7月15日(月・祝)Japan Kickboxing Innovation『Join Forces-14』出場選手インタビュー!

7月15日(月・祝)東京・新宿FACEにて開催されるキックボクシング団体イノベーション主催「Join Forces-14」試合直前インタビューが届いた。
取材・文:JAPAN KICKBOXING INNOVATION広報部

第12試合 INNOVATIONスーパーライト級王座決定戦 INNOVATION×REBELS 3vs3対抗戦 大将戦 3分5回戦(延長1R)
橋本 悟(橋本道場)vs.潘 隆成(クロスポイント吉祥寺)
☆“激闘大魔神”橋本悟インタビュー

リングネーム:橋本 悟
フリガナ:ハシモト サトル
所属:橋本道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1986年3月18日(33歳)
出身地:東京都西多摩郡日の出町
身長:172cm
戦型:オーソドックス
デビュー年月日:2012年7月1日
戦績:37戦19勝(10KO)15敗3分
ステータス:MuayThaiOpenスーパーライト級王者、元INNOVATIONライト級王者 
——メインイベントでタイトルマッチ、団体対抗戦の大将戦、以前に対戦し引き分けた潘選手との再戦……様々な要素が加わった一戦ですが、今年1月16日の北川“ハチマキ”和裕戦(2ラウンドKO勝ち/KNOCK OUT)以来、半年ぶりの試合となります。
アゴやっちゃい(骨折して)まして。1月のハチマキ戦の次は、KNOCK OUTで4月29日、松本芳道戦が決まっていたんですけど、4月に入って悪化して申し訳ないことに試合を流してしまい、今回が再起戦です。
——顎の骨折は4月に向けての練習中に?
いえ、クリスマスの夜に(笑)。
——12月25日ですか? するとハチマキ戦の約3週間前ということになりますが???
ええ、実はそうなんです。
——骨折と言っても様々ですが「顎の付け根を痛めていた」といったなんとか試合が許される程度ですよね?
いや、アゴの先端の横がガッツリ割れていました。ただ、ズレてはいなかったので即手術ということではなく「絶対安静」で済みまして。まあ、安静はしないわけですが(笑)。
——いや、笑い事ではありません。足の指や肋軟骨が折れたままリングドクターに内緒で試合を強行するといった根性話は時々聞きますが、どう考えても戦うに致命傷、顎が折れたままなんてケースは初耳です。選手育成に定評のある名門・橋本道場でそんなことが許されるのでしょうか?
いや、師範(橋本敏彦会長/※1)には内緒です。そんなの報告したら即欠場です! 練習中も「ちょっとアゴを痛めたので」とスパーを避けたりしながらなんとか誤魔化して(汗)。
——橋本会長は、試合前も試合後も知らなかった?
えー、試合はなんとかKOで勝てたので、リングエプロンに上がってきた師範にハグをして、その場でツーショット写メを撮っていただいて、そこから「実は~」と告白したんです(※2)。
——絵に描いたような「結果オーライ」な無茶です。もし負けていたらどうなっていたのでしょう?
誰にも言えなかったですねー。試合で骨折したことにしてショゲていたことでしょう(笑)。
——相手の北川選手は、2012年10月7日に初対戦(当時のリングネームは「ハチマキ」)で敗北している強敵だけにノーダメージで勝つことなど想定できるものではないのでしょうか?
けど、「やらなきゃ!」って。試合キャンセルする気なんか毛頭なかったっす。メインイベントだったし、試合3週間前ってだけじゃなく、年末年始を挟んで代打なんてなかなか見つかるもんじゃないだろうし、(強行出場を)迷うことなんかなかったですよ。倒すのも倒されるのも仕事ですから。
——実際、試合中にアゴはどうだったのでしょうか?
一発ヒジをもらって、試合中「メチャクチャ痛てぇーっ!」ってピンチだったんですけど、ハイキックがガツンと入って、ほぼその一発で勝負が決まった感じで立て続けにダウンを奪えてKO勝ちになって助かりました(笑)。
——北川選手は、山口裕人、水落洋祐、小川翔など名立たる強豪に勝利してきた名王者で、橋本選手としても大勝負だったのでは?
最初にやった時、1ラウンドからダウンを取られて試合中に「これは勝てないな」って思ってしまって、そんなこと感じたのはそれ以来一度もないんですけど、その後にもう1度倒されて判定30-25のボロ負け。再戦でも1ラウンドが終わって「相変わらずウンメーなー(上手いな)コイツ」って、ちょっと脱帽でしたよ。
——そんな際どい試合をものにしながら、負傷を悪化させて次の試合を流してしまったと?
いや、順調に治りかけていたんです。それが突然腫れ上がって酷いことになって……(強引に北川戦を強行した)罰があたったかな?(笑)
——“激闘大魔神”と呼ばれる強面ながら人当たり優しく常識人の印象がある橋本選手ですが、このクレイジーエピソードには驚きました。
あはははっ(照)。
——そして、今度も大勝負、2018年2月18日の初対戦以来の再戦です。
潘君は、俺の気持ちに応えてくれるファイターだと思うので「熱い男の魅せあい」ってな試合になるんじゃないっすかねー!
——前回は、橋本選手がパンチでグラつかせながら、潘選手はコツコツとローキックを返し、首相撲からのヒザ蹴りで巻き返すパンチ対キックの典型的な展開となりました。
前は3回戦でしたけど、今回は5回戦だからハッキリと決着がつけられるんじゃないっすかね。
——パンチャーは短期決戦の3回戦を好む傾向がありますが、5回戦は問題ない?
スロースターターっていうのもありますけど、5回戦の方が全然好きっす。
——前試合でドロー判定が出た瞬間、レフェリーに手首を掴まれながら腰を下ろして顔を歪められていました。あれは勝利を確信していたのに勝てなかったから?
判定に不服があったわけでも怒っていたわけでもないです。きっちりと倒せなかった俺が悪いし、「ああーっ、またダメかーっ」って自分への脱力です。あの時、しゃがみながら笑っていたんですよ。とにかく悔しさが溜まっているのでリングで爆発させます!
——INNOVATIONと橋本道場の看板選手である橋本選手は、33歳、キャリア37戦のベテランですが、どこまで闘い続けて、何を目指しているのでしょう?
色んな試合をしてきましたけど、まだ「やりきったなー」って思いはないんです。終わったらすぐにまたリングに上がりたくなる。練習でも「齢だなぁ」って限界を感じてもいないし、弱くなってるところも微塵もない。アゴが割れたりしたけど、ちゃんと治って闘えるわけで、まー、やめる理由がないんですよねー。
——今回、INNOVATIONタイトル二階級制覇、三冠目のベルトがかかったタイトルマッチです。
ベルトが増えるのは嬉しいですけど、それが目的じゃない。
——INNOVATION×REBELSの団体対抗戦で大将でもあり、メインイベンターです。
正直、そんなに気にはしません。ですが、INNOVATIONは、俺の実家なので、どこよりもここを盛り上げてお客さんに満足して帰っていいただきたい。それが一番大きいかな。うん、INNOVATIONを熱くしたいなって。
——今後、どんなリングで誰と戦いたいなど希望は?
「あのベルトがほしい」「あそこに上がりたい」はもうあんまないっす。「誰だれとやりたい」ってのもない。ただ、試合が面白くなりそうな相手であってほしいっす。正直、とんでもなく強いタイ人とかとやって激闘になりようもない試合とかはいらない。最強は目指していないので。同じINNOVATION所属の山口裕人選手みたいなイケイケととことんやりたいっすね。弟の侑馬選手には2回もやられているからもういいや(笑)。兄貴の方が弱いことなんてないだろうけど、INNOVATION内の“ハズレなし”カードとしてここぞという時にバシっと組んでいただければ、見てる方もやってる方も気持ちいー試合します!
——INNOVATIONへ思い入れもありながら、強いキックボクシング愛を感じます。
俺、これしかないっすからね!
※1 橋本敏彦会長 橋本道場の橋本会長と橋本悟は、苗字からして親子関係と思われがちだが血縁関係はない。
※2 「実は~」と告白したんです この「橋本悟×北川“ハチマキ”和裕」戦は、KNOCK OUTのYouTube公式チャンネルで公開(https://www.youtube.com/watch?v=NVcO0DfbTw0&t=488s)されているが、話題のハグからの告白シーンは、8分から見ることができるが、はっきりと橋本会長の驚き呆れる表情が確認できる。

☆“REBELS大将” 潘隆成インタビュー

リングネーム:潘 隆成
フリガナ:パン リュンソン
所属:クロスポイント吉祥寺/REBELS/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1993年8月2日(25歳)
出身地:岡山県
身長:180cm
戦型:オーソドックス
デビュー年月日:2013年5月6日
戦績:31戦20勝(6KO)8敗
ステータス:INNOVATIONスーパーライト級1位、元WPMF日本スーパーライト級王者、NEW RAIDERS TOURNAMENT 2013 63kg 優勝
取材・文:JAPAN KICKBOXING INNOVATION広報部
——試合に向けての調整はいかがでしょうか?
ここ数試合の中でも一番いい仕上がりになっています。去年は、練習でやってきたことが試合ではまりませんでした。あまり詳しいことは言えませんが、今までのベースを活かして新しくスタイルチェンジをした練習をしていたところ、結構はまってきました。それが試合で出せれば負けないと思います。
——それは前回の試合、4月のポーンパノム・イハラジム戦でも出せたのでしょうか?
前回とは違うスタイルなのですが、ベースは変わりません。戦い方、考え方も変えているので変わった自分を見せられると思います。
——それまでの不調が原因でスタイルチェンジを?
そうですね。不調が原因で模索している中、トレーナーから『こういうのはどう?』と新しいスタイルを提案されて、練習で取り入れてみたらいい感じではまったので試合でもやることになりました。ちなみに練習仲間もそのスタイルは良いと言ってくれています。
——今回はイノベーションとの対抗戦のメンバーに選ばれて心境はいかがですか?
前回は新日本キックとの対抗戦のメンバーに選ばれましたが、相手はタイ人でした。日本人が相手だったら盛り上がっていたのになと思っていた中で18年2月に対戦し引き分けていた橋本悟選手との再戦になるので、自分の中で燃えるものがあったのでモチベーションはかなり高いです。
——団体の看板を背負って戦うとなると、普通のワンマッチとは違いますか?
REBELSが最強だと証明しないといけません。しかもINNOVATIONスーパーライト級王座を懸けての試合になるので、前回とは違う自分の成長した姿を見せないといけませんね。
——橋本選手についてはどのような印象がありますか?
一度対戦してから凄くリスペクトしているファイターです。試合ではガンガン前に出てきて男気溢れるファイトをするじゃないですか。人としても凄くいい人なので、そこもリスペクトしています。ですが、負けないように自分もバージョンアップしているのでそこを見せたいと思います。
——一度対戦した時よりも、ここ数戦の橋本選手は強くなっている印象はありますか?
そうですね。KNOCK OUTで毎回盛り上がる試合をしていてあれから強くなっているのは感じます。お互いに次こそは決着を付けたいという気持ちは凄くあると思うので、ガンガン前に出て気持ちのいい試合になるでしょうね。
——橋本戦をクリアーしたら、その後見据えているものはありますか?
先輩たちもKNOCK OUTで活躍しているので、ここで橋本選手に勝って、REBELS、KNOCK OUTを引っ張っていける選手になりたいです。
——ファンにメッセージをお願いします。
僕の試合はメインイベントになりました。前回の試合は歓声が凄かったので、さらにこの日一番盛り上げて最後に僕が勝ってベルトを巻きます。向こうは打ち合いに来ると思いますが、自分もバッチリ準備しているのでそういうところも見せていきます。

第11試合 INNOVATION×REBELS 3vs3対抗戦 中堅戦 67.5kg契約 3分3回戦
番長 兇侍(Hardworker)vs. UMA(K&K BOXING CLUB/元REBELS65㎏王者)
☆“全弾フルスイング”番長兇侍インタビュー
 
リングネーム:番長 兇侍
フリガナ:バンチョウ キョウジ
所属:習志野ジム/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1992年7月13日(26歳)
出身地;千葉県習志野市
身長:175cm
戦型:オーソドックス
デビュー年月日:2011年10月30日
戦績:24戦13勝(9KO)8敗2分
ステータス:INNOVATION ウェルター級3位、RISEスーパーライト級4位
——前試合、今年5月19日は、宿敵であり“ズッ友(※1)”の太聖選手と2度目の対戦でINNOVATIONウェルター級王座決定戦を戦い判定2-0の接戦ながら初のチャンピオンベルトを巻くことができました。
嫌な記憶なので、頭から追い出してしまっていました。
——試合直後、リング上でのマイクでも発言が終始ネガティブではありました。
試合後どころか試合中に落ち込んで暗黒面に落ちてしまった感じです。
——それは何故?
戦っている最中、お客さんが会場から出て行く姿が見えてしまって……あぁ、つまんない試合になっちゃってるんだなと。
——メインイベントで好敵手とのタイトルマッチ、勝利を目指して一直線が普通のところでしょうが、そんなところに頭がまわるとは。
元々ですが、ベルトに対する気持ちは薄いんです。それよりもお客さんが湧く試合内容こそが自分にとっては大切で。
——以前のインタビュー(※2)でも「自分、あまりチャンピオンベルトには、興味はないんです」とは冒頭から言われていました。
「チャンピオンになりたい」よりも「面白い試合をしたい」欲求しかなくて。
——「面白い試合」とは?
不良映画のような豪快なやつを。試合前によく映画「クローズZERO」とかを見ています。
——“全弾フルスイング”とキャッチコピーされるブンブン丸っぷりは、たしかにそんなイメージです。番長選手の生まれ育った千葉県は、アウトロー文化の中心地ではありますが、ご自身の十代は、そういったカラーに染まっていなかったと以前にお聞きしました。
前のインタビューでの通り「イケてないグループ(IKG/※3)」に入りたいくらいのゲーム、アニメ好きのオタクで、不良に憧れはありましたが、向こう側の住人ではありませんでした。
——番長選手と言えば、Twitterで試合後に発信される謎の作文(※4)など不思議かつ不気味というか独特な表現をされることで一部有名です。
あの作文、前の試合後に忘れてしまっていて書いていなかったんですよ。そうしたら、Twitterのダイレクトメッセージで見知らぬ人から問い合わせがあって。嬉し恥ずかしかったです。
——勇ましいリングネームと激しい試合内容ながらオタクな一面も隠さない番長選手は、個性が突き抜け過ぎておられますが、無理に分類すれば“サブカル系”といった趣があります。
そういって楽しんでいただければ本望です。
——そして、UMA戦が目前となってきました。
UMA選手には、なんというか強いシンパシーがあります。
——豪快なKOを頻発する攻撃力とか?
いや、どこかのインタビューかなにかで「彼女いない歴イコール年齢」と言われていたのを見て。
——そ、そこですか?
IKGの中心選手で町田光選手は、なんだかんだ言いながら当時からカワイイ彼女さんがいて、ご結婚されて、お子さんもお生まれになって、「おめでとうございます!」なんですけど、違うんですよね。その意味で自分はハチマキ派(※5)で、UMA選手もそこに類するんだろうなと。
——すると最近話題となった山里亮太と蒼井優の結婚については?
憤りと嫉妬が半分半分。「オイテカナイデ!」の気持ちです。
——閑話休題が過ぎました。そこはともかく、選手としていかがでしょう?
UMA選手の試合は前から注目していて、生で3、4回、観戦しています。前蹴りをジャブのように繰り出せる足技の鋭さ。パンチャーと対峙しても引かない勇気。中村広輝選手との2度目の試合(2014年7月25日、REBELS 65kg級王座決定戦、UMA判定勝利)なんか凄かったですね。だから、自分とも噛み合ってよい試合になりそうな気がします。
——対策は?
丸っきり同じではないですけど、丹羽圭介戦(2016年3月26日、1ラウンド46秒KO)と似たイメージです。あの時は、前蹴りにあわせて思い切りパンチをぶち込みました。今回はより一層、蹴りに全部パンチをあわせてやろうかなと。自分の最近の試合を見れば「腹が弱点だ」というのはバレバレなので、まず三日月蹴りなどで狙ってくるでしょうから、そこを殴り飛ばします。
——UMA陣営も読むかもしれないインタビュー記事でそれを公言してしまって大丈夫ですか?
向こうもすでに分かり切っていることでしょから問題ないです。僕は、首相撲やヒジ打ちが苦手で、(ヒジ打ちあり首相撲無制限の)INNOVATIONルールよりもRISEルール(ヒジ打も首相撲も禁止)が好きですが、彼も組み付くタイプではないので、分かりやすいパンチ×キックの格闘ゲームのような戦いができるんじゃないでしょうか。
——直接、お話しすると豪快な試合ぶりとは違って温厚で、それでいながら作文に秘めた狂気性も感じられ、すべては計算づくのトリックスターにも思えるつかみどころのなさが番長選手の独特の個性に思えます。
自分では自然体を心掛けているんですけどね。ともすればネガティブ全開な自分もそれを隠さないで自然に振る舞おうってことで。まぁ、その方が楽というのも大きいです。
——今回は、INNOVATIONとREBELSの団体対抗戦で中堅、好カード目白押しの中でセミファイナルでもあります。
太聖選手と争ったこのタイトルは、結果的に自分がベルトを巻いていますが、彼がチャンピオンであれば、太聖×UMAだったに違いない試合。だからこそ、勝手ながら太聖選手の気持ちも一緒に背負って闘います。
——かなりの意気込みですね。
UMA選手は、これまでやってこられた経験からして格上だと思っています。もしかしたら自分程度では「多くの中のいち試合」でしかないかもしれない。自分は挑戦者の気持ちでぶつかります。そして、無理やりにでも彼のハートに火をつけて今度こそ観客の皆様が熱狂できる熱い闘いをします!
※1 ズッ友 2018年9月8日、INNOVATIONウェルター級王座次期挑戦者決定戦で対戦した番長兇侍×太聖は、判定1-2の接戦で太聖の勝利。これをきっかけにSNSで親交を深めた両者は「ずっと友達」のズッ友として盟友となるが、その後、タイトルマッチで再戦して今度は番長が勝利するというライバル関係も続いている。
※2 以前のインタビュー https://www.facebook.com/JapanKickboxingInnovation/posts/1955019951207601
※3 イケてないグループ(IKG) 町田光や北川“ハチマキ”和裕が2015年頃に発信していた特殊ユニット。
※4 謎の作文 番長兇侍は、試合が終わると自身のTwitter(https://twitter.com/senzu_kameyo)で400字詰め原稿用紙に書いた作文の画像をアップすることが最近の恒例になっている。しかし、この内容は、試合のことにほとんど触れず、まるで円谷幸吉の遺書のような不思議な迫力がある怪文書であることが恐い。
※5 ハチマキ派 真偽のほどは不明だが、IKGのアピールが盛んだった時期、ハチマキこと北川選手は、童貞であることを公言しネタにしていた。キックボクサーのキャラ付けにしてもあまりに先進的でエッジの効いた具合だ。

☆“REBELS中堅”UMAインタビュー
 
リングネーム:UMA
フリガナ:ユウマ
所属:K&Kボクシングクラブ
生年月日:1990年12月12日(28歳)
出身地;北海道札幌市
身長:177cm
戦型:サウスポー
デビュー年月日:2010年3月21日
戦績:39戦22勝15敗2分
ステータス:元REBELS65級王者、J-NETWORKウェルター級2010年新人王
——試合が近づいてきました。
バッチリいい練習が出来ているのであとは体重調整のみだと思っています。相手がどうだからどうしようというような練習はしていなく、自分の良さ、打撃をしっかり出せるような練習をしています。
——4月のシュートボクシングとの対抗戦に続いて、今回はイノベーションとの対抗戦のメンバーに選ばれました。
昨年10月には新日本キックにも出場させてもらって全勝しているので、対抗戦は相性がいいと思っています。REBELSの看板を背負って戦わせていただけるので、しっかりREBELSの強さをアピールしつつ、REBELSで使っていただけるようなアピールにつながる試合をしたいと思います。
——REBELS査定試合の意味合いもあると。
そうですね。自分の中ではこのままでは終われないので、UMAもいるぞというところを見せ付けたいですね。そのために上京してクロスポイント吉祥寺で練習しています。これから与えられた試合でしっかりインパクトある結果を残しつつ、自分の中でも納得できるものにしていきたいです。
——対戦相手の番長兇侍選手についてはどのような印象がありますか?
試合はあまり見たことはありませんが、リングネーム通り、気合いと根性の選手なのかなと。あまり研究はしていませんが、周りの選手からは「相性がいいんじゃない?」と言われているので、相手のことは特に気にしないで自分の技をしっかり磨けば問題ない相手だと思います。相手との差がはっきりわかる試合をしますよ。
——北海道から上京してきてご自身の成長の手応えは以前よりも感じていますか?
北海道にいた時は練習がめんどくさくてさぼっていたこともありましたが、クロスポイント吉祥寺の選手はみんな常に試合が決まっている状況なので、いい刺激で練習が出来てます。スパーリングでも全く油断出来ないですし、REBELSのチャンピオンになった鈴木宙樹のように、若手で戦績が浅くても強い選手はいます。あと、練習ではムエタイに特化したものではなく、自分の持ち味が出せることを意識してやっています。トリッキーな動きにムエタイの技術をプラスしているので、レベルアップしたところを見て欲しいですね。キックをやるためだけに上京してきたので、一戦も落とせないという強い気持ちを持っています。
——今までは65.0kgで試合をしていたUMA選手ですが、今回は67.5kg契約と階級を上げての試合になりました。
いい練習は出来ているのですが、上京してバイト先のラーメン屋で毎日のようにラーメンを食べたらめちゃくちゃ太ってしまいました(苦笑)。練習前と後にランニングしているのですが、練習前よりも体重が増えているんですよね。普段は80kgぐらいあるので、階級を上げて正解でしたね。今は相手のことよりも、計量をパスすることに集中しています(笑)。
——試合ではどういうとことをアピールしたいですか?
今回はいいカードがたくさん決まっていますが、大会が終わった時にUMAの試合が良かったと思い返していただけるような試合をしたいですね。自分の特徴を出しつつインパクトを残します。

第10試合 INNOVATION×REBELS 3vs3対抗戦 先鋒戦 58.5kg契約 3分3R
久井 淳平(多田ジム)vs. 浜本“キャット”雄大(クロスポイント大泉)
☆“新INNOVATION王者”久井淳平インタビュー

リングネーム:久井 淳平
フリガナ:ヒサイ ジュンペイ
所属:多田ジム/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1987年2月3日(32歳)
出身地;大阪府藤井寺市
身長:177cm
戦型:サウスポー
戦績:28戦18勝(5KO)9敗1分
ステータス:INNOVATIOスーパーフェザー級王者、西日本スーパーフェザー級王者
——今年3月31日、INNOVATIONスーパーフェザー級王座決定戦にて、初対戦では敗退している格上の元山祐希選手を判定3-0で下し、見事、チャンピオンとなりました。
その1年前に大阪で元山選手とやって、負けながら言うことではないですけど「これはイケるな(次は勝てる)」って感じてはいたので、その直感の通りになったなと。
——どんなプランで勝てたのでしょう?
自分、サウスポーなんですけど、序盤1、2ラウンドは、オーソドックスでいったんです。
——事前に練った作戦通りに?
それが“閃き”で。自分の入場曲がかかって息子と一緒にリングに向かって歩き出したあたりで急に。
——では、セコンドさえも知らず?
だから、ビックリしたみたいですよ。インターバルで「危ないから戻せ」とも言われましたが「まだイケるからもうちょっとやってみます」って3ラウンドまで右で、中盤から急にミックスして。このタイトルマッチは、昨年から決まっていたので、元山選手もサウスポーの自分を想定して練習していただろうから、面食らったんじゃないですかね。
——那須川天心選手を筆頭にスイッチャーが流行りの昨今ではありますが、オードソックススタイルを練習はされていた?
それがまったくのアドリブだからセコンドも止めたんでしょうね。けど、この試合に限っては上手くいったなと。
——れにしても相当な適応力です。
ぶっちゃけ、自分、強くないんで(笑)。自虐ネタじゃなく、筋トレなんかしないし、力比べしたら同階級の選手にはまず勝てません。その分、己の土俵に引きずり込む頭脳戦が得意ってことで。
——そして、INNOVATION王者としての重責、REBELSとの対抗戦で、浜本“キャット”雄大選手との先鋒戦と相成りました。
生意気いいますけど、負けるイメージが湧きません。
——その根拠は?
YouTubeで見れる試合は、コスるように毎日見てますけど、勝ってる試合が全然ないし。背丈低いし。目立つ舞台で手が上がった試合って、ラウェイ(※1)ぐらいじゃないですか?
——挑発的な言葉です。
喧嘩腰なくらいが面白いでしょ? まぁ、本音ですけど(笑)。
——WPMF日本王者でもあった浜本選手が負けっぱなしということはなく、RIZINの2017年大晦日イベントで“神童”那須川天心選手と試合したり、ルール的に敬遠しがちなラウェイに勇猛果敢に挑みベルトを巻くなどその実績は確かです。
そんなの自分だってやりたいですよ!
——ラウェイも?
全然ですよ! プロキックボクサーになる前は、地元で喧嘩祭りみたいなやつでオープンフィンガーグローブのヒジ打ちありルールを2回やって2勝だし、目立てるならルールとかなんでもいいですよ。
——もうすぐ7月25日のラウェイ後楽園ホール興行には、WBCムエタイ日本スーパーライト級王者の北野克樹選手が参戦することとなりました。
いいですねー! WBCタイトルも欲しいし!
——非常に貪欲なガツガツ感があります。
INNOVATION王者になって一発目の試合ですからね。団体対抗戦っていうなら、そこでバッチシ倒して、(前INNOVATIONスーパーフェザー級王者でWBCムエタイ日本同級王者の)葵拳士郎に挑戦したいです! ラウェイだって、なんだってガンガンやってやります! 注目してください!
※1 ラウェイ ミャンマーの国技で“世界で最も過激な格闘技”と言われるミャンマーラウェイの略称。源流を隣国タイの国技、ムエタイと同じくするが、ラウェイは、頭突きや投げを可とし、グローブを付けず素手(専用バンテージは着用する)で戦う超過激ルール。最近は、日本でこれを広めるべく一般財団法人ILFJ(インターナショナル・ラウェイ・フェデレーション・ジャパン)が設立され、2016年10月27日の旗揚げから定期的に後楽園ホールを中心に興行を開催している。浜本“キャット”雄大は、ILFJ興行とその斡旋によりミャンマーでラウェイマッチを戦いベルトを巻くに至っている。

☆“REBELS先鋒” 浜本“キャット”雄大インタビュー

リングネーム:浜本“キャット”雄大
フリガナ:ハマムラ“キャット”ユウタ
所属:クロスポイント大泉
生年月日:1990年2月14日(29歳)
出身地;東京都
身長:167cm
戦型:オーソドックス
デビュー年月日:2010年6月6日
戦績:31戦15勝(4KO)12敗4分
ステータス:ILFJ認定ラウェイ王者、元WPMF 日本スーパーバンタム級王者
——5月のJ-NETWORKで竹内賢一選手に判定負けし、今回が再起戦となりました。
これを言うと竹内選手は怒るかもしれませんが、僕にとっては明らかに格下の相手だったんです。そんな選手に負けてしまったことがショックで……自殺しなきゃいけないと考えてしまうぐらい凹んでしまいました(苦笑)。『ここまでしないとお前は変われない』と神様に言われているように感じ、強くなるためにはどうすればいいのだろうと1から考えるようになりました。もう二度と同じような苦い経験はしたくないと思って日々の練習に励んでいます。
——試合が近づいてますが、調子はどうでしょう?
追い込みで疲れてますが、調子はいいと思います。練習で強化していることは秘密な部分もありますが、今回はいつもとは違う秘密兵器を用意しています。
——秘密兵器!?
17年大晦日に対戦している那須川天心選手が夢に出てきて、二人で食事しているんです。那須川選手がぼりぼりお菓子をたくさん食べていたので、僕が『凄くカロリーの高い物を食べるんですね!?』というような他愛のない会話をしつつ、僕が次の試合のアドバイスを聞いたところ、『サプライズをしっかり用意しろよ』と言って去っていったんです。それでサプライズを何か用意しないといけないなと。見ている人はそれをサプライズと思うかはわかりませんが、僕の試合を良く見ている人はいつもと違うと思うでしょうね。相手にとっては間違いなくサプライズになりますし、試合ではバッチリはまると思います。
——それは楽しみです。今回、イノベーション×REBELSの対抗戦のメンバーに選ばれました。
副将だと聞いていたのですが、実際は自分が最年長で先鋒だったので、もっとREBELSで自分の評価を上げないといけないなと感じました。あと、団体対抗戦でREBELSの看板を背負って出るので絶対に負けられません。現在REBELSはシュートボクシングとの対抗戦で勝ち越ししていてREBELSが最強だと証明している途中なので、僕が出ることでさらにその印象を強めたいですね。
——今回の相手、久井淳平選手についてはどのような印象がありますか?
みんなはどう思っているかはわかりませんが、僕の中では凄く評価の高い選手です。トリッキーな動きをする選手ですよね。性格とファイトスタイルがマッチしている選手は僕は強いと思っていて、久井選手はまさにそうだと思いました。
——どういうところを警戒していますか?
試合映像はあまり見ていませんが、距離感が長い選手だなというのは感じました。試合では相手がどう来るかはわからないので、試合展開がどうなるかは予想しづらいですね。僕はサウスポーの選手との対戦経験が凄く多く、最初はサウスポー嫌いでしたがその当時の師匠から『お前がチャンピオンになるために神様が用意してくれた相手なんだよ』と言われてからはだいぶ気持ちが楽になり、慣れました。
——次の試合をクリアーしたら何か見えている目標はありますか?
最終目標はもちろん打倒・那須川天心です。那須川選手が対戦してきた選手、例えばスアキムとやって勝っていくのもそうですし、それとは別ルートで強い選手を相手に勝ち続けてアピールするのもありかなと。僕は今までオファーを断ったことがなく、今回の久井選手も上の階級のチャンピオンですからね。毎回強い相手とやるのは宿命だと感じてます。
——ファンにメッセージをお願いします。
これから復活劇が始まります。どんどん上に上がっていきたいので、僕の名前、試合を焼き付けて応援して下さい!

第6試合 INNOVATION×シュートボクシング 3vs3対抗戦 大将戦 65kg契約 3分3回戦 ※肘打ちなし
与座 優貴(橋本道場)vs.イモト・ボルケーノ(グラップリングシュートボクサーズ/シュートボクシング協会)
☆“令和最初の怪物”与座優貴インタビュー

リングネーム:与座 優貴
フリガナ:ヨザ ユウキ
所属:橋本道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1997年12月20日(21歳)
出身地:茨城県
身長:170cm
戦型:サウスポー
デビュー年月日: 2019年3月31日
戦績:3戦3勝(2KO)
ステータス:極真会館2017全世界ウェイト制軽量級(70kg)優勝
——「極真世界王者のキックボクシング転向」は、どうしても注目されるところですが、目下3戦3勝と順調に全勝街道を進んでいます。
相手選手を全員格上と思ってリングに上がらせていただいておりますが、「もう3戦」より「まだ3戦」の感じが強いです。
——キックボクサーとして馴染みはいかがでしょう?
1戦1戦大幅に成長で来ている感触があります。
——プロデビューが今年3月31日、5月19日、6月9日と相当なハイペースで試合をされています(平均的なキックボクサーの年間試合数は3~4試合)。
空手時代は、4か月から半年に1度、1日に5試合以上戦うトーナメントがありましたから、自分的に急ペースではないです。毎月試合くらいが練習のモチベーションや緊張感も維持できるので良い具合です。
——極真世界王者の肩書は、キックボクシングと別競技にしても強大なわけですが、その自意識は?
そんなプライドは全然ないです。橋本道場に入門して約半年、今も知らないことだらけで新鮮な学びの毎日ですから。キックで活かせる空手があるにせよ、首相撲の基本的な掴み方ひとつまだできていないくらいです。
——先ほどから話しぶりが非常に丁寧で言葉が謙虚なことに感心します。
謙虚ですか? そんな意識もありません。思えば、極真時代、全日本王者の安島喬平先輩などの背中を見て育ったので、自然と倣ったところはあるかもしれません。
——そう言えば、Twitterで試合前のディスりあいというかトラッシュトークのパフォーマンスを否定されていました。
そういうのは自分の場合、まったく要りません。試合内容で魅せていきたいです。
——3戦目の耀識(ヨシキ)戦では、相手からかなり挑発されました。
プロとしてそこで演じなければならないこともあるのかもしれませんが、自分は本気でイライラしてしまうので、苦手というか無理です。おでこを突き合わせての睨みとかされそうになったら本気で手が出てしまいそうで。人それぞれだとは思いますが自分に茶番劇は必要ありません。見ている人がスッキリするようなKO劇こそが自分の味だと注目してください。
——なるほど、アウトオブリングで様々なパフォーマンスが花盛りの昨今、気持ちよいほどの王道です。
けど、ひとつ言わせてください。耀識選手は、プロとして挑発パフォーマンスをしかけられましたが、試合後、泣きじゃくっている自分に「勝ったのだから胸を張って」と言葉をかけてくれた素晴らしい選手でした。プロの在り方は違っても試合後のノーサイドはしっかりとあったことは知っておいていただきたいです。
——試合直後に泣きじゃくられていた?
試合前に「倒す!」と断言しておいて判定決着で嘘をついてしまい、試合内容も全然納得いかないし、それでいながらなんとか勝つことができて「生き残れた」という安堵もありと色々な感情が渦巻いたら涙が止まりませんでした。
——なんとピュアな涙でしょう。
お恥ずかしい限りです。
——そんな与座選手は、90年代のK-1で極真世界王者のフランシスコ・フィリオ(※1)がそうであったように空手道の実績ですぐにトップステージに立つのではなく、こつこつと通常の階段を上られているところが、80年代、極真出身の名選手、竹山晴友(※2)に重なる部分があります。
恐縮ではありますが、先輩方はともかく、自分はとにかくゼロからスタートしたかったので、橋本師範(橋本道場、橋本敏彦会長)に希望通りの道を拓いていただいて感謝しております。
——フィリオや竹山のような大選手になるといった目標は?
誰に憧れてそうなりたいというのはありません。ただ、常に挑戦し続けて、その時々についてくる結果で評価していただければ。何かのチャンピオンになることがゴールではなく、懸命に努力した結果、どこまでいけるかの勝負です。
——現在、所属する橋本道場との相性が抜群に伺えます。
技術的には、空手の蹴り方を否定してキックボクシング的に矯正するといったことはなく、そこからプラスアルファを指導していただけるので、自分にとって最適です。そして、かけがえのないジムメイト。今現在、毎日、親兄弟や友人よりも長く濃い時間を過ごしているわけで、仲間というより家族です。目標はそれぞれ違っていても練習や試合前にひとつになる控室の雰囲気とか独特で大好きです。
——さて、目前に迫った7月15日は、INNOVATION×シュートボクシングの大将戦で、SB日本ランカー、イモト・ボルケーノとの一戦となりました。
試合のVTRを見せていただいていますが、これまでの相手で一番強いだろうと思いました。
——強敵として高評価?
強い相手である方が楽しいので喜ばしいことです。けど、大丈夫です。
——プロ2戦目は、目の覚めるような二段蹴りの大技KO(※3)が飛び出ましたが、4戦目はどんな試合になるでしょう?
空手で出していない技はまだ沢山あるのでお楽しみに。スパーでは出せているので、あとは本番のリング上で表現できれば。それと基本スタイルも試してみたいことがあります。空手時代はステップを使ってリズミカルに軽い動きもしていましたが、この3戦は、あえて腰を鎮めてどっしりと構えています。ヨードレックペット(※4)のイメージですね。そこを場合によってはアレンジするかもしれません。
——団対抗戦に関しては?
大将に選んでいただいて光栄です。自分はそういったプレッシャーがあっても緊張しないタイプなので、自分のできる最高の動きが発揮できるよう全力を注ぎます。
——契約体重について、空手では70kg以下の軽量級で世界王者となり、無差別級の試合も数多経験されていますが、今回は65kg契約です。
これまでスーパーライト級(63.5kg)で試合していたので楽に感じます。体重に関しては、空手で身長2m、体重100kgを相手にしてきたので何でも大丈夫です。
——流石は“令和最初の怪物”ですね。
そのキャッチコピーですが……。
——同門のアマチュア28冠王、花岡竜のプロデビュー時に打ち出された“平成最後の怪物”と対にして表現されたものですが、大仰でお気に召しませんでしたか?
いえ、過分なことで恐縮ですが嬉しいです!(ニコリ)
※1 フランシスコ・フィリオ 第7回全世界空手道選手権大会優勝、100人組手達成など最強の呼び声高い極真空手家のフィリオのK-1登場はセンセーショナルなニュースだったが、デビュー戦で同じく極真出身のK-1看板スター、アンディ・フグを一撃KOした衝撃は格闘技史上指折りの事件だった。その後、フィリオは、空手道も追求しながら圧倒的な存在感と実績を全盛期のK-1で振り撒いた。
※2 竹山晴友 極真空手創設者、大山倍達総裁存命時に極真会館本部から数々の実績を残し、その鬼気迫る鍛錬からシンボリックな存在でもあった竹山が、道場の先輩にあたる(空手家からキックボクサー、ボクサーとしても活躍した)大沢昇を師としてキックボクシングに転向したことは、80年代キックのビッグニュースだったが、試合は飛び級デビューや下駄を履かせた扱いを望むことなく、いち選手としてコツコツと勝ち続け(デビュー以来13連続KO勝利)、数年で当時の看板スターとなった。
※3 二段蹴りの大技KO 以下のURLで閲覧できる試合動画の5分20秒あたりから確認できる。 
https://www.youtube.com/watch?v=ic_2coeDUtI&t=4s
※4 ヨードレックペット 現代ムエタイの最高峰に鎮座するヨードレックペット・オー・ピティサックは、数々のタイトルや年間MVPを獲得し、2019年4月29日、KING OF KNOCK OUTライト級アジアトーナメントで優勝した。低身長で短リーチながら強靭な体幹とタフネス、パワーを誇るムエマッド(タイ語:ファイタータイプ)。

☆“SB大将”イモト・ボルケーノインタビュー

リングネーム:イモト・ボルケーノ
フリガナ:イモト・ボルケーノ
所属:グラップリングシュートボクサーズ/シュートボクシング協会
生年月日:1999年5月20日(20歳)
出身地:愛知県名古屋市
身長:176cm
戦型:オーソドックス
デビュー年月日: 2017年4月9日
戦績:9戦4勝(1KO)5敗
——シュートボクシング×INNOVATIONの団体対抗戦の大将として、元極真空手世界王者という強大な肩書を持つプロキックボクシング3戦3勝の与座優貴選手が相手となりました。
あんまり相手が世界チャンピオンだとか気にしてはいません。
——与座選手のことは研究されていますか?
2試合、動画を見ました。蹴りの選手だなと。
——別競技とはいえ、厚い選手層を誇る極真空手の頂点を極めたスキルに関しては?
長所は当然ありますよね。当然、自分にだってあります。短所も同様です。フルコンタクト空手で沢山の試合を経験してきたかもしれませんが、こちらは幼稚園からジムに通って柔術もしていましたし、キャリアに差を感じてはいません。プロのリングに関してなら、まだ3戦なわけですから(イモトは9戦)。
——INNOVATION初登場のイモト選手は、どんなファイターなのでしょう?
ずっと前に出続けます。やり辛いんじゃないかな?
——得意技は?
今回はジャブしか練習していません。これまでの試合で奪ったダウンは、すべて右ストレートでした。ですが、蹴りにせよ何にせよ倒れるように鍛え上げています。
——誇り高きシュートボクシング軍団の大将としていかがでしょう?
選んでいただいたことにまず感謝です。自分がしっかり勝つのは当然のこととしてチームとしての勝利ももぎ取りたいですね。
——20歳のイモト選手、今後の展望は?
本拠のシュートボクシングはもちろん、これを機に色んな団体に出てみたいです。水落洋祐(※1)選手が好きなのですが、それこそどこかで対戦できるようになりたいなと。
※1 水落洋祐 この10年以上もの間、激闘派キックボクサーの代表格を務める名王者。勝敗を超えたベストバウトを多数闘い抜き、KNOCK OUTでの活躍は特に目覚ましく“ボルケーノ(英語:火山)”の異名を持つ。イモト・ボルケーノのリングネームの由来は、もしかして……?

第8試合 INNOVATIONフェザー級王座決定戦 3分5回戦(延長1R)
宮元 啓介(橋本道場)vs.直也(Versus)
☆“空を斬り裂くサイクロン”宮元啓介インタビュー

リングネーム:宮元 啓介
フリガナ:ミヤモト ケイスケ
所属:橋本道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1992年12月16日(26歳)
出身地:埼玉県入間市
身長:168cm
戦型:オーソドックス
デビュー年月日:2010年1月31日
戦績:50戦30勝(11KO)13敗7分
ステータス:元WPMF世界スーパーバンタム級王者、元WBCムエタイインターナショナルスーパーバンタム級王者、元WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者、元INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元MA日本スーパーバンタム級王者、2010年MA日本バンタム級新人王、2009年K-1甲子園関東地区Bブロック優勝
——ホームであるJAPAN KICKBOXING INNOVATION興行で同団体タイトルマッチとなったこの一戦、すでに5冠王でベルトを超えた存在感のある“空を斬り裂くサイクロン”としてはいかがなものでしょう?
今、橋本道場でINNOVATION再興計画というか、改めて我が屋を建て直そうみたいな感じでうちの主力がINNOVATION王座を獲りにいってるじゃないですか?
——確かに今回、宮元選手がフェザー級の王座決定戦、橋本悟選手がスーパーライト級の王座決定戦、バンタム級王者の岩浪悠弥選手がスーパーバンタム級の同時二階級制覇狙いの王座決定戦と3つのタイトルマッチがあります。更に今後を予測するにフライ級では、アマ28冠王の15歳“平成最後の怪物”花岡竜がおり、スーパーフライ級に白幡裕星、スーパーフェザー級で安本晴翔選手、ライト級で町田光選手、ウェルター級で与座優貴とチャンピオン有力候補が軒並びで、ほぼ全てのベルトを独占しかねません。
そうやっていっぱい獲っちゃおうって(笑)。するとINNOVATIONの試合レベルが上がって、活性化するってわけです。
——橋本道場発進のINNOVATION富国強兵計画といったところでしょうか?
まずは自分が率先して盛り上げますよ!
——今回の相手は、RIZINにも出場した鳥取県のVERSUS所属、直也選手です。
生で試合を見たことないんですよね。何試合かYouTubeでチェックしましたけど、ぶっちゃけコレってものがないです。パンチもキックも首(組技からのヒジ打ちとヒザ蹴り)もまんべんなくできるけど得意技がわからない。特に警戒する部分はないかなと。
——厳しい評価です。
あ、油断はしていないですよ。勝負は何があるかわからない。これまで色々経験してきましたから。
——それにしても余裕しゃくしゃく?
フェザー級(57.15kg)で減量が楽だし、この階級で3、4試合しているけど負けなしです。それとタイトルマッチだけに5回戦。3ラウンドより5ラウンドが好きなんですよ。スタミナには自信あります。自分の場合、3回戦の方が疲れるんで。
——負ける要素が見当たらない?
いつもやってる練習がエグいですからね。
——どうエグい?
相手の対策を含めたテクニック系はもちろんしますが、最後に追い込みをかける“息上げ”が半端ないです。キツすぎて、皆、死んでます(笑)。
——それだけの練習をもう10年以上継続されているからこその宮元選手だと思います。2012年9月22日、19歳の日下部竜也戦、2016年10月9日、23歳のチューチャイ・ゲーオサムリット戦が宮元選手のベストバウトとして印象深いですが、10代と20代前半の自分と現在26歳の自分が戦った場合、どんなものでしょう?
経験だけじゃなく、パワーやスタミナが段違いで今が最強です。ただ、若いからこその「恐いもの知らず」の気持ちはいつしか薄まってしまったので、ベテランならではのかけひきとイケイケのノーフィアー(恐れ知らず)な勢いを上手くミックスして更に進化したいなとテーマづけてもいます。
——また、師匠である橋本敏彦会長は、Twitter(https://twitter.com/PhsxoaCrQrWONqm)で「(宮元選手が)いつもより沢山回ると言ってます」と書き込まれていましたが、代名詞の回転技や飛び技は?
回り系も飛び系も大技も小技も色々用意しているのでお楽しみに! まだ見せていない空手の技アレンジがあるっちゃーあるので、ビックリもあるかもしれませんよ!
——ムエタイ世界王者(前出のチューチャイ)を三日月蹴りでKOする空手家でもある宮元選手だけに期待大です。閑話休題で、宮元選手のSNSは、昨年、お生まれになった赤ちゃんでいっぱいですね。
今は、子供が人生のすべてになっちゃっています(笑)。手間はかかりますが、こんなに我が子が可愛いだなんて!(デレ)
——そんなパパファイターは、何を目標にいつまで闘い続けるのでしょうか?
現役を何歳まで、何戦までとは決めていません。次が51戦目ですが、100戦やっても、40歳を超えようと、強さが落ちなければやれる限りやるし。そうですね。今回のテーマは、やはり「恐いもの知らずを取り戻す」で、そこで新たな自分が生まれて進化は続くんです。そして、その時、どれほどの高みに辿りついて、どんな風景が見られるのか? 僕にもわかりませんがドキドキワクワクします!
  
☆“伯耆国から来る下剋上”直也インタビュー

リングネーム:直也
フリガナ:ナオヤ
所属:VERSUS/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1995年7月29日
出身地:鳥取県米子市
身長:170cm
戦型:オーソドックス
デビュー年月日:2016年12月11日
戦績:18戦8勝9敗1分
ステータス:INNOVATIONフェザー級3位
——タイトルマッチで大変な強敵、5冠王の“空を斬り裂くサイクロン”宮元啓介選手とタイトルマッチで戦うこととなりました。
強い! 皆が知ってる大物ですからね。ここで宮元選手に勝つことができれば、これまでの無駄な黒星は全部帳消しになるくらいの大金星ですから、全身全霊で勝ちにいきます!
——どのような作戦で?
普通にキックボクシングしたら敵わないことはよく分かっています。色々と考えていますが簡単に言うとこれまでのスタイルを変えていかないと。
——これまでのスタイルとは?
ここ数戦はキレイに戦おうとし過ぎてしまって、自分の良さが出ていなかったので、そこを出していこうと。
——“自分の良さ”とは?
「荒さ」と「気持ち」ですね。
——(2017年8月19日の試合に向けた)以前のインタビューでは、ギラギラした具合で「アグレッシブに手数を出してガンガン倒しに行くファイタースタタイル」と言われていました。
格下の勝てる相手との勝負で負けてしまったりした悔しさが溜まって、持ち味のハングリーさが薄まっていました。そこを取り戻して、かつ新たに変わってみせます!
——昨年8月12日には、RIZINの大舞台で試合(Ryuki戦、3R判定負け)を経験しました。
それまで経験したことのない大規模な演出とか凄かったです。もう一度あの舞台にだって上がりたい。その為には、ここで勝つことが必要です!
——モチベーションは高まるばかりの様子です。
ここから名のある選手を喰いまくって、RIZINやRISE、KNOCK OUTとか大きな舞台に上がりまくってみせます!

第9試合 INOVATIONスーパーバンタム級(55.34kg)王座決定戦 3分5回戦(延長1R)
岩浪 悠弥(橋本道場)vs.和斗(井上道場)
☆“日本軽量級最強説”岩浪悠弥インタビュー

リングネーム:岩浪 悠弥
フリガナ:イワナミ ユウヤ
所属:橋本道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1998年1月6日(21歳)
出身地;東京都青梅市
身長:170cm
戦型:オーソドックス
デビュー年月日:2013年10月14日
戦績:25戦17勝(2KO)7敗1分
ステータス:INNOVATIONバンタム級王者、元WBCムエタイ日本フライ級王者、元INNOVATIONフライ級王者、元MuayThaiOpenバンタム級王者
——現在、INNOVATIONバンタム級王者であり、すでに4冠王でもある岩浪選手が5冠目のタイトルマッチです。
INNOVATION王座の2階級制覇は、僕以外にもT-98選手(現INNOVATIONスーパーウェルター級王者、元同ウェルター級王者)がやりましたけど、3階級制覇は初ですからモチベーション高いです!
——それどころか、現バンタム級チャンピオンのままで1階級上のタイトルを奪取すると同時2階級王者ということになります。通常は、身体の成長に伴い階級をアップするので下の階級のベルトは返上するものですが、岩浪選手はまだバンタム級(53.52kg)でも試合可能?
はい、(身体が大きくなり)来年は厳しいかもしれませんが、バンタム級タイトルも挑戦者が現れればできる限り防衛して、このスーパーバンタム級(55.34kg)と同時王者でいられるようにしたいです。
——相手となる和斗選手は、19歳の新鋭。圧倒的実績を誇る岩浪選手とは、SNSによる勝敗予想(※1)でかなりの大差をつけて優位と見られています。
そう予想していいただけるのは嬉しいですが、和斗選手は9戦7勝2敗の好成績。しかもその2敗は、ハルト(橋本道場所属で天才児の呼び声高い安本晴翔)とリュウト(橋本道場所属、6戦5勝5KO1敗のINNOVATION新人王、中村龍登、現在活動休止中)なわけで、彼らは特別に強いから全然油断はできません。
——実に慎重な構えです。
自分が和斗選手の立場だったらと考えると、全身全霊でリングに上がるのはもちろん、ガンガン前に出てくるでしょうし、予想の倍も強いと想定しています。
——この数年、日本人選手相手に無敗どころかアンタッチャブル(クリーンヒットを許さない)な試合ぶりから“日本軽量級最強説”とまで言われる岩浪選手の強さの秘密は、その盤石な思考にあるような気がします。
日本軽量級最強説……あまりに過ぎたキャッチコピーですが、まだ対戦していない強豪選手は沢山いるので、勝ち続けて言葉に追い付けるようにします!
——和斗戦を勝利でクリアーしたとして、その後、対戦すべき、または戦いたい選手は?
橋本師範(橋本道場、橋本敏彦会長)に組んでいただく相手なら誰でもやるのみですが、最近、RISEでも活躍している鈴木真彦選手は、同じINNOVATION所属ですし、是非、INNOVATION興行でやって盛り上げたいですね! それとバンタム級に落ちるうちは、新日本キックボクシング協会のHIROYUKI選手やムエタイスタイルの小嶋勇貴選手などとできればいいなと。そうだ、INNOVATION所属のタネヨシホ選手もフライ級から上がってきますよね?
——好カードが盛り沢山です。
ヒジ打ちあり、首相撲無制限のキックボクシングであれば、いつでもどこでもやります! ついで5回戦の正統派キックボクシングで!
——RISEやK-1などヒジなし組みなし系ルールは?
それほど器用ではないので、まずは純キックボクシングを極めたいです。しかし、師範からGOサインが出ればいきます!
——55kg前後というとどうしても対ムエタイが鬼門となります?
約3年前に貴・センチャイジム選手に負けて(判定1-2)以来、日本人には負けていませんが(貴・センチャイジムにも2018年7月22日にKO勝ち)、タイ人には3敗しています。僕的にキックボクシングとムエタイは、ほぼ同じものですし、レベルからしてこの階級は「世界の頂点=ムエタイ」ですから、避けて通れるものではありません。大目標として追い続けます! その前に国内選手のトップすべてに勝って(日本軽量級最強)説を証明してから打倒ムエタイに集中できたら最高ですね!
——それと岩浪選手といえば、20戦目までKO勝利がゼロだったところ、2017年8月19日、若月勇磨戦の鮮やかなワンパンチノックアウト以来、KOまたはダウン奪取が頻発するようになりました。
バンタム級に上げてから急に倒せるようになりました。今のところ53kg契約以上の試合では、全部ダウンを獲れています。これまで練習では「パンチ重いよ」と言っていただいていたので、やっと倒すコツが掴めてきた感じです。それまでジム仲間から「どうせ判定でしょ?」とバカにされっぱなしだったので、これからドンドン見返してやります!
——最終的に目指すものは?
小さな頃、弱い自分を変えたくて空手を始めて「強くなりたい!」と願ってここまできました。複数のチャンピオンベルトを巻かせていただき、これからも大きな舞台に立って有名になる機会があるかもしれません。それは望むところですし、どこまでも昇って師範や応援していただいている皆さんに喜んでいただきたいと思います。けれど、“強い”を追い求める芯だけは絶対にブラさず一番大切にしていきます。だからもっともっと強くなりたい! 後は自然な流れに任せます。
——清廉な岩浪選手の印象がより深くなりました。
それとINNOVATION、僕らのホームを盛り上げたいです! INNOVATIONって、橋本道場だけに限らず強くて個性のある良い選手がいっぱいいますから、すごく可能性がある団体だと思います。今は、メジャーなイベントに上がる為のステップアップになりがちで、それが悪いわけではないけど……そう、加藤竜二先輩がTOMONORI選手を後ろ回し蹴りで倒して、町田光先輩が竜誠(現在のリングネームは芦澤竜誠)選手をKOした5年以上前(2013年12月23日)の新宿FACE、チャンピオンカーニバル(正式名称:Innovation champion carnival)、あの会場がパンパンでとてつもない熱気に満ちた神興行、あれを今回みたいな好カードが集まって、選手がベストを尽くせば、再現、いや、超えるものが創れると思うんです! それを僕が先頭切ってやります! まずは、和斗戦、見ていてください!

☆“予州より狙う王座”和斗インタビュー

リングネーム:和斗
フリガナ:カズト
所属:井上道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:2000年7月9日(19歳)
出身地;愛媛県川之江市
身長:165cm
戦型:オーソドックス
戦績:9戦7勝(2KO)2敗
ステータス:INNOVATIONスーパーバンタム級2位
——今回、INNOVATIONバンタム級王者、岩浪悠弥選手の同時二階級制覇がかかったスーパーバンタム級王座決定戦で相対する大勝負となりました。
和斗 しっかりと対策して倒す練習をしてきました!
——防御力は国内随一の岩浪選手を倒す攻略法とは?
和斗 それは……。
(インタビュー取材に割り込んできた)井上道場、井上由久会長(※1) 言えないです、それは!
——具体的なお話はトップシークレットで当然ですが、今回の和斗選手の戦いで何に注目してほしいのかなどお聞きしたく。
井上 ここは丹念に組み上げてきた部分なので、ヒントになることも勘弁してください。そうですね、はじめから分かり切っていることですが、あれだけのテクニックと実績があるチャンピオンですから、こちらから倒しに行かねば始まりません。岩浪選手のガードの堅さは重々承知の上で、それを崩して倒しきる仕掛けを用意しています。
——和斗選手、いかがでしょうか?
和斗 前の試合(2019年5月19日、ギャラクシー黒川戦、判定3-0勝ち)も先生(井上会長)に教えていただいた作戦通りに動いて狙い通りの勝ち方ができたので、今回もそれを貫くのみです!
——和斗選手は、同王座の前王者、安本晴翔選手と昨年12月16日に同タイトルを争い敗れはしましたが、高いガードと鋭いハイキックに勝利への断固たる決意が感じられました。
和斗 あの時から二倍は強くなっています!
——改めて和斗選手の戦いで注目点は?
和斗 アグレッシブに攻めまくります。
井上 右のパンチが強いです。肘にもいいものがあって、回転バック肘打ちでKO勝ちしたこともあります。
——なるほど。
井上 しかし、技以上に良いところは、身体能力の高さとハートの強さです。この子は19歳になったばかりですが、毎日、学校ととび職の仕事をこなしながら、黙々と練習を積み重ねてきました。その努力と練り上げた根性が、いかな橋本道場のエリートチャンピオンだろうが打倒すと信じています!
——岩浪選手の高い壁を乗り越えることができた先の展望は?
和斗 まずは、その先のことを考えるよりも岩浪選手を倒してベルトを巻いて親孝行……いや、先生孝行をすることです!
井上 うちには、昔、大麻純一ってMA日本ウェルター級1位までいった選手がおったんですけど、マイナーなタイトルはともかく、堂々たるキックボクシングの王座には届きませんでした。尊敬する橋本道場さんとも幾度も戦ってきましたが、1度だけ大麻が坂本章選手に引き分けたのみで勝ったことがありません。だからこそ、今回は渾身の勝負なんです!
和斗 小学生の頃から指導していいただいた先生と道場の為にも必ずベルトを巻いてみせます!
※1 井上由久会長 愛媛県の井上道場会長の井上氏は、K-1初期のヘビー級全盛時代に参戦し活躍したファイターで、現在、事業家として幅広く活動している。

第7試合 INNOVATIONスーパーフェザー級挑戦者決定トーナメント決勝戦 3分5回戦(延長1R)
櫻井 健(Hardworker)vs.マサル(MONKEY☆MAGIC)
☆“咲けよ執念の桜”櫻井健インタビュー

リングネーム:櫻井 健
フリガナ:サクライ ケン
所属:習志野ジム/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1981年2月20日(38歳)
出身地;千葉県八千代市
戦型:オーソドックス
プロデビュー年月日:2011年10月31日
戦績:23戦10勝(2KO)10敗3分
ステータス:INNOVATIONスーパーフェザー級1位、UKFインターナショナルライト級王者
——INNOVATIONスーパーフェザー級王者、久井淳平選手への挑戦権をかけた挑戦者決定戦、相手は、38歳の櫻井選手よりも一回り近く年上の超ベテラン、マサル選手と相成りました。
マサル選手とやるのは初めてではないんですよ。
——2015年12月12日、マサル選手がINNOVATION初参戦時に対戦し、ヒジ打ちで斬り裂いて1ラウンドTKO勝利されています。それだけに余裕があるのでは?
その時は、出だしで斬れちゃって、どんな選手なのかよく分からなかったままで。自分よりも遥かにベテランだからフルラウンド(5回戦)やったとすれば、ならではのペース配分などあるろうし、結局どんな力を秘めているか知れないままで。けど、マサル選手には、その後、3戦して0勝2敗1分で持っていかれました。
——? 2015年の初対戦後に3回も試合をされた? 記録に見当たりません。
公式戦ではなく、スパーリング大会です。千葉方面で定期的に開催されている初心者からプロまで参加できる合同練習会というか。
——なるほど、そうなるとマサル選手の全体像をばっちり掴めたのでは?
上手くてガッツがあって、気を抜くと呑み込まれそうな迫力があります。首相撲が得意なわけではなさそうなので、ヒジとヒザは狙い目かな。
——試合直前インタビューとはいえ、そこまで作戦的なことを表に出てしまっていいのでしょうか?
ベテラン同士でその程度のことはお互いお見通しでしょうから問題ありません(笑)。
——38歳の櫻井選手と47歳のマサル選手とのミドルエイジ対決ですが、櫻井選手は社会人になってからのジム入門で、プロデビューも30歳と異例の晩成タイプです。コンディションなどいかがでしょうか?
体調はすこぶる良いです。練習していてまだまだ強くなっている自覚があります。5年ぶりのスーパーフェザー級(58.97kg/櫻井はこれまで61.23kgのライト級を主戦場としていた)なので、最後の調整には気を付けてベストコンディションを作ります。
——まさに大器晩成?
いえいえ、10年近くの選手生活で20戦以上させていただきましたが、それでもまだ納得いく試合ってしたことがないんですよ。
——“マッドピエロ”山口侑馬選手との激闘ドローや“和製ムエタイの雄”翔・センチャイジム選手との2度にわたる流血戦など相当の内容でしたが。
まだまだですね。それでも自分は「運がいい」ので素晴らしいチャンスに次々と恵まれていますから、次こそ全力を出し切ってタイトルも獲れると信じています。
——運がいい?
今回の試合、自分もマサル選手も挑戦者決定トーナメント準決勝戦の相手が試合不能となってしまっての不戦勝だし。おかげで4度目のINNOVATIONタイトルマッチに辿りつけました(笑)。
——2017年4月29日、山口戦、2017年12月17日と2018年12月8日の翔戦。いずれもあと一歩ベルト奪取には及びませんでしたが、素晴らしい試合内容です。
いえいえ、勝たなくては。今回、自分とプロデビューが同じ興行のジム仲間、番長兇侍も大勝負(INNOVATION×REBELSの中堅戦)で、Hardworkerで連勝して菅崎(英世)会長を喜ばせたいですね。
——“全弾フルスイング”のキャッチコピー通りの強打者、番長選手は、プロ同期でしたか?
彼は、常にKO狙いでプロとして徹底して試合を盛り上げて大したものです。KO勝ちが少ない自分としてはいいなーと。
——一種異様なキャラクターも垣間見える番長選手ですが、普段、ジムでの様子は?
とてもナイーブで尋常じゃなく真面目。そこが突き抜け過ぎて変なんじゃないですかね?(笑)
——改めて今回のマサル戦、どんな試合になりそうですか?
終盤まで互いに根性丸出しのせめぎあいになりそう。磨いてきたローキックとヒジ打ちには注目していただきたいです。
——念願のINNOVATION王者となったその先の展望は?
目の前のマサル戦に集中しているので深く考えていませんが、WBCムエタイ日本スーパーフェザー級王者、葵拳士郎選手のタイトルには挑戦したいですね。
——ここまでお話をさせていただいて、流石に落ち着いた大人のテンションです。
マサル選手は自分よりも10年以上も長くキックボクシングに頑張り抜いてきたわけで、二人でオジサンの底力を見せつけて熱いアツイ試合をしたいですね(微笑)。

☆“荘厳なれ歴戦の兵”マサルインタビュー

リングネーム:マサル
フリガナ:マサル
所属:MONKEY☆MAGIC/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1972年6月6日(47歳)
出身地;神奈川県厚木市
出身地:172cm
戦型:オーソドックス
戦績:66戦17勝(4KO )31敗18分
ステータス:INNOVATIONスーパーフェザー級4位
——「今回の試合で25周年」とお聞きしましたが、なんのアニバーサリーなのでしょう?
プロキックボクシングデビュー戦が1995年の7月15日、今度の試合と同じ日でちょうど24年経つってこと!
——現役生活24年……凄まじい現役へのこだわりぶりです。
国崇君とか頑張ってるけど、なかなか20年以上はいかないでしょー! あっ、立嶋篤史さんがいたか。
——それにしても“赤い薔薇”小野寺力、“ラジャダムナン王者”石井宏樹、“元祖コリアンモンスター”朴炳圭、“Mr.BANG”ムアンファーレック・ギャットウィチアン、“英国ムエタイ王”リアム・ハリソン、“ラジャ&ルンピニー王者”サガッペット・イングラムジムなど90年代から2000年初頭にかけて史上に残る強豪たちと拳を合わせてきたマサル選手が、2019年、47歳にして再びタイトルマッチに手をかけるところまでこられました。
まーねー、練習も試合も歯磨きみたいなもんだから。
——歯磨き?
当たり前の生活習慣ってね。生きてる限り、普通は歯を磨くでしょ?
——選手を長く続けるということは、そういうことなのでしょうか?
まー、歯磨きでこんなに身体がガタガタにはならねぇけどねー(笑)。
——歴戦のダメージは身体中に沁み込んでいる?
ガッタガタっすよー。手足やあばらの骨折なんて怪我のうちに入らねぇってね(笑)。
——一体これまでどんな大怪我を?
頭蓋骨が試合中に割れたりねー、痛ぇ、イテェ! 一番は、あれかな右ミドルキックと左ミドルキックがごっちんしてのヒザ脱臼かなー。膵臓破裂も悲惨だったなぁ。全身隈なく折れたり切れたり壊れたりしていますって。
——それでもやめない?
だーかーらー、生きてる限り歯ぁー磨くだろって!
——しかし、次期挑戦者決定トーナメントは相手の怪我により不戦勝で上がれたものの、2014年6月15日の髙橋幸光戦から毎試合ごとに怪我で長期欠場し、TKOやKOで4連敗となかなか苦しい具合です。
ジコマン、うん、自己満足なのは承知してますよ。
——ご自身が創設した厚木駅前のジム、MONKEY☆MAGIC KICKBOXING STUDIOは会員数も増え、初のプロ選手も誕生しました。
えへへー、RANって女子高生ファイター、今、2年生。なかなか根性あってかわいいヤツですよー。
——なら、余計に指導に専念……。
やっぱさ、ベルトがね、ほしいわけよ。
——マサル選手ほどの実力者なら、タイトルを選ばなければとっくに3本や4本は戴冠していて当然です。
うんー、しょんべんチャンピオンじゃねぇ、駄目なんだよね、どうしても。
——そのこだわりは一体?
オレはさー、(1998年5月5日)あの小野寺力の日本フェザー級タイトルマッチに挑んでさ、誰もが倒されるって思っていたろうにダウンを獲りあって判定ドローで、「ありゃあ
勝ってんだろ?」なんて思ったりもしたけど、あの試合のことをずっと誇りに思ってるわけよ。あの後楽園ホールの熱気は忘れようがない。改めて振り返っても凄ぇ選手、キックボクシングの完成形だったよな。だからこそ有象無象の何でもいいチャンピオンベルトなんて巻けねぇって。
——決意の復帰、覚悟の挑戦者決定戦。相手は、2015年12月12日、ヒジで斬られて1ラウンドTKO負けした櫻井健選手です。
負けといて言うのもなんだけど、またあれにやられるようじゃダメっすよ。
——復讐戦に向けて秘策が?
ありますよーっ、それが何なのかは言えないけど! 試合をお楽しみにね!

■ JAPAN KICKBOXING INNOVATION『Join Forces-14』
日時:2019年7月15日(月祝) 16:30開場 16:45開始予定
会場:新宿FACE(東京都新宿区歌舞伎町1-20-1 ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町7F)
チケット前売り:RS席 12,000円(希少) S席 8,000円(完売) A席 6,000円(完売) 自由席 5,000円 ※当日券は500円UP
チケット販売所:チケットぴあ、参加各ジム、各選手
お問合せ(INNOVATION興行本部):TEL 043-247- 0112
公式サイト:http://kick-innovation.com/
※7月14日(日)15:00から新宿で行われる「Join Forces-14」公開計量及び選手会見会では、チケット販売も行い前売価格でのチケット購買が可能
「Join Forces-14」公開計量及び選手会見会
主催:JAPAN KICKBOXING INNOVATION
日時:2019年7月14日(日) 15:00計量開始予定 ※全選手計量終了後、選手会見開始 見込終了時間16:00
会場:ホテル ウィングインターナショナル新宿(東京都新宿区歌舞伎町1-21-7) ビル3Fフロント前レストランスペース
参加選手:7月15日「Join Forces-14」出場全選手24名予定
見学資格:マスコミ、ファンなどどなたでも自由
見学費:無料
内容:公式計量→選手会見・質疑応答 ※どなたでも選手に質問することがが可能です。 
お問合せ(INNOVATION興行本部):TEL 043-247- 0112
公式サイト:http://kick-innovation.com
※会見後は、選手と記念撮影やサインを求めることなども可能です。

対戦カード(選手名上段が赤コーナー、下段が青コーナー)

<第12試合 INNOVATIONスーパーライト級王座決定戦 INNOVATION×REBELS 3vs3対抗戦 大将戦 3分5回戦(延長1R)>
橋本 悟(橋本道場/INNOVATIONスーパーライト級2位、MuayThaiOpenスーパーライト級王者、元INNOVATIONライト級王者)
 vs.
潘 隆成(クロスポイント吉祥寺/INNOVATIONスーパーライト級1位、元WPMF日本スーパーライト級王者)

<第11試合 INNOVATION×REBELS 3vs3対抗戦 中堅戦 67.5kg契約 3分3R>
番長 兇侍(Hardworker/INNOVATIONウェルター級王者)
 vs.
UMA(K&K BOXING CLUB/元REBELS65㎏王者 )

<第10試合 INNOVATION×REBELS 3vs3対抗戦 58.5kg契約 3分3R >
久井 淳平(多田ジム/INNOVATIONスーパーフェザー級王者)
 vs.
浜本“キャット”雄大(クロスポイント大泉/ILFJ認定FRONTIER ラウェイ勝者、元WPMF 日本スーパーバンタム級王者)

<第9試合 INOVATIONスーパーバンタム級(55.34kg)王座決定戦 3分5回戦(延長1R)>
岩浪 悠弥(橋本道場/INNOVATIONスーパーバンタム級1位、同バンタム級王者、元同フライ級王者、元WBCムエタイ日本フライ級王者)
和斗(井上道場/INNOVATIONスーパーバンタム級2位)

<第8試合 INNOVATIONフェザー級王座決定戦 3分5回戦(延長1R)
宮元 啓介(橋本道場/WPMF世界スーパーバンタム級王者、元WBCムエタイインターナショナルスーパーバンタム級王者、元WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者、元INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元MA日本スーパーバンタム級王者)
 vs.
直也(Versus/INNOVATIONフェザー級3位)

<第7試合 INNOVATIONスーパーフェザー級挑戦者決定トーナメント決勝戦 3分5回戦(延長1R)>
櫻井 健(Hardworker/INNOVATIONスーパーフェザー級1位)
 vs.
マサル(MONKEY☆MAGIC/INNOVATIONスーパーフェザー級4位)

<第6試合 INNOVATION×シュートボクシング 3vs3対抗戦 大将戦 65kg契約 3分3回戦 ※肘打ちなし>
与座 優貴(橋本道場/極真会館2017全世界ウェイト制軽量級優勝)
 vs.
イモト・ボルケーノ(グラップリングシュートボクサーズ/シュートボクシング協会/SB日本スーパーライト級7位)

<第5試合 INNOVATION×シュートボクシング 3vs3対抗戦 中堅戦 62.5kg契約 3分3回戦 ※肘打ちなし>
紀州のマルちゃん(武勇会/INNOVATIONライト級9位)
 vs.
土佐丸(シュートボクシング摂津富田ジム/シュートボクシング協会/SB日本ライト級2位)

<第4試合 INNOVATION×シュートボクシング 3vs3対抗戦 先鋒戦 56kg契約 2分3回戦 ※肘打ちなし>
遊羅(マイウェイスピリッツ)
 vs.
翔汰(Sublime guys)

<第3試合 INNOVATIONフライ級(50.8kg)INNOVATIONランキング査定及びルンピニージャパン認定マッチ 3分3回戦>
花岡 竜(橋本道場/アマチュア28冠王)
 vs.
平松 侑(岡山ジム/INNOVATIONフライ級7位)

<第2試合 ジム対抗戦 スーパーフライ級(52.16kg) ルンピニージャパン認定マッチ 3分3R>
光喜(マイウェイジム)
 vs.
スダ456(BRING IT ONパラエストラAKK)

<第1試合 INNOVATIONフェザー級(5715kg)INNOVATIONランキング査定及びルンピニージャパン認定マッチ 3分3R>
井上 竜太(Hardworker)
 vs.
真田 貴望(武勇会/INNOVATIONフェザー級10位)

※選手の怪我などにより一部カードが変更になる場合がございます。