[ファイトクラブ]KNOCK OUT第2章 11・1後楽園 K.O TRYOUT女子がブシロードにとって大きな意義を持つ理由

[週刊ファイト11月14日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼KNOCK OUT第2章 11・1後楽園 K.O TRYOUT女子がブシロードにとって大きな意義を持つ理由
 Photo & Text by こもとめいこ♂
・TRYOUT女子2試合含む全カード画像増量でお届け
・『「宇崎ちゃんは遊びたい」血液センターコラボ応援フェア』とは
・ブシロードへ、女子格が果たす大いなる貢献
・今日のあおみん


 まず、KNOCK OUTと無関係そうで、非常に関係大アリな献血に関する告知からお伝えする。

◎株式会社アニメイトプレスリリースより

株式会社アニメイトは、10月1日より、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県のアニメイトにて、血液センターコラボが決まった2作品のブロマイドがそれぞれもらえる、応援フェアを開催。

 対象作品は、KADOKAWA発行の、丈先生による『宇崎ちゃんは遊びたい! 』と、主婦の友インフォス発行 日向夏先生著・しのとうこ先生イラストの『薬屋のひとりごと』。

「コミック・ライトノベルで大人気の2作品が、血液センターとコラボ決定! 期間中、一都六県の献血ルームで献血にご協力いただいた方を対象に、特製クリアファイルがプレゼントされます。実施は、それぞれの作品で、秋・冬2回! お見逃しなく! 」
「アニメイトではこのコラボ企画を応援するため、フェアを開催いたします。
同コラボ開催期間中、同じく一都六県のアニメイトにて原作コミック・小説を1冊ご購入いただくと、特典としてブロマイド(全1種)をお渡しいたします。是非、この機会に人気2作品をお手に取ってみてください」

■フェア情報

「宇崎ちゃんは遊びたい! 血液センターコラボ応援フェア」
開催店舗:
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県のアニメイト
開催期間:
第一弾 2019年10月1日(火)~2019年10月31日(木)
第二弾 2020年2月1日(土)~2020年2月29日(土)
対象商品:KADOKAWA ドラゴンコミックスエイジ 『宇崎ちゃんは遊びたい!』全点

実施内容:
「献血ルーム受付にて『献血キャンペーンに参加します』とお申し出いただき、400mL献血もしくは成分献血を実施していただいた方に先着で特製クリアファイルをプレゼント!
※男性16歳・女性16歳~17歳の方に限り、200mL献血でもお渡しいたします。
※記念品なくなり次第終了となります。”」


『薬屋のひとりごと』コラボ期間
実施期間
第一弾:2019年11月1日(金)~2019年12月1日(日)
実施期間
第二弾:2020年2月29日(土)~2019年4月19日(金)

■開催店舗詳細
アニメイト池袋本店、高崎、大宮、町田、津田沼、吉祥寺パルコ、千葉、宇都宮、錦糸町、八王子、川越、渋谷、秋葉原本館、小田原、水戸、南越谷、立川、新百合丘オーパ、藤沢、蒲田、イオン所沢、柏、松戸、横浜ビブレ、本厚木、川口、川崎、聖蹟桜ヶ丘オーパ、モラージュ菖蒲、横須賀、ロブレ小山、イオンレイクタウン、新宿、イオンモール船橋、イオンモール土浦、熊谷、木更津、太田、むさし村山、アリオ柏、ららぽーと富士見、マルイファミリー海老名

■献血ルームコラボ企画実施概要
※詳細は、実施エリアの各献血ルームにお問い合わせください。
実施エリア:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県各献血ルーム

 との事。協力できる方は是非貢献していただきたいと思う。

 そんな、とても良いコラボ企画だが、一部ネット上で否定的な意見が散見される事態となった。
 第1弾で配られた『宇崎ちゃんは遊びたい! 』のクリアファイルのイラストが上記掲載の物なのだが、告知用に献血ルームで大判ポスターとして掲示したところ、「胸を強調したキャラクターの図案は不適切では無いか」という主旨の批判が寄せられたのである。

 事情を知らない方にも説明すると、アニメ・漫画のキャラクターとコラボして献血を呼びかけるのは、冬のコミックマーケットの恒例行事となっている人気の企画。
 輸血用の血液は長期の保存が難しいため、常時不足しているそうで、筆者がよく利用する巨大ショッピングモールの越谷レイクタウンでも献血の呼びかけを行っているが、応じている人を見た事はない。ところが、コミックマーケットでは毎回献血希望者が行列をなす盛況で、赤十字では献血の車両をかき集めて対応しても断らねばならない程なのである。コミックマーケット以外でもキャラクターとコラボしようとなるのは当然と言える。
 
 今回、「胸を強調しているのは如何か」に始まった批判だが、容認派から反論されると、「誇張しすぎて異常な表現」「性の商品化」とエスカレートする事態となった。
 そもそも論で言えば「表現の自由」が保証されている我が国であり、建前上の例外として「刑法上禁じられた猥褻物」は取り締まられる事になっている。かつては小説の性描写やアンダーヘアも取り締まられてきたが、猥褻の定義は時代と共に変化している。現在はヘアヌードは概ね可、男女とも外性器に関しては取り締まりの対象となっているという事の様だ(官憲は、これはダメとは言っても、これは大丈夫とは言わないので、線引きは困難)。
 一方で、漫画やアニメに関して、90年代初頭の“有害コミック”騒動以後、性表現に対しては自主規制という形で後退しているのが現状と言える。
『けっこう仮面』や『ハレンチ学園』を幼稚園〜小学低学年に読んできた筆者の感覚からすると、ちゃんと衣服を身に着けた宇崎ちゃんが槍玉にあげられるのは隔世の感があるが、それだけ性表現がオープンにされる事を容認しない社会になった。
 日本の漫画やアニメが海外に輸出されると現地の規制に合わせて修正されるのが常で、イスラム圏は当然、比較的緩い欧米でも、例えば制服を着た学生は児童ポルノと見なされる場合がある。
 AKSグループがアジア圏内に留まっているのは、「保育園」と揶揄される、グループで制服を着用しての接触商法が児童の性的搾取として欧米で非難の対象となっているからだろう。
 先日、オーストラリアの税関で携帯端末に保存していた画像や動画が児童ポルノだとして逮捕された日本人旅行者がニュースになったが、それが日本でも取り締まりの対象となる実際の18歳未満によるポルノではなく、日本では当たり前に流通している合法の年齢の出演者による女子校生(女子“高”生ではなく)物の可能性もあるので、旅行する場合には注意が必要と言える。 

 宇崎ちゃんに話を戻すと、今回「環境型セクハラ」という概念が持ち出されている。以前なら飲食店でヌードのポスターやカレンダーが貼ってあるのは良くある光景だったが、都条例などで女性の乳首を公共の空間に掲示してはいけない事になっているので、今は無いはずである。アキバの路上ではAVやアダルトゲームの宣伝が公然となされているが、取り締まりの対象となるので、乳首は描かれていない筈。
 つまりは合法ではある今回の図案だが、にも関わらず「私がセクハラと感じたらそれはセクハラ」という論が、全く意図しない献血ポスターに対しても向けられたという事になる。
 この論を、そういった意図は無いのだし、言いがかりであると反論する事も可能ではあるが、不快な表現の線引きは難しいところだ。
 往来を全裸で歩く事を容認しない人の方が多数派であろうし、自由と無秩序は似て非なる概念でもある。
 なるほど、今回問題提起をしてきたのが、従来から現代日本の漫画において、かつてアニメ絵と呼ばれる様な線で構成される“萌え絵”を忌み嫌い、クールジャパンなどと表して公的に掲示したりするのは国辱だと考える勢力ではあるのだが、少数者の意見であっても尊重されるべきではあるし、そういった多様性の容認こそが日本の漫画、アニメを支えてきた原動力でもある。
 また、発端がそうであっても、表現者側のカウンターカルチャーの担い手から、基本的に何を描いても自由であるべきだが、公共の場での掲示には配慮が必要という意見も見受けられたの事実ではある。
 人間が集団を形成し、さほど広くない土地で社会生活を営む以上は、制限や規則、規律が求められる訳で、その人と人との間の利害調整を行う事が政治の役割でもある。


 
 今回の図案は、コミックスの表紙に使用された物の流用で、だからこそ商品価値として、胸をより強調した構図になっていたとも言えるので、落としどころとして、献血のポスターなどに使う場合はあまり胸を強調しない図案にしようという事になっていくであろう。場合によっては描き下ろしという事になるので、単に画像を使用する以上に費用が発生する事にはなる。
 ただ、そうであってもなお「“萌え絵”そのものが不快」とする意見は今後も寄せられるであろう。
 秋葉原をゲットーの様に城壁で囲んで、おたくはその中で自由にやれば良いという意見を正論として冗談めかして開帳する人もいる。
 “有害コミック問題”でゾーニングが導入された時、ダーティー松本氏が「お前らが生きるのは許してやるがお日さまの下を歩くなという事だ」と憤っていたが、どこまで表現の撤退戦が続くのかは不透明ではある。
 イスラム教徒の女性の様にヒジャーブで隠しても、それは女性の抑圧を意味しているとより怒り出す人がいる事は想像に難くなく、となると『2001年〜』のモノリスの様な、概念的なデザインで性を表現する事になっていくかもしれない。
 
 こういった潮流は、IP(知的財産)をソーシャルゲーム、アニメ、漫画、カードと総合的に展開していくブシロードにとっては看過できない現実であろう。
 とりわけ1枚絵の魅力が商品価値でもあるソーシャルゲームやトレーディングカードゲーム等で、キャラクターの女性らしさを誇張した表現が批判され、年齢制限が設けられたり中性的なデザインしか許されなくなっていく可能性もあるだろう。電車のラッピングコマーシャルなども人目を惹く様な図案が拒否されるという事もありうる。
 収益の柱であるソーシャルゲームの魅力が薄まり、商品価値が下がれば、IPそのものが立ち行かなくなる可能性は高い。

 であれば、「環境型セクハラ」といった批判にはしっかりと理論武装して対抗する必要があるが、株式公開企業として表立って発言していく事はリスクを伴う。

 どうすべきか。

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