[ファイトクラブ]4・21『RIZIN.15』7時間+プレス会見途中で終電に向かう!フジ視聴率5.8%

[週刊ファイト5月2日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼4・21『RIZIN.15』7時間+プレス会見途中で終電に向かう!フジ視聴率5.8%
 photo & text by シン上田、タダシ☆タナカ w/編集部
・テレビ格闘技の功罪
・”キモ強哀戦士”北岡聡、柔術家ソウザの打撃に散る
・試合内容は充実!誰からも望まれてなかったGACKT「ボクは要らない」
・チェコの武蔵イリー・プロハースカがキング・モーKOもフジTVは割愛
・パッキャオ推薦?フィリピン日本好き戦士を那須川天心がKOする番組
・堀口恭司6・14ベラトールMSG登場!ダリオン・コールドウェルと再戦
・スター揃えるRIZIN春の年間計画:朝倉未来、渡辺華奈、マネル・ケイプ


 平成最後の格闘技ビッグマッチとなった横浜アリーナ開催の4・21『RIZIN.15』。大会を締めた第12試合はライトヘビー級の王座決定戦。ミルコ・クロコップがドクターストップにより引退となった今、宮本武蔵の「五輪の書」が愛読書というチェコの侍イリー・プロハースカと、戦極がプロ・デビューだった日本で知名度のあるキング・モーというのは国際的なMMAランキングからは納得のいくところ。日本人が感情移入しにくいカードがトリにもかかわらず、会場の横浜アリーナは1万人超えでほぼ満員。観客の反応から、招待客はそれほどいないようにも思えた。

 ただし、報道陣の数は想像を下回る少なさ。昨年の大晦日ではフロイド・メイウェザーのエキシビションマッチ出場によって、海外メディアが大挙押し寄せたが、メイウェザーの好敵手であるマニー・パッキャオの来場には興味を抱かなかったようだ。試合をしないことには日本ローカルのRIZINは報道に価しないということか。

 また、フジテレビからの資金が大きいテレビ格闘技であるRIZINの場合、どう日曜夜にプログラムを組まれたかと、その視聴率結果が「誰が勝った負けた」よりも大きいのだが、余り皆さん話題にしようとしていない。ビデオリサーチに取材を申し込むと書面で出せと言われたが、戻ってきたのは平均世帯視聴率5.8%(関東地区)となり、大晦日のフロイド・メイウェザーvs.那須川天心の時間帯平均7.5%どころか、その那須川天心vs. 堀口恭司のキックボクシング戦が行われ、過去最高の観客動員をさいたまスーパーアリーナで記録した9・30『RIZIN.13』の6.6%からも後退してしまった。まして、テレビ東京が吉田沙保里をゲストに呼んでの『池の水』が7.7%だったことで、地上波最下位の汚名もついてしまっている。瞬間最高 は天心戦の8.2%だった。

 それでも、約600万人が見たことになり、テレビ東京、しかも夜中の時間差中継なので比較するのは酷になるが、3・31『ONE Championship: A New Era』両国国技館大会は1.8%であったことを思えば、国産ブランドのほうがライト層の馴染みが深いということか。まして、実際には圧倒的なトップであるUFCだが、4・13『UFC 236』アトランタ大会が、イズラエル・アデサニヤvs. ケルヴィン・ガステラム、マックス・ホロウェイvs. ダスティン・ポワリエの2大激闘があったというのに、WOWOWでひっそりと放送されているだけ。格闘技マニアでない限り大会すら知らないんじゃないかという現実に比べたら、RIZINがんばるしかないとエールを送るだけなのであるが・・・。

 それにしても、現場組は当夜は乗り継ぎ、乗り継ぎの遠い横浜から逆算する終電時間のため、プレスルーム会見の最後の最後まで残ることができない有様だ。大会だけで全7時間、マスコミは9時間も横アリに閉じ込められるのはいかがなものか。まして、当夜は帰ってからも写真の整理だの記事速報をアップするため抹殺されるため、翌日になってから録画しておいたフジテレビ2時間版を見てみたら、メインのイリー・プロハースカvs.キング・モーがカットされている。唯一の世界レベルでは格闘技マニア関心のカードが地上波にはなかったという、笑い話のような現実に愕然とすることになる。

 地上波に合わせるため二度の長い休憩を入れることが元凶であり、その格闘技ONEにせよ、プロレスWWEの7時間半に及んだ『レッスルマニア』にせよ、長時間大会でも休憩ナシなのが救いなのであるが、夜の時間差中継に格下げになると、今度はフジからの予算が大きく減らされてしまうジレンマは理解する。それにしても、WWEがスポーツ・エンタテインメントだと公言するように、RIZINもバラエティー番組だとしたら、テレ朝の『ポツンと一軒家』が17.2%となり、「そんな番組見たことも聞いたこともない」と嘆いたのは本誌記者だけなのか?

 まして、「マニー・パッキャオからの刺客」フィリピンの選手フリッツ・ビアグタンが、「パッキャオとは会ったこともない」となって、その昔、アントニオ猪木と闘うザ・モンスターマンが、「モハメド・アリの刺客」と煽っておいて、いざ来日して週刊ファイトが聞いたら「会ったこともない!」だったのを引き出しから披露すれば、古すぎると言われてしまうのだろうか?
 お茶の間向き、大衆相手のテレビ番組作りとハードコア層のご意見という課題を考えさせられることになるのは、続くWWEのRAWやSmackDownでも顕著だ。これは別項に譲るので本稿ではやらないが、古くからのファンの関心ということでは、第9試合の北岡悟vs. ホベルト・サトシ・ソウザとなる。

■ RIZIN.15
日時:4月21日(日) 開始15:00
会場:神奈川・横浜アリーナ 観衆12914人(=主催者発表)

<第9試合 RIZIN MMA ルール : 5分 3R(71.0kg)>
●北岡悟(ロータス世田谷/パンクラスイズム横浜/元DEEPライト級(70.3kg)&戦極ライト級(70kg)王者)
 2R 3分56秒 パンチで崩れてレフェリーストップTKO
○ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル/ボンサイ柔術/REALスーパーライト級(74.2kg)王者)

 今の時代、専門誌の役割は変わってきており、試合の展開をチマチマ書いても、本稿を読んでいる方なら試合を見ていると思われるので、余計な字数の無駄遣いはやらないでおくが、やはり第9試合には感情移入したなぁという・・・。桜が咲く時期からは少しズレたのであるが、フジテレビでは”キモ強哀戦士”とテロップに出ていた北岡は、柔術家ソウザの打撃で壮絶に散った。

試合内容は充実!誰からも望まれてなかったGACKT「ボクは要らない」
<第6試合 RIZIN MMAルール68.0kg契約 5分3R>
○朝倉未来(トライフォース赤坂/元THE OUTSIDER 65-70kg級&60-65kg級王者)
 判定3-0
●ルイス・グスタボ(ブラジル/エボルサオン・タイ)

 平成の30年間で世界標準のMMAからかなり遅れをとった日本の格闘技。良くも悪くもバラエティー番組なのだ。フジテレビがRIZIN.15の中継で解説にGACKTを起用して醜態をさらしたことでもわかるように。このような子供だましのバラエティーを続けても視聴率に反映されたためしはない。RIZINの視聴率は毎回6%前後。この壁を超えるのは難しいのが現状だ。

 ただ、今回の大会は充実した内容だったといえる。新スターを予感させる朝倉未来の激勝、堀口恭司と那須川天心のエースらしい勝ちっぷりに会場は大いに沸いた。堀口と那須川の安定感は今のRIZINの強みといえる。

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