“平成最後の”アクトレスガールズ大盛況! メイン登場安納サオリ 伝家の宝刀セントーンに壮絶玉砕!!

 4月30日。アクトレスガールズ2度目の後楽園ホール大会、メインイベントを任された安納サオリの対角線には世志琥が立っていた。
「アイドルくずれ」と嗤われ、救急車に載せられ、「プロレスごっこ」と罵しられた。後押ししてくれる筈の仲間からも、
「団体のチャンピオンが他団体の方ばっかり向いてる」
と、非難を浴びた。
 そのSEAdLINNNG・世志琥との因縁。
 タッグでの対決では、「セントーンを出す価値はない」と、固め技で一蹴された。それでもなお食い下がり、ようやく実現した世志琥とのシングル対決だが、ベルトを賭ける事は叶わなかった。

「やるのはいいけどどうなるか解ってんの?」
との言葉通り、負傷欠場明けでも世志琥との力の差は歴然。だが長時間逆エビや裸締めに耐える姿で場内を沸かせる安納サオリの姿は、興行のメインを張るプロレスラーそのものだった。
 15分弱、世志琥に食らいついた安納サオリだったが、ラリアートでなぎ倒され、伝家の宝刀ダイビングセントーンに屈した。

 完敗。
 結果を取り出して一言で表せばそうなる。だが、鬼コーチである堀田祐美子は安納サオリを優しく労った。
 未だ常在戦場を貫き、RIZIN榊原実行委員長をして「日本の女子プロレスラーもまだまだ捨てたものじゃない」と言わしめた神取忍の代役として先んじてギャビ・ガルシア相手に玉砕してみせた堀田祐美子がだからこそ知る、敗者の美学。それを安納サオリに感じたからに違いない。

 一方、セミまでの試合に関しては、リング上で激しい叱責が待っていた。

 “アクトレス”ガールズを求めてやってきた観客からしてみれば、堀田祐美子の言葉はキツく感じられたかもしれない。アイドルと見紛う華やかな入場と、一所懸命の試合は時代が追い付いたアクトレスガールズのお家芸ではある。1000人超という、近年の後楽園ホールの興行としては大盛況と言っていいファンが詰め掛けたのはその証だ。
 だがそれが、クラッシュギャルズを擁して地上波テレビ出演が当たり前の芸能活動と、一瞬も気を抜けない勝負論のある試合を同時に行っていた全日本女子プロレスを経験した堀田祐美子からしてみれば、納得がいかないものに映ってしまうのはやむを得ないところ。
 だから“平成最後の”と謳ったこの日のアクトレスガールズ後楽園大会、昭和を知る女子プロレスラー堀田祐美子としては、手応えを感じたからこそのお説教ではあった。
 改元を越え、アクトレスガールズは全女魂を受け継いでいく。その思いを濃くした、2度目の後楽園ホール大会であった。

■ アクトレスガールズ 〜Actwres Girl’Z 後楽園大会〜
日時:4月30日(火祝) 開始11:45
会場:東京・後楽園ホール
観衆:1109人(主催者発表)

<第1試合 タッグマッチ 15分1本勝負>
●未依 谷もも
 9分37秒 ムーンサルトプレス⇒片エビ固め
〇川畑梨瑚 林亜佑美

<第2試合 向後桃デビュー戦 15分1本勝負>
〇五十嵐乃愛
 8分04秒 セントーン⇒片エビ固め
●向後桃

<第3試合 タッグマッチ 20分1本勝負>
●関口翔 青野未来
 18分56秒 ウラカン・ラナ)
〇noki-A さくらんボニータ

<第4試合 タッグマッチ 20分1本勝負>
堀田祐美子 ●清水ひかり
 17分39秒 メジャモ☆タエ
〇本間多恵 茉莉

 メキシコCMLLでの遠征を終え、凱旋試合となった本間多恵は、本場で取得したルチャリブレ殺法を駆使して会場を魅了した。最後に披露した、CMLLの女王マルセラと考案したというオリジナルジャベ「メジャモ☆タエ(スペイン語で、「私は多恵」の意味)」を、
「練習では出来てたのに極めるのに手間取ってしまった」
と、反省しきり。
 しかし堀田祐美子のお叱りを先頭に立って頂戴した本間多恵だけに、次戦では完璧なフィニッシュホールドとしてのキレが見られそうだ。

本間多恵のメジャモ☆タエ炸裂! なお、第1試合で膝を痛めたTommyレフェリーが気力で全試合を捌ききった。

<第5試合 タッグマッチ 20分1本勝負>
△SAKI 水森由菜
 20分00秒 時間切れ引き分け
△高瀬みゆき 有田ひめか

<第6試合 シングルマッチ 30分1本勝負>
●安納サオリ
 14分44秒 ダイビング・セントーン⇒片エビ固め
〇世志琥


 脚に大ダメージを這ってようやくリングを下りた安納サオリは、旗揚げからの盟友・本間多恵に支えられて会見場に辿り着いた。


 アイドル、タレントは軒並み改元バブルに乗っかる中、
「(改元とか)私あんまり気にしないんですけども…」
と平然と言ってのけた横顔に、堀田祐美子と世志琥が認める芯の強さを垣間見た気がした。


 負傷欠場明けとは思えない強さをみせた世志琥。安納サオリの事を認める一方、
「アイドルくずれと言ったのは撤回しない」
と、「アクトレスガールズ」そのものへの評価に関しては厳しいままだった。

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’19年05月09日号令和元年WWE ドラディション アクトレスガールズ KnockOut 浅草橋