アダム・コール-ジョニー・ガルガノ上乗り極点!キャンディス・レラエが紫雷イオと生涯最高~凝縮本戦3時間NXT極限興行

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 世界がリアルタイム配信時代になり、鷹木信悟と石井智宏が凄かったとかニュースが瞬時に伝わる。そんな状況において、真夏の祭典『サマースラム』というのは未だWWEネットワーク$9.99月額制とか、そんなのは嫌なのか、ネット環境が末端までは行き渡ってないからなのか、通常のテレビPPVも高額で中継される、環状線理論の外側にいるライト層含めた一般向け番組という位置づけになる。ビジネス規模では世界のどことも比較にならないのだが、ややもすると専門媒体としては内容比較になるから、米国に誕生した新興AEWの動向や、新日本プロレスG1の高評価レポートがガンガン連日入る最中で、NXTが「こっちの方が凄い」を体現しなければならない異常に高いハードルが課せられることになった。

 そこでWWEが切ってきたカードは『レッスルマニア』前日のブルックリンから配信した『NXTテイクオーバー』の「ジョニー・ガルガノvs.アダム・コール」名勝負数え唄の再現、しかも同じ3本勝負形式である。当初は「またかよ!」という揶揄もあったのだが、さて、東京ドームと大阪城DOMINION大会の「オカダ・カズチカvs.ケニー・オメガ」よろしく、真の世界No.1はどちからを問う大一番となる。トランプ大統領は、「敵は民主党ではなく、偏った報道をするメディアなんだ」とTwitterを飛ばしているが、プロレス界でも一部団体を過大評価しがちな専門媒体をけん制して、それだけ切り札カードをまた繰り出すことで、真偽を世に問う大胆な逆襲に出た。

 そして、やや理性ロジックには一貫性がない、最初から3本目なのは全員お約束なのだが、それぞれの1本が別趣向ということで、ガルガノが”ジョニー・レスリング”と称せられるのにコールが通常レスリング、いやストロングスタイルを選び、2本目のガルガノが旧メイプルリーフ・ガーデンを満杯にした会場のアチコチを使ってストリート・ファイト形式に挑めば、3本目はウィリアム・リーガル=コミッショナーが選ぶというお題目で、巨大な会場の天井から、番組を見ている者には一切それまで画面に映さななかった金網が降りてくるという・・・。
 やられた! その手があったか。そう確かにG1は連日凄い試合内容なんだが、WWEはこれがやれる。しかも金網にはあらゆる凶器が括り付けられているという、斬新なお膳立てが揃えられていた。
 当初、お客は凶器の数々を見て「ECWコール」をしていたんだが、やがては”This is AWSOME”から「NXTコール」になり、キャンディスとイオの試合に続いてお客の方が「マンマ!ミア~」合唱が自然発生する。そして、実況マウロ・ラナーロが究極の「マンマ!F’Nミアー」を叫ぶのだ。

 Seeing is believingというが、ちゃんと比べた者だけが語る資格がある。またも最高試合が伝説を奏でた。また、3時間ギリギリになってしまったが、本戦3時間に収めたことも特筆に値する。えてして、夏のスケジュールが過密なため、G1にせよ999円ワールドでも公式戦だけを飛ばして観てしまう習性になりがちなんだが、最初から最後まで全部凄い内容でお客を満足させて、単に「年間最高試合賞はどっちだ」だけでなく、年間最高興行賞にもなるというのがいかに大変なことか。新日の場合、お客さんは「なんだ●●は出てないのか」と文句が来るからと、前半に6人タッグだの8人タッグを組んでしまうのだが、本当に必要なのか? 凝縮の全部凄いカードだけ並べれば、お客さんは満足するんであって、「小島聡が見たかった」というのなら、また次の後楽園ホールに来なさいであって、そっちのチケットも売れると思うのだが・・・。色々考えさせられるこのお盆時期での『NXTテイクオーバー:トロント』なのであった。

 重ねてどれもが凄いカードの連続だったんだが、特筆すべきは、毎週NXTを見ているフォロワーにとっては、正直、一番関心の薄かった「キャンディス・レラエvs.紫雷イオ」だったかも。どうせダークサイド紫雷が勝ってと、単に「ジョニー・ガルガノ夫人」という扱いで、乱入役とかスキット場面登場ばかりでまともな試合をさせてもらえてなかったキャンディスだったが、恐らくは生涯最高の試合をやってのけたからだ。
 だいたい、ガルガノと付き合う前、ぽこちん回しのジョーイ・ライアンとくっついていた頃は、カップル男女混合タッグの出番が多く、ジョーイが笑いを取るスポット以下、プロレスで重要な”間を取る”絶妙の緩急を操る一方で、ばっぱかバンプを取って動き回っていたのはキャンディスの方だった。本誌も直接取材しているから、この目でキャンディスがちゃんとした女子プロレスが出来ることを知っていたのに、勿体ないと。WWEの老人幹部連中にとっては金髪美人というなら、50年代ピンアップガール衣装の南部のおばさんレイシー・エバンスの方がお茶の間向け番組でプッシュに値すると判断されたんだが、いざ生中継で試合やらせたら(やる側から見ているなら)ミスばかりで「まだ全然メインでやれる技量が身についてない」となるも、ここでようやくキャンディスにシングル15分の尺が与えられたのだ。
 うがって逆算するなら、もしかしたらキャンディスこそが「イオとなら凄い試合がやれる」と申し出たのかも。「お前らは二人ともベビーフェイスじゃないか」となるんだが、そこで紫雷がヒールターンになると。カイリ・セインちゃんはベビーしか無理だけど、イオは実人物がワルなんでいいじゃないかと・・・。そして、会場の方がこの日最初の、「マンマ!ミア~」合唱になるのである。勝った負けたはどうでもいいこと。キャンディスが最高のお仕事をやってのけたのだった。

 あと、こんなに面白い3 way戦は久しぶりというのがブルーザー級職人の長期政権だった元UK NXT王者ピート・ダン、トロントのラップダンサーズと入場してきた売り出し中のヴェルヴェティーン・ドリーム、お仕事役だが、上手さが目立った元ドラゴンゲートのブラッドジェネレーションだったロデリック・ストロングのトリプルスレッド戦である。試合を作ってやられ役を勤めたのがロデリックだった。夫人はMMAからフォー・ホース・ウィメン入りのマリナ・シャフィールだ。凄い逸材はまだまだいくらでもいるNXTなのであった。

■ WWE NXTテイクオーバー:トロント
日時:8月10日(現地時間)
会場:カナダ トロント スコシアバンク・アリーナ 観衆13,745人(=主催者発表)

<第5試合 3本勝負NXT王座戦>
[王者]○アダム・コール
 46分41秒 2-1
[挑戦者]●ジョニー・ガルガノ

1本目レスリング ○コール(先にコールが急所蹴りもレフェリー見ず⇒イスを使った反則)●ガルガノ
 最高です。本物のプロレスです。

2本目ストリートファイト ○ガルガノ(ガルガノ・エスケープ=クロスフェイス)●コール
 今度はイスはOKなので、何度もガルガノに叩かれるコールだが、左肩、右肩とインパクトをずらす名人芸は教科書のよう。タイミング魔術のプロレス芸術において、一般ファンにはわからなくとも、それこそレイシー・エバンスなんかは見てお勉強しないさいと言いたい。会場の通路を使ったりのスポットもあったが、あの巨大な旧メイプル・リーフ・ガーデンが満杯なのは凄いとしか・・・。そして実況席付近に戻ると、英語版デスクにガルガノが乗るんだが、コールが落とされお約束で壊されるのはスペイン語のデスクだった。

3本目金網戦も脱出勝利ナシのルール ○コール(腕がらみ関節技でのピンフォール)●ガルガノ
 プロレスがやれる二人なのに、この形式には賛否両論があろうが、天井には有刺鉄線、側面には数々の武器が貼り付けられ、そこから取った竹刀が使われるはと、ハードコアだってやれます、但しわざとらしい流血はやりませんという構成は評価すべきだろう。
 テーブル2台がセットされと最後は二人が落ちるんだが、G1は内容は凄くともストロングスタイルばっかりなので飽きていたところだったので、見た目にも斬新だったかも。もっとも、ヴォルク・ハンvs.前田日明でもそうだが、やはり最初というか、一度目が評価されるものだ。この両者の場合は正確には初顔合わせでもなんでもないにせよ、大きな舞台『レッスルマニア』でやった名勝負のほうが年間最高試合賞というのは仕方ないか。でも、また凄いのをやってのけた事実は重い。

<第4試合 NXT女子王座戦>
[王者]○シェイナ・ベイズラー
 14分35秒 ヘッドシザース固め⇒タップアウト
[挑戦者]●ミア・イム

<第3試合 NXTノースアメリカン王座トリプルスレッド戦>
[王者]○ヴェルヴェティーン・ドリーム
 17分24秒 ストロングがダンにエンド・オブ・ハートエイクを極めたのにドリームがピンを横取り
[挑戦者]●ロデリック・ストロング
※もう一人はピート・ダン
ロデリックの二人まとめてボストンクラブは絵になった!

<ゴングないまま予定外抗争 to be continued…>
△マット・リドル
△キリアン・デイン

<第2試合 女子遺恨戦>
●キャンディス・レラエ
 15分00秒 変形三角締め⇒失神TKO
○紫雷イオ

◆紫雷イオが旧友との遺恨戦で失神TKO勝ち

「友達はいらない」と豹変した “黒い”紫雷イオがかつての盟友キャンディス・レラエと激突した。イオに裏切られて報復を狙うキャンディスはリングに上がるとゴング前からイオを襲撃し、スライディングキックを放って襲い掛かった。一方のイオもキャンディスを捕まえるとお返しとばかりに解説席に向けてブレーンバスターを炸裂。さらにイオはダメージを負ったキャンディスに追い打ちを仕掛けて圧倒したが、ミサイルキックがかわされて誤爆すると形勢逆転。イオはキャンディスのブレーンバスターやオクトパスホールドを食らい、得意の619を放つもキャッチされてしまう。
 その後も負けられない両者は激しい攻防を展開し、キャンディスがリバース・ハリケーン・ラナからネックブリーカーを叩き込めば、イオはスパニッシュ・フライやバックブリーカーから必殺のムーンサルトプレスを決めるもカウント2。必殺技が決定打とならず頭を抱えるイオだったが、最後は足でキャンディスの首を捕らえると変形三角締めでキャンディスを失神させてTKO。イオはキャンディスの粘りに手こずりながらも遺恨戦に勝利した。

<本戦第1試合 NXTタッグ王座戦>
[王者]ストリート・プロフィッツ (アンジェロ・ドーキンス & ○モンテズ・フォード)
 16分55秒 ファイヴスター・フロッグ・スプラッシュ
[挑戦者]アンディスピューテッド・エラ (カイル・オライリー & ●ボビー・フィッシュ)


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