SEAdLINNNGメインでJWP魂の咆哮!中島安里紗 引退カウントダウンのボリショイを涙のD×D葬!!

「ボリショイさんがいなければ自分はもうプロレスはやってないと思うし、本当に沢山迷惑かけて…ごめんなさい! 本当にありがとうございました」
「自分は、今はSEAdLINNNGですが、ボリショイさんに教えて頂いた事、JWP魂を忘れずに、必ずもっともっと強くなって、もっとデカくなって、ボリショイさんに、中島安里紗ここにありっていうのを示していくんで、ボリショイさんも皆さんもよろしくお願いします! 」
 4月12日新木場1stRINGのリング上。19分50秒の激闘の末、コマンド・ボリショイに引導を渡した中島安里紗はそう言った。

 全女魂だ、いや、パッションだとのイデオロギー対決が叫ばれる中で中島が発したJWP魂とは何か。
 
 源流を辿れば、ジャパン女子プロレスに行き着く。
 旗揚げ当時、全日本女子プロレスからみたジャパン女子は、今中島安里紗がアクトレスガールズを見るよりも厳しく、かつ、侮蔑されていた。ジャッキー佐藤が全女の全近代性をあげつらってみせても、ジャパン女子にとっての全女は、とうてい手の届かぬ高所に栄えた木の実であった。
 当時のミスA、キューティー鈴木、尾崎魔弓らの胸中に、全女に負けてたまるかとの反骨心が芽生えた時にその支えになったものは、ジャッキー佐藤と神取忍が消えた時に自分達にプロレスを教えたグラン浜田であり山本小鉄であったろう事は想像に難くない。
 JWP魂とはストロングスタイルの流れを汲むプロレスだとも言える。
 だからこの日、涙を堪えて対峙した2人の闘いは、かなりの部分でグラウンドの攻防に終始し、あるいは拳と肘で打ち合った。



 ロープに飛ばない、現代女子プロレスの方程式から外れたそれは、今となってはこの2人にしか出来なくなりつつある。
 終盤にかけて大技も織り交ぜたその闘いは、20分の声を聞く寸前、中島安里紗伝家の宝刀D×Dが炸裂して終止符を打った。



 最初で最後、ボリショイ・コマンドと中島安里紗がLet’sgetDで大会を締めた。

 

 会見場に現れ、開始前、泣きそうになったと言う中島安里紗は、絶対負けたくない相手というボリショイの土俵で闘って、越えられてないと思う部分もあったと認め、
「悔しさも嬉しさも感謝も、全部刻んでこれから闘っていきます」
と、述べた。



 そしてボリショイとの関係は、先輩と後輩なんだけど、何でも話せる姉妹みたいな感じだと語った中島安里紗は、かつてデビューしたての頃にボリショイとスパーリングで何も出来ずに惨敗して号泣した時に、勝てると思っていた事を呆れられるより、
「お前、おもろいな」
と認めてもらったというエピソードも披露。
 普段見せないはにかみをみせた中島だったが、自身のプロデュースする4・28大会で「高橋奈七永とも闘いたい」と言った事に疑問を呈されて
「私がプロデュースするんだから、選手は私の言う通りに動けばいい」
と、いつもの中島安里紗に戻って会見を締めた。


 一方、ボリショイが選んだかつての入場テーマ曲『Show Me Heaven』をこの日流した中島の心憎い演出に涙腺が緩んだというボリショイ。


「中島みたいな、暴れ馬みたいな、言う事聞かない様な、癖のある…そんな娘がいたから私は育てる為に私も強くなきゃいけなかった…感謝しかないです」
「3番手で納得する選手じゃない。まだまだこれから進化する」 
と、エールを贈った。

■ SEAdLINNNG~SHINKIBA 11th NIGHT!
日時:4月12日(金) 開場18:30 開始19:00
会場:東京・新木場1stRING

<第1試合 シングルマッチ 15分1本勝負>
〇米山香織
 6分02秒 後方回転エビ固め
●沙恵(名古屋ドリームガールズ)

チャンピオンが負けて申し訳ない、と反省の弁の沙恵。

<第2試合 ハイスピードタッグマッチ 20分1本勝負>
朱崇花 ●Maria(Marvelous)
 7分51秒 エビ固め
駿河メイ(我闘雲舞) 〇星月芽依(Marvelous)

南月たいようレフェリーのアシストもあり、星月芽依初勝利となった。

<第3試合 6人タッグマッチ>
〇世志琥 松本浩代 真琴
 13分45秒 世志リング
●安納サオリ 高瀬みゆき 有田ひめか(アクトレスガールズ)


 SNSでプロレスのオリジナル技の盗用が話題となったのを嘲笑うように、安納サオリのサオリングを頂いた世志琥は
「セントーンを使うまでもない」
とうそぶいて、自身の名前を付けるやりたい放題。
 さらに、敵の敵は味方とばかり、有田ひめかを4・14堀田興行でのパートナーに指名する傍若無人。
 怒髪天、安納サオリの逆襲となるか、要注目。

<第4試合 タッグマッチ 20分1本勝負>
△高橋奈七永 水波綾(プロレスリングWAVE)  
 時間切れ 引き分け
△彩羽匠(Marvelous) アマゾン

 心配した通り、アマゾンが敵味方関係なく大暴走、時間切れ引き分けとなった。

<メインイベント シングルマッチ 30分1本勝負>
〇中島安里紗
 19分50秒 D×D
●コマンド・ボリショイ(PURE-J)

 詳報は電子書籍版5月3日号に掲載予定。