送での英国BBCや米CNNを生のまま流すので、ますますそちらを仕事中に流したままにすることが多いのは本誌だけではないに違いない。日本は報道も自由で検閲もないと思い込んでいる市民が大半なのだろうが、日本の番組はひとつのものの見方を他局も横並びで報道するので、図らずも洗脳されているだけなのだ。本誌はずっとコロナ期間以来この問題を繰り返し取り上げているので、どうかバックナンバーを揃えて欲しい。
 しかるにBBCでは、ちゃんとHana Kimura: Netflix star and Japanese wrestler dies at 22の見出しで大きく扱い、Cyber-bullyingを取り上げている。「イジメ、ダメ、ゼッタイ」なのだ。NHKの夜7時とは月とすっぽんの差がある最重要ニュース番組でもずっと下段のHeadlineにそれを流し続けていたというのに、日本ではプロレスはマイナーな趣味ジャンルということなのか。マット界というかプロレス村を含み、ますます世界とかけ離れた偏向報道ばかりの我が国の現状との落差を考え込んでしまう。あまりにも切ない、悲劇である。
 追記19時30分:AEWは公式写真の入稿が遅いので上記原稿だけ先に仕上げて待機するのが恒例だが、本日夕方になって日テレでもNHKでもニュースは取り上げられてはいた。但し、海外での反響の大きさに驚き後追いした感は否めない。

※各試合ごとの拡大詳細版は金曜発売の週刊ファイト6月4日号に収録されます。

 そんな心の傷を引きづったままのAEWのPPV大会となったが、最初から最後まで超良質のエンタメ番組を提供してくれて、ファンだけでなく業界関係者全員にとっての必見回となった。最後の「スタジアム・スタンピード」は前日の収録、他は原則LIVEというか、現地土曜に収録されたものであり、ビッキー・ゲレロおばさん以下、例によってベビーフェイス側とヒール側に分かれれて出場選手が声援を送るだけでなく、”This is AWESOME”などの歓声も編集でかぶせてあったが、それを悪く言う者はいない。
 最後の巨大フットボール会場を使うインナー・サークル軍とエリート軍の激突も、ハングマンペイジが本物の馬に乗ってフィールド入り他、大変うまく編集されており、あのダラダラとやってしまった『レッスルマニア』でのエッジvs.ランディ・オートン戦を反面教師にして、練りに練ったさまざまな攻防をうまく繋げて編集されており、無観客大会の演出としてひとつの頂点を極めた感がある。

■ AEW Double or Nothing
日時:5月22日(現地放送時間)
会場:米フロリダ州ジャクソンビル デイリーズ・プレイス + TIAAバンク・フィールド

<第1試合 カジノ・ラダー・マッチ>
 ※2分ごとのロイヤルランブル形式
勝者○ブライアン・ケイジ
 28分30秒 上空に吊るされた大きなポーカー・チップ奪取
※ブライアン・ケイジがAEW世界王座挑戦権獲得、次回『Fyter Fest』で王座戦

 参加選手は(登場順)フランキー・カザリアン、スコーピオ・スカイ、キップ・セイビアン w/ペネロペ・フォード&ジミー・ハヴォック、ダービー・アレン、オレンジ・キャシディ、コルト・カバナ、ジョーイ・ジャネーラ(怪我したレイ・フェニックスの代打)、ルチャザウルス、当日までミステリー発表の元Impact Wrestlingブライアン・ケイジ

<第2試合 シングルマッチ>
○MJF w/ウォードロウ
 17分20秒 ジャパニーズ・レッグクラッチ・ホールド(オコーナー・ロール返してとか欧州クラッチと実況)
●ジャングルボーイ

<第3試合 TNT王座決定トーナメント決勝戦
○Cody w/アーン・アンダーソン
 22分00秒 クロスローズ
●ランス・アーチャー w/ジェイク・ローバーツ
立会人:マイク・タイソン

<第4試合 シングルマッチ>
●ペネロペ・フォード w/キップ・セイビアン
 5分30秒 ビッグバン・セオリー(人でなしドライバー)
○クリス・スタットランダー

<第5試合 シングルマッチ>
●ショーン・スピアーズ
 3分20秒 ファイナル・レコニング
○ダスティン・ローデス w/ブラディ・ローズ(と表記すべき)

<第6試合 AEW世界女子王座戦>
※ノーDQマッチ
[王者]●ナイラ・ローズ
 16分40秒 魂のスリーカウント(ランニングニー)
[挑戦者]○志田光
※志田光が新王者

<第7試合 AEW世界王座戦>
[王者]○ジョン・モクスリー
 15分30秒 リアネイキッドチョーク(MMA映画Cagefighter続編Worlds Collide公開)
[挑戦者]●Mr.ブロディ・リー
※MOXが王座防衛

<第8試合 スタジアム・スタンピード・マッチ>
インナー・サークル(クリス・ジェリコ&●サミー・ゲバラ&ジェイク・ヘイガー&サンタナ&オルティーズ)
 34分00秒 スタジアムのゲート上から落下する片翼の天使
エリート(○ケニー・オメガ&ヤングバックス&ハングマン・ペイジ+マット・ハーディ)

▼収録後のマイク・タイソン、トニー・カーン代表を加えた記念撮影


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▼木村花:SNS誹謗中傷の教訓~墓掘人The Last Ride3~国内外動向

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’20年06月04日号木村花追悼特集-悲嘆と教訓 AEW頂点Double-Nothing Hレイス再検証