WWEサウジアラビア『SUPER SHOWDOWN』サプライズ女子戦不可、レスナー権利行使ナシ、トリはドタバタに

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 日本時間金曜深夜(曜日は土曜)に始まったのはKick offショーが午前2時から。開催までの紆余曲折の舞台裏談としては、なんとギリギリで、もしかして女人禁制が解禁になるかも知れないとなって、WWEが急遽アレクサ・ブリスとナタリアをサウジに派遣したという情報は伝わっていたのだが、Kick offショーにいるのは「ゴールドバーグがアイドルだった」と話すデビッド・オトンガとナタリアもいる。ありゃ?やっぱりダメだったのかと、WWEネットワーク視聴時代の利点としては、画面はテレビに飛ばしておいて、パソコンも使えることか。海外のサイトを見たら、やはり政府が許可しなかったと。まぁ文化の違う他国の行政にプロレス格闘技の専門媒体が口を挟んでも意味ないのだが・・・。

 そのダークマッチではリバイバル(対ウソーズ)ががんばっていたが、巨大スタジアムの割に客席が埋まってないじゃないかとか思いながら見てたのだが・・・。まだ起きてる時間だからまぁいいかと安易に考えたのが不味かった。本戦開始が日本時間の午前3時、結局終わったのは早朝の6時50分である。いくら『レッスルマニア』級のメガショーだとの煽りとしても、長時間興行になることろまで踏襲しなくて結構だとも思うのだが、PPV「スーパー・ショーダウン」はまず長い、途中でダレるというのが地元サウジアラビア出身のマンスールが「50人バトルロイヤル」に優勝とかよりも先にくるレビューになってしまう。

 その「50人バトルロイヤル」にせよ、30人でも多いのに、詰め込みで重い男子50人が1つのリングに上がって、壊れないのかとも心配になったのは本誌だけではあるまい。それでなにもしないままOver the Top ropeルールで次々に放りだされ出して、「はるばる中東まで遠征されて、投げ出されるだけの役割とはご苦労さんです」と皮肉を野次りたくなる。すぐに集中力は切れて、トイレタイムとかになった方は世界で多いと推測されるが、日本時間で見ている立場としては、どうせテイカーとゴールドバーグは短いだろうから、ここでシャワー浴びてパジャマに着替えて寝る準備となるのは仕方あるまい。なので、戻って見たら中邑真輔がどこで消えたのかわかりません(笑)。あれ?戸澤陽もいたんだっけ・・・。最後のほうは、ああ、このマンスールという地元出身の奴になるんだというは読めてしまい、アラビア語のスピーチで客席が異常に抱き合って喜んでいる絵が捉えられていたが、記事を書く側としてはどうでもイイとなるのは仕方あるまい。

 なんと、本戦第1試合が王者セス・ロリンズvs.バロン・コービンのユニバーサル王座戦からだった。まぁ『レッスルマニア』本戦もそうだったから、凄い驚きではないんだが、ということは、また当日になって(女子カード消滅含めて)試合順番とか、アップダウンも変えたということを意味する。となると、週刊ファイト6月13日号で書いた予想が、外れることになることも予感するわけだが、外した方が記事ネタになるから面白いという実例になるから美味しいのだ(笑)。
 なにかと悪く言われてしまうヒールのバロン・コービンなんだが、試合運びは悪くない。しかも相手が職人セス・ロリンズとなると、まともなレスリング展開になるのは鉄板だ。普通にセスが王座防衛に成功すると、お約束で“Mr. MITB”ブロック・レスナーの音楽が鳴る。さて、第一試合という順番含めて、果たしてどういうケツにするのか、大人のファンとの読み合い合戦が火ぶたを切るのだが・・・。なにしろ、すでに三度も「今宵、レスナーがMITB権利をキャッシュインします!」とSNSで大きく煽っておいて、やらないままごまかしてきた引っ張るWWEである。いくら視聴率のためとはいえ、オオカミ少年も三度目は視聴者離れになるとの警告を活字にしているのだが。

 コービンとの試合結末、レフェリーと言い争いになり、(マイクが拾う)大声で強面レフェリーに注意を食らって気を取られた隙に、ロリンズが丸め込んでのスリーカウントというケツだったんだが、当然納得しないコービンは、試合後も必殺技エンド・オブ・デイを鮮やかに決めてさらに痛めつけると。弱ったところにレスナーが走ってきてと、ここまでは誰もが予想する流れであろう。
 これで4回目で、これでキャッシュイン(権利行使)やらなかったしっぺ返しになってしまうと画面を凝視していたら、なんとブリーフケースを持ったポール・ヘイマン代理人が、リングインする際に(わざと)ロープに引っかかってコケて、ブリーフケースがリング中央辺りに投げ出されるという・・・。考えたな! その手があったか。
 ヘイマンがずっコケたことでレフェリーが気を取られている隙にロリンズがローブローで先制するところから、第二試合とは呼べないから1.5試合が始る。最後はカーブストンプでKOした。要するに、キャッシュイン前に終わったということだ。まぁ笑かしてくれたから良しとするか。

 それにしてもトリプルHとランディ・オートンの試合は長いよ。そりゃCEOだから、尺は好きな時間やって許されるんだろうが、お仲間とやってるだけというのがミエミエで、本人たちだけが手に汗握る攻防やってるとレスリング・ハイになっているだけに。
 トリの老人対決にいたっては、アクシデント流血もあったにせよ、酷い出来でもっと早く「go home」させろとさえ思ったほど。「写真はあとから追加します」と、簡単にアップだけしようかとも思ったが、早朝6時50分、もう限界だと速攻で寝ることにした。
 唯一特筆なのは、RAWやSmackDownでは国名を言わず開催地の「ジェッダから中継」とだけだったのが、今回は「サウジアラビア、ジェッダ」と明言していたことだろうか。

■ WWE SUPER SHOWDOWN
日時:6月7日(現地時間)
会場:サウジアラビア ジェッダ キング・アブドゥッラ・スポーツシティ・スタジアム

◆王座防衛のロリンズがレスナーをカーブストンプでKO!

 前回のRAWでレスナーに襲撃されたロリンズはコービンに負傷している脇腹を狙われて劣勢となるも、スリングブレイドやトペ・スイシーダ2連発を繰り出して反撃を狙った。さらにロリンズがコービンのディープシックスをカウント2で返すと、イラついてパイプ椅子攻撃を狙うコービンと制止するレフェリーが口論に発展。するとロリンズはその隙を逃さず、背後からコービンを丸め込んで3カウント。ロリンズが辛うじて試合に勝利するも、納得のいかないコービンは試合後にエンド・オブ・デイをロリンズに炸裂。するとそこへ“Mr. MITB”のブロック・レスナーが代理人のポール・ヘイマンと共に登場した。

 倒れ込んだロリンズに対してキャッシュイン(権利行使)するかと思われたが、ヘイマンがロープに引っかかってMITBブリーフケースをリングに落とすと、その隙にロリンズがローブローをレスナーに炸裂。さらにロリンズは「キャッシュインしてみろ! 気分はどうだ」と叫びながらパイプ椅子で滅多打ちにすると、最後はレスナーにカーブストンプを食らわして止めを刺した。
 バックステージではコービンが抗議を入れると、PPV「ストンピング・グラウンズ」でロリンズ対コービンの再戦が行なわれることが決定。

 コフィ・キングストンとドルフ・ジグラーも「今度はケージ(金網)だ!」と再戦のようで、なんだかPPV「ストンピング・グラウンズ」は、本大会の前哨戦になってしまった。この次回大会は日本時間6月24日にWWEネットワーク(日本語実況版有り)でライブ配信される。

◆サウジアラビア出身のマンスールが「50人バトルロイヤル」優勝

 WWE史上最大の男子50人バトルロイヤル戦に中邑真輔、戸澤陽が出場するも優勝を逃した。50人入り乱れたバトルロイヤルがスタートすると、初めに体格的に不利なシン・ブラザースや戸澤が投げ飛ばされて脱落。中邑はパートナーのルセフと協力しながらチャド・ゲイブルやアポロ・クルーズを脱落させたものの、キンシャサを狙ったシン・カラから延髄斬りを食らって脱落してしまう。その後も大混戦となったバトルロイヤルでアライアス、セザーロ、マンスールの3人が残ると、サウジアラビア出身のマンスールが躍動。隙を突いてセザーロをリング外に落とすと、最後は襲い掛かるアライアスにエプロンまで追い詰められたが、間一髪のところでアライアスを抱え飛ばしてマンスールが逆転優勝。よくよく考えてみればお約束ながら、これまで存在が知られることのなかったマンスールが50人バトルロイヤルを制して故郷へ錦を飾った。

◆アンダーテイカー、ゴールドバーグとの初対決を制す

 “デッドマン”ジ・アンダーテイカーと“怪物”ゴールドバーグの20年越しの初対決が実現し、アンダーテイカーがチョークスラムでゴールドバーグを仕留めて激戦を制した。鐘の音と共にリングに姿を現したアンダーテイカーは鬼の行相でゴールドバーグを睨み付けると、ゴールドバーグは首を掻っ切るポーズで挑発し、いきなりスピアー2連発で先制攻撃。しかし、ここでアクシデント発生。コーナーポストに頭をぶつけて坊主頭がガチの流血に。慌ててフェレリーが手袋を後ろポケットから出して装着するところがWWEなのか。しかし、単なる流血でなく、ゴールバークは頭を打ってしまう。以降、なんとか展開を思い出しているかのようなドタバタに。
 アンダーテイカーはムクっと起き上がると、反撃とばかりにチョークスラムからツームストーン・パイルドライバーを決めるもカウント2。ただ、ここでもガチで頭を打っており、のちのSNSによるとKNOCK OUTされたと本人が認める始末である。続けてゴールドバーグがスピアーからジャックハマーを放つも、単なるブレーンバスターになってしまい、決定打とはならずどころか、テイカーが頭打ったような危ないspotに。しばらくリングから遠ざかっていると、こうなってしまうという教訓なのだろうか。レジェンド対決をトリにするのはリスク大ということになろう。
 最後はアンダーテイカーがチョークスラムでゴールドバーグを沈めて3カウント。これが予定のフィニッシュだったかどうかは不明ながら、どっちみち長い試合なんかやらないから、プロだからなんとか無理やりまとめたというのだけが印象に残った嫌いは残ろう。まぁケツは予想通りであるが、大物同士の初対決はアンダーテイカーの勝利で幕を下ろした。


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