ベッキー・リンチ新女王!コフィ・キングストンWWE王者~Happy Endingレッスルマニア

Photo by George Napolitano

 現地時間4月7日、世界最大のプロレスの祭典『レッスルマニア 35』が開催された。すべて全部なら8時間にも及ぶお祭りなので、メインが始まる頃にはすでに日付が月曜になっており、帰りでエライ目にあったという書き込みがSNSに溢れる。マスコミ側としてはとにかく長い、長い、長いという評がまず先立ってしまう嫌いが残った。

 大会の結果に関しては、本誌予想通り、コフィ・キングストンがダニエル・ブライアンをフォールして新WWE王者になり、ベッキー・リンチが二冠の新女王になるHappy Endingとなった。もっとも、カート・アングル引退試合は、発表通りにバロン・コービンが対戦相手で、短いがまともなレスリングの試合であっさり負けていた。本人が望んだのだろうが、本当の現役引退ということなのだろう。

 プログラム構成は、あえて本戦がユニバーサル王座戦から。まぁ女子メインで一般メディアにも取り上げられたのだから、ブロック・レスナーからセス・ロリンズへの王座交代から始まるショックバリュー優先だろうが、あっさりし過ぎて長丁場の後半になると、忘れられてしまったかも。
 シェイン・マクマホン対ミズは、例によってミズのお父さんも出てくるだけでなく、リングでもやられて、怒りのミズが逆襲する展開で、会場全体を使ってスタントを繰り広げた分、絵的には目新しさがあったのかも。
 トリプルH対バティスタは、バティスタの鼻のピアスをペンチで引きちぎるという、映画トリックの応用なんだが、これまた絵的には一般のファンにはわからないだろうから、うまくできていた。それにしてもNXTではベビーフェイスで、こちらではヒールのトリプルHのバイク入場からの悪役ぶりが良い。お約束でスレッジハマーが出てきて、これまたお約束で70歳のリック・フレアーも加担してバティスタをフォール。バティスタもこれが最後と公言しており、新作映画の予告編も挿入されていたから、ケガして穴を空けてしまうリスクを思えば映画俳優に専念となるのだろう。

 笑かしてくれたのは、新設された女子タッグ王座の4WAY戦だ。なんと新王者はアイコニックス。裏をかくというか、「へぇ~」と思わせることも重要なので、意外性があっていいんじゃないかと思う。日本人選手としては、中邑真輔は脇役のまま。キックオフショーにはアスカだけでなくカイリ・セインもバトルロイヤルに選ばれてエルボーのスポットが与えられたものの、日本で修行していたサラ・ローガン(クレイジー・マリー)が最後に残ったことで留飲を下げたのかもだ。ブラウン・ストローマン優勝のアンドレ杯こそ、本戦のPPV内にダイジェストが紹介されていたが、205 LIVEのクルーザー級トーナメント優勝から王座挑戦権を得たトニー・ニースが、王者バディ・マーフィーからベルトを奪った第1試合ともども、本戦番組内では扱われなかった。

■ WWE レッスルマニア 35
日時:4月7日(現地時間)
会場:ニュージャージー州 イーストラザフォード メットライフ・スタジアム
観衆82,265人(=主催者発表)

<メインイベント 第12試合 RAW&SD女子王座3WAY戦>
●[王者]ロンダ・ラウジー
 21分30秒
○ベッキー・リンチ
※もう一人はシャーロット・フレアー
※ベッキーがRAW,SmackDown二冠女子王者

◆ベッキーが歴史的勝利!ロウ&スマックダウン女子王者が誕生

 レッスルマニア史上初の女子メイン戦ではWWE2大ブランドの女子王座をかけてロンダ・ラウジー、シャーロット・フレアー、ベッキー・リンチが勝者総取りの三つ巴女子頂上決戦に挑んだ。相手の動きを探るにらみ合いでスタートすると、ロンダはベッキーをコンビネーションブローからリング外に蹴散らすと、シャーロットにはパイパーズ・ピットを決めて先制した。

 試合中盤にはお互いが大技の攻防を展開し、ロンダが1本背負いからダブル・アームバー決めれば、逆に2人に持ち上げられてパワーボム3発を食らってしまう。続けて今度はベッキーがディスアーマーを決めるも、ロンダはこれを辛うじてロープエスケイプ。さらにシャーロットがフィギュア・エイトでロンダを追い込むも、ベッキーがレッグドロップでこれをカット。お互い一歩も引かない意地がぶつかり合う試合となったが、シャーロットがスピアーを狙うと、それを避けたロンダとベッキーはそのままテーブルに叩き付けてシャーロットがダウン。ロンダとベッキーは激しい殴り合いを展開すると、最後はロンダがパイパーズ・ピットを繰り出した瞬間にベッキーがロンダを丸め込んで3カウント。三つ巴女子頂上決戦はベッキーが歴史的勝利を掴み、RAW、SmackDown両女子王座奪取という快挙を達成した。

<第11試合 インターコンチネンタル王座戦>
[王者]ボビー・ラシュリー w/リオ・ラッシュ
 4分05秒
○[挑戦者] The Demonフィン・ベイラー
※フィン・ベイラーが新IC王者

<第10試合 カート・アングル引退試合>
●カート・アングル
 6分05秒
○バロン・コービン

<第9試合 ノー・ホールズ・バード・マッチ>
○トリプルH
 23分45秒
●バティスタ

<アライアスの歌とビデオ合成の一人ドラム、ピアノ、ギター演奏>
ジョン・シナのサプライズ登場はここだった! FU⇒You can’t see meエルボー⇒AA

<第8試合 シングルマッチ>
○ローマン・レインズ
 10分10秒
●ドリュー・マッキンタイア

<第7試合 US王座戦>
○[王者]サモア・ジョー
 1分00秒
●レイ・ミステリオ
※ジョーが王座防衛。そろそろ見ている側の疲れがたまっていたので短くてよかった

<第6試合 WWE王座戦>
●[王者]NEWダニエル・ブライアン W/ローワン
 24分45秒 トラブル・イン・パラダイス⇒フォール
○[挑戦者]コフィ・キングストン W/ビッグE&ウッズ

◆キングストンがブライアンを下す大金星! 11年越しの夢を叶えて新WWE王者に

 PPV「レッスルマニア」の大舞台でコフィ・キングストンがダニエル・ブライアンの持つWWE王座に挑んだ。
 ビンス・マクマホン会長に翻弄されるも苦難を乗り越えて祭典での王座戦に辿り着いたキングストン。マンハッタンのエンパイア・ステートビルディングには、両雄の大きな顔が投影されていたが、あれはCG合成だったのだろうか? もっともある程度のファンなら、その段階でケツはわかったと思うのだが・・・。おまけに、ロッカールームのその他大勢が、この試合をコフィ応援でモニターを見るというカメラのスイッチングも試合中に挿入されていた。

 ブライアンと対峙したキングストンはドロップキックからのダイブ攻撃で先制するも、スワンダイブ攻撃をブライアンにかわされて解説席に強打。これでダメージを負ったキングストンは劣勢となり、ブライアンのボストンクラブをロープエスケイプで辛うじて回避。さらにキングストンはブライアンのイエスロックやイエスキック7連打で追い詰められ、起死回生のトラブル・イン・パラダイスもかわされると、逆にニープラスを食らって撃沈。3カウントは回避するもののキングストンは防戦一方で満身創痍となった。
 しかし、再びキングストンがブライアンに顔面ストンピング連打からイエスロックを決められると、会場からの声援で息を吹き返したキングストンが今度は逆に顔面ストンピングで反撃し、最後は渾身のトラブル・イン・パラダイスを決めて3カウント。キングストンはブライアンを下して大金星! 11年越しの夢を叶えて初戴冠し、ハンドメイドの木製ベルトでなく、元のベルトを掲げて、子供たちやニューディにリング上で祝福されながら新WWE王者となった。

<第5試合 WWE女子タッグ王座4WAY戦>
○[挑戦者]アイコニックス(ビリー・ケイ&ペイトン・ロイス)
 10分45秒
[挑戦者]●ベス・フェニックス&ナタリア
※他は[王者]サーシャ・バンクス&ベイリー、[挑戦者]ナイア・ジャックス&タミーナ

<第4試合 エニウェア・フォール・マッチ>
○シェイン・マクマホン
 15分30秒 カメラ高台からのブレン・バスターもシェインの方が身体が上なので3カウント
●ザ・ミズ

<第3試合 SDタッグ王座4WAY戦>
○[王者]ジ・ウーソズ(ジェイ&ジミー)
 10分10秒
[挑戦者]●シェイマス セザーロ
※他はリコシェ&アリスター・ブラック組、中邑真輔&ルセフw/ラナ組
※王者組の防衛

◆中邑&ルセフ、キンシャサ決めるも王座奪取を逃す
 中邑真輔&ルセフがWWE年間最大の祭典PPV「レッスルマニア」でウーソズが持つSmackDownタッグ王座に挑んだ!フェイタル4ウェイ形式となったこの王座戦で中邑はルセフと連携してアリスター・ブラックの顔面にハイキックを決めると、ジミー・ウーソズにはスピンキックを決めて攻め込んだ。中盤、ルセフがブラックのムーンサルトプレスでピンチとなると、カットに入った中邑は続けてヒザ攻撃からランニング・ニーをブラックに叩き込んだ。試合終盤には大技の攻防を繰り広げ、中邑がキンシャサをブラックに炸裂させるも、最後はウーソズがダブル・スーパーキックからダブル・サモアンスプラッシュでシェイマスから3カウント。中邑&ルセフは善戦も王座奪取を逃し、ウーソズが王座防衛に成功した。

<第2試合 シングルマッチ>
○AJスタイルズ
 16分20秒
●ランディ・オートン
※カバーがAJのゲーム「W2K19:Never Say Never」の宣伝が出ていたからここはAJの勝利

<第1試合 ユニバーサル王座戦>
●[王者]ブロック・レスナー
 2分30秒 カーブストンプ3連発
○[挑戦者]セス・ロリンズ
※ロリンズが新王者

◆ロリンズがカーブ・ストンプ3連発でレスナーに逆転勝利

 ロイヤルランブルを制してユニバーサル王座挑戦を決めたセス・ロリンズがユニバーサル王者ブロック・レスナーに挑んだ。先に待ち受けていたレスナーは入場してきたロリンズを不意打ちで襲撃。レスナーはロリンズをバリケードに叩き付けると必殺のF5も繰り出してロリンズは大ダメージ。「ベルを鳴らせ」とレスナーが怒鳴って試合がスタートすると、続けてレスナーは容赦なくスープレックスを3発繰り出してロリンズに攻め込んだ。しかし、ロリンズは隙を突いてレスナーを押してレフェリーにぶつけると、ローブローを炸裂させてレスナーは悶絶。さらにスーパーキックを顔面に叩き込んだロリンズはカーブ・ストンプ3連発でレスナーを沈めて3カウント。ロリンズが逆転勝利で “ザ・ビースト”レスナーを下し、ユニバーサル王座を奪取した。

【Kickoff show】
<KICKOFF第4試合 アンドレ杯バトルロイヤル>
○ブラウン・ストローマン
 10分20秒 トップロープ外に放りだす
●Saturday Night LIVEの芸人2人のコリン・ショスト

ブラウン・ストローマン、コリン・ジョスト(芸人)、マイケル・チェ(芸人)、アンドラデ、アポロ・クルーズ、タイタス・オニール、タイラー・ブリーズ、ジンダー・マハル、ノー・ウェイ・ホゼ、ボビー・ルード、チャド・ゲイブル、カリスト、グラン・メタリック、リンセ・ドラド、ボー・ダラス、カーティス・アクセル、ヒース・スレーター、ライノ、ビクター、コナー、アリ、シェルトン・ベンジャミン、ルーク・ギャローズ、カール・アンダーソン、マット・ハーディ、ジェフ・ハーディ、オーティス、タッカー、EC3、ハーパー

<KICKOFF第3試合 RAWタッグ王座戦>
●[王者]ザ・リバイバル(ダッシュ・ワイルダー&●スコット・ドーソン)
 13分20秒
○[挑戦者]ザック・ライダー ○カート・ホーキンス
※ライダー&ホーキンス組が新王者 
“Let’s Go Hawkins” 269連敗のニューヨーク出身カート・ホーキンスが初金星

<KICKOFF第2試合 女子バトルロイヤル>
○カーメラ
 10分30秒
●サラ・ローガン

アスカ、カーメラ、ナオミ、ラナ、マンディ・ローズ、ソーニャ・デヴィル、ニッキー・クロス、デイナ・ブルック、ルビー・ライオット、リブ・モーガン、サラ・ローガン、ミッキー・ジェームス、ゼリーナ・ベガ、エンバー・ムーン、キャンディス・レラエ、カイリ・セイン

◆アスカとカイリ、女子ロイヤルランブルで勝ち残れず

 “明日の女帝”アスカとNXTスーパースター・カイリ・セインがPPV「レッスルマニア35」のキックオフショーで女子バトルロイヤルに挑んだ。女子スーパースターたちが競い合う中、WWE年間最大の祭典で気合いの入ったアスカがヒップアタックでキャンディス・レラエとニッキー・クロスを脱落させれば、カイリもサラ・ローガンにバックハンドブローからインセイン・エルボーを炸裂。しかし、カイリはライオット・スクワッドの3人に捕まると、ルビー・ライオットに蹴り飛ばされて脱落。一方、最後の3人に残ったアスカはヒップアタックからソーニャ・デビルの足を払って蹴り落とすも、その隙にサラ・ローガンに投げ飛ばされて脱落。サラが勝ち残ったかに思えたが、隠れ残っていたカーメラにスーパーキックを食らって脱落。アスカとカイリは勝ち残れず、したたかなカーメラが最後まで勝ち残って女子バトルロイヤルを制した。

<KICKOFF第1試合 クルーザー級王座戦>
●[王者]バディ・マーフィー
 10分40秒 ランニングニース
○[挑戦者]トニー・ニース
※トニー・ニースが新王者


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▼現地発レッスルマニア週間総括~志田光AEWテレビ~新日ROH功罪

[ファイトクラブ]現地発レッスルマニア週間総括~志田光AEWテレビ~新日ROH功罪

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’19年04月18-25日合併号レッスルマニア NXT殿堂ROH新日MSG AEW QUINTET 藤波辰爾